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なぜ音楽フェスにAdobe?ジャイガ2026で生成AIやタイムテーブル作成を体験

7月末から8月頭の4日間開催された「OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2026」にAdobeが参加

 大阪の舞洲で開催されている関西最大級の野外音楽フェスティバル「OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL」(通称”ジャイガ”)。通常2日間の開催のところ、2026年は開催10周年を記念し、7月25日、26日、8月1日、2日の計4日間開催された。

 その今年(2026年)のジャイガに、我々がよく知る企業が初めて参加した。その企業とは、PhotoshopなどでおなじみのAdobeだ。なぜAdobeが音楽フェスティバルに参加したのか、その意図を確かめてきた。

Adobeのツールを利用した4種類のアクティビティを提供

 8月1日、大阪は綺麗に晴れ渡り、酷暑日とまでは行かなかったものの最高気温37.1度と、まさに猛暑、夏真っ盛りといった中開催されたジャイガ 2026。会場内は、目当てのアーティストのパフォーマンスを楽しむ人たちで大いに盛り上がっていた。

 その会場内のSUN AREAでひときわ異彩を放っていたのが、大きな“Adobe”ロゴを掲げたAdobeブースだ。

ジャイガ会場内に設けられたAdobeブース。大きなAdobeロゴが異彩を放っていた
ブースでは4種類のアクティビティを提供
ブース内は冷房が効いていたこともあるが、多くの若者がアクティビティを楽しんでいた

 このAdobeブースでは、来場者に対して4つのアクティビティを提供していた。

 1つめは、iPhone版Adobe Premiereを利用したオリジナルショート動画編集体験。ジャイガ専用のテンプレートを用意し、iPhoneで撮影した写真や動画を読み込ませるだけで簡単にジャイガの思い出動画が作成できるというものだ。

iPhone版Adobe Premiereを利用したオリジナルショート動画編集体験では、専用テンプレートを利用してジャイガの思い出動画を作成できた

 2つめは、Adobe Fireflyを利用したオリジナルのジャイガロゴ作成体験。Adobe Fireflyにテンプレートのジャイガロゴを読み込み、プロンプトにデザインの概要や色、スタイルなどを自然言語で入力してオリジナルロゴを生成AIで作成するというものだ。出来上がったオリジナルロゴをSNSに投稿すると、会場ブースでそのロゴのタトゥシールを受け取れるだけでなく、会場内で利用できるドリンク割引チケットがプレゼントされるサービスも実施していた。

Adobe Fireflyを利用したオリジナルのジャイガロゴ作成体験。作成したオリジナルロゴはタトゥシールとして受け取れた
Adobe Fireflyでジャイガロゴを読み取り、プロンプトにデザインや色などを入力することで簡単にオリジナルロゴを作成できた
こちらはサイバーパンクなイメージで作成したオリジナルロゴ
作成したオリジナルロゴはタトゥシールとして受け取れた
実際に手や顔などにオリジナルロゴのタトゥシールを貼って楽しむ人が多く見られた

 3つめは、Adobe Expressを利用したジャイガのマイタイムテーブル作成体験。ジャイガは会場内に4つのステージが構えられ、それぞれでアーティストのパフォーマンスが行なわれた。ただ、各ステージのプログラムを見ながら自分の見たいアーティストパフォーマンスがいつ始まるのか確認するのは面倒だ。そこで、あらかじめ目的のアーティストのスケジュールだけを組み合わせた自分だけのタイムテーブルを作成し、利便性を高めようというものだ。

 こちらもジャイガオリジナルロゴ作成同様に、作成したマイタイムテーブルをSNSに投稿すると、会場ブースでそのタイムテーブルを印刷したタトゥシールや会場内で利用できるドリンク割引チケットが受け取れた。タトゥシールのマイタイムテーブルを腕などに貼っておけば、いちいちスマートフォンなどを取り出す必要なくタイムテーブルを確認できて便利、というわけだ。

Adobe Expressを利用したジャイガのマイタイムテーブル作成体験
Adobe Expressで自分が見たいアーティストのパフォーマンス時間を入力することで、自分だけのタイムテーブルを作成できる
こちらもオリジナルロゴ同様に作成したタイムテーブルをタトゥシールとして受け取れた
このように腕などに貼っておけば、簡単にタイムテーブルを参照できる

