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NTT、商用光ファイバー環境初の1,000km超の1Tbps伝送に成功

伝送実験の構成

 日本電信電話株式会社(NTT)およびNTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は、商用環境において世界初となる1Tbps光信号の長距離光ファイバー伝送の実証実験に成功したことを発表した。

 実験では、光損失と光非線形性を低減させた「コア拡大低損失光ファイバーケーブル」をNTT Comの商用環境に敷設し、新たに開発した光送受信機を用いて、1Tbps光信号による波長多重信号の1,122km伝送環境を構築。現在の実用システムの1チャネルあたり100Gbps(12.5GB/s)の10倍にあたる、1Tbps(125GB/s)の大容量通信を、世界最長距離で伝送する実証に成功した。

 光信号の生成には、最先端のデジタル信号処理プロセッサと、広帯域光フロントエンド回路を搭載した光送受信機によるデジタルコヒーレント技術を用いて、光の偏波/位相/振幅に情報を乗せることで、情報量の増大を実現する「偏波多重32QAM変調信号(1波長あたり500Gbps)」と、2波のサブキャリア多重が利用されている。

 これにより、現在の実用システムの1チャネルあたり100Gbps(12.5GB/s)の10倍にあたる1Tbps(125GB/s)へと伝送速度を高速化することが可能となり、1波長あたりの伝送容量を拡大させることで、ビット当たりの消費電力についても既存システムと比較して8割以上削減できるという。

 またNTT独自の技術を用いて、信号経路長や信号経路による損失のバラつきなど、光送受信機内部の不完全性を高精度に校正することで、高品質な信号の送受信を実現。高い信号品質が要求され、技術的難易度が高い32QAM多値光変調信号において、世界最長の長距離伝送に成功したとする。

高精度校正技術のイメージ
実験結果と成果

 NTTでは、5Gサービスの普及や「IOWN(Innovative Optical & Wireless Network)」の実現に向け、エンドツーエンドでのフォトニクス技術をベースにした、大容量/低遅延かつ柔軟性/消費電力に優れた革新的ネットワークを目指して、光伝送技術をさらに拡張発展し、成果を活かした大容量光伝送システムと、高性能な光ファイバー伝送路を含めた経済的かつ大容量なネットワークの実現を推進するほか、国内外の機関と連携しグローバル展開を目指すとしている。