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富士通パソコン組み立て教室で22組の親子が世界最軽量13.3型ノートを組み立て

~メディア対抗デザイン対決も急遽開催!

島根富士通

 富士通クライアントコンピューティング株式会社(FCCL)は、島根および福島の2会場で、「富士通パソコン組み立て教室」を7月28日に開催した。今回、13回目となる島根富士通の会場でイベントの取材を行なった。

 今回は、大型の台風が日本列島を横断するなかだったが、島根富士通のある島根県出雲市は快晴で、イベントは滞りなく行なわれた。参加したのは22組の親子で、13.3型ノートPCとして世界最軽量となる「LIFEBOOK WU2/B3」の組み立てた。

 イベントの参加費用は、同製品が最軽量モデルで748gというのにあやかり、PC代金込みで74,800円。通常、このPCは11万円程度するので、破格の値段で購入と組み立て体験ができる計算になる。

 普段、取材するメディアは子供たちが組み立てる様子を記録していくのだが、今回は「とある事情」で、メディアも子供たちと同じように組み立てた。参加したのは、PC Watchのほか、マイナビニュースとEngadgetで、Engadgetは同行したライターのお子さんが組み立てに挑戦した。

入り口
安来市イメージキャラクターの「あらエッサくん」と、湯の川温泉のイメージキャラクターの「やがみちゃん」がお出迎え

60分で42点の部品を組み付け

 13時からの開会式ではまず島根富士通代表取締役社長の神門明(ごうど あきら)氏が、「今回みなさんが組み立てるのは世界最軽量のPC。世代を経るにつれ、さらに軽くなった。PCを組み立てるのは難しいと思うかもしれないけど、当社の製造スタッフがみなさんの作業をサポートするので安心してください。今回の体験が楽しい思い出となることを願っています」と挨拶。また、同社製PCに搭載されているAIアシスタント機能「ふくまろ」も、音声で島根富士通や今回組み立てるPCの紹介を行なった。

島根富士通代表取締役社長の神門明氏
ふくまろが組み立てるPCなどを紹介した

 組み立てるLIFEBOOK WU2/B3には、じつに221点の部品が使われているが、これを「匠」(たくみ)と呼ばれる島根富士通の製造スタッフは、ものの13分で1台を組み立てる。これに対し、組み立て教室では、液晶パネルなど取り扱いが難しい部品があらかじめ組み付けられており、42点の部品を60分で組み立てる構成となっていた。

 組み立てに使うのはドライバーだけだが、ネジ回しをしたことがない子供のことも考慮して、組み立ての前に、特製の練習台を使ってネジ締めの練習を行なった。

特製のネジ締め練習台
3種類×3本のネジ締めを事前に練習
完了したところ

 作業工程は大きく下記の10に分かれている。各作業においては、製造統括部リーダーの伊藤祐輔氏と同部の川角舞氏が司会進行役としてスライドを使って説明。また、参加者ごとに用意された特設の作業台には、富士通製タブレットが設置されており、大型スクリーンと同じマニュアルが表示。そして、「お父さん、お母さんは組み立てを手伝わないでくださいね」と釘を刺された保護者が横で見守るなか、島根富士通の匠が子供たちの1つ1つの作業を補助した。

今回は22組の親子が参加
イベントをサポートする島根富士通スタッフ
製造統括部リーダーの伊藤祐輔氏
製造統括部の川角舞氏
すべての親子に1人ずつのスタッフがついて、丁寧に補助した

 使うドライバーは基本的に1種類だが、ネジは複数の種類がある。これはすべて作業工程ごとに必要なものが小分けして小箱に収納されており、どのネジを使えばいいか迷わないでいいように配慮されていた。

