ニュース

MIT、生地に編み込まれ洗濯も可能な健康診断センサーつきシャツを開発

E-TeCS(Electronic Textile Conformable Suite)

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)は4月23日(現地時間)、服の生地に不自然なく多数のセンサーを編み込み、体温/呼吸/心拍数などを詳細に測定可能な技術「E-TeCS(Electronic Textile Conformable Suite)」を開発したと発表した。

 この手のセンサーはすでにいろいろなものが開発されており、非常に薄く作られたものもあるが、耐久性が低かったり、皮膚に貼りつける必要があったりと、使い勝手の面で問題が出たりしやすい。今回MITの研究チームが開発したE-TeCSで使われるセンサーは、エポキシ樹脂で覆われるとともに柔軟性がある細長い作りで、生地のなかの狭い溝に織り込まれて設置される。

 溝部分から小さくセンサーが露出するようになっており、皮膚に直接当てることが可能。試作品のシャツでは30個の温度センサーや加速度センサーを実装し、上半身のさまざまな箇所の温度を測るとともに、動作や心拍数、呼吸回数を測れるように設計。通信機とバッテリを兼ねた小型のワイヤレスモジュールをボタンで貼りつけることで、スマートフォンへの計測結果の送信を実証してみせた。

 E-TeCS用に作られたシャツは、運動用のシャツと同じように、吸湿発散性を有し、肌になじみやすいポリエステル素材を混ぜた生地が使われ、センサーをつけたまま洗濯可能。センサーを取り外して、別の衣服で再利用することもできる。年齢や体の大きさに合わせた製造も簡単にできるとのことで、いまはほかの種類の服やズボンも作成中。さらに、血中酸素のレベルやほかの健康状態を測定するセンサーも追加で組み込む予定という。

 E-TeCSが実用化されれば、医者がリモートで自宅にいる患者の状態をモニタリングして遠隔治療を行なったり、宇宙空間にいる宇宙飛行士たちの健康状態を表示するなどといった用途に役立つとしている。