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「電気代、払うのやめてみました」ポタ電と太陽光だけで1カ月仕事してみた狂気の結果

 ポタ電仕事人の朝は早い。日が差し込み始めたベランダ。白い息を吐きながら、日課の「ソーラーパネル干し」に勤しむ姿がそこにあった。周囲の建物の陰になり、パネルにはまだほとんど日が当たっていない。入射角も浅い。日沼諭史、48歳。1Wでも多くの電力を稼がなければ、という決意の表情がにじんでいた……。

「ソーラーパネル干し」に勤しむポタ電仕事人(筆者)

 なぜこんなことをしているのか、話は1カ月ほど前に遡る。

 これまでに幾度となく、いろいろな種類のポータブル電源を試してきたり、実際に活用している人に取材してきたりした筆者だ。キャンプのような屋外アクティビティや災害・停電などの緊急時に役立つ便利なアイテム、ということは分かっている。

 しかし、大半を占めるだろうそれ以外の平時は家の片隅に置いてあるだけ、なんていうのはもったいない、と常々思っていた。デスクワークを中心とする我々の普段の仕事、つまりは毎日のPC作業にも使った方が無駄なく有効活用できるし、コストパフォーマンスもはるかに高くなるのではないか、と。

週末や緊急時以外は押し入れに眠らせておくだけ、というのはもったいない

 そうはいっても、家庭のAC電源からポータブル電源に充電してしまうとあまり意味がないのも確かだ。AC/DC変換による損失や自然放電がある分、むしろ非効率で余計に電気代がかかってしまう。

 ポータブル電源には停電時にもUPS的に機能して仕事を中断させない(データを失わない)メリットがあるのは承知しているけれども、コストパフォーマンスを考えるなら、充電に必要な電気そのものを作り出して仕事に必要な電力をすべて賄うくらいでなければいけない。……が、果たしてそんな使い方が可能なのか。

 気になって仕方がなくなった筆者は、本当に電気代を一切かけることなく、ポータブル電源だけで仕事をこなせるものなのか確かめてみなければ!と思い立った。BLUETTIにお願いして機材一式をお借りし、1カ月間、ポータブル電源からの電力のみでデスクワークしてみることにしたのだ。

ポタ電以外で仕事してはいけない!そんなルールのもと選んだ機材たち

 1カ月間のポタ電仕事人生活を実践するにあたっては、下記のルールを設けることにした。

  • デスク周りの全機材(照明除く)の電力をポータブル電源のみで賄うこと
  • ノートPC使用時でも外部モニター・キーボード・マウスを使う普段のスタイルは崩さないこと
  • ポータブル電源は家庭のAC電源から充電してはならない
  • ポータブル電源の充電はソーラーパネルによるものを基本とする
  • ソーラー発電のみでは電力が不足するときに限り、車載充電器を用いても良い
今回使用したBLUETTIのポータブル電源やソーラーパネルなど一式

 以上の条件に加えて、PCなどデスク周りの仕事用機材の構成、間取りや環境、購入を想定した場合のコストバランスなどもろもろを考慮して、BLUETTIからお借りしたのが下記の製品だ。

  • ポータブル電源「AORA 100 V2」2台
  • 発電用「200Wソーラーパネル」2枚
  • 車載充電器「Charger 2」(および「Charger 2 DC Hub」)

 なぜこれらを選択したのかを軽く説明しておこう。まず、筆者の仕事部屋は2階建ての自宅1階にあり、小さな中庭はあるけれど特に冬の季節は1日を通じてほとんど太陽光が届かないため、ソーラーパネルの設置には適さない。2階のベランダであれば日当たりがよく、午前中から夕方まである程度の発電が見込めるので、ここにソーラーパネルを設置するのが妥当だ。