 4つめは、Adobe Acrobat Readerを利用した電子来場証明書の作成体験。あらかじめ用意されているPDF形式の来場証明書をAdobe Acrobat Readerで開く。そしてAdobe Acrobat Readerの署名入力機能を利用して自分の名前などを入力して保存することで、ジャイガの来場証明書を簡単に作成できるというものだ。

Adobe Acrobat Readerを利用した電子来場証明書の作成体験
Adobe Acrobat ReaderでPDFの来場証明書を開き、署名入力機能で自分の名前などを入力することで、オリジナルの来場証明書を作成できた

 いずれもAdobeのツールを活用したものだが、自分でオリジナルのものを作るというクリエイティブ要素が詰め込まれたものとなっていた。最初は、Adobeと音楽フェスは直接結びつかないのでは、と思っていた。しかし、提供されている内容を見て実際に体験すると、まさにAdobeの真骨頂であるクリエイティブを真正面から体験できるものばかりで、音楽フェスとも結構親和性があるな、と実感できた。

主催者の課題解決がそもそものきっかけ

 我々取材班のように日頃からPCを利用して写真や動画の編集、PDF文書を利用しているなら、Adobeは非常になじみ深い企業だ。それでも、ジャイガ会場内テントのAdobeロゴを見ると“なぜ野外音楽フェスにAdobeが?”といった思いを抱いてしまう人もいるはずだ。

 実際、Adobeが野外音楽フェスに参加するのはこれが初めてだという。なぜ今回、Adobeがジャイガに参加することになったのか。

 ジャイガを主催する株式会社キョードーエンタテインメントのセールスプロモーション部に所属する前田穂乃香氏によると、そもそもは運営スタッフの課題解決がきっかけだったという。

ジャイガを主催する株式会社キョードーエンタテインメントのセールスプロモーション部に所属する前田穂乃香氏(左)と杉山芽生氏(右)

 ジャイガのホームページには、協賛を募るための問い合わせフォームが用意されている。ただ実際には、そのフォームを利用して会場へのアクセス方法や開催当日のスケジュール、会場内の目的の場所がどこにあるのか、といった問い合わせが膨大に届いていたという。また、電話窓口にも同様の問い合わせが多く寄せられているという。

 そういった問い合わせの多くは、ホームページに用意されているQ&Aを参照すれば解決するものがほとんどながら、多くの人がQ&Aに目を通すことなくフォームや電話で問い合わせてくる。しかも以前は、プロデューサーがそれらに対応しており、電話対応だけでなくメールで返信もしていたそうで、その労力や膨大なリソース消費によって本来の業務に支障が出るほど大きな問題になっていた。その労力を解決する方法として、PDF Spaceの導入に行き着いたわけだ。

 実際のジャイガでのPDF Spaceの利用は、まず始めにジャイガホームページに掲載されているQ&Aや会場マップなどの情報をPDF化してPDF Spaceにアップロード。その後、メールなどの問い合わせやその回答なども追加してアップデートをかけたという。そして、ホームページの問い合わせフォームからの問い合わせ時にPDF Spaceの利用をアナウンスするようにしたところ、目に見えて問い合わせ件数が減ったそうだ。

 「Q&Aが用意されていると言っても、膨大な質問事項から知りたい質問を見つける手間がかかります。しかしPDF Spaceなら、質問したい内容を文字で入力するだけですぐに回答が表示されます。問い合わせする人にとっても手間がかかりませんし、回答を待つというストレスもありませんから、便利に使ってもらえていると思います」と前田氏は言う。

 運営側にとっても、多くの問い合わせから解放されるという意味で、非常に大きな効果を実感できているという。当初、PDF Spaceの利用をAdobeから提案された時に、「これは革命的だ!」と思ったそうだが、実際に運用し大幅な労力削減につながったことで、さらに強く実感できたそうだ。

来場者の膨大な問い合わせに対応するために用意されたジャイガのPDF Space
プロンプトに質問内容を入力するだけで簡単に回答が得られるため、これまで問題となっていた運営側の課題(膨大な質問への対応)をかなり克服できたという

 また、楽に運用できるという点も非常にありがたかったという。今回ジャイガでPDF Spaceの利用が決まったのは、実は本番開始のわずか2週間前だったという。そういった中でも、ホームページの情報をPDF化してアップロードするだけで運用できた点は、非常に楽だったとのこと。

