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Windows 10終了による特需の反動が早くも?11月の国内PC出荷に急ブレーキ

2025年11月パーソナルコンピュータ国内出荷実績(JEITA調べ)

 Windows 10のサポート終了にともなう買い替え需要の反動が早くも顕在化している。

 電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2025年11月のPC出荷実績は、販売台数が前年同月比3.6%増の73万2,000台となった。前年(2024年)実績を上回ったものの、2025年9月が同86.4%増、10月は同30.2%増という高い伸びを見せていたのに比べると、成長には急ブレーキがかかった格好だ。

 また、2025年11月の出荷金額は、前年同月比10.3%減の790億円となり、前年実績を下回る水準となった。単月で出荷金額が前年割れとなったのは、2024年6月以来、17カ月ぶりとなる。

 冒頭にも触れたように、2025年11月の実績は、10月14日のWindows 10のサポート終了にともなう特需の反動減が影響している。

 特に個人向けPCは、出荷台数でも前年実績を下回っている模様で、落ち込みが激しい。また、法人向けPCも、GIGAスクール需要に支えられたものであり、それによって、前年実績を上回ったと分析している。JEITAでは、「11月の出荷台数は、17カ月連続で前年を上回った。Windows 10サポート終了による買い替え需要が落ち着いた一方で、GIGAスクール向けPC出荷が寄与している」とコメントした。

 出荷金額の前年割れに関しては、5万5,000円の予算措置が行なわれているGIGAスクール端末の需要の増加により、単価が減少したことも影響しているようだ。

販売減は続くかどうかに注目。GIGAスクールで一転する可能性も

PC(ノートPC+デスクトップPC)販売台数指数の推移

 全国の家電量販店などのPOSデータを集計しているBCNの調べでも、Windows 10のサポート終了後に、PCの販売台数が減少していることが浮き彫りになっている。

 同社の調べによると、2025年9月第1週(9月1日~7日)の販売台数を100とした場合、週を追うごとに販売指数は増加しており、2025年10月第3週(10月13日~19日)まで増加。だが、Windows 10のサポートが終了した2025年10月第4週(10月20日~26日)になると、販売指数が100を下回り、7割程度まで減少した。11月下旬にはブラックフライデーによる販売促進効果もあり、販売指数は再び増加したが、年末年始商戦への突入を前に、再び減速傾向となっている。

 業界筋が注視しているのは、今後のPC需要が、このまま落ち込むのか、それともある程度の水準を維持できるのかどうかといった点だが、見方は分かれている。

 個人向けPCは、このまま出荷台数が減少していくとの見方が支配的だが、古いOSを搭載したPCが依然として、700万台規模で残っているとの試算もあり、これらの買い替え需要の顕在化を期待する声もある。この需要を取り込むことができれば、落ち込みを一定水準に抑えられるのではないかというわけだ。

 一方で、法人向けPCは、Windows 10のサポート終了にともなう駆け込み需要がそれほど多くなかったことから、反動の影響が比較的少ないこと、さらに今後、GIGAスクール端末の導入が本格化することから、出荷台数は増加傾向にあり、法人向けPC全体としては、プラスを維持するという捉え方が多い。特に、GIGAスクール端末の出荷は、四半期末に集中する傾向があるため、2025年12月のJEITAの出荷統計では、再び大きな成長に転じる可能性もある。

PC本体価格の上昇はこれからか?

ノートPCの平均単価推移

 今後の需要動向への影響として、見逃せないのが、PC本体の販売価格の上昇だ。

 BCNの調べでは、ノートPCの平均単価の推移をみても、現時点では、それほど大きな変化はない。メモリやSSDなどの販売価格が急上昇しているのに比べると、まだ波風は立っていない。

 だが、2026年に入ると、新製品の投入などにあわせて、PC本体の価格も上昇するとの見方が広がっており、今後のPCメーカー各社の価格戦略からは目が離せない。さらに、AI PCの動きが需要にどれだけの効果をもたらすかも注目されるところだ。

 2025年11月の国内PC市場には成長にブレーキがかかったが、これが2025年12月以降には、果たして回復するのだろうか。回復した際にも、その勢いはいつまで続くのか。業界筋では、その動向に注目している。