Hothotレビュー

1.1kgで2層OLED搭載、ゲームも爆速。14型「ASUS ExpertBook Ultra」

14型ビジネスノートPCの「ASUS ExpertBook Ultra」(型番はB9406CAA-TH1027X)。価格は49万9,800円

 ASUSのビジネス向けノートPC「ExpertBook」シリーズから、フラグシップの14型モバイルノート「ASUS ExpertBook Ultra(B9406CAA)」が登場した。マグネシウム・アルミニウム合金を用いた薄型軽量ボディに、最新CPUのCore Ultra X7 358Hを採用、16コアのメニーコア仕様に強力なGPU、NPUも内蔵しており、ゲームやAI処理まで幅広くこなせる1台になっている。上位構成モデルを試用できたので、その出来について見ていこう。

約1.1kgの薄型軽量ボディで堅牢性も非常に高い

 まず目を引くのは、14型クラスながら薄型軽量であること。本体サイズは約310.9×212.8×10.9~16.4mm。カラーはモーングレーで約1.1kgだ。実測で1,125gとほぼ公称通りだった。なお、約990gのさらなる軽量モデルもラインナップされている。

マグネシウム・アルミニウム合金の薄型ボディ。ナノセラミックテクノロジーにより高い耐久性も追求している

 ボディはマグネシウム・アルミニウム合金を採用し、天板、キーボード面、底面にナノセラミックテクノロジーを適用。硬度9Hの耐久性をうたう。さらに、MIL-STD-810Hに基づく24項目の堅牢性テストに加え、ヒンジの開閉、落下、50kgの圧力、キーボード防滴、I/Oポートの挿抜、ねじれなど、独自の検証項目もクリアしているという。カバンに入れて毎日持ち歩くビジネスユーザーを意識した設計だ。

重量は実測で1,125g。14型のハイエンドビジネスノートとしては十分軽い

 試用機の主なスペックは、CPUがCore Ultra X7 358H、メモリがLPDDR5X-8533 64GB、ストレージが1TB SSD、OSがWindows 11 Proだ。大容量のメモリとストレージを採用しており、オフィスワークだけではなく、クリエイティブワークも視野に入れられるスペックといえる。

 Core Ultra X7 358Hは、Intel最新世代となるCore Ultraシリーズ3の中で16コア16スレッドの上位モデル。性能重視のPコアを4基、効率重視のEコアを8基、省電力のLP Eコアを4基という構成だ。最新のIntel 18Aプロセスで製造され、性能、電力効率とも前世代から向上しているのが大きな特徴だ。

CPUはCore Ultra X7 358H。4P+8E+4LPの16コア構成だ

 Core Ultra X7 358Hは、NPU「Intel AI Boost」も内蔵する。NPU性能は最大50TOPSで、Copilot+ PCの要件である40TOPSを満たす。

NPUは最大50TOPSで、Copilot+ PC要件を満たすPCだけで使える各種AI機能を利用可能だ
NPUを使うWindows Studio Effectsでは、CPU、GPUに負荷をかけずWebカメラの映像にぼかしなどを加えられる

 内蔵GPUは最新のXe3アーキテクチャを採用するIntel Arc B390 GPU。12基のXeコアを備えており、エントリークラスの外部GPUに匹敵する性能を持つ。独自のXeSS 3によるアップスケールやマルチフレーム生成にも対応しており、多くのゲームを普通に遊ぶことが可能だ。そのあたりは後半で検証しよう。

内蔵GPUはIntel Arc B390 GPU。Xeコアを12基搭載と内蔵型としては高性能

 SSDはPCIe 5.0 x4接続のNVMe SSD。シーケンシャルリードが11,258.07MB/s、シーケンシャルライトが10,067.12MB/sに達した。ビジネス向けモバイルノートとしては非常に高速で、大容量ファイルのコピーやアプリの起動、写真/動画素材の読み書きも快適にこなせる。

CrystalDiskMark 9.0.2の結果。シーケンシャルリードは11,258.07MB/s、ライトは10,067.12MB/sと非常に高速

3K Tandem OLEDは作業にも映像にも強い

 ディスプレイは14型のTandem OLEDで、解像度は2,880×1,800ドット。リフレッシュレートは120Hzで、30~120Hzの可変リフレッシュレートにも対応する。表面は非光沢仕様で、耐久性の高いCorning Gorilla Glass Victusを採用。タッチ操作も可能だ。

