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Ryzenポータブルゲーム機「AYA NEO」の会社に新社長。出荷は遅れ気味に

AYA NEO

 中国のRyzen APUを搭載する7型ポータブルWindowsゲーム機「AYA NEO」を開発する会社に対し、投資家の“尾巴大叔”(Uncle Tail)が100%の株を買収したことを発表した。これによりCEOが創始者の“A叔”(Uncle A)から“尾巴大叔”に変わった。

 AYA NEOはRyzen 5 4500Uを搭載した7型のポータブルWindowsゲーム機で、Indiegogoで出資を募っている最中。すでに中国国内では1,500台発売し、Indiegogoでも2,600台の予約が入っているなど、一定の成績を挙げているが、ここにきて会社全体のマネジメント、開発チームの最適化、マーケティングおよびサプライチェーンに問題が発生した。

 そこで“A叔”はIndiegogoプロジェクトの延期(現時点では2021年7月)を決定し、より専門的なチームにプロジェクトを引き継ぎ、AYA NEOをより完璧なデバイスとして消費者に届ける努力をすると約束したのだが、このタイミングで“尾巴大叔”の100%出資による買収が決まった。尾巴大叔の紹介によると、自身もAYA NEOを購入したゲームファンであるという。

 “尾巴大叔”によると、今後AYA NEOプロジェクトにより多くの資金を投入し、十分な供給量を確保するとともに、年内に50~100人規模の開発チームを立ち上げ。また、AMDとのパートナーシップを強化し、より良いゲーム体験を実現していくという。

 さらに、サプライチェーンを強化するとともに、LenovoやDell、HPが採用しているファブで製品を製造し、品質を強化。ソフトウェア面においても、ゲーム体験を向上させるための改善を図っていく。加えて、国際標準に基づく設計、優れたハードウェア技術の投入も約束した。

 初回出荷の500台に関しては、すでにパーツを取り揃えた状態。ホワイト筐体は完成しているが、ブラック筐体は2~3日以内にサンプルを入手できる。先行した1,500台からのフィードバックに基づき、ファンおよびヒートシンクモジュールを改善し、5月18日に部品を入荷。5月20日~25日に生産を行ない、26~28日に製品テストを終えたあと29日に出荷する予定だとしている。

 2次ロットに関しては、現在IntelのWi-Fi 6モジュールが欠品している関係で、新しいモジュールに適合するPCBを再設計している段階で、6月中旬頃に完成予定。加えて、3,000個の液晶も発注したが、これが届くのも6月中旬になる。よって、2次ロットの出荷時期の確約は難しいとしているが、6月末に出荷できるよう努力するという。

 CEOの変更や出荷延期に伴い、来週以降は返金処理も受け付けるが、返金の際にかかる費用は出資額の20%をAYA NEO側が負担し、大きな損失となる。加えて、Indiegogoはどのチャネルよりも早く出荷するとしており、「Ryzen搭載ポータブルゲーム機」に夢を見て出資した人は、そのままにしておいたほうが得策だろう。