 ただ、2階ベランダのソーラーパネルから1階仕事部屋まではそこそこ距離があり、ケーブルを屋内に引き入れるのも難しい。なので、ポータブル電源を充電する際にはそれを持って1階と2階を往復する形になる。大容量で重さのあるポータブル電源だと厳しいため、仕事用PCを問題なく動かせる出力と容量を備えた、なるべく軽量なものにしたかった。

仕事部屋のデスク周り。ここに写っている機材はすべてポータブル電源で賄うこととする

 一方で、仕事部屋のデスク周りにある機材は、デスクトップPCが1台、ノートPC(MacBook Air)が1台、モニター2台、タブレット充電器とスマホ充電器、オーディオアンプ、ネットワークスイッチなどなどだ。PC類を動かしたときの消費電力はワットチェッカーにより大まかに把握できている。

 朝8時頃から17時まで、昼休憩を挟んで1日8時間、消費電力は平均100〜200Wだろうか。それなら容量にして2,000Whもあれば間に合うはず、というざっくり計算で「AORA 100 V2」の2台構成にすることにした。

「AORA 100 V2」は差し替えて使えるよう2台構成に

 AORA 100 V2は、1台あたりの容量が1024Wh、AC出力の合計が1,800Wで、デスク周りの機材すべてをフルに動かしてもカバーできる。サイズは320×215×250mmとコンパクトで狭い仕事部屋にも置きやすいうえ、本体重量は約11.5kgなので持ち運びもそこまで苦労しない。価格もセール時であれば7万円前後とお手頃だ。いざとなれば電子レンジのような高負荷な家電にも使える性能で、防災用途にも十分だろう。

 ソーラーパネルは、BLUETTIではより高出力な製品もラインナップしているが、お手頃価格かつ1,024WhのAORA 100 V2を1日で充電しきれるもの、という考え方で200Wの2枚構成、計400Wとした。もし400Wで充電し続けられれば3時間以内に満充電にできる計算だ。ただし、400Wというのはあくまでも理論値みたいなもので、実際の発電量はこれよりも低くなる。それも含め、余裕をみての2枚構成とした。

BLUETTIの「ソーラーパネル 200W」
背面にある脚を開いて地面に設置して使えるほか、吊り下げにも対応する

 加えて、ソーラーパネルは発電量が天候に左右されやすいことも考えておかなければならない。1カ月の間には曇ることも、雨(もしくは雪)が降ることも考えられるわけで、丸1日充電したところで必要な電力を賄えないこともありうる。そうなると仕事が滞ることにもなりかねない。「電力がゼロになったので締め切りに間に合いません。ごめんちゃい!」なんていっても通らないので、救済策として「Charger 2」を用意した。

 Charger 2は、2025年12月に発売されたばかりの新しい車載充電器だ。車両のバッテリにつなぐことで、エンジンを動かしている間の余剰電力によって最大800Wの電力を生み出し、ポータブル電源などの充電が行なえるというもの。別途ソーラーパネルからの入力も組み合わせれば、トータル1,200Wを出力できる仕組みになっている(マニュアルの説明では拡張バッテリも組み合わせると最大1,400Wになるとしている)。

「Charger 2」(左)と、これに組み合わせて使うオプションの「Charger 2 DC Hub」(右)

 つまり、天候に恵まれず太陽光で充電できない日には、ポータブル電源を充電するために、そして仕事を続けるために、ドライブに出かけなければならない。仕事を中断してドライブする、もしくは夜中にドライブして翌日の悪天候に備える、みたいな本末転倒感あふれる余計なタスクが発生してしまうので、できるだけそうならないことを願いたいが……。

クルマのバッテリやソーラーパネルからの配線は下部のポートに接続する
DC Hubにはシガーソケットのほか、15WのType-Aポートと、最大100WのType-Cポートが2基ずつ用意

 ちなみにクルマを走らせるにはご存じの通りガソリンが必要だ。電気を得るためにガソリンを消費するのはそれこそ非効率だしコストも無駄にかかるのではないか、と思われるかもしれない。が、ガソリン代はかかるけれど電気代はかからないので今回はセーフ、という扱いである。ご了承いただきたい。

ソーラー充電だけで圧倒的に仕事できるじゃないか、我が軍は……と思っていた時期もありました

1カ月ポタ電仕事人生活のスタート!

