やじうまミニレビュー
ゲーム中に誤って日本語モードになることを防げ、丸洗いもできるゲーミングキーボード
2017年9月12日 06:00
バッファローの「BSKBUG500BK」は、実売で約2,500円の超低価格なゲーミングキーボードだ。ゲーミングキーボードというと1万円以上の高級品というイメージがあると思うが、いい意味で期待を裏切る価格帯の製品だろう。
「3,000円もしないのなら大したことはないだろう」と侮ってはいけない。確かに、本製品は高級キーボードにあるメカニカルスイッチでもなければ、RGB LEDバックライトの機能やマクロ機能などはない。安価なキーボードの代表格であるメンブレンスイッチを採用している点もご想像のとおりだ。
しかし本製品はメンブレンスイッチを採用しながらも、プランジャー構造を採用することで、ぐらつきが極めて少ない押下特性を実現。加えてプランジャーには耐摩耗性や摺動性に優れるというポリアセタール(POM)樹脂を採用している。キーピッチは19mmのフルピッチで、ストロークは4mm確保されている。
実際タイピングしてみると、メンブレンならではの底打ちの鈍さは若干あるのだが、Cherry MX赤軸や静電容量式スイッチに近い感触でタイピングできる。2015年に下位モデルである「BSKBC02BK」も使ったことはあるのだが、そちらは「完成度の高いメンブレン」な印象なのに対し、BSKBUG500BKは「メカニカルもしくは静電容量スイッチに肉薄する打鍵感を実現した」と言ってもいいぐらいだ。
耐久性も、BSKBC02BKが500万回打鍵であるのに対し、BSKBUG500BKは2,000万回の実現を謳っており、耐久性の面でもメカニカルスイッチに肉薄しているわけだ。ちなみにキーキャップには耐摩耗性と耐薬品性に優れるというポリブチレンタレフタレート(PBT)樹脂を採用し、刻印もレーザープリントを採用するなど、機構部のみならず手に触れる部分の耐久性にも配慮した設計となっている。
打鍵感のみならず、キーキャップの形状もBSKBC02BKから大きく進化した。BSKBC02BKはレビューしたとおり、ステップスカルプチャー構造ではないため、奥になるにつれ「キーが遠くなる」印象は拭えなかった。加えてキートップが低い点も“安物感”が漂う原因となっていた。しかしBSKBUG500BKではステップスカルプチャー構造を採用するとともに、一般的なキーキャップの高さとなったため、これらの欠点が解消され、使い勝手およびデザインが大きく改善されている。
ただキーキャップの梨地の処理があまりうまくなく薄めであり、また底面に鉄板が入っているわけではないので、近くで見て実際に触ってみると高級機ではないのは明らかだが、実売で3,000円を切る製品としては十分な出来栄えだ。実は、本機はキーキャップがCherry MX軸のものと互換性があるので、「打鍵感は気に入っているけど見た目が……」という人は、保証外となるが交換にチャレンジしてみるのもいいだろう。
メンブレンスイッチのキーボードとしては珍しく、10キー同時押しと10キーロールオーバーもサポートしており、アンチゴーストにより、少なくとも一般的なゲーミング用途では不満はないいだろう。
本製品にはほかのゲーミングキーボードにあまり見られない特徴がある。1つ目は排水機構を備えており、若干濡れたりしても平気で、汚れたら流水で丸洗いできる点。ゲームプレイ中に爆笑して「コーラ吹いた」、「お茶こぼした」といったシーンに出会うのは日常茶飯事だが、BSKBUG500BKならなんら問題ない(コーラを吹いた場合、問題になるのはキーボードじゃなくて液晶ディスプレイかもしれないが)。汚れたりしたら丸洗いすればいいだけだ。
もう1つの特徴は、ゲーミングキーボードではもはや当たり前となっているWindowsキー無効化機能に加え、日本語入力に関連するキーを無効化する「Gaming mode」を備えている点。FnとF1キーを同時に押すと、スペースバーの「G」のロゴが青く光り有効になるこの機能、じつは筆者が開発担当者にCOMPUTEX TAIPEI 2015のときにお会いしたときに要望を出したもので、それが実現されたものだったりする。
というのも、多くの海外のゲームは、日本語入力システムの存在を考慮しておらず、ゲーム中に誤って「Caps Lock」や「半角/全角」、「ひらがな/カタカナ」キーを押して日本語入力をオンにしてしまうと、日本語入力になってしまい、一切キャラクター操作できなくなることもあるからだ。
筆者はかつてMMORPG「ファイナルファンタジーXI」(FF11)をプレイしていたときに、パーティーを組んでプレイ中に誤ってWindowsキーを押してしまい、フルスクリーンを失ったFF11が終了、筆者が再ログインできた頃にはパーティーのほかの人が(要員不足により)全員敵に倒され死ぬという場面に何度も遭遇したことがある。当時のFFXIではキャラ死亡のペナルティは大きかったので、こんなミスをしたら穴掘って入りたくなる。これを回避するためにWindowsキーがないキーボードをわざわざ買いに走った覚えがあるぐらいだ。
今やゲーミングキーボードでWindowsキー無効化機能の実装が当たり前となっているが、逆に多くのゲームソフト側で対応し始め、もはやWindowsキー無効の実装の意味は薄れてしまった。その一方で、海外のゲームは相変わらず日本語入力関連について考慮しているものは少なく、先述のような操作ミスが多発する。そういった意味でもBSKBUG500BKの実装は有意義なものだ。
おそらくこの実装の意味を認知しているのも、国内メーカーであるバッファローならではであり、しばらく海外メーカーの製品に実装されることはないだろう。ゲームプレイにおいて筆者と同じ悩みを抱えているのであれば、BSKBUG500BKは買いの製品であること間違いない。