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HDMI 2.2のUltra96ケーブル、2026年第1四半期に登場へ

HDMI 2.2の96Gbps転送に対応した「Ultra96ケーブル」のパッケージプロトタイプ

 HDMI Licensingは1月30日、都内で記者会見を開催。来日したHDMI Licensing Administrator(HDMI LA)社長のロブ・トバイアス氏が、HDMI市場に関する2025年の動向を報告しつつ、2026年の展望について語った。

 発表会の冒頭で同氏は、2025年は米国の関税政策により市場が大きく混乱したと振り返った。主に中国からの輸出品や、そのほかの家電製造国に大幅な関税が課されたため、メーカーには関税コスト負担による利幅の削減か、消費者への転嫁が迫られるといった現象が生じたという。特にTV関連においては、中国からの輸入が大きく減り、販売が19%減少したというデータもある。

 2026年に関して、不安定な関税情勢およびインフレの影響などにより、世界全体で2~3%増と比較的低調な成長に留まるだろうとしている。これは日本にも当てはまり、小幅な成長に留まるとしている。

ロブ・トバイアス氏
関税の影響
世界市場の展望
日本市場の展望

 続けてHDMI Licensing自体の2025年の活動報告だが、全世界で2,000社を超えるHDMIブランドの展開、約10億台規模の機器の市場にまで成長した。一時期コロナ禍による出荷減少もあったが、ほぼ過去の同水準にまで回復しつつある。なお、2003年以来の累計出荷台数としては140億台に上るという。

HDMI搭載機器の市場規模
HDMI搭載機器市場規模推移

 そして2025年の技術面での大きな進展はHDMI 2.2の発表だ。HDMI 2.2では従来のHDMI 2.1の2倍となる96Gbpsの帯域幅を持っており、圧縮およびクロマサブサンプリング技術を併用すれば、4K/480Hz、8K/240Hz、12K/120Hzといった超高解像度を達成できる。

96GbpsをサポートしたHDMI 2.2
HDMI 2.2が対応できる最大解像度とリフレッシュレート

 この96Gbpsの帯域幅に対応できるケーブルに対して、新たに「Ultra96」HDMIケーブル認証プログラムを開始する。現在、信号をテストするための仕様の策定の最終段階にあり、策定されればテストラボに対して要件を展開、各ケーブルメーカーが認証を取得して販売できるようになるとした。時期については2026年第1四半期を予定している。

 なお、Ultra96認定プログラムでは、すべてのモデルと長さについて試験と認証を必須化し、ケーブル状で識別印刷を行なう、偽造防止ラベルの添付、そして生涯にわたる製品コンプライアンス監査といった厳しい基準を設けている。ちなみにUltra96規格自体はあくまでもパフォーマンスのみを認定するもので、長さについては制限を設けていないため、メーカー独自のイノベーションを生かし、長さを自由に設定することができるのが特徴だ。

 機器側のHDMIポートに対しても、Ultra96規格表示を積極的に推奨しており、これによりユーザーが容易に判別できるようにするとしている。

Ultra96認証ケーブル
機器側にもUltra96記載を推奨

 このほかHDMI 2.2では、新たに「Latency Indication Protocol(LIP)」と呼ばれる、ビデオ/オーディオ出力の同期技術が実装される。これは複数のデバイスを異なる経路で接続するなどをした際に映像と音声がズレる問題を解消するといい、特にゲームにおいて有用であるとした。なお、LIPは 広帯域活用製品よりも先に登場する見込みで、COMPUTEXの時期にはデモできるだろうとしている。

新しいビデオ/オーディオ同期技術LIPの概要
HDMI 2.2の特徴まとめ

 ちなみに、HDMI 2.2自体もゲーム市場が牽引するだろうという。なぜかと言えば、NVIDIAのDLSS 4.5やマルチフレーム生成(MFG)といったAI技術の進化により、高解像度でもより高いフレームレートを実現可能になったためだ。たとえば現在は4K/240Hzがハイエンドゲーミングの主流だが、マルチフレーム生成などにより480Hzも現実的になる。「そうした時代が到来するのを見越し、HDMI技術はすでに対応済みである必要がある」として、HDMI 2.2の存在意義を改めて強調した。

AIによる超解像とフレーム補間でフレームレートが向上するため、ゲーム市場が牽引

 HDMI Licensingでは、ブランドの保護と遵守についても積極的に取り組んでおり、HDMIロゴを無断で使用した企業の摘発、もしくは違反から正規採用企業への転換支援などを行なっている。対応のために、税関内における活動、展示会の監視活動などをしているという。

HDMIケーブル認証のマイルストーン
HDMI Licensingのブランド保護活動
HDMIライセンス違反の摘発実績など

 発表会の最後で同氏は、HDMI採用企業から報告された2026年の動向をまとめた。興味深いトピックとしては、

  • TV側のAI技術採用による画質の強化
  • 高い色精度/輝度/コントラスト比を実現するRGB LEDバックライト技術の普及
  • さらに高精細なMicro RGB技術採用ディスプレイ技術の登場(高価格帯)
  • OLED、ミニLED、Neo QLEDパネル採用品の価格低下

 などを挙げた。

TV側のAI技術採用による画質の強化
RGB LEDバックライト技術の普及
高価格帯ではMicro RGB技術採用ディスプレイ技術の登場
OLED、ミニLED、Neo QLEDパネル採用品の価格低下

 2026年はメモリを始めとしてPC周りではやや低調な話題が多いのだが、モニター周りで大きく進展する年になるかもしれない。