 そんなこんなで、2台のポータブル電源をソーラーパネルで満充電状態にしたところから「1カ月ポタ電仕事人生活」をスタートさせた。うち1台に、いつもは壁面コンセントにつないでいる仕事部屋の3つの電源タップをすべてポータブル電源に差し込む。この電源タップにPCを始め仕事絡みの機材がすべてつながっているのだ。AORA 100 V2のACポートは4つあり、1つ余るので、メーカーなどから一時的にお借りしたレビュー用機器などに臨時で給電したくなった場合にも対応できる。

デスク周りの機材をつないでいる電源タップ3つを接続した

 が、この時点で早速危機感を覚える。まだデスクトップPCを立ち上げていないのに、各機材の待機電力とノートPC・タブレットへの給電などで常時70W以上を消費しているのだ。デスクトップPC(+モニター2台)を起動すればアイドル時でも180W超に達し、このままでは5時間余りでポータブル電源1台が空になりそうな気配。ゲームや動画エンコードなど負荷の高い作業をすれば400W、500Wと電力消費は大きくなるので、稼働時間はさらに短くなってしまう。

各機器の待機電力や充電などで常時70Wは消費している
BLUETTIのスマホアプリで見た、デスクトップPC使用時(低負荷)の消費電力

 とはいえ、普段からずっと高負荷な作業をしているわけではなく、デスクトップPCを使用してもほとんどの時間帯は200W以下で推移するので、午前中いっぱい動かすくらいは安全圏だ。10〜20%ほどの残量になる昼休憩の時間帯に2階のベランダに運んでソーラーパネルで充電し始め、2台目のAORA 100 V2に交換して午後の仕事をこなす。

 ソーラーパネルによる発電は午前11時半頃がピークだ。日によっては360W以上で充電してくれるタイミングもある。チャレンジした時期は12月。日が低く、日差しのある時間も短いが、それでも筆者宅のベランダでは朝7時半頃から夕方16時過ぎまでのおよそ8時間半が充電可能時間帯となり、1日の仕事に必要な電力を十分に賄える。

 残量が少なくなったらポータブル電源を差し替え、外した方はすぐにベランダに出して充電しておく、というのがもはやルーチンだ。順調だと、朝から充電し始めた空のポータブル電源が、昼過ぎには100%になることもある。そのときは使用中のもう1台にすかさず差し替えて充電し、少しでも総残量を増やしておく。この繰り返しで、1日の仕事をデスクトップPCかつマルチモニターで今まで通りちゃんとこなせる。余裕だ。

 晴れてさえいれば!

爽やかな青空の広がる12月。物干し竿から吊り下げたソーラーパネルからの充電は順調そのもの
ピーク時には360W、瞬間的には370W以上で充電できることも。が、しかし……

 そう、晴れてさえいれば、何の問題もなかった。が、少しでも曇り始めた瞬間に、順調だったそのルーチンが崩れ始める。充電できている電力よりも、仕事で消費している電力の方がはるかに大きい。1台はじりじりと減り続け、もう1台は充電しているのに遅々として残量が回復しない。BLUETTIのスマホアプリには残りの電池容量と電力消費を元にした推定稼働時間が表示されるが、「このままいくと、あと○時間で仕事ができなくなる」というのがはっきりと目に見えて、焦る。

