やじうまミニレビュー

「GoPro」をWebカメラ化するWindows 11用アプリを試す。GoProならではのメリットおよびデメリットとは?

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
ビジネスシーンではいまいち出番のないGoProだが、Webカメラとして利用することが可能だ

 アクションカメラ「GoPro」をWindows 11上でWebカメラとして利用するためのアプリ「GoProウェブカメラデスクトップユーティリティ」が新たにリリースされた。すでにMac用やWindows 10以前向けアプリは存在していたが、Windows 11対応アプリはなかなかリリースされず、2022年12月にようやくのお披露目となった。

 GoProを趣味用途でガンガン活用している人であっても、ビジネスユースで出番はなく、ふだんは引き出しの中に片付けたままになっているケースは多いはず。また買ってみたもののいまいち活用できず、死蔵状態になっている人もいるだろう。

 こうしたケースにおいてGoProをWebカメラとして利用できれば、活用シーンを増やせてちょうどよい。実際に使い勝手を試してみたのでレビューをお届けする。

さまざまなビデオ通話アプリでWebカメラとして利用可能

 利用にあたっては、まずは手持ちのGoProを、2022年12月に公開された新しいファームウェアにアップデートする。対応するGoProは、HERO11 Black、HERO10 Black、HERO9 Black、HERO8 Blackで、それ以前のモデルは対応しない。今回の例ではHERO10 Blackを使用している。

 ファームウェアのアップデートが終わったら、続いてWindows 11用のアプリ「GoProウェブカメラデスクトップユーティリティ」をサイトからダウンロードし、インストールする。メニューは英語だが、特に入力すべき項目はないので、迷うことはないだろう。

 以上の作業が完了したらGoProの電源を入れ、Windows11 PCにUSBケーブルで接続すると、カメラがUSBモードとなり、Webカメラとして認識される。接続に使うUSBケーブルはデータ転送に対応している必要があるので注意しよう。

今回使用したのは「HERO10 Black」。事前に最新ファームにアップデートしておく
続いて「GoProウェブカメラデスクトップユーティリティ」をダウンロードし、インストール
完了したらいったん再起動する
再起動したら「GoProウェブカメラデスクトップユーティリティ」が起動している状態でGoProをUSBケーブルで接続。本体に「USBで接続済み」と表示される
タスクトレイにGoProアイコンが表示される
ビデオ通話ソフトで「GoPro Webcam」を選択すれば通常のWebカメラとして利用できる

 使い方は一般的なWebカメラと同じで、特に難しいところはない。ざっと試した限りではZOOMやTeams、Webexなど主要なツールでは問題なくWebカメラとして認識され、利用できた。Windows上では仮想Webカメラとして扱われるので、組み合わせるツールによっては利用できない可能性があるが、たいていは大丈夫だろう。ちなみにWindows上では「GoPro Webcam」という名称で認識される。

 なお使えるのはカメラ機能だけで、マイク機能はサポートしない。また縦向きでの利用は現時点では非対応であるほか、利用するUSBケーブルの種類によっては、バッテリを挿入しておかないと動作しない場合もあるようだ。GoProサイト上にFAQページが用意されているので、導入時にトラブルが発生した場合は、そちらを参照するとよい。

GoProならではの広い画角はメリット? デメリット?

 以上のように、導入および普通に使うだけならば至って簡単なのだが、本製品にはGoProならではといっていい特徴がある。それはレンズがおそろしく広角であることだ。

 アクションカメラであるGoProは、魚眼に近い広視野角が特徴で、これをそのままウェブカメラとして使用すると、一般的なウェブカメラに比べてケタ違いに広い範囲が写ってしまう。一応アプリ側で画角を4段階で切り替えることは可能なのだが、どれも広角に寄っており、もっとも狭い「狭角」を指定しても、一般的なウェブカメラより映る範囲は広い。

 試しに画角63度のバッファロー「BSWHD06MBK/N」と並べてみたが、明らかにひとまわり広い範囲が写る。具体的な画角は不明だが、おそらく80度くらいはあるはずだ。

一般的なWebカメラ(バッファローBSWHD06MBK/N)と本製品を手前に並べ、奥にあるマネキンヘッドがどのように写るかチェックしてみた。ちなみに手前のデスクの幅は120cmある
一般的なWebカメラではこのように写る。これで画角は63度
本製品でもっとも狭い「狭角」の画像。はるかに広い範囲が写っている
「リニア」の画像。さらに範囲が広くなる。この時点ではまだデスクは水平に写っている
「広角」の画像。魚眼のような効果が加わり、デスクがゆがんで写っている
「SuperView」の画像。背後の4枚の扉がすべて収まっている。横に3人並んでも十分に写りそうだ
これらの画角はタスクトレイのアイコンをクリックして「レンズモード」から切り替えられる

 こうした本製品の特性は、メリットにもデメリットにもなりうるが、個人的には、この広い画角を活かした使い方をすることをお勧めする。例えば会議室のテーブルの横に本製品を設置し、左右に座る参加メンバー全員を写すといった用途だ。一般的なWebカメラではなかなかできない芸当だ。

むりやり画角を狭くして使うための方法とは

 もっとも、中には本製品を使って一般的なWebカメラ並の狭い画角でビデオ通話をしたい人もいるはずなので、ここでは外部アプリを使って画面の上下左右を切り取り、擬似的に狭角として使う方法を紹介し、本稿の締めとしておく。

 具体的には、ライブ配信アプリ「OBS Studio」の仮想カメラ機能を使い、読み込んだGoProの映像をソフト上でクロップする。こうすれば、本製品のレンズモードを「狭角」にした状態よりもさらに狭い範囲だけを表示できる。ちょっとした裏技といったところだ。

まずは「OBS Studio」をダウンロードしインストール
起動し「仮想カメラのみ使用する」を選択。続いて下段「ソース」の左下にある「+」をクリックする
「映像キャプチャデバイス」を選択
適当に名前をつけてソースを保存する
ソースを右クリックしてプロパティを開くとデバイスを選択できるので、入力元を「GoPro Webcam」に変更。OKをクリックしていったん閉じる
ホーム画面に戻り、ソースを右クリックして「フィルタ」を選択
フィルタ画面が起動する。「エフェクトフィルタ」の左下にある「+」をクリック
「クロップ/パッド」を選択。名前をつけて保存する
クロップするための画面が表示されるので、上下左右に切り落とす幅を入力する。左右300/上下100くらいを基準に好みで調整するとよい
zoomでの表示。これは元の「GoPro Webcam」の映像
入力元のカメラを「GoPro Webcam」から「OBS Virtual Camera」へと切り替える
「OBS Virtual Camera」の映像。元映像の上下左右が切り落とされ、より狭角になっていることが分かる

 ただしこの方法では、デジタルズームになって画質が下がってしまうのがデメリットだ。ここまで来るとわざわざGoProを使う必然性がなく、一般的なWebカメラで十分だ。現在はコロナ初期と違ってWebカメラの市場在庫が潤沢にあり、価格も下がっているのでなおさらである。

 もっともGoProは数多くのアクセサリが市販されており、それらを使ってさまざまな固定方法が可能だったりと、一般的なWebカメラと比べると自由度ははるかに高く、そうした点に魅力を感じる人もいるかもしれない。すでにGoProを所有している人は、今回紹介したウェブカメラ化の手順をいちど試してみて、フィットする用途があるか見極めてみてはいかがだろうか。

GoProであればミニ三脚などさまざまなアクセサリを活用できる。一般的なWebカメラにはない強みだ