笠原一輝のユビキタス情報局

WiMAX2+の各種データ量カウントの仕組みを整理する

~通信量制限のロジック、SIMロック解除への方針は

 モバイル環境でノートPCやWindowsタブレットなどを利用するユーザーにとって、常に頭が痛いのは出先でのネット環境の確保だろう。

 以前は、PCを使うには無制限のデータ専用回線を、電話には通話機能付き回線をと、使い分けてきた人もいると思うが、現在では電話がPCでもあるスマートフォンに置き換わってきたことで、通話回線+データ回線のセットもあたり前になってきた。外出時にちょっとしかデータ通信を行なわないユーザーであれば、テザリングをオンにしてスマートフォンの回線にPCをぶら下げるというのも一般的になりつつある。

 だが、出先にいてずっと作業をすることが多いユーザーにとっては、常にテザリングをオンにしていてはスマートフォンのバッテリがどんどん減っていくし、例えばクラウドストレージとの同期を常に行なっているユーザーであれば、スマートフォンの回線に割り当てられているデータ量をどんどん消費してしまうことになる。

 そうした理由から、今でもWi-Fiルーターなどのデータ専用回線を契約したり、依然としてデータの総量が無制限な回線を必要としているというユーザーも少なくないだろう。

 そんなユーザーにとって、これまで主要な選択肢となってきたUQコミュニケーションズの提供するWiMAXの無線サービスだが、今、従来のWiMAXからWiMAX2+へと本格的な移行期を迎えている。UQコミュニケーションズに割り当てられている50MHz幅の2.5GHz帯の帯域のうち、従来の30MHzがWiMAX、20MHzがWiMAX2+という設定が、10MHzがWiMAX、40MHzがWiMAX2+という設定へと、割り当てが徐々に変更されている。

 当然、WiMAXからWiMAX2+へと乗り換えを検討しているユーザーも多いだろうが、WiMAX2+ではWiMAXまでの完全無制限から若干の制約のある無制限(それを無制限と呼んでいいかは議論があるとは思うが……)へと変更されており、乗り換えをためらっているユーザーもいるのではないだろうか。

 そこで、本記事では、これまでWiMAXを利用してきたユーザー向けに、そうしたWiMAX2+での“制約”とは何なのか、どのような仕組みなのか、そのあたりをUQコミュニケーションズの担当者に聞いてきた。非常に複雑な仕組みのため、完全に理解している人は少ないと思うので、本記事がそうしたデータ回線の選択において役立てば幸いだ。

UQに割り当てられている50MHzの利用割合が変わっていく

 初めに、UQのWiMAXサービスを理解する上で避けて通れない技術的な話があるので、しばしお付き合い願いたい。無線通信を行なう場合、2.4GHz帯や一部の5GHZ帯などのライセンスなしで利用できる帯域幅を除き、特定の帯域を利用して通信を行なう場合には、通信事業者などがライセンスを獲得しておく必要がある。携帯電話ももちろん例外ではなく、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、Y! mobile、そしてUQコミュニケーションズ(以下UQ)などのMNOキャリアが、総務省から特定の帯域を割り当てられ、それを利用して事業を行なっている。現在UQに割り当てられているのは、2.5GHz帯のうち50MHzで、それを利用して同社はWiMAXとWiMAX2+という2つの方式の通信サービスを展開している。

 元々UQに割り当てられていたのは、このうち30MHzで、UQは2009年のサービス開始時以来、これを利用してWiMAXサービスを展開してきた。最終的には、WiMAXではこの30MHzを利用して、下り40Mbps/上り15.4Mbps(理論値、以下同)の通信速度を実現した。

 そのUQが2013年の10月からサービスを開始したのが、WiMAX2+という通信方式で、これはTD-LTEという携帯電話で一般的に利用されてきた通信方式であるLTEと互換性がある。このWiMAX2+では、これまで(2015年2月以前)UQが2013年7月に総務省から新たに割り当てられた20MHzを利用し、下り110Mbps/上り10Mbpsの速度でサービスが提供されてきた。つまり、30MHzをWiMAXに、20MHzをWiMAX2+にという形で利用してきたのだ。