まだ午前中だというのに2台とも残量がヤバ
残りの稼働時間目安がわずかになってくるとどうしても焦る
曇りだと日中でも厳しい感じの発電量に

 なので、こうなるとデスクトップPCで作業し続けるのはまったくもって得策ではない。CPUやGPUを酷使する必要のある作業内容ならともかく、そうでない限りは、多少非力でも、メイン業務の原稿執筆には十分な性能を持つノートPC(MacBook Air)にした方が安全だし、気も楽だ。デスクトップPC使用時の消費電力は180W以上だが、ノートPC(満充電)+外部モニター1台ならせいぜい80W前後にまで抑えられ、稼働時間を2倍以上に延ばせる。

ノートPCにすると、満充電状態であれば消費電力は半分以下に抑えられる

 それでも雨が降ってしまうと危険信号である。単純に太陽光が遮られてソーラー発電できないのもあるが、今回お借りしたBLUETTIのソーラーパネル 200Wは防水・防じん性能が「IP65」となっており、雨ざらしで使うことを想定した設計ではないのだ。AORA 100 V2とともに、雨が降りそうな空模様になってきた時点で屋内に避難させなければならない。雨予報の日は、最初からノートPCのみで仕事するのは当然のこととして、さらなる次善策も検討する必要が出てくる。

ソーラーパネルの撤去タイミングをギリギリまで図るためにも、雨の降り出すタイミングを事前に通知してくれる機能を持つウェザーニューズなどのアプリを活用したい

ソーラー発電できないなら「Charger 2」を使えばいいじゃない

 1カ月間のポタ電仕事人生活中、曇りや雨でほとんど充電できなかった日は6日あった。運良く土日が雨で、PCをあまり使わずに済んだこともあったが、さすがに平日が雨で充電できないと切羽詰まった状況になってくる。ノートPCに切り替えても着実にポータブル電源の残量はゼロへと近づき、それを気にして仕事にも集中できなくなってしまう。

 そこでいよいよ出番となるのが、車載充電器のCharger 2だ。前モデルのCharger 1は最大出力が560Wだったが、先ほども少し説明した通りCharger 2は車載バッテリ(オルタネーター)から最大800W、別途ソーラーパネルを組み合わせることで合計最大1,200Wもの出力が得られる。

降りしきる雨。そんなときはクルマに頼らせてもらう

 これを使えばクルマでの移動中にポータブル電源を充電できるので、特にキャンプや車中泊旅行が趣味の人にとっては導入して損のないアイテムだろう。電気代はかからないし、現地でソーラーパネルを広げて充電する必要もなし。それこそ天候や日陰なんかにも左右されない。

 防災目的でポータブル電源を所有している人も、何らかの移動のついでに電力を貯められるうえ、もし被災するなどして避難が必要になったときでもガソリンがある限り電力を確保できるのは心強いはずだ。

ラゲッジスペースに設置したCharger 2とDC Hub

 そして、悪天候でソーラー発電ができなかった今回においても、Charger 2は確かに頼りになる存在だった。「走行充電器」ではあるが、走行していないと電力が得られない、というわけではない。クルマのエンジンをかけ、アプリで「充電スイッチ」をオンにしてから少し待てば、アイドリング中でもポータブル電源の充電が始まる。筆者のクルマ(ホンダ シビックハッチバック)&AORA 100 V2の組み合わせでは、アイドリング時でも走行中でも安定して600W以上で充電できた。

AORA 100 V2をつなぎ、エンジンをかけると600W以上で充電
DC Hubを使ってスマホやノートPCなどを充電するのも可
コンディションによっては700W近くで充電できることも

 残量5%のところから充電したときは、ちょうど1時間で62%あたりまで回復してくれた。2時間もあれば満充電だ。自宅駐車場でアイドリングさせて充電してもいいが、なんとなく近所の目が気になるので、クルマで出かける用事を積極的に作り、ポータブル電源を載せて充電しながら走ることしばしば。最近になってガソリン代が少し安くなったのはありがたいことだ。

