PC短評

USBケーブル1本で動くIntel N100マシン「MINISFORUM UN100L」

「MINISFORUM UN100L」

 MINISFORUMからも低価格なミニPCで引っ張りダコのIntel Processor N100を搭載したモデル「UN100L」が登場した。現在公式サイトでは予約販売中となっており、選択可能な構成は3つ、メモリ8GB+256GB SSDが2万7,980円、16GB+256GB SSDが2万9,980円、16GB+512GB SSDが3万2,980となっている。今回は発売前の先行サンプルとしてメモリ8GB+256GB SSDのモデルを手に入れたので早速紹介していこう。

 MINISFORUM UN100Lの本体サイズは約112×115×46mm(ゴム足含む)、筐体はプラスチック製で重量は約365g。本体重量の軽さも相まって手に取るとモックではないかと疑うほどだ。付属品はACアダプタ、HDMIケーブル、交換用のゴム足や簡易マニュアルが付属している。

 今回同梱されていたACアダプタは試作機のためEUプラグだが、でも安心してほしい。何を隠そうこのMINISFORUM UN100L、消費電力が低いIntel Processor N100を搭載し、DP AltとPDに対応したUSB 3.2 Type-Cポートを備えているため、USB PDで駆動可能なのだ。

簡素だがパッケージに無駄がなく寸法も遊びがないので良い
少し高さのあるゴム足がかわいい
同梱のACアダプタはEU仕様だがUSB PDで駆動できるため問題無かった
縦が約112mm、横は約115mm
本体重量は実測値で約365gとかなり軽い

 CPUは第12世代モバイル向けプロセッサとなるIntel N100、グラフィックスはCPUに統合されたIntel UHD Graphicsを搭載。システムメモリはLPDDR5 2GB×4、ストレージはPCIe Gen 4.0接続の256GB M.2 SSD(Type 2280)、OSはWindows 11 Homeがインストールされている。

 インターフェイスは、3.5mmオーディオジャック、USB 3.1×2、USB 2.0×2、DisplayPort 1.4、Gigabit Ethernet、HDMI 2.0、USB 3.1 Type-C(画面出力およびPD給電に対応)、microSDカードスロット、無線LANはIEEE 802.11scとBluetooth 5.1に対応。

正面右からマイク、3.5mmオーディオジャック、USB 3.1×2、電源ボタン、リセットボタン
背面右からDCジャック、USB 2.0×2、DisplayPort、Gigabit Ethernet、HDMI、USB 3.1 Type-C
左側面は通気口のみ
右側面には通気口と前側にmicroSDカードスロットを備える

 本体裏側にあるゴム足は、ネジ穴の切り欠きにハマるように取り付けられており、ゴム足を掴んで軽く引っ張ると簡単に取り外すことができる。また復元時も切り欠きに合うように斜めに差し込むとピッタリ収まるため、従来の両面テープのような煩わしさはない。ゴム足下のネジ4本を取り外すと裏蓋が外れ簡単に内部へアクセスできる。

ゴム足がネジ穴の切り欠きにハマる設計はメンテナンス性に優れている
ゴム足下のネジ4本を取り外せば簡単に内部へアクセス可能
メモリは基板実装されたSamsung LPDDR5 4800MHz
ストレージはGOFATOO P110N-256GB

 テストした個体はサンプル品のため実際の製品とは異なる可能性がある。タスクマネージャーを開くとCドライブ以外にストレージがあり、なぜか未割当状態となっていた。

未割当のオンチップストレージにSamsung KLUDG4U1EA-B0C1 127GB
オプションで裏蓋部分に2.5インチのHDDやSSDが増設可能
Wi-FiはIntel Wireless-AC 9560
有線LANはRealtek RTL8168

 CPUには、Eコアだけを搭載する極めて低消費電力なAlder Lake-Nから、4コア4スレッドのIntel N100が搭載されている。Eコアの最大周波数は3.4GHz、CPUに統合されたIntel UHD Graphicsの実行ユニット数は24で最大周波数は750MHzで動作する。サンプルのシステムメモリは2GB×4、ストレージは256GBのM.2 SSD、OSはWindows 11 Home。

 ベンチマークを実施してみよう。最新のCinebench 2024ではエラーが出てしまうため、Cinebench R23を実行。マルチコアは2,113、シングルコアは880、総合的なパフォーマンスを計測するPCMark10ではスコア2,814となった。

 CPUの演算能力をはじめ日常的なタスクやマルチメディア処理、さまざまなアクティビティを評価するベンチマークの数値はIntel N100そのものだが、実際の動作やレスポンスという意味で8GBはかなり厳しい。一方、ワットチェッカーでベンチマーク中の消費電力を確認したところ、テストした個体では最大でも30W未満という感じだった。

Cinebench R23のマルチコアは2,113、シングルコアは880
PCMark 10のスコアは2,814、数値上では一般的なオフィスアプリケーションの動作に問題はない

 Unreal Engine 4で開発された話題のオンラインアクションRPGBLUE PROTOCOL、同作のベンチマークソフトを使ってFHD解像度における最高画質と低画質の両方のプリセットで計測。最高画質プリセットでは何度試してもエラーで完走せず。おそらくメインメモリが少なすぎて内蔵GPUへのメモリ割り当てが上手くいってない。低画質プリセットのスコアは1,175で動作困難という結果になった。

最高画質プリセットではエラーで完走せず
低画質プリセットのスコアは1175、レポートの平均フレームレートは8.549

 GPUのパフォーマンスを測定する3DMark Night Raidは4,233、Wild Lifeは2,775、Fire Strikeは1,147、Time Spyは369となった。負荷の軽いブラウザゲームなどなら問題ないかもしれないが、明確にゲームを目的としているならより内蔵GPUのパフォーマンスが高いミニPCを選択したほうが賢明だ。

 メモリ8GBのモデルでは、一般的なユースケースではOS起動直後にメモリ不足気味で苦行を強いられるため、修行目的でもない限り16GB以上の選択を強く推奨したい。その上であれば、N100はほとんどのシーンにおいて問題のない性能を提供してくれるだろう。

 本機にBluetoothや無線キーボード/マウスを駆使し、USB PD給電が可能な液晶モニターを利用すれば、まさにケーブル1本で運用可能なミニPCだ。スッキリとした卓上環境を実現したいのであれば、おすすめしたい1台である。

内蔵グラフィックス向けのベンチマーク、Night Raidのスコアは4233
クロスプラットフォーム向けのベンチマーク、Wild Lifeのスコアは2775
DirectX 11を使用するデスクトップPC向けのベンチマーク、Fire Strikeのスコアは1147
DirectX 12を使用するデスクトップPC向けのベンチマーク、Time Spyのスコアは369