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パナソニック、POS端末にもなる堅牢タブレット「FZ-R1」
(2015/1/14 06:00)
パナソニックは、堅牢タブレット「TOUGHPADシリーズ」の新製品として、POS機能を搭載した7型タブレット「TOUGHPAD FZ-R1」シリーズを発表した。
米国時間の2015年1月11日から米ニューヨークで開催されたNational Retail Federation(NRF=全米小売業協会)による年次イベント「RETAIL’S BIG SHOW 2015」のパナソニックブースで初公開された。
FZ-R1は、Windows 8.1を搭載した堅牢タブレットで、インテルのCeleronプロセッサーN2807を搭載。タブレットにPOS機能を搭載することで小売店などでの利用を想定している。POS機能を搭載した堅牢タブレットは初めてとなる。
WXGA(1,280×800ドット)の7型液晶ディスプレイを搭載。16:10のアスペクト比を持ち、静電容量式の10点タッチパネルを採用している。ディスプレイの下部にはテンキーを配置。決済時にクレジットカードの暗証番号の入力などに活用することができるほか、磁気ストライプリーダや、NFCとの互換性およびPINコードに対応したEMVリーダを搭載。オプションでバーコードリーダも提供する。
重量は約650gという片手で持てる重さ。サイズは約130×257×27mm(幅×奥行き×高さ)。片手で持てるように、背面には専用のストラップを用意した。
堅牢性については、「Semi-rugged」としており、通常のTOUGHPADに比べると軽量化を優先したものになっているが、防水機能を持つなど、一般的なタブレットに比べると高い堅牢性を持っている。
メモリは、2GBまたは4GBを搭載。64GB eMMCストレージを搭載するほか、500万画素のカメラを内蔵。また、ファンレス設計となっている。
バッテリ駆動時間は約8時間(タブレットのみ)。電源を切らずにバッテリを取り換えることができるホットスワップ機能を持っている。
そのほか、IEEE 802.11a/b/g/n/ac無線LANおよびBlutooth 4.0に対応。USB 3.0ポート、microSDHCカードスロット、ヘッドセットジャックとドッキングコネクタを搭載した。さらに、衛星GPSとオプションで4G LTE無線ブロードバンドを提供するモデルも用意する。
価格は1,799ドルから。カスタマイズに対応することで、価格が変動する。
パナソニックでは2013年4月から、事業部化に合わせて、POS、決済端末などを担当するターミナルシステムビジネスユニットとの一体運営を開始。PCおよびタブレットと、決済機能技術を持つPOS端末などを、1つの事業部門で展開してきた。
今回のTOUGHPAD FZ-R1は、そうした組織統合の成果による第1号製品ともいえ、決済端末メーカーにはない、モバイル端末に決済機能を搭載した新たな提案を可能にする。同社では、堅牢技術、決済機能、移動体通信技術の3つのコア技術を融合したパソナニックの強みが活かせる製品であると強調している。
TOUGHPAD FZ-R1の具体的な利用シーンとして、小売店舗でスタッフが、画面で商品を見せながら詳細を説明。カラーバリエーションやスペックが異なる製品などの表示を行なうほか、在庫状況をその場で確認。さらに決済までその場で行なうことができる。そのほかレストランの導入なども想定できるとしており、モバイル機能を持ったPOS端末としての提案が加速することになりそうだ。
TPMの対応など、エンタープライズクラスのセキュリティ機能を提供しているのも特徴で、「コンシューマグレードのタブレットでは実現できない、信頼性と安心感を提供できる」とした。
また、オプションのカウンタートップPOSクレードルを利用することで、固定型のPOS端末としての利用も可能。カウンタートップPOSクレードルの背面にはさまざまなポートを用意しており、拡張性でも意味を持つ。
日本での販売は現時点では未定。日本での需要を見て導入を検討するほか、Android搭載モデルについても今後検討をしていくという。
日本に先駆けて米国で販売を開始する背景には、いくつかの理由がある。
米パナソニック システムコミュニケーションズ ノースアメリカのランス・ペーラー社長は、「パナソニックは、堅牢PC市場では84%、堅牢タブレット型市場では46%の市場シェアを獲得しており、フォーチュン500社の多くの企業や、官公庁、警察などにも導入されている。この実績は、今後のリテール市場開拓においては重要な意味を持つ。固定型のPOSとモバイル型のPOSを持っているのはパナソニックだけ。小売市場開拓とともに、パナソニックが持つ堅牢PC、タブレットのトップシェア維持にも貢献する」と前置きし、「小売業界向けのビジネスモデルは米国が主導しており、大規模な小売業者の本社が米国に集中している。また、パナソニックはTOUGHBOOKでの実績がある。モバイルPOSという新たな市場を開拓するには、米国市場から開始するのが最適であると判断した」と語る。
また、米国市場では、今年秋以降、クレジッカード決済に、EMVの採用が必要になることから、EMV対応端末の導入が促進されることになる。これに伴い、FZ-R1にもビジネスチャンスが生まれると見ている点も見逃せない。
「FZ-R1はゲームチェンジャーになる製品であると考えている。小売店舗でモバイル端末を利用している例はあるが、iPadのようにコンシューマ向け製品を使用して、ソリューションという形で現場の課題解決ができるデバイスではない。また、落としたり、ぶつけたりすることで壊れるといった課題もある。FZ-R1店舗や工場で使用しても堅牢であり、高い信頼性を維持することにつながっている。EMV対応が可能であることも、コンシューマ向けタブレットにはない、FZ-R1の特徴となる」とした。