UQコミュニケーションズに割り当てられている2.5GHz帯の使い方

 だが、30MHzを利用しているWiMAXが最大40Mbps、20MHzを利用しているWiMAX2+が最大110Mbpsと、帯域は小さいのにWiMAX2+の方がよりピーク時の速度が速くなっている。これはTD-LTEという最新の通信技術と互換性があるWiMAX2+の方が効率が良いためだ。実際にはWiMAXは30MHzと1.5倍の帯域を利用しているので、10MHz単位で考えれば、WiMAXが13.33Mbps、WiMAX2+が55Mbpsとなり、実に4倍近い差となっている。

 具体的言うと、同じ10MHz単位で考えると、10人のユーザーが1つの基地局にぶら下がっていた場合、WiMAXを利用した場合には1人1.13Mbpsでしか通信できないのに対して、WiMAX2+の場合には1人5.5Mbpsで通信できるということだ。だとすれば、WiMAX2+に移行するというのは通信キャリアだけでなく、ユーザーにとってもメリットがあるということになる。

 こうしたこともあり、現在UQは2015年2月以降、50MHzの帯域の割り当てを、WiMAXを10MHzまで縮少し、それによって余る20MHzのWiMAX2+への割り当てを全国の基地局で徐々に行なっており、2015年9月末に完了する予定となっている。そうすれば、UQのネットワーク全体で流せるトラフィックが増え、ユーザーもより高速に通信できるからだ。かつ最新のCA(キャリアアグリゲーション)に対応した端末では、20MHz+20MHzの帯域2つを組み合わせて40MHzで通信できるようになり、倍の通信速度になる下り220Mbpsでの通信が可能で、ユーザー全体に大きなメリットがある。

 しかし、問題は現在WiMAXで通信しているユーザーにとっては、10MHzに帯域を減らされることは、速度が3分の1になるということで、“犠牲を強いる”ことであるのは否定のしようがない。しかし、無線通信が、少ない帯域幅を多くのユーザーで分け合うという仕組みである以上、同じ帯域幅でより多くのデータを転送できる最新の方式に移行することは、結局はユーザーのためであるのも事実である。

 そこでUQでは、現在WiMAXからWiMAX2+への乗り換えキャンペーンを行なっている。「WiMAXからWiMAX2+への移行は弊社だけの努力ではできない。お客様の協力がどうしても必要になるため、お客様が移行しやすい施策を実施していく」(UQコミュニケーションズ株式会社 企画部門 事業企画部長 兼 サービス・料金企画グループマネージャ 廣井功一氏)と、UQとしても積極的にユーザーにアピールしていく。

 現在UQが行なっている「ギガヤバ移住計画」では、現行のWiMAXサービスを契約しているユーザーに対し、現在の契約の契約解除料、WiMAX2+の登録料、WiMAX2+の機器代金を全て無料にし、かつ、現在のUQの主力料金プランである「UQ Flatツープラス ギガ放題」の月額料金を最大25カ月間3,991円で提供するというものだ(9月末まで提供予定)。移行にかかる費用が全て無償で、2年間は現在のWiMAXと同じような料金で利用できるというのだから、WiMAXを契約しているユーザーにとっては美味しいキャンペーンだと言える。

UQコミュニケーションズ株式会社 企画部門 事業企画部長 兼 サービス・料金企画グループマネージャ 廣井功一氏

WiMAX2+の通信機器に用意されている3つの通信モード

 UQの料金プランだが、現在の料金プランは基本的にシンプルで、データ容量無制限のプラン(UQ Flatツープラス ギガ放題)が4,730円、月あたりのデータ通信料が7GBまでのプラン(UQ Flatツープラス)が3,991円という2つの基本プランがある。一般的にUQのようなデータ通信に特化した通信事業者と契約するユーザーは、7GBのようなデータ制限があるプランよりは、データ量に上限を設けない形でのプランを選択する方が多いと考えられるので、以下基本的に断りがない場合にはUQ Flatツープラス ギガ放題での場合を説明しているとして話を進めていきたい。

 既に明らかになっているように、UQのWiMAX2+では、従来はなかった3日間/3GBという速度制限が今後段階的に導入されていく。一応、4月1日から導入予定だったが、別記事にもあるように現時点ではまだ導入されておらず、今月末あたりから導入されることになる。これによって具体的にどのような制限が行なわれるのかを理解するには、まずWiMAX2+の通信デバイスでは具体的にどのような通信モードがあるのかを理解する必要がある。

