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バッファロー、テレワークでの通信混雑解消を図る税別9,000円からのWi-Fi 6ルーター3モデルを投入

 株式会社バッファローは4日、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応ルーターの新製品発表会を開催した。既報の記事「バッファロー、Wi-Fi 6対応で10GbE装備のゲーム/動画向けルーター」のとおり、合計3モデルを発表しており、ここでは発表会の内容をお伝えする。

ルーター販売で好調のバッファロー
検証専用の1戸建てモデルルームで実環境を構築してテスト

株式会社バッファロー 取締役 事業本部 コンシューママーケティング部 部長の石丸正弥氏

 最初に登壇した株式会社バッファロー 取締役 事業本部 コンシューママーケティング部 部長の石丸正弥氏は、まず同社がWi-FiルーターのAirStationを投入してから20周年になることを話し、その軌跡を振り返った。とくに20年前に発売した「WLAR-L11-Lシリーズ」が当時としてはめずらしい縦置き型のルーターだったことから、大きな反響があったことを語った。

 同社の家庭用向けルーターは大きな市場シェアを持っており、BCNの調査によると2020年4月時点での累計出荷台数は5,280万台を突破。18年連続で販売台数1位を維持している。石丸氏はそんな好調なルーターの販売について、最新の規格を取り入れることを目的にしているわけではなく、あくまで使いやすさにこだわって製品を投入した結果であると強調する。

 実際に同社では無線関連機器の検証のために、3階建ての1戸建てを2軒借りており、住まいの実際の環境を作った上で製品を評価している。試験室などでは環境が理想的すぎて、実際の状況で起きがちな電波干渉や上下階での電波の距離の問題などが再現しきれないからだという。

2000年発売のWLAR-L11
これまでのバッファローのルーター製品
累計出荷台数は5,280万台を突破
モデルハウスと試験室で検証

 石丸氏は、現在を取り巻くWi-Fi環境について、スマートフォンを筆頭とする通信デバイスが急激に増え、一般的な家庭でも平均して10台のWi-Fiデバイスがあること、そして新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークもまた急速に拡大していることから、通信の快適化を図るためにより高性能なWi-Fiルーターが求められているという状況であるとする。

 この点に関して石丸氏は、Wi-Fi 6がその改善につながるとし、Wi-Fi 5よりも高速な転送ができること、OFDMA(直交周波数分割多重接続)による多数接続時の遅延が少ないことなどを挙げ、今回の新製品3モデルを投入することで、Wi-Fi 6製品の普及を加速させていく構えであることを示した。

家庭でもWi-Fiデバイスの増加
ルーターの選び方の変化
Wi-Fi 6による高速・低遅延化
Wi-Fi 6製品とWi-Fi 5製品の8カ月間での普及スピードの違い

Wi-Fi 6で家庭内のネットワークトラフィックを改善

 続いて、同社事業本部 ネットワーク開発部 部長の田村信弘氏と、コンシューママーケティング部 BBSマーケティング課 課長の下村洋平氏が、今回の新製品の説明を行なった。

株式会社バッファロー 事業本部 ネットワーク開発部 部長の田村信弘氏(左)と、コンシューママーケティング部 BBSマーケティング課 課長の下村洋平氏

 両氏はまず、緊急事態宣言が出た4月から急激にインターネットトラフィックが増えているとし、ISPの1社であるOCNが出しているデータとして、5月の平日の通信量が2月と比べると1.4倍に急増したことを挙げる。テレワークの開始がその大きな要因であり、家父親が仕事でビデオ会議を、母親も仕事で大きなデータのダウンロードをし、子どもはゲームをしているといった状況では家庭内ネットワークの混雑が予想され、うまくネットワークがつながらないといった事態に陥り、仕事に支障を来たしかねないとの現在の状況を説明。

 そのため、家庭内でのネットワーク通信に余裕を持たせるために、Wi-Fi 6対応ルーターの導入が大きな解決につながるとする。今回同社が投入するWi-Fiルーターは、上位の「WXR-5700AX7S」であれば、5GHz帯でWi-Fi 5の倍となる160MHzのバンド幅を持っており、4ストリームの通信で最大4,803Mbps(Wi-Fi 5では最大1,733Mbps)の通信速度を確保できる。

 さらに、先述したOFDMAによって1回に同時に複数のデバイスと通信が行なえることから、通信時の遅延が少なくなるほか、TWT(Target Wake Time)機能のサポートによって、デバイス個別にWi-Fiの接続の復帰ができ、省電力化にも大きな期待ができると説明した。

テレワークによって家庭内でのネットワークが混雑
平日のネットワークトラフィックは1.4倍に
4月にテレワーク利用者が急増
一般のルーター買い換え頻度は5年以内
テレワークの拡大によってルーターの販売が3月から4月で大きく伸びた
Wi-Fi 6導入のメリット
現在のおもなWi-Fi 6対応デバイス

 今回の3モデルは、昨年(2019年)発売されたWi-Fi 6対応ルーター「WXR-5950AX12」(バッファロー、Wi-Fi 6/10GbE対応のハイエンド無線ルーター参照)の下位製品に位置し、税別9,000円~28,000円という価格帯でラインナップの拡充を図る。

ラインナップ
それぞれのスペックと価格
WXR-5700AX7Sの特徴
WSR-5400AX6の特徴
WSR-1800AX4の特徴

 また、製品説明に加え、速度テストのデモンストレーションを実施し、前モデルと比較して通信速度が大きく上がっていることを示して見せた。

WXR-5700AX7SとWi-Fi 5モデルを比較
検証の条件
WSR-5400AX6とWi-Fi 5モデルを比較
検証の条件
WSR-1800AX4とWi-Fi 5モデルを比較
検証の条件

 両氏はWi-Fi 6非対応のデバイスであっても、通信に余裕が出ることから、たとえば距離が離れた状況において、これまでWi-Fi 5で20Mbpsしか出ていなかったものが、30Mbps以上出るようになるなど、副次的な効果が見込めるだろうとした。

 最後にバッファローは、Wi-Fi 6の普及を目指し、1年後にはルーター製品の50%以上をWi-Fi 6に対応化させるとの意向を示した。

Wi-Fi 6製品のの50%超えを目指す