組み立て工程

 では、実際の組み立て工程を写真で紹介しよう。

全作業台にタブレットが置かれ、マニュアルが表示されていた
まずは手袋を装着し、アースバンドを手首に巻く
パーツはボックスに収納されている
キーボードのあるCカバー。このキーボードのようにある程度の部品は事前に組み付けられていた
マザーボード
フレキがマザーボードの下に潜り込まないように注意しつつ、Cカバーにマザーボードを取り付け、ネジ留め
CPUファンを取り付け、電源コネクタを接続し、ネジ留め
タッチパッド、指紋センサーなどのフレキケーブルをコネクタにはめて、ロック。ケーブルが細いのでやや難しい
スピーカーケーブルを接続
液晶カバー
こんな感じでメディア記者も全工程を体験した
液晶カバーのヒンジ部にCカバーをすべり込ませ、ヒンジを畳んでネジ留め
Wi-Fiケーブル
コネクタは直径1~2mm程度なので、この取り付けがもっとも困難だった
Wi-Fiアンテナケーブルは遊ばないよう、テープで固定
電源端子を溝に固定
M.2のSSD。この部品だけ途中で支給されたのだが、それにはわけがある
SSDを取り付け、ネジ留め
バッテリを取り付け、ネジ留め
裏面となるDカバー
Cカバーの裏側に取り付けて、ネジ留め
これで組み立てが完了した

 組み立てが完了したら、全員で一斉に電源を投入した。すべてのPCが無事起動し、会場からは拍手が湧いた。そして次の瞬間、起動したPCの画面には自分たちの写真が表示されているのを見て、一斉に驚いていた。

 組み立て作業開始直前に、島根富士通のスタッフが各参加者の写真を撮影していたのだが、その後、特急作業でその写真を、各PCのSSDにコピーし、作業なかばで、そのSSDを各参加者の作業台に支給したのだった。

電源を入れると全員のPCが無事起動した
その日撮影された各参加者の写真が壁紙となっていた

製造ラインの見学とゲーム化された検証体験

 組み立て作業が終わると、製造ラインの見学会が行なわれた。FCCLでは、組み立てだけではなく、開発設計や、マザーボードの製造など、ほとんどすべての工程を自社で行なっているのが強みだ。

 また、作業工程の多くの部分が機械で自動化されている。組み立て教室ではドライバーを使って手でネジ留めしたが、これも機械化が可能な部分は機械が行なっている。

製造ラインの見学の様子
ネジ留めを自動で行なうアーム
マザーボードにはんだづけを行なうリフロー炉
はんだづけがきちんとなされているかも、機械が写真判定
マザーボードにチップや抵抗、ソケットなどを実装するマウンタ
実装部品はこのようにリールに巻かれている
マザーボードは長いラインを流れていくが……
そのままでは間を人が通過できなくなるので、人が近付くと自動的にコンベアが開閉する場所もある

 検証作業も多くが機械によって行なわれているが、今回、キーボードやタッチパッド、タッチパネルなどの検証作業が、独自の子供向けゲームとして用意され、ほかの参加者とタイピングなどの速さや正確さを競いつつ、マシンの動作チェックを行なった。

ラインの見学が終わると、検証作業をゲームで体験することになった。その説明を行なう吉見氏
ここでもスタッフが各子供につき、検証ゲームのプレイをサポートした
これはタッチパネル試験ゲームの画面
最高得点を出した子供には記念品

 そして、ライン見学会の最後には、電動ドライバーを使った、匠とのネジ留め競争が行なわれた。競争前のデモンストレーションでは、匠が目にも留まらぬ速さでネジ留めを完了。子供たちからは感嘆の声と同時に、こんな人に勝てるわけないという落胆した様子も見受けられた。

 しかし、代表した子供が対戦者を選ぶルーレットを回すと、選ばれたのは島根県にある日本三美人の湯である湯の川温泉のイメージキャラクターの「やがみちゃん」だった。

 開始の合図が鳴ると、このやがみちゃんも、視界の悪そうななか、かなり奮闘してネジ留めを行ない、子供たちとかなりいい勝負を行なっていたのだが、後半にさしかかった時点で、"なぜか"急に床に倒れ込んでしまった。"ハプニング"のようだ。そこで、"急遽"ピンチヒッターとして、社長の神門氏が登場。社長も子供に負けじと頑張るが、おぼつかない手つきで最下位に転落。子供たちの勝利となった。

匠によるネジ締めの実演
ネジは自動的に機械から出てくる
ネジ締め競争もスタッフがサポート
子供たちと対決することになったのは、なんとやがみちゃん
やがみちゃんも懸命にネジ締めを行なう
が、途中で床に倒れ込むやがみちゃん!
そこで代打として神門社長がネジ締めを行なう。が、老眼によるものか、だいぶ苦戦してしまった

