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小中学生が富士通の世界最軽量13.3型UHシリーズのPC組み立てに挑戦

組み立て教室を開催した島根富士通

 株式会社島根富士通富士通クライアントコンピューティング株式会社は、2019年8月3日、島根県出雲市の島根富士通において、小中学生を対象にした「富士通パソコン組み立て教室」を開催した。

 14回目となる今年(2019年)の組み立て教室では、「LIFEBOOK WU2/C3」の組み立てに挑戦した。

 同製品は、13.3型ワイド液晶搭載ノートPCとして世界最軽量の698gを実現した「LIFEBOOK UHシリーズ」をベースに開発した同社直販サイト「WEB MART」向けモデルで、今回の参加費用は、最軽量の重さにあわせて69,800円に設定した。昨年(2018年)も重さにあわせた価格設定を用いているため、最軽量の記録を更新するたびに、参加費用が引き下がるという結果になっている。世界最軽量ノートPCを生産しているという島根富士通の自負が、こんなところにも反映されている。

 ちなみに、組み立てた「LIFEBOOK WU2/C3」の重量は約747gとなっており(選択したカラーによって重量は異なる)、組み立てたPCは、検査後に各家庭に届けられることになる。

 また、会場では自ら組み立てたPCで、プログラミング学習も実施。島根県発祥の開発言語「Ruby」をベースに、小学生向けに開発されたSmalrubyを用いて、簡単なゲームを作成した。

 島根富士通では、「モノづくりやプログラミングの体験を行なうことで、小中学生に対するICT技術への興味や関心の育成、さらには地域への社会貢献を目的に開催している。今回の組み立て教室は、『軽く、薄く、そして強く』をコンセプトに、限界をきわめた軽さと圧倒的なモビリティを実現したモバイルノートPCを、自らの手で作る貴重なモノづくり体験をする機会になるほか、今後のICT社会に 必要なソフトウェアにふれる機会を提供する」としている。

 参加したのは25組の親子。当初は20組の定員としていたが、応募が多かったため、25組に増やした。島根県内からは20組が参加。すべてが出雲市からの参加となった。そのほか、神奈川、大阪、兵庫からも参加した。学年別では、小学5年生が5組、小学6年生が5組、中学1年生が4組、中学2年生が8組、中学3年生が3組。また、男子が21組、女子が4組となった。

 本体カラーは、3色のなかから選択ができ、ピクトブラックが13組、アーバンホワイトが9組、ガーネットレッドが3組だった。

 「人気モデルであり、応募も多かった。当初の応募定員に比べて、参加者数を増やしたのは、最軽量モデルを、1人でも多くの人に体験してもらいたいと考えたため」(島根富士通の神門明社長)とした。

 組み立てた「LIFEBOOK WU2/C3」は、WEB MART専用モデルで、CPUにはCore i3-8145U(2コア/4スレッド、2.1~3.9GHz)を採用。メモリは4GB、SSDは約128GB、13.3型非光沢液晶ディスプレイを搭載している。また、Office Home & Business 2016のプリインストールモデルも選択できた。

 島根富士通によると、実際の生産工程では、部品点数は222点で、これを13分で組み立てているが、今回の組み立て教室では、約5分の1の作業量とし、37点の部品(うちネジが5種類29本)を使用して、約60分で組み立てた。ちなみに、メインボードには、約1,300個の部品が搭載されているという。

 午後1時から開始された組み立て教室では、最初に島根富士通の神門明社長が挨拶した。

 「今日組み立ててもらうのは世界最軽量のノートPCである。昨年のモデルよりも、50g軽くなった。1円玉50枚分だけと思うかもしれないが、1つ1つの部品を一から見直して、1gでも軽くしたいという思いで開発した。

 さらに、薄くしたい、丈夫にしたい、長時間駆動させたいという思いを実現するために、富士通の技術の粋を集めて完成させたものである。薄く、軽く設計したため、組み立てにくいところもあると思うが、今日はモノづくりのプロがサポートする。自分で作り上げる世界で1台のPCづくりを楽しんでほしい。そして、作り上げたPCを身近において、スマートフォンではできないPCならでの使い方にも挑戦してほしい」とした。

 続いて、島根富士通の社員により、PCの主要部品の説明や組み立ての概要について説明した。

 島根富士通の組み立て教室では、毎年、司会進行を行なう社員が、旬のキャラクターに扮するのが恒例であり、今年は、日本で開催されるラグビーワールドカップにあわせて、ラグビー日本代表のユニフォームで登場。

 「1人はみんなのために、みんなは1つのことのために」というラグビーで使われる言葉を示しながら、「今日の組み立て教室は、この言葉どおりに、みなさんをサポートする。みなさんは、完成というゴールに向かってほしい」と呼びかけた。