 そんな風に、雨でソーラー充電できない日もなんとかしのいで仕事が滞るようなことはなかった。が、ネックになる部分が皆無というわけではない。そもそもCharger 2で充電できる状態にするのが、おそらく一番の大きなハードルになると考えられる。車両への取り付けにあたり特に資格などは求められないものの、車種によっては配線の難易度は相当高いはずだ。

 Charger 2は車載バッテリと直結することが必須。しかし多くの場合、バッテリはエンジンルームにあり、そこからCharger 2の設置場所(一般的にはポータブル電源を載せる車両後部のラゲッジスペースなど)まで配線しなければならない。エンジンルームから車室に引き込むのがまず大仕事で、ケーブルが傷つかないようにクルマの内装を外して配線を隠すなどの作業も必要だ。

およそ5mの長さがある太いバッテリ接続用ケーブル。エンジンルームから配線する場合は簡単とはいえない

 また、付属のブレーカー付きケーブルは、そのまま使用するとブレーカーの位置がCharger 2にほど近い場所になる。これだと衝突事故などのアクシデント時にバッテリから長々と延ばしたケーブルのどこかで断線したり、ショートしたりする確率が高まり、そこから車両火災につながる可能性がないとはいえない。

 そのため、別途サーキットブレーカーやヒューズをエンジンルーム内のバッテリに近い場所に追加し、過大な電流が発生した瞬間に安全に遮断できるようにするなどの工夫があった方がいい。配線を引き込んだ箇所から雨水などが入ってこないよう防水処理したり、Charger 2本体は立てて設置するとともに通風性を確保するようマニュアルに指示があったりと、ほかにもいろいろと考えるべきところが多い。問題のないように、確実・安全に取り付けるなら、車両購入元のディーラーなどプロに作業を依頼するのが無難だ。

エンジンルーム内に追加のサーキットブレーカーを設置した。ほかにも考えるべき点は多く、問題なく使えるようにするにはプロに依頼した方が安心

1カ月間のポタ電仕事人生活で気付かされたこととは?

 1カ月にわたるポタ電仕事人生活は、晴れの日はソーラーパネルでバッチリ充電でき、それ以外の日は車両に取り付けたCharger 2のおかげで、家庭内AC電源を使うことなく無事に過ごすことができた。そんな中で気付かされたことや、こうしておけばもっと良かったかも、と思えるようなこともあったので整理してみたい。

ポタ電本体2台体制という機材構成はどうだったのか

 まずはポータブル電源を始めとする機材構成について。結論からいえば、今回のケースでは1,024Wh容量のAORA 100 V2×2台としたのは正解だった。ソーラーパネルのある2階ベランダと、1階仕事部屋とを往復してポータブル電源を充電する方法をとったため、重すぎない中容量の同製品をチョイスしたわけだが、さして苦労せずに片手で持ち運べるのには助けられた。

11.5kgと重すぎないAORA 100 V2は、1〜2階間を移動するのも、クルマに持ち込むのも楽

 これがより大容量だと、確かに充電の頻度は減らせるかもしれないが、重すぎるがゆえに持ち運びが苦痛になってポタ電嫌いになっていた可能性がある。1カ月間、毎日二度三度と充電・交換する地味な作業を続けられたのは、軽量コンパクトなAORA 100 V2だったからこそ。持ち運びが頻繁になるのであれば、ポータブル電源の重量は10kg前後(容量1,000Whあたり)まで、というのは1つの目安になるのではないかと思う。

ソーラーパネルを利用するうえで気を付けておきたいこと

 ソーラーパネルの発電容量については、もちろん大きければ大きいほど有利だ。が、一般的に発電容量に比例してサイズ・重量が大きくなるため、設置・撤去にかかる労力もそれなりになる。晴れれば広げてセッティングし、雨が降りそうなら畳んで片付ける、というのを繰り返すとなると、やはりこちらも大きすぎたり重すぎたりすれば面倒に感じて使用頻度が下がっていくだろう。

