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今年6月開催のVLSIシンポジウム、関係者がIEDM 2023に続きISSCC 2024にも乱入
2024年2月22日 12:45
半導体の研究開発コミュニティでは、冬と夏に大きな国際学会が開催される。冬は12月の国際電子デバイス会議(IEDM)と2月の国際固体回路会議(ISSCC)であり、前者はデバイス・プロセス技術、後者は回路技術をカバーする。夏は6月にVLSIシンポジウム(VLSI)が開催される。
VLSIシンポジウムはデバイス・プロセス技術をカバーする「テクノロジー」と回路技術をカバーする「サーキット」で構成されている。開催規模は冬の二大学会におよばないものの、カバー範囲が広い。デバイス/プロセス技術と回路技術の最新状況を同時に把握できる学会として貴重な機会を研究者と技術者に提供している。
VLSIシンポジウムは西暦の偶数年に米国ハワイ州のホノルル(「ハワイ開催」とも呼ぶ)、西暦の奇数年に京都府京都市(「京都開催」とも呼ぶ)で交互に開催することを通例としてきた。同シンポジウムの実行委員会には米国側と日本側のメンバーがおり、開催地に合わせて地元のメンバーがさまざまな事柄を差配してきた。今年(2024年)はハワイ開催の年である。
VLSIシンポジウムの広報にISSCC取材のプレスを活用
VLSIシンポジウムの知名度は、IEDMやISSCCに比べると高くはない。そこで最近は、米国で開催される冬の国際学会を通じてVLSIシンポジウムの概要を半導体専門の報道関係者に説明している。前年(2023年)12月のIEDMでも、来るVLSIシンポジウムの予告となる記者説明会が12月11日(米国太平洋時間)に開催された。その内容は本誌でご報告した。
そして筆者が取材に訪れているISSCCの会場ホテルでも、VLSIシンポジウムの概要説明会が2月19日昼に実施された。前回で説明された概要からはかなり具体的になり、詳細が見えてきた。ただし当日は投稿論文の締め切りである2月5日の直後であり、発表論文はまだ決まっていない。
6月16日~17日にプレイベント、18日~20日にメインイベントを予定
ここからは、昨年12月11にもたらされたVLSIシンポジウムの開催予定概要と比べ、変更になった項目や詳細が決まった項目などを主に説明していこう。始めは基本日程である。
開催日程は変わらず、2024年6月16日~20日を予定する。16日~17日がプレイベント、18日~20日がメインイベント(技術講演会)と区分けされる。プレイベントは16日がワークショップ、17日がショートコース(共通のテーマに基づく複数の技術講座)である。
17日の夕方から夜はメインイベントに先行して「デモセッション」を予定する。技術講演会で発表予定の研究成果から、一部をテーブルトップ形式で論文著者が展示するセッションである。デモセッションと隣接した小会場ではレセプション(歓迎会)を実施する。デモセッションとレセプションは技術講演会の一部として扱われる。言い換えると、技術講演会の参加登録料金に含まれる。
ハイブリッド開催の講演録画配信は6月24日を予定
メインイベントである技術講演会は前述の通り18日~20日に実施する。恒例の基調講演セッション(プレナリーセッション)は、18日と19日の始めに予定する。両日とも2件の基調講演(招待講演)がある。
18日の夜にはパネル討論会が開催される。テーマは「生成AIが半導体産業(技術、回路、自動設計)に与える影響」である。パネリストは6名~8名を想定している。生成AIを利用した「ゲームショウ」の試みが新しい。
なおVLSIシンポジウムは前年と同様、リアルとバーチャルのハイブリッド開催となる。バーチャルでは講演録画をインターネット経由でオンデマンド配信する。配信の開始はリアルイベントが完了した後、2024年6月24日を予定する。バーチャルでは質疑応答の枠が設けられていないので、あらかじめ留意されたい。
肝心の一般講演に関する情報はこれからだ。今年4月中旬と思われる正式な事前説明会を楽しみに待ちたい。