今年で14回目を迎えた島根富士通の「パソコン組み立て教室」
島根富士通は2019年5月に累計生産4,000万台に達し、記念モデルを生産した
地元のゆるキャラたちがお出迎え。(右から)安来市のあらエッサくん、湯の川温泉の湯あがり美人姫やがみちゃん、出雲観光大使のおんすうふらたろう
会場で参加者を迎えるあらエッサくんと、おんすうふらたろう
参加者の組み立てをサポートする島根富士通の社員たち。参加者1人に、社員1人がついた
挨拶する島根富士通の神門明社長
今年は、ラクビー日本代表のユニフォームで登場。進行を務めたのは永瀬春馬さん(右)と吾郷春枝さん(左)
参加者は社員がオリジナルで作ったイラスト入りのエプロンをつけて作業した

 午後1時15分過ぎからはじまったPCの組み立ては、島根富士通の社員が、各参加者に1人ずつ付いて、参加者を支援。午後2時35分には全員の組み立てが終了。無事にPCは稼働した。

組み立ての様子

 写真で組み立ての様子を追ってみる。

組み立て教室の様子
組み立て教室では37点の部品を一時間で組み上げる
メインボード
ファン
ディプレイ部(天板)
SSD
SSDシート
キーボード部
底面カバー
バッテリ
ネジは5種類29本を使用する
まずは、手袋を着用して、アースバンドをつける
最初の作業はメインボードをキーボードの裏側に取り付ける
ファンの取り付け作業
メインボードとファンをネジで固定する
キーボードフレキを接続する
続いて、タッチパッドやクリックパッドなどのフレキケーブルを接続
スピーカーケーブルを接続する
液晶ディスプレイを取り出す
液晶ディスプレイにキーボード部を取り付ける。本体を90度立たせて作業を行なう
ヒンジを押し込む
ヒンジをネジで固定。押し込みながら回す作業は子供たちには難しい
液晶ディスプレイのケーブルを接続する
無線LANカードにアンテナケーブルを接続、難関な作業の1つだ
電源コネクタの取り付け作業
SSDを取り付ける
SSDをネジで固定する
SSDシートを貼り付ける
バッテリを取り付ける
バッテリをネジで固定する
これで部品の組み込みは完了だ
底面カバーを取り付ける
2種類の14本のネジを使って固定する
神門社長(右)も参加者の作業を見守る
組み立てが完了し、全員で電源を入れる
無事に起動して、全員で拍手
続いて参加者の顔写真が画面に表れて、参加者からは驚きの歓声が

島根富士通の工場見学

 続いて行なわれた工場見学では、3グループ分かれて、基板実装ラインや組み立てラインを見学。さらに、電動ドライバーを使用したネジ締めなどを体験した。ネジ締め競争では、10本のネジを25秒間で締めた子供もいた。「組み立てラインに入ることができる社員は26秒以内がルール。その水準をクリアしている。即戦力になる水準。ぜひ島根富士通に入社してほしい」(島根富士通の山根淳執行役員)と驚いていた。

電動ドライバーを使ったネジ締め体験の様子
やがみちゃんもネジ締めに挑戦
急遽、神門社長もネジ締め競争に参戦
ゲーム仕立てのソフトを使って、キーボードやパッド、タッチパネルの動作を検証
最新のPCを体験できるコーナーも用意

 工場見学が終わったあとに行なわれたプログラミング学習では、Smalrubyの開発者である高尾宏治氏が講師を務め、ネコのイラストを動かしたり、ネコから逃げるゲームを作成。約40分間のプログラミング学習を親子で楽しんでいた。

 午後5時にはすべてのプログラムが終了。参加者は帰路についた。

 神門社長は、「来年(2020年)は島根富士通が操業してから30周年を迎える。また、組み立て教室も15回目を迎えることなる。節目のイベントとして来年も開催したい」と意欲を見せる一方で、「例年の開催時期だと東京オリンピックの期間中にぶつかる。開催時期については検討する必要がある。さらに、最軽量ノートPCの重量にあわせた参加費の設定も継続したいが、すでに原価を割っている。そのあたりも悩みどころ」と来年の開催には2つの懸念事項があることも明かす。

 最軽量ノートPCの開発をリードする富士通クライアントコンピューティング 開発本部第一開発センターの小中陽介センター長は、今回の組み立て教室に参加後、「さらに最軽量のノートPCを出す」と意気込みを見せており、来年の組み立て教室で、島根富士通が、参加費の設定をいくらにするのかにも注目が集まる。

プログラミング学習の様子
講師を務めた高尾宏治氏
午後5時すべてのプログラムが終了。参加者を送り出した