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Intel、クラウド向け“Arc”となるGPU「Arctic Sound M」を第3四半期に出荷開始

Intelのクラウド向けのソリューション、Arctic Sound M、Sapphire Rapids、Ponte Vecchio

 Intelは、5月10日~5月11日(現地時間、日本時間5月11日~5月12日)に同社のプライベートイベントとなる「Intel Vision」をアメリカ合衆国テキサス州ダラスフォートワース空港近くの「Marriott Gaylord Texan & Convention Center」で開催する。

 Intelはそれに先だって報道発表を行ない、同社が3月30日に発表した単体GPUの「Intel Arc Aシリーズ」(開発コードネーム:Alchemist)のクラウド・データセンター向け版となる「Arctic Sound M」(アークティック・サウンド・エム)を第3四半期から出荷開始することを明らかにした。

 Arctic Sound MはArc Aシリーズと同じシリコンを搭載したPCI Express Gen 4の拡張カードで、高性能向けでTDP 150Wの製品と、高密度向けでTDP 75Wの2つのラインナップが用意される。

クライアントPC向けのArc Aシリーズ用のダイから派生したArctic Sound M

Xeという基本的なアーキテクチャを設計し、Xe-LP(内蔵GPU)、Xe-HPG(ゲーミング向け、Arc)、そして将来はデータセンターのHPC向けのXe-HPCとスケールアップしていくIntelのGPUソリューション

 Intelは3月30日(現地時間)に、開発コードネームAlchemistで開発してきたクライアントPC向けのGPUをIntel Arc Aシリーズとして発表。搭載製品がOEMメーカーから販売開始されている。また、今夏にはデスクトップPC向けのPCI Express拡張カード版の販売が計画されており、本格的に単体GPUビジネスと乗り出している。

Arc Aシリーズに採用されている2つのダイバリエーション

 Intelは単体GPUビジネスを段階的に計画しており、NVIDIAやAMDとは逆に、まずは一番最小の統合GPU版(Xe-LP)をリリースし、その後クライアントPC向けのXe-HPG(3月に発表されたArcはこれに相当)、さらにその後にハイパフォーマンスコンピューティング向けのXe-HPCと徐々に大きな製品へと移行するという計画で製品展開を行なっている。

Arctic Sound M

 今回発表されたArctic Sound MはそうしたXe-HPGの次の段階として計画されているXe-HPCではなく、Xe-HPGの最初の製品として開発されたAlchemistの派生品という扱い。簡単に言ってしまえばクライアント向けに開発されたArc Aシリーズを、データセンター向けに派生した製品となる。

 データセンター向けといっても、HPCのようにディープラーニングの学習や科学演算のような用途に使われるのではなく、VDI(Virtual Desktop Infrastructure、いわゆるクラウドPC)、動画ストリーミングサーバー、クラウドゲーミングサーバーなどに向けたGPUとなり、CSP(クラウド・ソリューション・プロバイダー、例えばAWSやAzureなど)やその顧客などがそうしたサービスを一般消費者向けに行なう時に利用するGPU製品という扱いになる。

TDP 150WとTDP 75Wの2つのモデルが用意され、第3四半期から提供開始

Arctic Sound Mには2つのバージョン

 Arctic Sound Mには2つのバージョンが用意されており、性能重視でTDP 150Wの上位版と、密度重視でTDP 75Wの下位版があり、上位版では1080pの動画ストリーミングは30超、クラウドゲーミングであれば40超のストリームに対応可能で、VDIであれば62個の仮想マシンをサポートし、AIであれば150TOPsの性能を備えているとIntelは説明している。

15を超えるシステムデザインがOEMメーカーなどから提供される計画、提供開始は第3四半期から

 Arctic Sound MはPCI Express Gen 4の拡張カードの形状で提供され、第3四半期(7月~9月期)に提供が開始される計画で、Cisco、Dell Technologies、HPE、Supermicroなどのサーバー機器ベンダーから提供が開始される予定だ。