やじうまミニレビュー

HPブランドの外付けSSD 2製品を試す

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。

 以前にHPブランドの内蔵SSD 2製品を紹介したが、今回は外付けSSD 2製品をご紹介しよう。

 今回、代理店のプリンストンよりお借りしたのは、USB 3.1(Gen2)接続の「P600」と、Thunderbolt 3接続の「P800」の2製品。P600は容量500GBモデル(税別店頭予想価格は18,800円)、P800は容量512GBモデル(同38,400円)となっている。

パスワード保護に対応したP600

 まずはP600から。本製品は理論値が最大10GbpsのUSB 3.1接続ということで、競合品はSamsungの「T5」やSanDiskの「エクストリーム ポータブル」などが挙げられる。競合がAmazon.co.jpで14,000~15,000円前後で販売されるなか、本製品は18,591円(12月21日執筆時点)と、ややプレミアムが上乗せされている印象はあるが、極端に高いわけではない。

 製品デザイン面での特徴としては、まず本体サイズが92×65×20.8mm(幅×奥行き×高さ)と、2.5インチSSDよりもフットプリントが抑えられている点が挙げられる。このため、汎用の2.5インチSATA SSDをUSB 3.1の外付けケースに組み込むよりはスマートだ。

 もう1つ特徴的なのは、USBケーブルとUSB Type-A→Type-C変換コネクタが収納された箱が、磁石によって本体底面にピタッとくっつけられること。かばんに入れて持ち運んだときに「ケーブルどこいったっけ……」と探す手間が省かれ、スマートに持ち運べるのは素晴らしい。

P600本体
ケーブルを収納するケースは磁石でSSD本体にくっつく
ケーブルは短め。ちなみにテストしたかぎりでは、なぜかUSB Type-A→Type-C側をSSDに、Type-Cネイティブ側にPCに接続しても認識されなかった
重量は95gと軽量だ

 ソフトウェア面では、専用ユーティリティにより、パスワードによる保護領域が作成できる点がユニークだ。本製品をPCと接続すると、1つのドライブとしてではなく、複数のドライブとして認識される。

 このうち1つは書き込み不可のDVDドライブとして認識され、そのなかにパスワード保護領域ユーティリティ(BiwinDiskTool.exe)が入っている。そのユーティリティで、保護領域部分の容量と非保護領域の容量を設定し、パスワードを設定して本体を再接続するだけで、保護領域と非保護領域は別々の物理ディスクとして認識される仕組みとなっている。

 ちなみに、標準ではパスワードがかけられていないのだが、両方とも非保護領域で、別々のディスク(容量は282.83GBと半分ずつ)として認識された。設定ではどちらの領域もゼロにすることはできないようで、最低1.66GB確保されるようだ(ただユーティリティ上からはゼロとして認識され、保護領域はないものとして再設定できる)。パスワード設定後は、PCに接続したただけでは保護領域が見えない状態になっており、同ソフトを起動してパスワードを入力して解除する仕組みとなっている。

 注意したいのは、このユーティリティでパスワードと領域を設定するさいは、一切の説明や注意メッセージなしにディスクがクリアされてしまう点。そのため、あらかじめ何らかのデータが保存されていると、予告なしに削除されてしまう。別々のディスクとして認識される以上、単純なパーティション拡大/縮小ではないようだ。

パスワード保護ユーティリティで容量を設定できる

 また、パスワード設定後は、ユーザー自身がWindowsの「ディスクの管理」からディスクを初期化する必要がある点も、やや不親切だと言える。できればユーティリティのウィザードで完結してほしかったところではある。

 さて肝心な速度だが、さすがにUSB 3.1の理論値には届かないが、SATA 6Gbpsの上限に近いスコアは確認できた。内部的にはSATA 6GbpsとUSB 3.1の変換チップが入っているという認識で間違いないだろう。ランダムアクセスも速く、アプリケーションのインストールや実行も視野に入れていいレベルだ。USB 3.0接続でもさほど速度が落ちないため汎用性が高く、拡張性が限られる小型デスクトップやノートPCとの併用に向くだろう。

CrystalDiskMarkの結果
ATTO Diskbenchmarkの結果

P800

 P800は、比較的めずらしいThunderbolt 3接続のSSDだ。こちらはリード最大2,400MB/s、ライト最大1,200MB/sが謳われており、動画編集などでも活躍できそうなモデルとなる。今回試用したのは512GBモデルだ。

 ちなみに、税別店頭予想価格は256GBモデルが25,600円前後、512GBモデルが38,400円前後、1TBモデルが60,200円前後となっており、税別の1GBあたりの単価は約100円、約75円、約58.8円と大きな開きがあるため、よほどの理由がない限りは、素直に1TBモデルをおすすめする。

P800
ケーブルはスライドスイッチでポップアップするタイプ
波のようなデザインが入った筐体は高級感がある
重量は216gと重めだ

 こちらの競合はSamsungの「X5」やデルの「ポータブル Thunderbolt 3 SSD SD-T1000」あたりだが、いずれも9万円台であるため、それらよりはかなり安価である。ただ、X5はシーケンシャルリード2,800MB/s、同ライト2,300MB/sとなっているため、本製品はとくにライトで劣ることになる。

 とはいえ、P600の2倍以上の性能は持っているわけで、PC内蔵のNVM Express SSDとのあいだで大容量データのやり取りが多いユーザーなら十分選択肢に入る。

 Thunderbolt 3対応のPCと接続すると、この機器を認証するかといったダイアログがポップアップするので、認証すれば即利用可能になる。念のために言っておくと、本製品はUSB Type-Cコネクタを利用するため、USB 3.0/3.1のUSB Type-Cに接続自体はできるものの、何も認識はされない。

Thunderbolt 3ポートに接続するとポップアップするユーティリティ

 実測では、リード最大2,450MB/s、ライト最大1,000MB/sと、ほぼ期待どおりの結果を記録した。近年、4Kビデオの普及に加え、手軽にスマートフォンで写真を撮影できるようになったため、ユーザーのデータ量も増えているはず。SATA 6GbpsやUSB 3.0といった1世代前のストレージを使っていて、データの転送にストレスを感じているのであれば、PCリフレッシュのさいに、NVM Express SSDとともに本製品を検討してみてはいかがだろうか。

CrystalDiskMarkの結果
ATTO Diskbenchmarkの結果