やじうまミニレビュー
「GoPro」をWebカメラ化するWindows 11用アプリを試す。GoProならではのメリットおよびデメリットとは?
2023年3月29日 06:26
アクションカメラ「GoPro」をWindows 11上でWebカメラとして利用するためのアプリ「GoProウェブカメラデスクトップユーティリティ」が新たにリリースされた。すでにMac用やWindows 10以前向けアプリは存在していたが、Windows 11対応アプリはなかなかリリースされず、2022年12月にようやくのお披露目となった。
GoProを趣味用途でガンガン活用している人であっても、ビジネスユースで出番はなく、ふだんは引き出しの中に片付けたままになっているケースは多いはず。また買ってみたもののいまいち活用できず、死蔵状態になっている人もいるだろう。
こうしたケースにおいてGoProをWebカメラとして利用できれば、活用シーンを増やせてちょうどよい。実際に使い勝手を試してみたのでレビューをお届けする。
さまざまなビデオ通話アプリでWebカメラとして利用可能
利用にあたっては、まずは手持ちのGoProを、2022年12月に公開された新しいファームウェアにアップデートする。対応するGoProは、HERO11 Black、HERO10 Black、HERO9 Black、HERO8 Blackで、それ以前のモデルは対応しない。今回の例ではHERO10 Blackを使用している。
ファームウェアのアップデートが終わったら、続いてWindows 11用のアプリ「GoProウェブカメラデスクトップユーティリティ」をサイトからダウンロードし、インストールする。メニューは英語だが、特に入力すべき項目はないので、迷うことはないだろう。
以上の作業が完了したらGoProの電源を入れ、Windows11 PCにUSBケーブルで接続すると、カメラがUSBモードとなり、Webカメラとして認識される。接続に使うUSBケーブルはデータ転送に対応している必要があるので注意しよう。
使い方は一般的なWebカメラと同じで、特に難しいところはない。ざっと試した限りではZOOMやTeams、Webexなど主要なツールでは問題なくWebカメラとして認識され、利用できた。Windows上では仮想Webカメラとして扱われるので、組み合わせるツールによっては利用できない可能性があるが、たいていは大丈夫だろう。ちなみにWindows上では「GoPro Webcam」という名称で認識される。
なお使えるのはカメラ機能だけで、マイク機能はサポートしない。また縦向きでの利用は現時点では非対応であるほか、利用するUSBケーブルの種類によっては、バッテリを挿入しておかないと動作しない場合もあるようだ。GoProサイト上にFAQページが用意されているので、導入時にトラブルが発生した場合は、そちらを参照するとよい。
GoProならではの広い画角はメリット? デメリット?
以上のように、導入および普通に使うだけならば至って簡単なのだが、本製品にはGoProならではといっていい特徴がある。それはレンズがおそろしく広角であることだ。
アクションカメラであるGoProは、魚眼に近い広視野角が特徴で、これをそのままウェブカメラとして使用すると、一般的なウェブカメラに比べてケタ違いに広い範囲が写ってしまう。一応アプリ側で画角を4段階で切り替えることは可能なのだが、どれも広角に寄っており、もっとも狭い「狭角」を指定しても、一般的なウェブカメラより映る範囲は広い。
試しに画角63度のバッファロー「BSWHD06MBK/N」と並べてみたが、明らかにひとまわり広い範囲が写る。具体的な画角は不明だが、おそらく80度くらいはあるはずだ。
こうした本製品の特性は、メリットにもデメリットにもなりうるが、個人的には、この広い画角を活かした使い方をすることをお勧めする。例えば会議室のテーブルの横に本製品を設置し、左右に座る参加メンバー全員を写すといった用途だ。一般的なWebカメラではなかなかできない芸当だ。
むりやり画角を狭くして使うための方法とは
もっとも、中には本製品を使って一般的なWebカメラ並の狭い画角でビデオ通話をしたい人もいるはずなので、ここでは外部アプリを使って画面の上下左右を切り取り、擬似的に狭角として使う方法を紹介し、本稿の締めとしておく。
具体的には、ライブ配信アプリ「OBS Studio」の仮想カメラ機能を使い、読み込んだGoProの映像をソフト上でクロップする。こうすれば、本製品のレンズモードを「狭角」にした状態よりもさらに狭い範囲だけを表示できる。ちょっとした裏技といったところだ。
ただしこの方法では、デジタルズームになって画質が下がってしまうのがデメリットだ。ここまで来るとわざわざGoProを使う必然性がなく、一般的なWebカメラで十分だ。現在はコロナ初期と違ってWebカメラの市場在庫が潤沢にあり、価格も下がっているのでなおさらである。
もっともGoProは数多くのアクセサリが市販されており、それらを使ってさまざまな固定方法が可能だったりと、一般的なWebカメラと比べると自由度ははるかに高く、そうした点に魅力を感じる人もいるかもしれない。すでにGoProを所有している人は、今回紹介したウェブカメラ化の手順をいちど試してみて、フィットする用途があるか見極めてみてはいかがだろうか。