Hothotレビュー

どこかゲーム機に似ている、スリムで小型のゲーミングPC「AtomMan G1 PRO」

デスクサイドに置いたAtomMan G1 PRO

 MINISFORUMの「AtomMan G1 PRO」(以下G1 PRO)は、どこかゲーム機を彷彿とさせるデザインが特徴の小型ゲーミングPCだ。2月5日執筆時点では公式サイトで売り切れとなっているが、価格は25万2,799円となっている。今回サンプルを入手したのでレビューしていきたい。

 奇しくも(?)ほぼ同じタイミングで、同社は「AtomMan G7 Pro」(以下G7 Pro)という製品もリリースしている。そちらに詳細については関しては先日のレビューを見ていただきたいが、同じGeForce RTX 50シリーズを搭載しながら何が違うのか?という辺りで気になる方も多いのではないだろうか。このあたりも比較をしていきたい。

長らく待っていたよAtomMan G1 PRO

 まずはG1 PROの登場までの経緯をちょっと紹介したい。というのも、実はこの機種の初お披露目は2025年4月のJapan IT Weekまで遡る。当時はまだ非稼働のモックアップで、2025年第3四半期のリリースを予定していた。2スロット占有のLowProfileビデオカードを搭載しており、“ユーザーが将来的にアップグレードできる”というのがウリだった。

 そして、10月に開催されたJapan IT Week秋で再び展示。今度は動態デモということもあって、2025年内の登場を予告していた。ところが結局は2026年1月にずれ込んだようだ。おそらく2025年11月からの部材供給不足や高騰の煽りを受けたのだろう。実に製品化まで半年以上も待ったかたちとなったが、ともあれ、無事リリースにこぎつけて何よりだ。

G1 PRO本体

 LowProfileビデオカード以外のもう1つの特徴は「電源内蔵」という点である。このところMINISFORUMの「MS-S1 MAX」や「MS-02 Ultra」を始め、電源内蔵化にも積極的なのだが、本機もその流れを汲むかたち。以前のモデルを踏襲しACアダプタを採用したG7 Proとは対照的だ。

 G1 PROの外観だが、左右のカーブがかった白いパネルが、真ん中の黒いフレームを囲ったようなデザインとなっている。PS5を彷彿とさせる色の組み合わせだが、G1 PROは側面に多数の吸気口を設けているほか、前面も直線的であり、PS5のように下がすぼむようなデザインではない。個人的にはむしろXbox 360のデザインに近いと感じた。

本体右側面。波打ったようなパネルが印象的
本体左側面。吸気口はこちら側に設けている
本体前面
本体背面

 前面にはRGB LEDによるイルミネーションストライプも装備。ユーティリティ上からさまざまなライティングをカスタマイズでき、ちょっとした遊びココロが残されているのもポイントだといえるだろう。

 本体サイズは57×215×315mm、重量は3.81kg。容積は3.8Lとされており、この中に350Wの電源が内蔵されているということを踏まえるとまずまずのサイズ。デスクトップに置いても圧迫感が少ない。

Xbox 360(左)との比較
G7 Pro(右)との比較
RGB LEDイルミネーションを搭載している

インターフェイスと発熱/騒音をチェック

 続いてインターフェイスと内部構造についてチェックしていこう。本体前面は中央部にUSB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 2、音声入出力を搭載。背面はUSB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 2、HDMI 2.1出力 2基(1基はオンボード)、DisplayPort 2.1b 2基、DisplayPort 1.4a 1基、5Gigabit Ethernetなどとなっている。

 全体的にみると、筐体の大きさの割にはUSBがやや少なめという印象だが、ここはビデオカードを最優先した構成のため致し方ない。なお、USB 3.2 Gen 2 Type-Cは前後ともにデータのみとなっており、ディスプレイ出力は不可。これはCPUがデスクトップ向けをベースとしたRyzen 9 8945HXを採用している関係だろうか。

本体前面は中央部にUSB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 2、音声入出力を搭載
背面はUSB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 2、HDMI 2.1出力 2基(1基はオンボード)、DisplayPort 2.1b 2基、DisplayPort 1.4a 1基、5Gigabit Ethernet

 本体駆動中の騒音だが、状況や動作モードによってかなり異なる。オフィスモードはアイドル時はそこそこ静音で、ファンの軸音がややする程度、ゲームモードではアイドル時の回転数がやや増すが、それでも騒音は抑えられている。一方ビーストモードでは最低でも2,000rpmで回転しているため風切り音は常時聞こえてくるといった具合だ。一方で負荷時はどのモードでも強めの騒音が聞こえてくる。

 なお、ビデオカード側のファン制御は独立しているため、動作モードにかかわらず負荷に応じて変動する。サンプルではGIGABYTE製のビデオカードが使われていたのだが、小口径のファンが3基搭載されているためか高負荷時は若干うなるような音が気になった。

標準搭載ユーティリティで動作モードを変更可能。なお、BIOS上にも同じ項目がある
こちらのユーティリティで本体全面のRGB LEDの発光パターンも変更できる

内部構造をチェック

 というわけで中身を見ていこう。分解は本体底面からネジを2本外し、カバーを上方向にスライドすることで容易にアクセスできる。内部は底面が電源ユニット、中央がマザーボード、上部がビデオカードと1方向に並べられているのが印象的だ。