【WiMAX2+デバイスでの通信モード】
サポートされる通信方式W01WX01HWD14/15NAD11Uroad-Stick
ハイスピードプラスエリアau LTE/WiMAX2+(自動切替)---
ハイスピードWiMAX2+/WiMAX(自動切替)○*1
ノーリミットWiMAX--
*1 WiMAX2+のみ

 WiMAX2+に対応した通信機器は、LTE(実際にはUQの株主になるKDDIのネットワークを利用するLTE)、WiMAX2+、WiMAXのつの通信方式に対応している。しかし、全ての通信方式が利用できるわけではなく、例えばHuawei製のW01であればLTEとWiMAX2+、NECプラットフォームズのWX01であればWiMAX2+とWiMAXと、搭載されている通信方式は機種によって異なっている。

 かつ、どの通信方式が利用できるかは、端末がどのモードに設定されているかに依存する。現在のWiMAX2+通信機器では3つのモードが用意されており、ハイスピードプラスエリア(HS+A)、ハイスピード(HS)、ノーリミット(NL)の3つのモードから選択できる。なお、このモードも、選べるモードは機種によって異なっており、W01であればHS+AとHS、WX01であればHSのみ、HWD15であれば3つ全てを選択することができる。

 このうち、NLはWiMAXとの互換性を意識したモードで、サービス開始当初はWiMAX2+の電波カバー範囲が狭く、常にWiMAX2+とWiMAXを切り替えて通信していると使い勝手が悪くなるため、そうしたことを防ぐために設けられたモードになる。ただ、現状では都心部などではWiMAX2+がカバーする範囲はWiMAXとほぼ同じになりつつある。もちろん、例外はあって、例えば地下鉄のような所ではまだWiMAX2+の電波が来ていなかったりするが、それでもWiMAXである必然性は減りつつある。

 このため、「WiMAX互換機能に関しては過渡的なモノだと考えている。今後は徐々にWiMAX互換機能は減らしていく方向」(廣井氏)との通り、UQとしてもWiMAX対応や、WiMAX固定モードであるNLモードの実装は減らしていく方針だという。既に現行機種となるW01とWX01ではどちらもNLモードは実装されておらず、今後はWX01のようなHSでのWiMAX互換機能もなくなっていく方向だと考えられるだろう。

 ただ、逆に言えば、今後UQの帯域がWiMAX:30MHz/WiMAX2+:20MHzから、WiMAX:10MHz/WiMAX2+:40MHzという方向に基地局の切替が行なわれていけば、WX01、HWD15/14、NAD11などのWiMAX互換機能を持つ機種で、HSモードに設定した時には自動切替でWiMAXには落ちないで、できるだけWiMAX2+で通信して欲しいと考えるのではないだろうか。そう考えるのなら、WiMAX通信の機能がないためHSモードでもWiMAXに落ちないW01を選択するのが一番近道だが、既存の機種でもそうした改善を実現して欲しいと思うのは当然だ。

 UQ側では具体的には説明していないものの、4月にNAD11HWD15/14のファームウェアアップデートが相次いで行なわれた。両アップデートともに、「WiMAX2+通信性能の最適化を行ないました」との表記がある。その後、WiMAXに落ちなくなったという意見もあるようなので、どうもこの中にできるだけWiMAX2+に留まるような改良が加えられたと考えられる。NAD11、HWD15/14のユーザーであればそれらのアップデートを適用してみるといいだろう。

WiMAX2+のルーターは通信モードを切り替えることが可能になっている(写真はW01で、ハイスピードないしはハイスピードプラスエリアから選ぶことができる)

3つのモード、ハイスピードプラスエリアとハイスピードでカウンタが動いている

 さて、これらの3つのモードがあることを把握した上で、3日間/3GBの制限や、1カ月7GBという制限はなんなのかを理解していこう。まず最初に理解したいのは、この通信制限は、通信方式(WiMAXか、WiMAX2+か、LTEか)ではなく、端末側で設定するモード(ハイスピードプラスエリア、ハイスピード、ノーリミット)に依存するという点だ。

