イベントレポート
Intel、次世代CPU「Alder Lake-S」をデモ。ノート向けで8コア/5GHz駆動のCore Hも投入
2021年1月12日 13:45
米Intelは、CES 2021においてオンライン記者会見を開催し、9月に発表した第11世代Coreプロセッサ(開発コードネーム:Tiger Lake)のvPro版と、「Evo platform」のvPro版を発表した。
また、第11世代Core H35シリーズも発表したほか、ゲーミングPC向けの第11世代Core HシリーズのCPU8コア製品の存在を明らかにし、次世代プロセッサの「Alder Lake」のデスクトップ向けとなる「Alder Lake-S」の動作デモを行なった。
vPro版の第11世代Core、vPro版Evoが正式発表、Ice Lakeな第3世代Xeon SPは大量出荷が開始される
会見にはIntel上級副社長兼CCG(クライアントコンピューティング事業本部)事業本部長であるグレゴリー・ブライアント氏が登壇。ブライアント氏は冒頭で、「Intelの事業は多岐にわたっており、PCからクラウドまでさまざまなアプリケーションをカバーしている」と述べ、まずクラウド側の話として、Xeonプロセッサに関する話題からはじめた。
ブライアント氏によると、開発コードネームIce Lake世代の第3世代Xeon Scalable Processorsはすでに量産出荷を開始している。正式な発表は今後数カ月のうちに行なわれる。Intelは2020年に4ソケット以上用のCooper Lakeを発表しており、Ice Lakeはそれに次ぐ2ソケット対応の第3世代Xeon SPの製品で、10nmプロセスルールで製造される。
クライアントPCでは、ビジネス向け、教育向け、ハイパフォーマンス4つの新しいプロセッサ製品が発表された。
1つが昨年の9月にIntelが発表したTiger Lakeこと第11世代CoreプロセッサのvPro版となる第11世代Core vProプラットフォームだ。vProとはIntelのCPUで企業向けのセキュリティ機能や管理機能などを追加したバージョン。第10世代Coreプロセッサのうち、10nmで製造されるIce LakeではvPro版が提供されてこなかったので、企業ユーザーに取っては待ちに待った10nm版vProとなる。
また、同CPUには、業界初となるハードウェアベースのランサムウェアおよび暗号マイニング攻撃を検知するAI機能も搭載される。
このvProのデモとして、AMDベースのノートパソコンと、第11世代Core vProを搭載したノートパソコンが比較された。制御フローを悪用したサイトに誤ってアクセスしてもvPro版の方はCET(コントロールフロー・エンフォースメント・テクノロジー)を利用してきちっと防御されたが、vProに対応していないAMDでは悪用されてしまうという様子が公開された。
また、その第11世代Coreプロセッサを搭載したシステムに対して、Intelが定義しているユーザー体験(性能やバッテリー駆動時間など)を満たしているという認証を与える仕組みであるIntel EvoプラットフォームにもvPro版が投入され、ロゴシールにも「vPro」が入ることもあわせて明らかにされた。
教育向け製品、8コアのゲーミングPC向けTiger Lake、Alder Lakeの実働デモが行なわれる
教育向けには新しい製品としてJasper Lakeの開発コーネームで知られるPentium SilverとCeleronを発表した。Intelによれば、教育向けPCの市場はCOVID-19の感染拡大などによりリモート授業などに注目が集まったことなどもあり、グローバルには昨年比30%という高い上げ幅で成長しており、Intelとしても力を入れていく市場だと説明した。
Rocket Lake-Sこと第11世代Core Sに関してはとくに目新しいアップデートはなかったが、AI関連で新しい機能が実装される予定であることなどが明らかにされた。
その後は別記事でも紹介しているTiger Lake H35のコードネームで知られる「第11世代Core H35シリーズ」の説明が行なわれ、第11世代Core H35を搭載したシステムとしてNVIDIAの未発表の単体GPUを搭載したシステムが紹介され、高いフレームレートを実現する見通しであることが明らかにされた。なお、数字などはNVIDIAの発表前ということで明らかにされなかった。
そして、今年中に発表される予定の新しい第11世代Core Hシリーズについて、8コアのCPUを搭載したSKUが投入予定であることが明らかにされ、そのダイとパッケージが公開された。8コアの第11世代Core Hシリーズは、PCHは外部に外付けになっているパッケージ(つまり第10世代や第8世代などでHシリーズのプロセッサが採用していたかたち)になっていることが見て取れる。ターボモード時には5GHzに達し、20レーンのPCI Express Gen 4に対応するなどデスクトップ並の性能を実現しており、4レーンをストレージに、16レーンをGPUにという使い方が可能になるという。
最後にブライアント氏にバトンは戻され、最後にIntelが計画している次世代プロセッサの「Alder Lake」の実動デモが披露された。Alder LakeはデスクトップとノートPCの両方をカバーし、高性能と高効率という2つの種類のCPUが搭載され、その両方を同時に動かしたり、高効率コアだけを動かしたりすることが可能になっており、高性能と低消費電力を両立している。ブライアント氏によれば、Windowsが動作する程度まで完成しているとのことだ。Alder Lakeは2021年の後半にリリースが予定されている。