 内蔵されている電源はCWT製となっており、容量は350Wだ。本機はCPU+GPUで合計最大245W消費する設計となっているため、余裕を見ての採用となっている。コネクタはATX 24ピン、12V補助用8ピン、そしてPCIe補助用8ピンの3個のみ。この電源は「MS-02 Ultra」と共通だとみられる。

 マザーボードについて、ヒートシンクまでは分解していないので多くは語れないのだが、PCIeスロットが基板に対して一般的な垂直配置ではなく水平配置になっているのが特徴だといえるだろう。そしてその先にビデオカードが接続されているわけだ。また、M.2スロットもマザーボードの横から出ており、厚みのあるヒートシンクを装備したSSDも装着可能となっている(付属のヒートシンクも厚め)。

本体内部
CPU用のファンはブロワーでかなり大口径。最大100Wを冷やすため必要だったのだろう

 先述の通り、採用されているビデオカードはGIGABYTE製なのだが、GPU-Zで確認したところオーバークロック版の「GeForce RTX 5060 OC Low Profile 8G」がベースとなっているようだった。マザーボード設置エリアとは仕切り板によって隔離されており、熱がお互い干渉しないよう配慮がなされている。

 ただ、LowProfileといっても、本機は標準のブラケットを採用していない点に注意したい。当初のモックではブラケットだったのだが、実製品で変更となったようで、GeForce RTX 5060 OC Low Profile 8Gに搭載されるブラケットは取り外され、HDMIおよびDisplayPort部がシャーシとネジによって固定されている。ユーザーが将来的にLowProfile対応のビデオカードを買ったとしても、ポートの位置が共通でない場合は使えない可能性が高い。

 さらにいえば、このネジは化粧シールの下に隠されており、このシールを剥がさない限りネジにアクセスできず取り外せない。また、逆側の先端部分もブラケットで固定されているのだが、このブラケットも新しいビデオカードに符合しない可能性がある(LowProfile規格なのでその可能性は低いが)。

標準搭載のビデオカードはGIGABYTE製だ
交換は内部の金属ブラケットを外すだけでなく、背面の化粧シールを剥がす必要がある
搭載モデルはGeForce RTX 5060 OC Low Profile 8Gがベースになっているようだ

ゲームも問題なくプレイできる性能

 それでは最後にベンチマークを行なっていく。今回はオフィスモードとビーストモードの2種類で計測し、G7 Proのゲーミングモードの結果を並べてある。テスト項目は「Cinebench R23」、「PCMark 10」、「3DMark」、そして「ファイナルファンタジーXIV 黄金のレガシー: オフィシャルベンチマーク」だ。

【表】ベンチマーク環境
機材G1 PROG7 Pro
CPURyzen 9 8945HXCore i9-14900HX
メモリ32GB(シングルチャネル)
SSD1TB
OSWindows 11 Pro 25H2
Cinebench R23
PCMark 10
3DMark その1
3DMark その2

 結果から分かる通り、いずれもG7 Proとほぼ拮抗するが、CPUのシングルスレッド性能はG7 Proのほうが有利、マルチスレッド性能はG1 PROのほうが有利、そしてGPU性能は概ねG7 Proがやや高い、という結果となった。

 CPUに関してはいずれもモバイル向けで32スレッドなのだが、G7 Proに搭載されるCore i9-14900HXは8基のPコア+16基のEコアでPコアのみHyper Threading対応、G1 PROに搭載されるRyzen 9 8945HXはいずれもZen 4アーキテクチャの16コア。これでCinebench R23で得意不得意が分かれている。

 一方GPU周りに注目していくと、G1 PROはデスクトップ版のGeForce RTX 5060、G7 Proはモバイル版のGeForce RTX 5070 Laptop GPU、最高TDPなどはデスクトップ版のほうが高いわけだが、ここはCUDA数で勝っている5070 Laptop GPUのほうが優勢だった。CPUのシングルスレッドの性能の高さが効いている、というのもあるかもしれない。とはいえ、いずれの製品もAAAタイトルを動作させるのに十分な性能だ。

 いずれにしても使用感に大差はないので、後は好みだろうか。ゲーム性能重視ならG7 Pro、ほかのクリエイティブ作業や(一定の)将来性、電源内蔵も考慮するのであればG1 PRO、といった棲み分けができそうだ。ただし、価格はG7 Proのほうが2万5,200円高いので、コスパも考慮に入れるとG1 PROのほうに軍配が上がる。

 余談とはなるのだが、本機も最近のMINISFORUM製品と同じく、メモリはDDR5 32GBが1枚という構成になっている。つまりシングルチャネルだ。同じ32GBでも16GBが2枚のほうが当然性能が出るのだが、ゲーム性能にはあまり影響がないというのもあるのだが、メモリを増設する際にモジュールが無駄にならないというのは、メモリの価格が高騰するご時世、ある意味重要なポイントの1つだ。

メモリスロットは1基空いている

省スペースなゲーミングPC/ワークステーションに

 このように、G1 PROは16コアのCPUとミドルレンジのGeForce RTX 5060を搭載した、比較的高性能な小型PCだ。特に電源を内蔵している点がポイントだと思っており、別途場所を取るACアダプタが不要なのはうれしい。

 ちなみに、同社のミニワークステーションといえばMS-02 Ultraがあり、そちらもPCIeスロットが用意されているため、ほぼ同等の構成にできる(性能はさらに高いが)のだが、「あそこまで高スペックは不要、ただある程度グラフィックス処理が得意なモデルがほしい」という用途にも本機は向く。外観からしてゲーム向けではあるのだが、仕事にも使える1台だといえるだろう。