WiMAX2+の通信量のカウントは、通信モード別に行なわれており、通信方式では行なわれていない

 例えば、ハイスピードプラスエリアはLTEとWiMAX2+の自動切替だし、ハイスピードならWiMAX2+とWiMAXの自動切替になる。ここが間違えやすいのだが、WiMAX2+やWiMAXなら無制限で速度制限がかからないという形の理解(図で言うところの上側)をしている人もいると思うが、WiMAX2+の通信機器ではあくまで下側に表示したように、通信機器側で設定されているモードでカウントされる。

 廣井氏によれば「ノーリミットおよびハイスピードプラスエリアでも、WiMAXになっている時では一切データ量をカウントするカウンタが回っていない。ハイスピードとハイスピードプラスエリアは共通のカウンタがあり、1カ月/7GB、および3日間3GBも同じようにカウントしている。ただし、UQ Flatツープラス ギガ放題のプランを契約している端末では、ハイスピードでの1カ月/7GBのカウンタを回していないという仕掛けになっている」という。廣井氏の言うことを分かりやすく図にすると以下のようになる。

WiMAX2+機器でのデータ量カウント。ハイスピードプラスエリアとハイスピードでは同じカウンタを利用しているが、ギガ放題に契約している場合にはハイスピードでは1カ月/7GBカウンタは動作しない

 要するに、UQの通信にはUQのサーバー側で「ユーザーがどのぐらいデータ量を消費したか」を数えるカウンタが論理的には2種類ある。1つは3日間で3GBになっているかをカウントするもので、もう1つが1カ月で7GBを超えていないかをカウントするものだ。ただし、ノーリミットモードであろうとハイスピードモードであろうと、WiMAXで通信している時にはカウンタは回らない。

 ハイスピードプラスエリア、ハイスピード、端末がどちらに設定されているのに関わらず、3日間で3GBに到達した場合には、翌日一定の速度制限がかかることになる。廣井氏によれば「問題となるのは、一部の急激にトラフィックが多くなるお客様だった。そこに対して何らかの制限をかけない限り、大半のお客様にご迷惑をかけてしまうことになる。弊社としても苦渋の決断だったが、そうしたお客様には一定の制限をかけさせていただくことにした」との通りで、問題は急激なトラフィックの増加にあるという。ある特定の顧客だけが帯域を占有し、常に通信しているようなことになると、他の顧客への影響も小さくなく、そこにはある程度の制限をかけなければならなくなったという。

 ただし、「128Kbpsのようなほとんど使えないレベルの通信速度制限ではなく、一般的な使い方であればご迷惑のかからないレベルへの制限」(廣井氏)との通りで、1月に行なわれた記者会見では悪くともYouTubeなどの標準動画を見られるレベルと明らかにされている。また、廣井氏によれば回線の混雑状況によって速度制限のレベル感が上下する場合もあるという。「このぐらいだからこうなるとは中々表現しにくい」(廣井氏)とのことなので、相当に複雑なアルゴリズムで制限が行なわれると考えられるだろう。

7GB超えには要注意だが、格安MVNO SIMの代替手段として有効

 ハイスピードプラスエリアの場合には、3日/3GBのカウンタに加えて、1カ月/7GBのカウンタも動くことになる。そもそも、このハイスピードプラスエリアを有効にした場合には、通常の料金に加えて1,085円がかかってくる。ハイスピードプラスエリアを一度でも利用にすれば1,085円がかかるが、一度も有効にしなかった月は料金はかからない。つまり、必要かどうかはユーザーが判断して、必要な時にだけオンにすれば良い。

 このハイスピードプラスエリアは、au/KDDIのLTEとWiMAX2+を自動で切り替える。従って、WiMAX2+が入りにくいところ、例えば郊外や地下鉄のエリアで使う場合などにオンにすると、au/KDDIのLTEで通信することができるので、WiMAX2+の弱いところを補うことができる。