 今回は設置・撤去の手間をできるだけ軽減しつつ、最大限に太陽光を受けられるようにするため、ワイヤーやカラビナを組み合わせて物干し竿から吊り下げる形にした。ソーラーパネル1枚あたりの重量は8kg以上、2枚だと16kg超にもなり、これを支えながらの吊り下げ作業はなかなかに大変だった。

ソーラーパネルをセットする作業は毎日ではなかったものの、それなりに大変

 物干し竿から吊るす場合は耐荷重も気にしておきたい。たいていの物干し竿は10kg程度までしか耐えられないので、ほかに洗濯物も干すとなると余裕がないのだ。筆者宅の物干し竿も耐荷重10kgで、購入から10年以上経過して劣化していたこともあったので、耐荷重50kgのものに買い替えた。今回のように日常的に使い続けるということであれば、ある程度屋外に放置しても問題のない防水・防じん性能を持つソーラーパネルにして、設置・撤去の手間を最小限にするのが良さそうだ。

 それと、ソーラーパネルを複数枚利用するときには頭に入れておくべきこともある。AORA 100 V2は、ソーラーパネルからの充電時の入力上限がデフォルトで180Wあたりに設定されているのだ。200Wのソーラーパネル1枚ならそのままでも問題ないといえるが、2枚以上組み合わせて合計出力が200Wを超えるときは、この制限をアプリで解除しておこう。あと、複数枚のソーラーパネルを直列でつなぐための分岐ケーブルも別途必要だ。

ソーラーパネルからの入力が大きくなる場合は、ポータブル電源の設定画面で「アドバンスド設定」→「DC入力元」にある「大電流有効化」をオンに

コンセントの抜き差しの手間をどうするか

 2台のポータブル電源を入れ替えながら運用していた中で、ちょっと面倒だったのが、コンセントを毎回抜き差ししなければならなかったこと。手間の問題だけでなく、家電によっては主電源を頻繁にオン/オフすると製品寿命に影響を与えかねない気もするので、できればコンセントの抜き差し作業を省ける形で運用できると良さそうではある。

差し替え時に毎回コンセントを抜き差しするのは何気に手間なので、解決策を検討したい

 今回のようにポータブル電源2台構成だと、1台にはPCなどを接続し、そこにもう1台からAC出力してポータブル電源自体に給電する、という方法もとれなくはない。これなら後者のみ持ち運んでソーラー充電すればいいのでコンセントを抜き差しする手間を省けるが、AC/DC変換によるロスが概ね1割程度は発生してしまうので賢いやり方とは思えない。やはり何か別の方法を考えたいところだ。

デスクトップPCの設定見直しで省電力を図れる場合も

 最後にもう1つ、筆者の環境ではデスクトップPC使用時に180W以上消費していたと説明したが、その後、設定の見直しによりアイドル時は数十W下げることに成功した。といっても、単にBIOSで冷却ファンの動作設定を変更しただけだ。

 もともとCPU温度に応じてPCケース内のPWMファンの回転数を調整するように設定していたのだが、BIOSアップデート後にデフォルトにリセットされてしまったようで、それを元に戻しただけ。ただ、こうしたわずかな設定変更で節電できることは、ポータブル電源の使用有無にかかわらず知っておくと役に立ちそうに思った。

CPU温度が低いときはケースファンの回転を抑える設定にすることで節電できる場合がある

より快適にポタ電仕事人生活を送れる機材構成を検討してみる

 以上の点を踏まえ、ポータブル電源とソーラーパネルの電力だけでデスクワークすることを目的に使用機材をさらに最適化するなら、下記のようなパターンが考えられそうだ。

大型のソーラーパネルを組み合わせるパターン

 BLUETTIの「500W ソーラーパネル」を設置し、ソーラーパネルからの配線を屋内に引き込んでポータブル電源に充電しながら使用する、というのが1つ目のおすすめパターン。充電のためのコンセントの抜き差しや持ち運びが不要になるため、ポータブル電源は据え置き前提の大容量なものを選んでも良い。