 そして、運用してみて、もっといろいろなことができるという点も実感できているとのこと。前田氏と同じくキョードーエンタテインメントのセールスプロモーション部に所属する杉山芽生氏は「おそらく実際に使える機能の半分以下しか使えていない」と言っていたが、すでに来年(2027年)に向けてもっとPDF Spaceを活用できるようにやっていきたいと考えているそうだ。

 たとえば、ジャイガでは、開催後に運営スタッフが集まって反省会を実施し、そこで来場者からどういった質問が多かったといったものを共有しているそうだが、これまではその情報はその場限りで翌年に活かされていないことが多かったという。それをPDF Spaceにアップロードすることで情報の蓄積と充実を図り、来年の運営に活かしたいとのことだ。

 また、今回PDF Spaceは来場者向けのみの運用だったが、来年以降は裏方スタッフ用や協賛社、出店社用のPDF Spaceも用意したいとのこと。実はスタッフや協賛・出店社向けに多くのマニュアル(多い場合には数十ページに及ぶそう)があるそうで、それを簡単に検索し参照できる仕組みとしてPDF Spaceを活用するのはかなり有効と考えているそうだ。

多くの人にAdobeを知ってもらい、クリエイティブの裾野を広げたい

 こういったきっかけからジャイガに関わることになったAdobeだが、なぜ会場のブース出展と4つのアクティビティ提供も行なうことになったのか。

 アドビ株式会社 マーケティング本部 マーケティングマネージャーの鈴木依子氏によると、せっかくならPDF Spaceの提供だけでなくもっと新しいチャレンジを行ないたい、また野外音楽フェスに来場する人は音楽好きでクリエイティブな人が多いと想像し、クリエイティブな活動でフェスをもっと楽しんでもらいたいと考え、会場でのブース出展も決めたという。

アドビ株式会社 マーケティング本部 マーケティングマネージャーの鈴木依子氏

 「クリエイティブなことは、センスがあり技術がある人がやるもの、といった考えがあったと思います。しかし我々はクリエイティブの裾野を広げたいと思っています。AIなどテクノロジーが技術をサポートしてくれて、プロンプトを入力するだけで誰でも簡単にクリエイティブなことができる。そういったところを体験してもらう場所として、音楽フェスへの参加を決めました」(鈴木氏)。

 実際にブースに訪れる来場者は、その多くがAdobeについて知らないか、知っていてもPDFを扱ったことがあるぐらいだったという。また、そのほとんどが10代から20代前半の若者だったそうだが、ほとんどの人が画像の生成AIを使ったことがないと言っていたことに驚いたそうだ。

 「検索などでAIは使っていても、AIで画像を作ったことがなくて、プロンプトってどういうふうに書けばいいんですか?、と聞かれることが多くて、そういう意味では多くの方に初めて生成AIに触れていただけたというところは良かったと思っています」(鈴木氏)。

生成AIを体験したことのない20代前半の若者が実際に生成AIに触れ、クリエイティブの楽しさを実感していた(キョードーエンターテインメント提供)

 同時に、ブースを構えてみて、やはり音楽フェスとクリエイティブの相性はいいと実感できたという。

 「来場者の皆さんはファッションなどアート的な部分にこだわりのある方が非常に多いと感じました。そして、実際にブースに来られる方も、アーティストにちなんだデザインにしたいとか、はっきりとしたイメージをお持ちなので、生成AIでの画像生成もとてもやりやすい。また、生成した画像などを友人や会場内の人に見せ合う様子を見ても、とても楽しんでいただいていると感じました」(鈴木氏)。

会場では、自分で作成したオリジナルロゴのタトゥシールを貼ってフェスを楽しむ若者が多く見られた(共同エンターテインメント提供)

 先ほどの、運営側のPDF Space利用同様に、ブース出展についても開催直前に決まったそうで、たとえばジャイガ公式アプリとの連携など、なかなか手が回らなかった部分も多くあったそうだ。ただ、今回実際に参加して、来場者の反応を見ても大いに手応えを感じたそうで、今後も機会があれば音楽フェスだけでなく、さまざまなイベントに関わっていきたいという。そして、「まずはAdobeという会社を知ってもらい、クリエイティブなことがこんなに身近にあるんだ、自分でも簡単に扱えるんだ、ということも体験してもらうことで、クリエイティブの裾野を広げる、そこをゴールに定めて今後もさまざまな活動を行なっていきたい」(鈴木氏)と締めくくった。