やじうまミニレビュー

IP68防水の音楽プレーヤー機能つき骨伝導ヘッドフォン「AfterShokz Xtrainerz」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Xtrainerz

 AfterShokzの「Xtrainerz」は、骨伝導ヘッドフォンにを統合したIP68防水のデジタル音楽プレーヤーだ。Amazon.co.jpでの販売価格は19,310円となっている。今回、サンプルを入手したので簡単に紹介したい。

 XtrainerzがIP68防水になっているのは、「水泳とともに音楽を楽しむ」というコンセプトのもと開発されているからだ。水泳が苦手な筆者にとって、そもそも水泳中に音楽を聴こうという発想すら沸かなかったのだが、言われてみれば、陸上スポーツは比較的容易に音楽とともに楽しめるのに対し、水中スポーツは難しそうである。

 じつはこのところ、ソニーが水泳用のヘッドフォン兼デジタルオーディオプレーヤーに注力しているようで、「ウォークマンW」シリーズを展開している。このシリーズはインナーイヤー型であり、水中で使うさいはイヤーピースを交換してから装着するようである。

 このタイプは水泳用ヘッドフォンとしてはメジャーのようだが、周囲の環境音が聞き取りにくくなるというデメリットが存在する。このためソニーも人が多い場所や、環境音が聞き取れないと危険な場所での使用を控えるよう注意を喚起している。また、AfterShokzによれば、深く差し込むタイプの水泳向けインナーイヤーヘッドフォンは、耳の感染症を引き起こすリスクがあるともしている。

 そこでXtrainerzは、AfterShokzの骨伝導技術により、水泳向けのヘッドフォンとしては珍しいオープンイヤーデザインを実現。耳をふさがないため、周囲の環境音が聞き取れ、なおかつ感染症にかかるリスクも低減する、というわけだ。

製品パッケージ
水泳しながらでも音楽が楽しめる、というコンセプトのパッケージ
付属品など
操作は右耳の部分に集中している。
ポゴピンのため、カプラーを用いてPCと接続する

 もともと本製品はスポーツ向けということもあり、装着時のフィット感が高く、激しく頭を振ってもずれたり取れたりする気配はまったくない。オープンイヤーなので、周囲の声がけにもすぐに反応できる。

 ただ、音量を上げてしまうと、環境音よりも音楽に気を取られてしまいそうなため、ボリュームを抑えてBGMとして楽しむ程度にとどめておいたほうが、本製品のメリットを活かせるだろう。ただ、音楽として聴き取りやすいボリュームゾーンでは、音漏れがそれなりあるため、電車のなかでの使用はあまりおすすめできない。

 PCとの接続は、専用のカプラーのなかに本体のコントローラ部をはめて、USBで行なう仕組み。ピンは4つ出ているのでUSB 2.0接続だろうが、総容量は4GBと大きくないため、この転送速度で十分である。PCと接続するとマスストレージとして認識されるため、適当に音楽ファイルを放り込めばいい。対応フォーマットはMP3/WMA/AAC/WAV/FALCだ。

 操作ボタンは4つのみで、一部操作はコンビネーションもしくは長押しとなっている。音楽ファイルをすべてルートフォルダに放り込んでしまうと、ファイル名順の再生となってしまうため、フォルダを自身で作成して、アルバムやジャンルごとに音楽を整理しておきたい。

 音質については、骨伝導ということもあり、当初あまり期待していなかったのだが、意外にも普通に聴ける印象だった。オープンイヤーだと一般的なインナーイヤーヘッドフォンと比較すると低音がかなり弱い印象だが、チープなイヤフォンほど篭もった印象にはなっておらず、実用十分なレベルである。

 風呂の湯船に浸かるついでに水中でも試してみたが、驚くほど音量と低音が向上した。これなら確かに水泳向けヘッドフォンとして謳われてもおかしくはなかった。しかし、実際の水泳は耳が水面から出たり入ったりするので、音質もコロコロ変わってしまうのがネックである。

IP68防水なため、シャワーを浴びたり、お風呂の湯船に浸かったまま音楽を楽しめる

 ちなみに耳栓が付属するので、これをしてみたところ、水中と同じように音質と音量が向上したが、これだと骨伝導を使う意味が薄れてしまう。やはりオープンイヤーで使ってこそがXtrainerzの真骨頂だろう。また、音量をある程度上げると頬にそれなりに振動が伝わってくるため、ボリュームは常識的な範囲に抑えたほうが良いかもしれない。

 水泳しながら音楽が聴ける、というのはなかなか斬新なコンセプトであるのだが、いかんせん水泳しながら安定した音質を採ろうとすると骨伝導の特徴であるオープンイヤーにできず、オープンイヤーにすると今度は音質がコロコロ変わるという、微妙にトレードオフが存在する製品だ。メーカーが謳っている使い方から逸れるが、汗や雨で本体がビショビショに濡れても平気なスポーツシーンや、水場で安心して聴きたい音楽プレーヤーとして使うのが一番無難だろう。