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Google、同社の持つ強みを総動員したクラウドゲームプラットフォーム「STADIA」
~データセンターではAMDと共同開発した専用GPUが動作
2019年3月20日 03:41
米Googleは、Chromeブラウザ上で動作するクラウドゲーミング技術「STADIA」を発表した。
Stadiaは、Chromeブラウザが動作する、PC、Chromebook、スマートフォンなどのほか、Chrome対応のあるいはChromecastを接続したTVなど幅広いデバイスで動作する。ゲーム自体はGoogleデータセンターのマシン上でレンダリング、処理されるため、クライアント側には強力なGPUは不要となる。
クラウドゲーム技術はこれまでもいくつもの企業が提供してきたが、STADIAは、Googleの持つさまざまな強みを総動員したものとなっている。また、STADIAでは、ゲームプレイヤー、ストリーマーなどのコンテンツクリエイター、そしてゲーム開発者が同じプラットフォームで活動できる枠組みを構築している。
前述のとおり、各ゲームはGoogleがSTADIA専用に開発したデータセンターのマシン上で動作する。このマシンには、AMDと共同開発した10.7TFLOPSの性能を持つGPUが搭載されている。この性能はPlayStation 4やXbox Oneを超えるもので、4K HDR 60pでゲームを動作させられるが、STADIA GPUをマルチGPUで動かすこともでき、すでに8Kでの動作も視野に入れている。
【お詫びと訂正】初出時にGPU性能を10.7GFLOPSとしておりましたが、正しくは10.7TFLOSとなります。お詫びして訂正させていただきます。
STADIAデータセンターは各国のプロバイダと専用線で結ばれており、低遅延でゲームをプレイできるほか、ハッキングやチートも不可能だという。
STADIAデータセンターのリソースを使い、開発者はゲームの開発も可能。また、自前でSTADIAデータセンターを構築することもできるほか、ローカル開発用のSTADIAデスクトップマシンも用意される。すでにミドルウェアとしてUnityとUnreal EngineがSTADIAへの対応を表明しており、既存のゲームも少ない工数で移植できる。
クラウドで動作するためインストールは不要となるため、開発者はたとえばYouTubeの予告動画に「PLAY」ボタンを貼り付けることができ、プレイヤーはそのボタンをクリックして5秒以内にゲームを開始できる。
プレイヤー側としては、デバイスを問わずプレイできるだけでなく、たとえばスマートフォンでプレイしていたものを一時中断し、PCでログインすれば、即座にPCで続きをプレイできる同期システムが搭載。また、大型TVなどの場合は、画面を分割して複数人でマルチプレイもできるが、プレイヤーごとに割り当てられたSTADIA GPUを使うので、性能の劣化がない。
デバイスに応じて、キーボード+マウスや、ゲームコントローラ、タッチ操作などでプレイできるが、Googleは、専用のSTADIAコントローラも開発した。ぱっと見は一般的なゲームコントローラだが、Wi-Fi機能を内蔵し、このコントローラ自体がSTADIAデータセンターに直結され、プレイする仕組みとなっている。
また、STADIAコントローラには、独自のキャプチャボタンと、Google Assistantボタンが搭載される。キャプチャボタンを押すと、即座にYouTube上で配信ができる。YouTubeとの強力な連動も武器となっており、配信者はゲームを配信しながら、チャット欄を通じて視聴者をゲームに招待できる。ゲーム配信も4Kに対応する。
STADIAでひじょうに特徴的なのが「State Share」と呼ばれる機能。STADIAゲームでは、たとえば、アイテムやライフ、ステージなど、プレイヤーがプレイしている時点のすべての情報を任意の場所で保存し、共有できる。State Shareを使うと、その情報へのリンクが短縮URLに記される。プレイヤーがこのURLをYouTubeやSNSで共有すると、そのプレイヤーがプレイしてたのと完全に同じ状況を他のプレイヤーも再現できる。
そして、これには賛否両論ありそうだが、ゲームに行き詰まったときは、Google Assistantを呼び出し、次へ進むためのヒントを教えてもらうこともできる。
STADIAは、年内にも北米、欧州からサービスを開始する。