ニュース
Intel、第9世代Coreプロセッサに「Meltdown」対策をハードウェア実装
~開発中の“単体GPU”のコンシューマ向け投入も明言
2018年10月11日 16:25
インテル株式会社は11日、同社のコンピュータビジョンデモやソリューションを紹介する「テクノロジー・ショーケース」を開催した。
同時に、第9世代Coreプロセッサなどの国内発表も同時に開催。本稿ではその模様をお伝えする。
製品の詳細については既報(Intel、8コア/16スレッド・最大5GHzの「Core i9-9900K」など第9世代Core、Intel、18コアで最大4.5GHzの「Core i9-9980XE」)を参照されたい。
同会には、インテル株式会社 執行役員 マーケティング本部本部長の山本専氏、同社 執行役員常務 技術本部本部長の土岐英秋氏が登壇。
山本氏は、世界におけるPCのトレンドは、ゲーミングノートPCが売上高が大きく成長し、デジタルコンテンツクリエイターの増加、VR、業務利用といった分野が成長領域であると説明。
テクノロジーは世界に大きな変革をもたらしてきたが、そのなかでPCはとくに重要なプラットフォームになってきたと述べ、同社ではPCのイノベーションを絶やさないように努力していると語った。
デスクトップPCの傾向をみると、過去3年でゲーミングPCの売上成長率は29%を記録し、過去5年間でアンロックドCPUの売上成長率が10%となっており、今後5年で映像コンテンツは4倍に増加するとの予測を紹介。
クリエイター層は、プロの44%が2年ごとにPCを買い替え、プロシューマや一般クリエイターでも、34%が2~3年で買い換えるという。
そういった高い性能を求めるクリエイター向けに投入するのが、28コア/56スレッドの「Xeon W-3175X」であり、拡張性に優れたプラットフォームとして「Core Xシリーズ」を投入するとした。
ゲーム分野においては、量産CPUとしては初の5GHz駆動を実現したほか、メインストリーム初の8コア/16スレッドを採用し、同社史上最高のゲーミングプロセッサを謳う第9世代Coreプロセッサを投入。
11月5日より、特設サイトでキャンペーンを開催することもアナウンスされた。
同キャンペーンでは、Eスポーツ大会へのVIPツアー招待などが行なわれるという。
次いで登壇した土岐氏は、製品の技術的な詳細を解説。
今回投入された3製品はさらなる性能を追求したものになっていると述べ、第9世代はゲーマー向けの設計になっていると紹介。
具体的には、初の8コア/16スレッドSKUの用意や、最大5GHz駆動、16MBのキャッシュなどで、ヒートスプレッダとダイの間のTIM(Thermal Interface Material)にハンダを採用(STIM)することで、熱伝導性を向上し、オーバークロック能力を高めたとした。
第9世代Coreプロセッサは、コードネーム“Coffee Lake(-S) Refresh”にあたるもので、アーキテクチャには「14nm++」を採用。より多くのコアを搭載しつつ同じ消費電力で同クロック動作を実現したという。
同会で言及はなかったが、製品詳細のスライドには「Spectre」および「Meltdown」、「L1 Terminal failure (L1TF)」脆弱性の修正についての情報が記載されており、「Meltdown V3 (Rogue Data Cache Load)」と「L1TF」については、ハードウェアレベルの修正が施されていることが明らかとなった。
なお、「Meltdown V3a (Rogue System Register Read)」についてはマイクロコード、「Specter V2 (Branch Target Injection)」と「投機的ストアバイパス(Speculative Store Bypass)」についてはマイクロコード+ソフトウェアでの対策となっている。
クリエイター向けの2製品はコードネーム“Basin Falls Refresh”にあたる製品で、Xeon W-3175Xについては、クリエイター向けのハイエンドプロセッサであると紹介。
新Core Xシリーズでは、8~18コアをラインナップし拡張性を用意し、AVX-512命令も対応。前述のSTIMの採用と、「Turbo Boost Max Technology 3.0」によって、最大4.5GHz動作を実現しており、もっとも拡張性に優れたデスクトップ向けプラットフォームであるとした。
加えて、両製品ともに従来の「リングバスアーキテクチャ」から「メッシュアーキテクチャ」へと設計が刷新され、多コア化にともなうレイテンシの増大といった問題を解消し、高い性能を実現しているとアピールした。
発表会の最後には、米Intelでコンシューマ事業部門を統括するGregory Bryant氏(米Intel クライアントコンピューティンググループ シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー)のビデオメッセージが流された。
この中で、同氏は「同社が進化をうながすプラットフォームの6つの側面」の1つとしてグラフィックス体験を挙げ、2020年に投入を予告しているディスクリートGPU(Intel、2020年に「i740」以来の“単体GPU”投入を予告)を“プラットフォームの中核”として提供すると述べ、コンシューマ向けに投入することを明言した。
ショーケース会場には、第9世代CoreプロセッサやCore X搭載PCなどが展示。
とくに目を引いたのは、マウスコンピューターのクリエイター向けノートPC「DAIV-NG7630」で、ノートPCながら、デスクトップ向けである8コア/16スレッドの「Core i9-9900K」を搭載。GPUにはGeForce GTX 1080、DDR4-2400メモリ16GB×4、512GB NVMe SSD×2+1TB HDD、Windows 10搭載で、発売は近日予定。
インテルの説明員によれば、TDPの95W相当の冷却システムがあれば、ノートPCでもCPUクロックは5GHzまで上昇するとのことで、それを実現するためか、本体厚もかなりのもので、相応にパワフルな冷却システムとなっているようだ。