やじうまミニレビュー
400Whの大容量ポータブルバッテリとデスクトップPCで何時間ゲームがプレイできるか試してみた
2019年7月1日 06:00
JackeryがAmazon.co.jp上で販売している「Explorer」シリーズは、ACコンセント出力を備えた大容量ポータブルバッテリだ。2月に編集部に400Whの容量を誇る「Explorer 400」のレビューサンプルが届き、そのとき簡単な外観フォトレビューをお届けしたのだが、まとまった時間がなかなか取れず、試用はできなかった。
今回このExplorer 400の使い勝手などを簡単に紹介しつつ、CHUWI製デスクトップPC「HiGame」とアイ・オー・データ機器の液晶ディスプレイ「EX-LD2071TB」一式を使い、どのぐらいの時間3Dゲームを稼働させられるか、チャレンジしてみた。
使いやすく、持ち運びやすい本体
まずは。外観と簡単な使い勝手を紹介しておこう。パッケージには本体のほか、ACアダプタ。シガーソケットから充電するためのケーブル、説明書、保証書、およびケーブル一式を収納するためのポーチが付属する。
本体はダークグレイをベースにオレンジのアクセントが入ったもの。上部に折り畳み式のハンドルを備えており、ハンドルにはラバーを備えているなど、片手で容易に持ち運べるよう配慮している。ただ。本体サイズは230×135×160mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3.6kgと、それなりのサイズと重さはある。現実的にはやはり車で持ち運んだほうがいいだろう。
Explorer 400は200W出力対応のACコンセント出力が1口、2.4Aに対応する5V USB出力端子が2口、12V出力のシガーソケットが1口となっている。USB出力は5V/2.4Aのみで、QuickChargeやUSB PDに対応しないのはややマイナスポイントだろうか。
一方の入力はACアダプタで、付属のものは20V/3.5A。計算すると70W出力タイプということになる。
なお、Explorer 400はACやUSBを挿しただけで供給がはじまるわけではなく、出力口の横のボタンを押してはじめて出力ができるようになる。AC出力の場合、なにも接続しない状態でも5~6W消費しているとディスプレイに表示された。
中央上部には液晶を備えており、入力/出力のW数およびバッテリ残量を表示する。DISPLAYボタンを押すと数秒間バックライトがつくので暗所でも状態が確認可能だ。ちなみに動作させたさいに「ピー」と大きな電子音が鳴るが、新ロットではこの動作音はキャンセルされたとのことだ(しばらくは旧モデルと混在)。
ちなみに、本体へ充電しながら外部に出力することも可能で、試しに満充電の状態でACアダプタを接続し、HiGameを起動してアイドルにさせたまま9時間駆動させてみても100%を維持したままだった。一時的ならUPS的な使い方も可能だろう。
本体の側面にはファンを備えている。充電のとき回転することはなかったのだが、ACアダプタでPCなどを駆動させると回転する。口径があまり大きくないためか、負荷時はそこそこ回転数が上がり騒音が聞こえてくる。しかし排出される熱自体はかなり控えめだ。後述するが、おそらく変換効率が良いためだろう。
Kaby Lake-Gデスクトップと液晶ディスプレイも稼働できる高出力
HiGameは高性能なゲーミングPCではないのだが、Explorer 400は最大出力が200Wであるため、筆者手持ちの高性能なデスクトップCPU+ディスクリートGPUを搭載したデスクトップではオーバーロードになる可能性がある。よって、十分な余裕をもったKaby Lake-G搭載のHiGameで試した次第である。
とはいえ、HiGameも最大負荷時で100W近く消費し、さらにディスプレイ分の負荷も加わるので、Explorer 400にとって優しいテストではないはずだ。なお、PCとディスプレイのほかに、USBスピーカーや無線キーボード/マウスも接続した状態でテストしている。
Explorer 400はACコンセントが1つしかないため、テストではタップを用いて分岐。うち1つにHiGame、もう1つに液晶をつなげた。HiGameの電源設定は高パフォーマンス、液晶の輝度は30(最大値は50)に設定。この状態でExplorer 400の液晶表示によると、起動~アイドル時は40~50W前後、3Dゲーム実行時は90W近く消費していることがわかる。
起動から各種設定確認、ゲームの完全起動まで5分ほど時間を要しているが、それ以降は3Dゲーム(黒い砂漠)を動作させ続けて負荷をかけ続けた。ちなみにExplorer 400はリチウムイオンバッテリを採用しているため、本来はDC出力であり、AC出力をするためのインバータを内蔵している。このため、ACアダプタでPCを駆動させるさいは変換ロスが生じる。
実際のテスト結果は4時間7分46秒であった。Explorer 400のバッテリ容量は公称409Whだ。先述のとおり、3Dゲーム実行時の負荷は90W前後だったので、実際に使った容量はほぼ360Wh前後といったところか。今回のテストは電源の変換効率的にもっともよさそうな50%前後の負荷であり、逆算すると変換ロスは12%前後だが、スペックを考えればかなり優秀ではなかろうか。
Explorer 400の実際のユーザーのおもな使用用途は非常電源用だろうか。そういった意味では今回のテストは実利用にそぐわないかもしれないが、少なくとも90W前後の負荷であれば、4時間程度の使用が可能であることがわかった。これだけ高出力なら、非常用電源としてかなり頼もしい。
ただ、バッテリ切れ間際にアラームが一切鳴らない点には注意したい。非常用電源であることを考えると、真夜中のバッテリ切れでけたたましいアラームが鳴るよりはマシだが、PCなどとつぜんの電源断で困る機器の場合は、常時液晶ディスプレイで残量を監視しながら使うことをお勧めする。
なお、0%から充電したところ8時間足らずで満充電となった。公称7.5時間と謳われているので、ほぼ仕様どおりだろう。
非常用やアウトドア用として1台備えておいて損はない
Explorer 400はドライヤーやヒーター、電気ケトル、炊飯器、電子レンジといった高出力な機器に対応できないが、非常時の連絡に必要な携帯電話やスマートフォンを複数回充電できるだけの容量を備えており、非常時に家族複数人で電源をシェアするさいに非常に有用だ。もちろん、日常のアウトドアレジャーで使えるため、キャンプやバーベキューなどで友人と集まってシェアするポータブル電源としても価値はあると感じた。
なお、さらに大容量を実現した「Explorer 700」も製品ページで予告されており、こちらの展開も期待したいところだ。