 500W ソーラーパネルは防水・防じん性能がIP67で、設置・撤去の頻度を下げやすいメリットもある。ただし、広げたときのサイズが大きいので屋外の設置スペースには要注意だ。配線の引き込み方法の検討も必要になるので、初期の環境構築の難易度は高めかもしれない。

拡張バッテリによる柔軟な構成にするパターン

 環境によっては一段と便利になるのが、モジュール式電源システム「AC300」と拡張バッテリ「B300K」を組み合わせるパターン。必要に応じてB300Kだけを取り外し、ソーラーパネルのある屋外で充電したり、Charger 2で充電したりできる(ただしB300Kの重量は29.5kgある)。

 PCなどはAC300のACポートに接続したままでOK。ただし、B300Kの取り外し時はAC300に接続している機器への電力供給が停止するため、デスクトップPCは事前にシャットダウンしておく必要があることに注意したい。

 AC300自体はバッテリを内蔵していないものの、拡張バッテリとの組み合わせによって時間帯ごとに充電・放電のオン/オフを切り替えたり、ソーラーパネルからの入力を優先したり、といった柔軟な動作設定が行なえるのも特徴だ。設備や電力会社との契約に合わせて効果的に節電したい、という家庭にも適しているだろう。

ポータブル電源と拡張バッテリを使うハイグレードなパターン

 運用の手間を最小限にしたいなら、大容量・高出力のポータブル電源「Apex 300」と拡張バッテリの「B300K」を組み合わせるパターンがおすすめ。AC300と組み合わせたときとの違いは、Apex 300自体が大容量のポータブル電源のため、B300K取り外し時も電力供給が継続し、B300Kの充電中にもPCを使用できるところだ。

 さらにAC300と同様、時間帯ごとに充電・放電のオン/オフを切り替えたり、ソーラーパネルからの入力を優先したり、といった動作カスタマイズが可能。ソーラーパネルの配線を屋内に引き込めるのであればApex 300単体で運用するのもアリだし、災害対策も考慮して拡張バッテリを2台、3台と追加していくのもいいだろう。

コストも手間もまあまあかかるけれど、それだけの見返りや楽しさがある!

 ポタ電仕事人生活を1カ月間送ってきた最終的な結論としては、筆者のような原稿執筆メイン(ときどき画像・動画編集など)の仕事であれば、晴れている限りはポータブル電源+ソーラー発電で余裕でこなせる。が、そうでない日はPCの使い方が抑制的にならざるを得ないため、その対策としてCharger 2のようなバックアップ用のアイテムはかなり有効、といった感じになるだろうか。

 運用の手間が気になるところだが、そのあたりは機材構成によってさまざまに変わってくるので、自身の仕事の仕方や使用環境に合わせて入念に事前検討したいところ。先ほどの最適化パターンなども参考にしながら、より快適で安心度の高いポタ電仕事人生活を実践してみてほしい。

 それと、忘れてはならないのが節電による電気代削減の効果だ。BLUETTIのアプリで確認できる統計情報によると、今回は1カ月間で合計843円を節約できた(1kWhあたり30円で計算)。機材と運用の最適化でさらに節約できる可能性もありそうだ。とはいえ、たとえば10年間使い続けるとして、節約した電気代だけで初期投資コストを回収できるまでには至らなそうではある。

1カ月間で節約できた電気代は、ポータブル電源2台合わせて843円となった

 けれども、休日にはキャンプなどの屋外アクティビティで活用できるし、万一の災害時にも役に立つ。ポータブル電源周りのより効率的な運用方法を模索していくこと自体も(少なくとも個人的には)楽しい。そういったところも考え合わせると、ポタ電仕事人生活も全然悪くないな、というかめっちゃおもしろいな、と感じた1カ月チャレンジだった。