参加メディアがカスタムメイドプラス

 工場見学が終わると、展示スペースで「はじめての『じぶん』パソコン」をはじめとしたFCCL製PCで、ふくまろの音声操作や、Windows MRデバイスを使ったVR体験に興じた(なお、富士通のWindows MR HMDでは、原則として13歳未満の利用は禁じているが、数分間の利用では視力への影響はないため、保護者の同意のもとで利用している)。

富士通製Windows MR HMDでVRを体験
「はじめての『じぶん』パソコン」に興味津々の子供も多かった

 この後、取材メディアが組み立てたPCのデザインコンテストが行なわれた。FCCLでは、「カスタムメイドプラス」として、一部ノートPCの天板に、自分で撮影した写真や、作成したイラストなどを印刷するサービスを行なっている。

 通常は天板のみが印刷対象だが、今回特別に液晶の額縁および、パームレストの部分にもレーザーカッティングや、カッティングシートによる加工も行なえるようにしたうえで、各メディアがそれぞれのデザイン案をFCCLに事前送付し、そのカスタマイズパーツを用意してもらっていた。「カスタムメイドプラスプラス」とでもいったところだろうか。

この日、メディアが組み立てたPCは、このように独自デザインがなされていた
Engadgetの作品
マイナビニュースの作品
PC Watchの作品

 PC Watchのデザイン案は、「大国主命を探せ!」。天板には、島根富士通のある出雲にちなんで、出雲大社、松江城、堀川巡り、玉造温泉、勾玉、しじみ、宍道湖、石見銀山、島根ぶどう、足立美術館の庭園、野焼き、安来節、出雲そば、日御碕灯台、稲佐の浜、出雲ドーム、ヤマタノオロチ、大国主命、因幡の白ウサギのイラストをちりばめた。この中から、天板左上にいるのとまったく同じ大国主命を探し出すパズルになっている。

 大国主命は、複数描かれているが、向きが違ったり、フルカラーを活かして、微妙に色が違うものもいる。そして、パームレストにはカッティングシートでヒントを載せておいた。

 PCは、さまざまなことができる道具だ。できることの1つとして、eメールやメッセンジャーアプリなどによるコミュニケーションがある。そういったなか、「PC自体がコミュニケーションのきっかけになったらおもしろいのでは?」と考え、このようなデザインにしてみた。

天板に所狭しと描かれたイラスト
左上に問題が書かれている
パームレストには答えのヒントがカッティングシートで貼られている

 だが、子供たちの投票結果は、Engadgetが1位、マイナビニュースが2位で、弊誌は残念ながら3位に終わってしまった。ちょっと深く練りすぎたようで、子供たちはよりシンプルなデザインがお好みだったようだ。

優勝したEngadgetの矢崎編集長

組み立てたPCでプログラミング体験

 イベントの最後には、自分たちで組み立てたPCを使ってプログラミング体験が行なわれた。

 プログラミング言語の1つである「Ruby」(ルビー)は島根県在住のまつもとゆきひろ氏らが中心となって開発されたものだ。これを応用して、アルファベットが読めない子供でも、プログラミングの原理や構造をパズル感覚で学べる「Smarlruby」(スモウルビー)といものがあるのだが、これも同じ島根在住の高尾宏治氏が開発したもの。

 今回のプログラミング教室には高尾宏治氏その人が招かれ、プログラミングの初歩を解説。最初子供たちは、指示されたとおりに操作し、後半は、使うキャラクターや挙動を自分の好きなように変えてみて、オリジナルのプログラミングを体験した。

Smarlrubyを開発した高尾宏治氏が講師として登壇した
Smarlrubyの解説書
Smarlrubyはプログラムの基本原理を学ぶためのもの
じっさいに組み立てたPCで作業を行なった

 こうして約4時間にわたる組み立て教室は無事終了した。

 この後、記者は、島根富士通の現場スタッフと話す機会があった。20代の若いスタッフも多く、「今回のイベントでどこか良くないところとかありました?」などと情熱的に問いかけられるなど、子供たちのためにイベントをより良いものにしたいという熱意に溢れていた。すでに来年のイベントのリーダーも決まっているといい、次回も楽しみなイベントとなりそうだ。