やじうまミニレビュー

iPadをWindowsのサブ画面に!謎の多機能ドングルを使う

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
j5create「JUAW22」。メーカーは「ワイヤレスクロスリンクドングル」と称している。実売価格は7,980円

 j5createの「JUAW22」は、WindowsとiPadを連携させ、一方をもう一方のサブディスプレイにしたり、キーボードやマウスの共有、ファイル転送などをしたりする製品だ。WindowsとiPadのどちらも所有しているユーザーにとって、1つ持っておくことで、両者を連携させてさまざまな使い方を可能にしてくれる。

 もっとも本体の外観だけ見て、どうつなげばよいのか、どう使えばよいのか、これほどピンと来ない製品も珍しい。メーカーから製品を借用したので、接続の方法と実際の用途、さらにそれらの使い勝手についてお届けする。

宇宙服を着た2頭身フィギュアの正体は……

 まず本製品でなにより目を引くのが外観だ。宇宙服を着た2頭身のフィギュアがパッケージに鎮座しているのを見て、なるほどこれがマスコットキャラなんだな、ところで本体はどこに入っているのだろうと箱の中を探しにかかると、何を隠そうこれこそが本体であることが分かり驚かされる。

 実際にはこのフィギュアの中に心臓部であるドングルやケーブルが収納されており、取説には「収納目的」の品だと記載されているのだが、フィギュアにセットしたままにしておくことで、Windows PCに接続したときに立てた状態を維持できるなど、この外見のまま使う意味は一応ある。とはいえ独創的すぎて「どうしてこうなった」感は否めない。

製品パッケージ。正面窓から宇宙飛行士風フィギュアの姿が見える
マスコットキャラかと思いきや、何を隠そうこれが本体だ。ちなみに「スペースマン」という名前らしい
フィギュアが本体であることを知らないと、取説、シート以外に何も入っておらず混乱する
製品本体。身長は5cmちょっとの2頭身体型
利用にあたっては背面につながれているケーブルを抜いてPCに接続する
頭部を抜くと中からドングルが姿を現す。言うなればこれが本体ということになる

 ホームページやリリースを見ても、冒頭に紹介したような「何ができるか」は書いてあっても、そのためにはどのように接続すればよいのか、全体像を示した模式図が見当たらず困惑する。かろうじて本製品の背面のケーブルを、ノートPCらしきデバイスにつなぐ写真が取説にあることから、Windows側につなぐらしいと推測できるくらいだ。

 実際には、WindowsとiPad、それぞれにアプリをインストールしたのち、本製品のケーブルをWindows PCに接続。そのあとBluetoothで両製品をペアリングし、Wi-Fiで相互接続するという手順を経るのだが、模式図がないために全体像の把握に手間取るのはかなりつらい。長期的には要改善ポイントだろう。

設定方法
まずはアプリをインストールする。これはMicrosoft StoreにおけるWindows用アプリのページで、「CrossLink Wireless」という名前で提供されている
インストールを完了すると本体をケーブルで接続するよう要求される
また並行してiPadアプリもインストールする。こちらの名称も同じく「CrossLink Wireless」だ
完了したらWindowsとiPadでペアリングを実行する
ペアリング完了。これで利用可能になる
接続はアクセスポイント経由以外にアドホック(CrossLink Direct)の場合もあり、その場合はネット接続が制限される。選択は自動的に行なわれるようだ

WindowsとiPadの連携に便利な4つの機能を搭載

 と、実際に使い始めるまでにツッコミどころが多いのだが、機能自体はなかなか秀逸だ。本製品の機能は大きく4つに分かれており、Windows側が主導権を握る場合もあれば、iPad側が主導権を握る場合もある。こう書くと難解そうに思えるが、両者で同じ設定画面を表示すれば、特定機能はどちらから起動できるのかがすぐに分かる。順に見ていこう。

iPadをWindowsのサブディスプレイに

 まずひとつは、iPadをWindowsのサブディスプレイとして使う用途。おそらくもっともニーズがある使い道だろう。タッチ操作にも対応するので、iPadに表示したWindowsのセカンダリ画面をタッチで操作できるほか、Windowsの画面上に書き込むためのホワイトボード機能も用意されている。

 なお、今回は試していないが、Apple Pencilも利用可能とされている。ただしディスプレイ表示の時点でかなりカクつくので、あまり期待しない方がいいかもしれない。基本的には静的な画面の表示に使う機能と考えておいた方が、ギャップを感じずに済むだろう。

「PC画面をモバイルに共有」。拡張はもちろん複製にも対応する
実行中の様子。左がWindows、右がiPad(以下同じ)。表示周りの設定はWindows側のディスプレイ設定で行なう
Windowsのセカンダリ画面にiPadから書き込むためのホワイトボード機能も用意されている

WindowsにiPadの画面を表示

 もうひとつは、先とは逆に、WindowsにiPadの画面を表示する用途だ。iPadの特性上、画面は拡張ではなく複製(ミラーリング)のみとなるが、あまり見かけない機能で、iPadを用いてのプレゼンなどでは使い道があるかもしれない。