 ただ、1つだけ注意したいのは、このハイスピードプラスエリアモードで1カ月/7GBを超えて使ってしまうと、ハイスピードプラスエリアはもちろんこと、ハイスピードモードであっても128kbpsの通信速度制限がかかるという点だ。ハイスピードプラスエリアが制限されるだけならいいのだが、ハイスピードモードでのWiMAX2+にも速度制限がかかってしまうので、ここが最大の注意点と言える。つまり、ユーザーの使い方としては、ハイスピードプラスエリアでは6.xGBまでで通信を止めて、それ以降は使わないようにしなければ制限が入ってしまう(このため、WiMAX2+のルーターには通信料のカウンタがついているほか、UQと直接契約しているならMyUQで確認することができる)。

 そこにさえ注意していれば、このハイスピードプラスエリアは、MVNOの格安SIM的な使い方が可能になる。例えば現状、月1,000円程度で3GBというプランをMVNOの通信キャリアは用意している。その代わりに、このハイスピードプラスエリアモードをうまく活用すれば、ほぼ同じ千円強で倍近い7GBまで使えるという意味で、使い方次第ではかなり便利だ。「ハイスピードプラスエリアは、例えば夏休みで郊外に旅行したときに緊急避難的に使って欲しい、そうしたモードだと考えている」(廣井氏)と、UQとしても、WiMAX2+が入らない場所で、どうしても通信したい時に臨時に使う、そういった使い方を意識しているとのことだった。

UQコミュニケーションズと直接契約している場合には、MyUQなどで各モードでの通信データ量を確認できる

SIMロック解除の方針は、W01後継機のタイミングで明らかになる見通し

 なお、現状WiMAX2+では、端末の乗り換えという概念がなく、基本的には新しい端末を買うには、契約も新しい契約に切り替えるしかない。ただし、WiMAX2+の端末では、携帯電話などと同じようにSIMカードに契約情報を入れる方式に変更されており、何らかの方法で別のWiMAX2+の端末を入手して、そこにSIMカードだけを入れ替えて使うという使い方も理論的には可能だ。「現状ではそうした端末の移動については何も制限をかけていない」(廣井氏)とのことだったので、UQ側は「保証はしないものの、ユーザーが自分でやる分には制限しない」というスタンスのようだ。また現状では、WiMAXの時代にあったような、UQのMVNO向けの端末を別のMVNOでは使えないようにする仕組みなども導入されていないということだった。

 最後に、SIMロック解除について触れておきたい。ご存じの通り、2015年5月1日から発売される端末に関してはSIMロック解除手段の提供が義務付けられることになったが、UQに関しては何もアナウンスはなかった。廣井氏によれば「どのようにするかは現在検討中。ただ、SIMロック解除が義務付けられるのはLTEが入っている端末で、5月1日以降に新たに発売する端末となる。弊社の製品で言えばW01のように、au LTEに対応している端末が入ってくれば対象になるので、例えばW02のようにW01の後継製品が出てくる時になれば対象になる。その時までに検討したい」とのことなので、現時点では決まっていることはないようだが、W01の後継製品が登場するまでには決定して発表したいということだった。

 以上のように、UQの「データ量制限とは何か」ということを詳しく見てきたが、一言で言えば「複雑だな……」というのが筆者の率直な感想だ。これだけ色々と説明しないと理解できない仕組みというのは、やはり制度的に問題が多いと思う。

 廣井氏も「非常に複雑な仕組みになってしまっているのは事実。今後検討・改善してきたい」と、UQ側でもそれは重々承知しており、時間をかけて対応するとのことだった。現時点で言えば、LTE、WiMAX2+、WiMAXという3つの通信方式をサポートするなど、その結果として複雑になることは分かるのだが、やはり将来的にはもう少しすっきりして欲しいと思う。

 ただ、廣井氏は「弊社としてはノーリミットの思想を捨てたわけではない。今後も極力無制限で、できるだけ高速に使える回線を提供していきたい」と、UQが依然としてユーザーに制限が少ない回線を提供していきたいという方針であることを強調した。確かに現状、特にMNOでは、高速な回線を“ほぼ無制限”で提供しているキャリアは減る方向で、依然としてノーリミットの方向性を目指すと言ってくれるUQの存在は、PCを出先でも使うユーザーにとっては心強い味方であることに変わりはない。しかし、状況は常に変わりつつあるので、よく内容などを検討し、自分にとって最適な回線を選ぶのにこの記事が役に立てばと願ってまとめとしたい。

(笠原 一輝)