やじうまミニレビュー
Google「Titan セキュリティキー」ってどう使うの?NFCによるスマホ利用にも対応
2022年12月1日 06:31
近年はすっかり当たり前になった2段階認証(2要素認証)だが、その方法の1つとして注目されているのがセキュリティキーだ。PCの利用時にこれを挿しておけば、スマホの認証アプリやショートメッセージを使っての2段階認証を行なわなくとも、セキュアなログインが可能になる便利な一品だ。
今回紹介するGoogleの「Titan セキュリティキー」は、そんなセキュリティキーの1つだ。これまでUSB Type-A仕様のモデルが販売されていたが、新たにUSB Type-Cモデルが仲間入りした。
実はこの製品、2021年に発売になり、日本向けにも製品ページは登場していたものの、購入できない状態が続いていた。最近になってようやく在庫ステータスが表示されるようになり、実機を入手することができたので、簡単なレビューをお届けする。
USB Type-CのほかNFCによる認証にも対応
本製品は50.9×18.57×7mmで、小柄なUSBメモリといった印象。これまでのUSB Type-A仕様のモデルに比べると、全長および厚みは増しているが、特に目くじらを立てるレベルではない。
本体中央に指で触れるためのセンサーが搭載されており、これに触れることで認証が行なわれる。このキー自体が盗難にあっても、第三者に利用されることはないのがキモだ。
また本製品はNFCにも対応しており、スマホで利用する場合は、本製品をかざすだけで認証が行なえる。USBポートにすら接続していない状態で読み取って認証できるというのは、普段あまり目にしないやり方だけに初見では驚かされる。詳しくは後述する。
まずは2段階認証の方法の1つとして登録を実施
本製品を2段階認証の手順として利用するためには、まず何より、Googleアカウントに本製品を追加しなくてはならない。
といっても手順は簡単で、ブラウザでGoogleアカウントの管理ページを開き「セキュリティ」を選択すると、Googleへのログインにあたって2段階認証プロセスを設定するページが見つかる。
ここでもし2段階認証のプロセスが有効になっていなければオンにし、次いでリストから「セキュリティキー」を選択、あとは手順に従って登録作業を実施すればよい。途中でセキュリティキーにタッチするように促されるので、本体の中央にある丸い部分に指で触れ、さらに名称を設定すれば完了だ。
USBはもちろんNFCによるかざして認証にも対応
実際に利用するにあたっては、2段階認証の画面でセキュリティキーを利用する選択肢が表示されるので、指示に従ってUSB Type-Cポートに本製品を挿入し、指先でタッチすればよい。
つまり本製品を使えば、スマホの認証アプリが発行したコードや、メッセージを受信してクリックするなどの操作が不要になるわけだ。もちろん併用することも可能だし、逆にほかの方法をオフにして選択肢を絞ることで、セキュリティを向上させることもできる。
PCではなくスマートフォンではどうだろうか。Androidであれば、PCと同様に本製品をUSB Type-Cポートに差し込んで認証を行なうことも可能だが、どちらかというとNFCを利用した方が手軽だ。
やり方は簡単で、本製品をデスクの上に置き、そこにスマホをかざすだけ。物理的にどこにも接続されていないにもかかわらず、かざすだけで認証が完了するのは、見慣れないビジュアルなだけに最初は違和感があるが、キーホルダーに取り付けたままでも利用できるなど、利便性は非常に高い。
特にiPhoneの場合、ポートがLightningであることから、USB Type-Cの本製品を物理的に差し込めないわけだが(Lightning-USB-Cアダプターを使えば利用自体は可能だそうだが、面倒さは否めないだろう)、NFCを利用するならば問題ない。
日常の一手間を削減したい人に
現行のGoogleの2段階認証では、認証アプリやメッセージなど、スマホを使った認証が主に用いられるが、盗難や紛失によってスマホを利用できなくなると、それだけで詰んでしまう。うっかり自宅やオフィスにスマホを忘れてきてしまい、翌日まで手の施しようがなくなるケースもあるだろう。
本製品もまた物理デバイスゆえ、盗難や紛失、置き忘れの可能性は皆無ではないが、スマホと違って悪意のある第三者によって意図的に盗難に遭う危険は低いだろうし、置き忘れや紛失については、キーホルダーにつけて持ち歩けば起きにくい。
またNFCへの対応によるスマホでの利用も1つのポイントだ。仮にGoogleの2段階認証の方法がスマホで受信するメッセージだった場合、スマホ自体が悪意のある第三者の手に渡りログインされてしまった時点で打つ手がなくなるが、2段階認証で本製品がなければログインできないとなると話が変わってくる。またUSB経由での利用ではタッチが必須なので、そうした意味でも安全性は高い。
さらに本製品を用いることで、Googleの「高度な保護機能プログラム」を利用可能になる。これはGoogleアカウント向けの最も強力なセキュリティで、ログインにはこのセキュリティキーが必須になるなど、一般的な利用に比べてログインの要件が厳しくなる。機密性の高いファイルや情報を扱っている場合は、こちらの利用も視野に入れておきたい。
実際に使ってみて気になったのは、持ち歩く場合にUSB Type-Cポートが露出した状態になることだ。USBメモリのようにキャップを取り付けるか、あるいは本体内にポートが収納できる構造が理想だが、本製品はこのどちらにも対応しておらず、ポートは常にむき出しのまま。従来のUSB A仕様の製品にも言えるが、できればパッケージの中に、こうしたキャップも含めておいてほしいものだ。
ともあれ、2段階認証が一般的になってきた昨今、それによって必要になる一手間は、積み重なると意外に馬鹿にならないもの。価格も4,500円と手軽なだけに、フィッシング詐欺から身を守りたい人はもちろん、認証アプリからのコード入力やメッセージの受信といった日常の一手間を削減したいだけの人も、一度使ってみてほしい製品だ。