西川和久の不定期コラム

Ryzen AI 9 HX 470搭載ミニPCが登場も一喜一憂。MINISFORUM「AI X1 PRO-470」

 去年(2025年)3月に、MINISFORUMのRyzen AI 9 HX 370搭載ミニPC「MINISFORUM AI X1 Pro」をご紹介したが、今回は同シリーズで連載初登場のRyzen AI 9 HX 470搭載ミニPCだ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

Ryzen AI 9 HX 470搭載+Copilot PC認証取得のミニPC!

 冒頭に書いた「MINISFORUM AI X1 Pro」は、Ryzen AI 9 HX 370搭載という特徴に加え、ミニPCとしては珍しくCopilot+ PC認証を取得した機種。さらにACアダプタはなく電源内蔵、OCuLink対応……など、なかなか面白い構成だった。

 今回ご紹介する「AI X1 PRO-470」も同様の特徴を持ち、そのままプロセッサをRyzen AI 9 HX 470へ乗せ替えたモデルとなる。主な仕様は以下の通り。

MINISFORUM「AI X1 PRO-470」の仕様
プロセッサRyzen AI 9 HX 470(12コア/24スレッド、クロック最大5.2GHz、キャッシュL2: 12MB/L3: 24MB、TDP 28W、cTDP 15~54W)、NPU最大55TOPS
メモリ32GB(SO-DIMM DDR5)/2スロット(32GB 1基搭載済み1つ空き/最大128GB)
ストレージ1TB(M.2 2280)、M.2 3スロット(PCIe 4.0 x4/2つ空き)
OSWindows 11 Pro(25H2)
グラフィックスRadeon 890M(16コア)/HDMI 2.1、DisplayPort 2.0、USB Type-C
ネットワーク2.5GbE ×2、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4
インターフェイスUSB4 2基、USB 3.2 Gen 2 2基、USB 2.0、音声入出力、SDカードスロット、OCuLink、電源内蔵、指紋センサー
サイズ/重量約195×195×42mm(実測)、1,335g/実測
価格23万5,999円(5万9,000円オフ)

 プロセッサはRyzen AI 9 HX 470。12コア/24スレッドでクロック最大は5.2GHz。キャッシュはL2: 12MB/L3: 24MB。TDP 28W、cTDP 15~54W、NPU最大55TOPS。HX370と比較してクロックが+0.1GHz、NPUが+5TOPSという感じでリフレッシュ版的な位置付けかと思われる。

 メモリは32GB(SO-DIMM DDR5)。32GBが1基で、1スロット空き。評価し始めた当初これに気付かず、HX 370と比較して遅いのはなぜ?になっていた。詳細は後半のベンチマークテストのところで書くが、32GBモジュール1枚だとベンチマークテスト的には不利だが、増設時はもう1枚を用意すればいいだけ(16GBモジュールを2枚捨てなくて済む)なので有利とトレードオフだ。

 ストレージはM.2 2280 SSDの1TB。筐体が大きめな分、余裕があるのか最大3つ搭載可能。

 OSはWindows 11 Pro。25H2だったのでこの範囲でWindows Updateを実行し評価している。なお初期起動時のOSセットアップ中にアップデートが行なわれるため、インストールに結構時間がかかる。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Radeon 890M(16コア)。外部出力用にHDMI 2.1、DisplayPort 2.0、Type-Cを装備する。

 ネットワークは2.5GbE 2基、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4(ちなみに旧モデルは5.3だった)。そのほかのインターフェイスは、USB4 2基、USB 3.2 Gen 2 2基、USB 2.0、音声入出力、SDカードスロット、OCuLink、指紋センサー。電源を内蔵しACアダプタは不要。

 サイズ約195×195×42mm(実測)、重量は実測で1,335g。価格は32GB/1TBモデルで23万5,999円(執筆時5万9,000円オフ)、ベアボーンで13万2,799円(執筆時3万3,200円オフ)となる。

 ここで驚愕すべきは「MINISFORUM AI X1 Pro」は32GB/1TBで14万9,592円だったこと(2025年3月)。つまり価格が8万6,000円ほど値上がりしている。ベアボーンも円安が進んだことで1万3,000円ほど値上がり。メモリ不足と円安のダブルパンチになっている。いずれにしても、もし手持ちのパーツがあるならベアボーンのほうが安上がりだ。

前面。縦置きスタンド装着時。電源ボタン、USB 3.2 Gen 2 2基、USB4、音声入出力、Copilotボタン。天板に指紋センサー、SDカードスロットは右側面
背面ロックポート、USB 2.0、OCuLink、USB4、DisplayPort、HDMI、2.5GbE 2基、ACプラグ
裏面。iPhone 16 Proとの比較からも分かるように、ミニPCとしては大きめ
付属品。HDMIケーブル、ACケーブル、VESAマウンタ、縦置きスタンド、M.2 2280 SSD用放熱版
BIOS/System Menu。起動時[DEL]キーで表示
BIOS/Setup
重量は実測で1,335g
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。USB4が前面/背面と2つあり、Type-Cケーブル1本で接続可能

 筐体は「AI X1 Pro」と全く同じで、フットプリントも含めサイズ感的には旧Mac miniとほぼ同じ。ミニPCとしては大きめだが、扱い辛いサイズでもない。ACアダプタがないためスッキリしているのも同じだ。

