やじうまミニレビュー
日本サムスン製のUSB 3.1対応高速ポータブルSSD「Portable SSD T5」
2017年8月18日 09:00
日本サムスンから、ポータブルSSD新モデル「Samsung Portable SSD T5」(以下T5)が発表された。
従来モデル「Samsung Portable SSD T3」(以下T3)の後継として位置付けられており、手のひらにすっぽりと収まる軽量コンパクトボディながら、最大2TBの容量を実現。さらに、接続インターフェイスがUSB 3.1となり、アクセス速度も高められている。
今回、T5の容量1TBモデルをいち早く試用する機会を得たので、製品の特徴や速度をチェックしたいと思う。
T5の外観は、従来モデルのT3とほぼ同じだ。サイズは74×57.3×10.5mm(幅×奥行き×高さ)と、奥行きがごくわずかに小さくなってはいるが、同等と考えて差し支えない。また、重量も約51gでT3と同じ。手のひらにすっぽり収まるのはもちろん、非常に軽いため、携帯性も申し分ない。
筐体には金属素材を採用するとともに、内部には耐衝撃フレームを備えることで、T3同様に2mの高さからの落下や、最大1,500Gの衝撃に耐える堅牢性も備えている。ただ、T3のようなツートンカラーのデザインではなく、単一カラーのデザインに変更され、重厚感が増した印象がある。
容量は、T3同様に250GB/500GB/1TB/2TBの4モデルをラインナップしており、本体色は容量250GB/500GBモデルがAlluring Blue、容量1TB/2TBモデルがDeep Blackとなる。
NANDフラッシュメモリには、64層の3D NAND「V-NAND」を採用。TLC (3bit MLC)仕様ではあるが、一部の領域をSLCバッファとして利用する「TurboWrite Technology」の採用によって、高速なアクセス速度を実現している。
接続インターフェイスはUSB 3.1に対応するとともに、USBの高速転送モード「UASP (USB Attached SCSI Protocol) Mode」をサポートすることによって、データ転送速度は最大540MB/sに達する。従来モデルのT3では、転送速度は最大450MB/sだったが、USB 3.1対応によってさらなる高速化が実現されている。
接続コネクタはT3同様にUSB Type-Cを採用しており、製品にはType-C to Type-CケーブルとType-C to Type-Aケーブルが付属する。
また、T3同様に、標準でAES 256bitハードウェア暗号化機能を搭載。パスワードを設定することで、保存データを安全に管理できる。パスワードの設定には専用アプリケーション「Samsung Portable SSD Software」を利用する。
Samsung Portable SSD Softwareは、Windows用、Mac OS用、Android用が用意され、暗号化を設定したり製品の状態を確認できる。また、Windows用とMac OS用では最新ファームウェアへのアップデートも行なえる。なお、対応OSはWindows 7以降、Mac OS X 10.9以降、Android 4.4以降となる。
では、アクセス速度をチェックしよう。
今回は、hiyohiyo氏製作の「CrystalDiskMark 5.2.2」を利用し、標準状態と、パスワードを設定した暗号化状態の双方でアクセス速度をチェックしてみた。テストに利用したT5は容量1TBモデルとなる。
なお、今回の試用モデルに搭載されているファームウェアは暫定バージョンで、製品出荷時には異なるファームウェアが搭載される可能性もある点はご了承願いたい。
比較としてT3の250GBモデルを用意し、同様のテストを行なった。なお、テスト環境は以下のとおりで、Z97A GAMING 6のオンボードUSB 3.1ポートに接続して検証した。
テスト環境 | |
---|---|
マザーボード | MSI Z97A GAMING 6 |
CPU | Core i7-4770K |
メモリ | DDR3-1600 4GB×2 |
システム用ストレージ | Samsung SSD 840 PRO 256GB |
OS | Windows 10 Pro 64bit |
結果を見ると、T5はシーケンシャルリードが459.7MB/s、シーケンシャルライトが468.9MB/sを記録した。T3ではシーケンシャルリードが404.1MB/s、シーケンシャルライトが393MB/sだったため、双方とも大きく速度が向上している。
また、暗号化機能を有効かした場合の結果を見ると、非暗号化状態とほとんど速度に変化がないことがわかる。暗号化処理をハードウェアで行なっているため、暗号化利用時でも性能が犠牲になっていない。
ただ、T5の公称のシーケンシャルアクセス速度は最大540MB/sとされており、今回の結果がその数字を大きく下回っている点は気になる。そこでいろいろとチェックしてみたところ、どうやら今回のテスト環境では、接続時にUASP Modeで接続できてないようだった。
テストで利用したマザーボードは、AsMediaのUSB 3.1コントローラ「ASM1142」を搭載し、背面のUSB 3.1対応のUSB Type-CポートにT5を接続、ドライバも最新にしてあるが、T5およびT3を接続するとUASP Modeで接続されない。
そこで、同じくAsMedia製のUSB 3.1コントローラを搭載し、USB 3.1対応USB Type-Aポートを備える、NEC製ノートPC「LaVie Hybrid Zero PC-HZ750GA」でもチェックしてみたところ、そちらでもUASP Modeで接続できなかった。念のためUSB 3.0ポートに接続してみると、T5、T3ともに問題なくUASP Modeで接続される。
OS、USB 3.1コントローラ、ドライバのどこに問題があるかは定かではないが、少なくとも今回の検証で利用したテスト環境では、そのいずれかに何らかの問題があるものと考えられる。今回は、その他の環境を用意できなかったが、今後改めて異なる環境を用意し、検証してみたいと思う。
とはいえ、非UASP Modeでもアクセス速度は十分に速く、現時点でUSB接続のポータブルSSDとして最も高速な部類の製品であることは間違いない。
加えて、軽量コンパクトで、容量も余裕があり、AES 256bitハードウェア暗号化機能によって安全性も高められており、大容量データを安全かつ快適に持ち歩く用途に最適の製品と言えそうだ。