 ちなみに仕組みとしては、iPad標準の画面ブロードキャスト機能を使って、Windows PCにインストールしたアプリ上に画面を出力しているようだ。汎用的な仕組みを使って機能を実現しているのは興味深い。

「モバイル画面をPCに共有」。クリックするだけでミラーリング表示が実行される
実行中の様子。iPadの仕様上、画面の拡張には対応せず複製(ミラーリング)のみで、アスペクト比も変更できない
この機能の実体はiPadの画面ブロードキャスト機能。Windows PCにインストールしたアプリをディスプレイと見立てて出力を行なっているようだ

キーボードとマウスを共用

 続いてキーボードおよびマウスの共用。Windows側のマウスでiPadを操作したり、キーボードから文字を入力したりできる機能だ。特筆すべきはタイムラグがほとんどないことで、iPad側で操作しているのと変わらないスピードで入力できる。iPadで使えるハードウェアキーボードがない場合に、Windowsのキーボードを使ってテキスト入力するなどの用途が考えられる。

 また、iPadにスクリーンキーボードを表示させたり、入力言語を切り替えるなどの操作をホットキーにより行なえるなど、使い勝手にも配慮されている。この機能を使うときはWindows側でホットキーの組み合わせを記した設定画面が表示されているので、ホットキーの組み合わせを覚えなくてもそれらを参照しながら操作できるのは利点だ。

「KM設定」。Windows側のK(キーボード)とM(マウス)を使ってiPadを操作できる。設定はWindows側で行なう
実行中の様子。傍目にはWindowsとiPadが並んでいるだけに見えるが、WindowsからiPadを操作できる。マウスの中央ボタンを押すことで操作対象を切り替えられる
Windows PCのキーボードを使ってiPadのメモアプリにテキストを入力している様子。タイムラグは実質皆無でほぼローカルと変わらない感覚で入力できるのが秀逸だ

Windows/iPad間でファイル転送

 最後はファイル転送。Windows→iPadもしくはiPad→Windowsにファイルの転送が行なえる。Windows→iPadへのファイル転送は、Windows側のユーティリティを開いて、ファイルをドラッグ&ドロップするだけ。iPad→Windowsのファイル転送は、AirDropと同じく共有メニューの中に本製品の名前が表示されるので、それを選択するだけだ。

 WindowsとiPadの両方を使っていると、ファイルのやり取りで四苦八苦ということもしばしばだが、本製品があればそれを一本化できるのは便利だ。転送方向によって操作方法が異なるのは差し引く必要はあるが、繰り返し使っているうちにそれほど気にならなくなってくる。

「ファイル転送」。Windows→iPadへのファイル転送はこの画面内にファイルをドラッグ&ドロップするだけ
これはiPad→Windowsに転送を行なっている様子。共有メニューからアプリを選択するという一般的な操作方法

 機能は以上の4つなのだが、これら全般にまつわる動作設定が、WindowsおよびiPadのそれぞれに用意されている。Windows側ではファイルのダウンロード先などWindows固有の設定のみで、iPad側では利用目的に応じて画質を取るか、パフォーマンスを取るかといった、使用感に直接関係する調整が行なえる。

Windows側の設定画面。設定できる項目はごくシンプルだ
iPad側の設定画面。アプリのほか品質設定など使用感に直接つながる項目が多い

複数の機能がまとめて使えるようになるのが大きな利点

 以上のように、WindowsとiPadの両方を普段から併用しているユーザーにとっては、導入することでさまざまな操作が可能になるおもしろい製品だ。外見こそ独特だが、すべてがワイヤレスで実現できているのはなかなか興味深い。また今回の試用中、ワイヤレス接続が途切れるなどの問題が発生しなかったことも付記しておきたい。

 たとえばサブディスプレイ用途における「Duet」のように、本製品と同じ機能を持った単体のソリューションは多数存在するが、本製品の強みは、WindowsとiPadそれぞれにアプリをインストールするだけで、複数の機能がまとめて利用可能になることだ。WindowsとiPadを連携させず個別に使っていた人にとっては、一気に世界が広がったかのような印象を受けるだろう。

 ネックがあるとすれば冒頭でも述べたような外見由来の分かりづらさと、また「CrossLink」というアプリ名以外に、「wormhole switch」「AERO DROP」など、製品名なのか何なのか分からない名称があちこちにあることだ。これらを整理した上で見た目も単純なドングルのみに絞った方が、受け入れられやすいように思わなくもない。製品そのものが優秀なだけにもったいない印象だ。

ドングルだけをPCに接続した状態。実は接続するのはこれだけで構わない、と気づくまでかなりの時間がかかる

 ともあれ、サブディスプレイアプリなど本製品の競合となるアプリは月額制で継続してコストが発生する場合もあるのに対して、本製品は買い切りという利点がある。明確に「これがしたい」というユーザーだけでなく、具体的なイメージが湧かないユーザーにも、試してほしい製品だ。