 前面は今回縦置きスタンド装着時のを掲載した。電源ボタン、USB 3.2 Gen 2 2基、USB4、音声入出力、Copilotボタン。扉の写真から分かるように、天板に指紋センサー、SDカードスロットが右側面にある。背面はロックポート、USB 2.0、OCuLink、USB4、DisplayPort、HDMI、2.5GbE 2基、ACプラグを配置。

 前面と背面にUSB4があり、いつものキーボード付きモバイルモニターがサクッと使えるのもなかなか良い。

 付属品はHDMIケーブル、ACケーブル、VESAマウンタ、縦置きスタンド、M.2 2280 SSD用放熱版。起動時に[DEL]キーでSystem Menuを表示、Setupで本来のBIOSメニューとなる。

 内部へのアクセスは、まず裏4隅にネジと、[+]シール(ゴム?)の後ろにネジがあるのでこれらを外す。すると内部に金属製のパネルがあるので8本のネジを外せば、SO-DIMMスロット2基と、M.2 2280スロット3基が現れる。ミニPCでM.2 2280 3基というのはほとんどないため珍しい構成となる。

 X1 Proの時は、内側8本の内1本のネジがどうしても外れなかったが、今回はあっさり外れほっと一安心(笑)。

裏の4隅にネジがあるのでそれを外し、後ろ側中央にゴムがあるのでこれも外す
さらにネジ8本外すとメモリスロット2基と、M.2 2280スロット3基にアクセスできる。メモリはCrucialだが、もう販売中止しているのでいつまで見られるのやら……

 発熱は季節柄もあるだろうが、ベンチマークテスト中でもほとんど熱くならなかった。もちろんエアも同様。ノイズも耳を近づければなんとか程度。熱処理はうまくできているようだ。

メモリがシングルチャネルなのでベンチマークテストは苦戦

 初期起動時、特にインストールされたアプリなどはなくWindows 11 Pro(25H2)標準。上記した様にメモリはシングルチャネルの32GBだが、とは言え32GBあるので普通に操作する分には特に遅いと思うことはない。

 M.2 2280/1TBのSSDは「KINGSTON OM8TAP41024K1-A00」。仕様によると、最大リード6,100MB/s、ライト5,300MB/s。CrystalDiskMarkのスコアもそのまま出ている。C:ドライブのみのワンパーティションで約951GBが割り当てられ空き893GB。BitLockerで暗号化されている。

 2.5GbE x2はRealtek Gamming 2.5GbE Family Controller、Wi-FiはMediaTek Wi-Fi 7 MT7925、BluetoothもMediaTek製だ。デバイスマネージャにNPUの項目がある。

初期起動時のデスクトップ。Windows 11 Pro(25H2)標準
デバイスマネージャー/主要なデバイス。M.2 2280/1TBのSSDは「KINGSTON OM8TAP41024K1-A00」。2.5GbE x2はRealtek Gamming 2.5GbE Family Controller、Wi-FiはMediaTek Wi-Fi 7 MT7925、BluetoothもMediaTek
ストレージのパーティション。C:ドライブのみのワンパーティションで約951GBが割り当てられている。BitLockerで暗号化
AMD Software Adrenalin Edition

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。PCMark 10は12月に更新が入り、以前とスコア比較できなくなった関係で、3DMarkのみRyzen AI 9 HX 370搭載のAI X1 Proと比較している。

 加えて3DMarkは32GB 1基と16GB 2基の比較となり本機はかなり不利。シングルチャネルとデュアルチャネルでここまで差が出るか?的な結果になっている。業務用途であればまだいいが、ゲームもとなると絶対メモリを増設しデュアルチャネルで使いたいところだ。

 Cinebenchは気持ちHX 470のほうが上回り、なんとか面目を保った格好となる。

PCMark 10 v2.3.2909
PCMark 10 Score8,508
Essentials10,776
App Start-up Score10,253
Video Conferencing Score8,644
Web Browsing Score14,122
Productivity15,290
Spreadsheets Score16,980
Writing Score13,770
Digital Content Creation10,143
Photo Editing Score15,555
Rendering and Visualization Score9,900
Video Editing Score6,777
3DMark
Cinebench R23
CrystalDiskMark 8.0.5
[Read]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  6141.085 MB/s [   5856.6 IOPS] <  1363.72 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  3843.632 MB/s [   3665.6 IOPS] <   272.67 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   434.303 MB/s [ 106031.0 IOPS] <   292.21 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):    59.998 MB/s [  14647.9 IOPS] <    68.19 us>

[Write]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  5344.198 MB/s [   5096.6 IOPS] <  1567.44 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  3982.130 MB/s [   3797.7 IOPS] <   263.18 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   431.494 MB/s [ 105345.2 IOPS] <   287.91 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):   158.608 MB/s [  38722.7 IOPS] <    25.75 us>

 以上のようにMINISFORUM「AI X1 PRO-470」は、Ryzen AI 9 HX 470/32GB/1TB/電源を搭載した少し大きめのミニPCだ。その分、M.2 2280 3基、USB4 2基、OCuLinkと拡張性に優れている。

 ただ32GBがシングルチャネルで構成されており、ベンチマークテストの結果が低くなってしまうのは残念なところ。ぜひ+32GBで使ってほしいところだが、この円安とメモリ不足で本体価格も含め高くなってしまった。手持ちがあるならベアボーンも選択肢に入るだろうか。

 とはいえ、Ryzen AI 9 HX 470搭載で拡張性に優れ電源内蔵……となるとほとんど選択肢はないため、これは!と思ったユーザーにお勧めしたい1台だ。