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AMDが最高峰ノートPC向けGPUとなる「Radeon HD 8900M」を発表
(2013/5/15 13:01)
米AMDは5月15日(現地時間)、同社のノートPC向けGPU「Radeon HD 8900M」シリーズを発表し、台湾MSIが提供するゲーミングノートPC「GX70」に採用されたことを明らかにした。
Radeon HD 8900Mは、2013年1月のInternational CESで発表された「Radeon HD 8000M」シリーズの最上級グレードとして追加され、「Radeon HD 7900M」シリーズに代わるノートPC向けGPUの最高峰としてOEMメーカーなどに提供される。
ダイは7900Mと同じ「Wimbledon」を採用したいわゆるリネーム品
Radeon HD 8900Mは、発表済みのRadeon HD 8800M/8700M/8600M/8500Mなどの上位グレードとなる。GPUアーキテクチャとしては、GCN(Graphics Core Next)と呼ばれる28nm世代のアーキテクチャに基づいており、Direct3D 11.1(DirectX 11.1)に対応する。
従って、アーキテクチャとしては2012年に発表されたRadeon HD 7900Mと同世代になる。そもそもRadeon HD 8900Mのダイは開発コードネーム「Wimbledon」(ウィンブルドン)となっており、Radeon HD 7900Mに採用されているダイと同じ物だ。つまり、リネーム品と呼ばれる、マーケティング的に新しい製品名を与えられた製品となる。
Radeon HD 8900MとRadeon HD 7900Mの違いは、GPUエンジンやメモリのクロック周波数で、Radeon HD 7900Mに比べてそれらが高めに設定されている。そのほかのスペックはほぼ同じで、ストリームプロセッサの数は1,280基、メモリはGDDR5に対応、TDPは100W前後となっている。
Radeon HD 8900Mシリーズには、現時点で「Radeon HD 8970M」というSKUが発表されており、エンジンのクロック周波数が850MHz(ブーストモードで900MHz)、メモリは1.2GHz、単精度の演算性能が2,304GFLOPS、倍精度の演算性能が144GFLOPSとなっている。
Radeon HD 8970M | Radeon HD 8800Mシリーズ | Radeon HD 8700Mシリーズ | Radeon HD 8600/8500Mシリーズ | |
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ストリームプロセッサ数 | 1,280 | 640 | 384 | 384 |
エンジンクロック周波数 | 850MHz (ブースト時900MHz) | 575~725MHz | 650~850MHz | 650~775MHz |
メモリクロック周波数 | 1.2GHz | 1~1.2GHz | 1~1.125GHz | 0.9~1.125GHz |
単精度演算性能 | 2,304GFLOPS | 800~992GFLOPS | 537~691GFLOPS | 537~633GFLOPS |
倍精度演算性能 | 144GFLOPS | 50~62GFLOPS | 32~72GFLOPS | 33~39GFLOPS |
MSIがRadeon HD 8970Mを搭載したゲーミングノートPCを投入
AMDが公表した資料によれば、Radeon HD 8970Mの3Dゲームにおける性能は、「GeForce GTX 680M」に比べて「Bioshock Infinite」(1,920×1,080ドット)で42%、「Crysis 3」(1,920×1,080ドット)で12%、「3DMark」(Fire Strike、1,920×1,080ドット)で21%ほど高速とのことだ。
また、GPUコンピューティングでは、「CL Benchmark」で4.1倍、「ComputeMark2」で1.3倍ほど高速だとAMDは主張している。
AMDによれば、Radeon HD 8970Mを搭載した最初のノートPCとしてMSIが「GX70」を計画しているという。GX70はAMD A10プロセッサ(クアッドコア)を搭載しており、APUに内蔵されたGPUとRadeon HD 8970Mの両方を利用して3Dゲームを描画したり、Eyefinity機能により3つのディスプレイ出力(Mini DisplayPort、HDMI、アナログRGB)から出力して、マルチディスプレイでゲームが可能になるという。本体の内蔵ディスプレイは17型で、フルHD(1,920×1,080ドット)の解像度となっている。
なお、MSIの日本法人であるエムエスアイコンピュータージャパンは、3月29日に行なった報道関係者向け説明会で同モデルを展示しており、具体的な時期は未定ながら、春以降に日本で最初に発売する計画を明らかにしている。