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Samsung、14nm世代のFinFETロジックと互換の埋め込みMRAM技術を開発
2023年6月22日 09:57
Samsung Electronicsは、14nm世代のFinFETロジックとプロセス互換の埋め込みMRAM(eMRAM)を開発し、2023年6月13日~15日に国際学会VLSIシンポジウムでその概要を発表した(論文番号C2-2と論文番号T18-4)。128Mbitの大容量MRAMマクロを試作して開発水準が量産レベルに近いことを報告するとともに、さらに微細な8nm世代のFinFETロジックにも開発したeMRAM技術が適用可能であることを示した。
eMRAM技術は標準的なMRAMとは異なり、金属配線工程(BEOL)の途中に記憶素子である磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunneling Junction)を作り込む。メモリセルの選択トランジスタを製造する技術とは関係なく、大規模なロジックLSIにMRAMを埋め込める。これまでSamsung以外を含め、28nmおよび22nmのプレーナー型FD SOI CMOSロジック、28nmおよび22nmのプレーナー型バルクCMOSロジックと互換の埋め込みMRAMが国際学会などで試作発表されてきた。
またすでに、一部のマイクロコントローラ(マイコン)やロジックLSIなどで埋め込みMRAMマクロを内蔵する半導体デバイスの量産が始まっている(参考記事)。民生用ロジックでの実用化は済んでおり、現在は産業用ロジックや自動車用ロジックなどへの適用が期待される状況にある。
車載用マイコンに向けた128Mbitの埋め込みMRAM
Samsungが開発した14nm世代FinFETロジック互換の128Mbit eMRAMは、車載用マイコンや車載用ロジックなどの自動車用半導体を想定している(番号C2-2)。動作温度範囲はマイナス40℃~プラス150℃と広い。読み出し周波数は温度150℃、電源電圧0.64Vの条件で最大80MHzとかなり高い。入出力バス幅は256bitである。単純計算では、データ伝送速度は最大2.5Gbpsに達する。
150℃で保存期間10年以上、書き換えサイクル100万回を確保
量産を想定した試作評価は、14nm世代のFinFETロジックによる16Mbit eMRAMマクロを使って実施した(番号T18-4)。試作したeMRAMマクロのセル面積は0.0242平方μmで、これまでのeMRAMの中では最も小さいという。書き込みパルス幅は200ns(温度160℃)、読み出しパルス幅は15ns(最短11ns、温度160℃)である。
長期信頼性はデータ保持期間が温度150℃で10年以上、書き換えサイクル寿命が100万サイクルであり、埋め込みフラッシュメモリの置き換えには十分な信頼性を確保した。なお長期信頼性の試験は、パッケージにシリコンダイを封止した状態で実施した。