 Tandem OLEDは、有機ELパネルを2層構造にすることで明るさと効率を高める技術。通常の有機ELディスプレイよりも約3倍の明るさ、最大40%の消費電力削減をうたう。解像度は2,880×1,800ドットと高いので、14型でも表示領域を広く確保できる。複数のアプリを開く作業もこなしやすい。ハイレベルな黒表現と高い輝度が求められるDisplayHDR 1000 True Blackにも対応しており、HDRコンテンツも快適に楽しめる。

14型の3K Tandem OLEDを搭載。発色とコントラストに優れる

 Webカメラは207万画素と高画質で、Windows Helloの顔認証に対応する。プライバシーシャッターも備えており、カメラを物理的に隠せるのは安心だ。また、Windows Helloの指紋認証にも対応。指紋センサーはキーボード右上の電源ボタンに内蔵されており、すばやくサインインが可能となっている。

ディスプレイ上部にWebカメラを搭載。物理式のプライバシーシャッターを備える
電源ボタンは指紋認証センサーを兼ねる

ASUS MyExpertでAI Writerや議事録、翻訳字幕を利用可能

 本機ならではの注目点が、ASUS独自のAIアプリ「ASUS MyExpert」だ。有料プラン加入で使用可能になるAdvanced Toolsの「AI Writer」では、GoogleのGeminiと連携して作文テーマ、長さ、フォーマット、トーンを指定でき、スピーチ原稿やメール文などを生成可能だ。Document Q&A、要約、翻訳、ファイル変換などの機能も追加予定となっている。

ASUS MyExpertのAI Writer。テーマ、長さ、形式、トーンを指定して文章を生成できる

 有料プラン加入の必要がない機能も用意。「AI ExpertMeet」では、会議音声の文字起こし、要約、話者ラベル、翻訳などを利用可能だ。会議の録音データを取り込み、全文の文字起こしや要点の確認が行なえるため、議事録作成の手間を大きく減らせる。

 「AI Translated Subtitles」では、会議や動画にリアルタイム字幕・翻訳を付けることが可能だ。英語の会議や海外拠点との打ち合わせでも、内容を追いやすくなる。ビジネスノートPCとして、実際の業務フローをAIで補助する機能が充実しているのは頼もしいところだ。

AI Meeting Minutesの例。会議音声を文字起こしし、内容を確認できる
AI Translated Subtitlesの例。リアルタイム字幕や翻訳により、英語の会議も把握しやすい

 このほか、ローカルAI機能として、文書の翻訳や要約、ファイル検索、文書間の情報比較、メモ作成といった機能もアップデートで実装予定となっている。

薄型ボディでもType-A形状のUSBを用意

 インターフェイスは、左側面にThunderbolt 4、HDMI出力、USB 3.2 Gen 2、ヘッドセット端子を、右側面にUSB 3.2 Gen 2、Thunderbolt 4を備える。

 薄型モバイルノートではUSBポートはType-C中心になりがちだが、Type-Aを2基搭載しているのがナイス。マウス、USBメモリなど、既存の周辺機器を変換アダプタなしで使いやすい。

左側面にはThunderbolt 4、HDMI出力、USB 3.2 Gen 2、ヘッドセット端子を備える
右側面にもUSB 3.2 Gen 2とThunderbolt 4を搭載する

 ACアダプタは90W出力のUSB Type-C接続タイプ。70Whの大容量バッテリを内蔵し、急速充電にも対応する。外出時でも使いやすい作りだ。

付属ACアダプタは90W出力のUSB Type-C接続タイプ

使いやすいキーボードとタッチパッド

 キーボードは84キー日本語配列で、Copilotキーも備える。バックライトを内蔵し、暗い場所でも視認性を確保しやすい。キー表面にはエキシマUV硬化コーティングを施し、指紋や摩耗に強く、シルキーな触感を実現するという。

日本語配列キーボードを搭載。Copilotキーも備える
キーボードにはバックライトも内蔵されている

 タッチパッドはハプティック式を採用。ガラス質感のなめらかな操作性に加え、6つのセンサーとハプティックモーターにより、物理クリックに近いフィードバックを再現する。

ハプティックタッチパッドを採用。クリック感となめらかな操作性を両立する

 また、ヒンジ部には「ExpertLumiライティング」が組み込まれている。起動時にユーザーを迎えるウェルカムライトとして機能し、今後はシステムステータスを示すなどの拡張も予定されているという。

