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有村架純さんや篠原ともえさん、漫画「宇宙兄弟」らが月面探査レースを応援するアンバサダーに

 2016年7月7日、世界初の民間による月面探査レースに挑戦する「au x HAKUTO MOON CHALLENGE」のチャレンジを応援していくアンバサダー就任式が東京都内のベルサール汐留で行なわれた。チャレンジを応援するアンバサダーとして、女優の有村架純さん、タレントの篠原ともえさん、宇宙マンガ『宇宙兄弟』、ロックバンドのサカナクションが就任すると発表された。「宇宙兄弟」の特別ビジュアル、サカナクションによる応援ソングの制作決定の発表も行なわれた。

Google Lunar XPRIZEに挑戦するHAKUTOとau

月面探査ローバー。プリフライトモデル

 「Google Lunar XPRIZE(GLXP)」は、GoogleのスポンサードのもとXPRIZE財団が運営している民間組織による月面無人探査を競う優勝賞金2,000万ドル、賞金総額3,000万ドルの国際賞金レース。GLXPでは、民間が開発したロボット探査機を月面に着陸させたのち、着陸地点から500m以上移動、高解像度の動画や静止画を地球に送信することをミッションとしている。

 世界各国から16チームが参加しているが、「au x HAKUTO MOON CHALLENGE」では、GLXPに日本から唯一参加するチーム「HAKUTO」(株式会社ispaceが運営)を、auが通信技術等でサポートしている。ローバーの操作はランダー経由で38万km離れた地球からの遠隔操作で進められるため、通信は重要だ。モバイルデータ通信に使われている周波数帯を利用することが検討されており、これは民生技術を宇宙探査へと展開する試みとして世界でも初めてだという。

「Google Lunar XPRIZE」の3つのミッション。民間開発探査機を着陸後、500m以上移動、高解像度の動画や静止画を地球に送る
日本から唯一参加するHAKUTOのメンバー
auが通信技術でバックアップ

 また7月7日よりauスマートフォン、auケータイで簡単に「HAKUTO SUPPORTES CLUB」に入会できるようになった。auかんたん決済で携帯電話料金と合わせて支払いできる。

 打ち上げ時期は2016年後半、アメリカから。なお、HAKUTOが開発しているのは月面探査ローバーのみだ。HAKUTOは月までのロケットと月面への着陸には他チームと相乗りする予定である。打ち上げロケットにはイーロン・マスクによるSpaceXの「Falcon9」、月面着陸には同じくGLXPにチャレンジするAstrobotic Technologyのランダー(着陸船)「Griffin」を使う予定とされている。

 「Griffin」には、HAKUTOの月面探査ローバーのほか、アストロボティックのローバーも一緒に搭載されるため、両チームは同時に月面に到着することになる。HAKUTOはGLXP中間賞の「モビリティサブシステム」部門を受賞しており、優勝候補チームの1つである。もし2チームがともに優秀な成績を収めた、優勝賞金2,000万ドルは山分けとなる。

 着陸予定地点は「死の湖」。地下の溶岩トンネルに繋がる「縦孔」があると考えられており、HAKUTOは、この縦穴の調査も予定している。

月面の環境
ランダーとローバー間の通信を途切れさせず、高精細画像を地球に送り届ける

アンバサダー就任式

アンバサダーに就任した有村架純さん(左)と篠原ともえさん(右)

 アンバサダー就任式では、まずはじめにKDDI株式会社コミュニケーション本部長の山田隆章氏と、HAKUTO代表で株式会社ispace代表取締役の袴田武史氏が登壇。概要を説明した。

KDDI株式会社コミュニケーション本部長 山田隆章氏
HAKUTO代表、株式会社ispace代表取締役 袴田武史氏

 続けてタレントの篠原ともえさん、女優の有村架純さんが七夕に合わせた浴衣姿で登場。進捗状況、実験風景などを袴田氏が紹介した。有村架純さんはCMの合間にローバーを実際に操縦し、期待を語ったという。帯の天文アクセサリーも手製だという篠原さんは「このプロジェクトは天文ファンのあいだでもものすごく話題になっている」と語った。

 なお有村架純さんはauのCM「三太郎」シリーズでは月にゆかりのある「かぐや姫」役として活躍中で、篠原ともえさんは「宙ガール」として活躍中で、「宇宙兄弟」に登場した「宙原ともえ」のモデルにもなっている。

有村さんはCM撮影の合間にローバーを操縦したという
篠原さんは自分でデザインした浴衣やアクセサリで登場
袴田武史氏が実験の進捗状況を解説した

 次にマンガ「宇宙兄弟」のグラフィックが紹介された。「宇宙兄弟」主役のムッタとヒビトがHAKUTOのユニフォームを着ているこのビジュアルはWebサイトのほか、宇宙初心者向けのコンテンツや、アンバサダーとして活動する際に展開していく。漫画家の小山宙哉さんによるビデオメッセージのほか、『宇宙兄弟』編集者で、株式会社コルク代表取締役社長 佐渡島庸平氏も登壇し、最初は宇宙に詳しくなく、マンガを描きながら勉強していったと紹介した。このチャレンジを分かりやすく解説することが「宇宙兄弟」の役割だと述べた。

 篠原ともえさんをモデルにしたキャラ「宙原ともえ」が「宇宙兄弟」に登場したシーンも合わせて紹介され、篠原ともえさんに促されるかたちで有村架純さんが「宇宙兄弟」への登場をお願いする一幕もあり、記者席からも笑いが起きていた。なお佐渡島氏は快諾していた。最後に、ファンカード授与式が行なわれた。

「宇宙兄弟」特別ビジュアル
漫画家の小山宙哉さんによるビデオメッセージ
株式会社コルク代表取締役社長 佐渡島庸平氏。『宇宙兄弟』編集者
「宇宙兄弟」に登場した篠原ともえさんをモデルにしたキャラ「宙原ともえ」

 同じくアンバサダーとして就任したサカナクションからのビデオメッセージも紹介された。現在、実際のローバーにふれて理解を深めながら楽曲を作成中だという。

サカナクションもアンバサダーに就任
HAKUTOメンバーとのミーティングを通して楽曲作成中

 最後に、七夕にちなんで、それぞれ願い事を書いた短冊を発表して終わりとなった。願い事は、有村架純さんは「月に行きたい」、篠原ともえさんは「宇宙服をデザインしたい」、コルク佐渡島庸平氏は「世界中の人が同時にワクワクするエンターテイメントの制作」、そしてKDDI山田隆章氏は「au x HAKUTO MOON CHALLENGEの成功」、HAKUTO袴田武史氏は「Google Lunar XPRIZE優勝」だった。

かぐや姫らしく「月に行きたい」と書いた有村架純さん
宇宙服のデザインをしたいという篠原ともえさん
七夕にちなんで願い事を書いた短冊が飾られた

 なおHAKUTOは、スズキ株式会社ともコーポレートパートナー契約を結んだことを7月5日に発表している。スズキは、軽量化技術やトラクション制御技術など、小さなクルマづくりや四輪駆動車の開発で培ってきた技術でHAKUTOのローバー開発を支援していくという。ミッション成功を期待しよう。

「au x HAKUTO MOON CHALLENGE」のミッション成功を期待したい