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Intel、TDP 35Wの高性能CPU「第11世代Core H35シリーズ」を発表。VAIOの次世代ハイエンドノートと思しきマシンがチラ見せ
2021年1月12日 09:26
Intelは、CESに合わせて記者会見を開催し、第11世代Coreの追加製品などを発表。このなかで「Tiger Lake H35」の開発コードネームで呼ばれてきた、TDP 35Wの薄型ゲーミングノート向けのプロセッサを紹介した。
第11世代CoreのH35シリーズには「Core i7-11375H Special Edition」と呼ばれるターボ時に5GHzに達する特別バージョンが含まれており、これまで提供されてきたUP3(12~28W)やUP4(7~15W)といった既存の第11世代Coreに比べて、性能が引き上げられたSKUとなっている。
この第11世代Core H35シリーズを採用するノートパソコンとして、次世代VAIOと見られるマシンが記者会見中に公開された。これにより、今後VAIOからH35のCPUを搭載した製品がリリースされることが確実になってきた。
従来の28Wまでに対応できるUP3をTDP 35Wに拡張した第11世代Core H35シリーズ
IntelのHシリーズのプロセッサは、ゲーミングノート向けにTDP 45Wの製品が提供されてきた。しかし、今回発表されたのは、これまで「Tiger Lake H35」というコードネームで呼ばれてきた新しいHシリーズの製品で、TDPは35Wになる。
今回発表されたH35の最大の特徴は2つある。1つはTDPが35Wになり、薄型ノートパソコンにギリギリ入るレベルに引き下げられていること。
そしてもう1つは、パッケージがすでに発表されているTiger LakeのUP3と同じものになり、CPUとPCHが統合されていることだ。従来のTDP 45WのHシリーズは、CPUとPCHは別のパッケージとして提供されていた。
したがって、基本的には従来のUP3のTiger Lakeの熱設計(12~28W)の枠を、35Wに拡張したものがH35だと考えてほぼ間違いない。
このため、H35の第11世代Coreでは、クロック周波数などが引き上げられている。たとえば、従来型のUP3の最上位モデルになるCore i7-1185G7は28W時のcTDP周波数(従来のベースクロックに相当)が3GHz、ターボブースト時には4.8GHzになる設定になっている。
これに対してH35の最上位モデルの「Core i7-11375H Special Edition」ではcTDPup周波数(従来のベースクロックに相当)が3.3GHz、ターボブースト時の周波数が5GHzに引き上げられている。こうした強化により、IntelはCPU単体で比較すると従来の45WのHシリーズのCore i7-10980HKを上回る性能を発揮すると説明している。
第11世代Core H35シリーズには3つのSKUが用意されており、「Core i7-11375H Special Edition」、「Core i7-11370H」、「Core i5-11300H」がそれで、スペックは以下のようになる。
Core i7-11375H Special Edition | Core i7-11370H | Core i5-11300H | |
---|---|---|---|
コア/スレッド | 4/8 | ||
cTDPup周波数 | 3.3GHz | 3.1GHz | |
cTDPdown周波数 | 3GHz | 2.6GHz | |
最大Turbo周波数(シングルコア時) | 5GHz | 4.8GHz | 4.4GHz |
最大Turbo周波数(2コア時) | 4.8GHz | ||
最大Turbo周波数(4コア時) | 4.3GHz | 4GHz | |
メモリ | LPDDR4X-4267/DDR4-3200 | ||
L3キャッシュ | 12MB | 8MB | |
cTDPup | 35W | ||
cTDPdown | 28W |
なお、GPUに関してはすべて実行ユニット(EU)数96基のIntel Iris Xe Graphicsになる。単体GPUとの接続には4レーンのPCI Express 4.0を利用可能なほか、単体GPUを使わない場合にはそれをSSDの接続に利用することもできる。
VAIOからも第11世代Core H35シリーズが搭載されたハイエンド薄型ノートが投入される予定
Intelによれば、第11世代Core H35シリーズは、今年(2021年)の前半にOEMメーカーのノートパソコンに搭載されて登場する見通しだという。そのOEMメーカーとして紹介されたのはAcer、ASUS、HP、MSIといったおなじみのメーカーだけでなく、日本のVAIOも含まれていた。
そして搭載マシンとして紹介された製品のなかには、VAIOのパソコンには必ずインストールされているハードウェア設定ツール「VAIOの設定」と見られるアイコンが表示されており、これがVAIOの次世代ハイエンド薄型ノートである可能性はかぎりなく高い。
過去にVAIOはTDP 28WのUプロセッサを搭載した薄型ノートパソコンという世界的に見てもまれな「VAIO Z」という製品を2015年にリリースし、2016年には第2世代のVAIO Zをリリースしているが、それから後継製品はリリースされていない。
今回の製品がVAIO Zかどうかは不明だが、少なくともVAIO ZのようにTDPが高めで性能が高いCPUを採用した製品をリリースするということは明らかなわけで、今後VAIOからの続報を待ちたいところだ。