ExpertLumiライティング。起動時などに光で演出する

ベンチマークで基本性能とAI性能をチェック

 ここからはベンチマークを見ていこう。まずは、CPUパワーをシンプルに測定するCinebench 2026とPCの基本性能を測定するPCMark 10から。

Cinebench 2026の結果
PCMark 10の結果

 まずCinebench 2026では、マルチスレッドが4,472pts、シングルスレッドが507ptsだった。14型モバイルノートとしては高いCPU性能で、薄型ながらCore Ultra X7 358Hのポテンシャルをしっかり引き出せている。PCMark 10は、オフィスワークのProductivityが特に優秀だ。クリエイティブワークのDigital Content CreationもノートPCとしては十分高く、写真編集や軽めの動画編集も視野に入る。

 AI処理のベンチマークとして、Procyon AI Computer Vision Benchmark 2.0も実行した。

ExcelのAI参照

 結果はGPU(FP16)が1,565、NPU(INT8)が1,496だった。GPUとNPUのスコアが近く、どちらを使うAI処理でも安定して性能を発揮できるのは強みといえる。

内蔵GPUでもレイトレーシングが楽しめる性能

 高性能な内蔵GPUの「Arc B390」も試したい。ここでは、オープンワールドレースゲームの最新作「Forza Horizon 6」と重量級ゲームの定番「サイバーパンク2077」を用意した。Forza Horizon 6は、XeSSのアップスケールには対応するが、フレーム生成には対応しないタイトルとしてチョイス。フレーム生成なしでどこまで快適に遊べるかに注目。サイバーパンク2077は、Intel Graphics SoftwareでXeSS 3のマルチフレーム生成に切り換えることが可能。フレーム生成の威力を確かめる。

XeSSのフレーム生成に対応したタイトルはIntel Graphics Softwareアプリで2倍/3倍/4倍フレーム生成を選べる
Forza Horizon 6: 画質“ミディアム”、XeSS“バランス”でゲーム内のベンチマーク機能を実行した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定
サイバーパンク2077: 画質“レイトレーシング: 中”、XeSS“バランス”、フレーム生成有効で、ゲーム内のベンチマーク機能を実行した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定

 Forza Horizon 6はフレーム生成がなくても平均89.7fpsと快適にプレイできるフレームレートが出ている。サイバーパンク2077もFG 2x(フレーム生成2倍)で平均93.2fps、FG 4xで平均157.6fpsと十分高いフレームレートが出た。サイバーパンク2077はレイトレーシングも有効にしており、これで快適にプレイできるのはうれしいところ。フルHD解像度で中画質設定なら、多くのゲームを快適にプレイできるパワーがあるといってよいだろう。

高負荷時でも動作音は控えめで冷却性能は優秀だ

 高性能な薄型ノートでは、発熱や動作音も気になるところ。本機は0.15mmの液晶ポリマーファンブレードを97枚搭載し、背面3つの排気孔でエアフローを確保する「ExpertCool Pro」冷却システムを採用。最大50W TDPのパフォーマンスを引き出せる設計だ。

そこで、Forza Horizon 6を10分間プレイしたときの動作音を正面、右側面、背面に騒音計を置いて測定。温度はサーモグラフィーでキーボードの真上から撮影した。

Excelの騒音参照
ゲームプレイ10分後のサーモグラフィー。キーボード上部で51.2℃、中央部で47.7℃だった

 動作音は10cm地点で計測し、前面36.8dB、右側面39.6dB、背面43.3dBだった。高負荷時にはファンの音はするが、それほど大きいものではない。オフィスや自宅での作業中に大きなストレスになることはないだろう。

 ゲームプレイ10分後のサーモグラフィーでは、キーボード上部が51.2℃、中央部が47.7℃だった。手を置く中央付近は少し高くなるが操作が不快になるほどではなかった。薄型軽量ボディでこの性能を出していることを考えると、冷却は優秀といえる。

薄型軽量・AI・ゲーム性能まで揃った高完成度のビジネスノート

 薄型軽量ボディに高い耐久性、高解像度で美しいOLEDディスプレイ、AI、ゲームもこなせる最新世代のCPUを詰め込み、Type-A形状のUSBポートも備えるなどインターフェイス類も充実。顔認証と指紋認証もサポートしており、ビジネス向けモバイルノートに必要な要素を高いレベルでまとめている。

 仕事の効率を向上させる独自のAI機能も用意しており、価格は高めだが、外出先でも妥協せず仕事を進めたい、会議や資料作成にAIを積極的に使いたい、1台で仕事から息抜きのゲームまでこなしたいなど幅広いニーズに応えられる完成度だ。