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Intel CPUとNVIDIA GPUも1つにできる「UCIe」。Intelが半導体技術の進化をアピール

IntelがSynopsys/TSMCと共同で開発したUCIe準拠の「マルチ・チップレット・パッケージ」

 Intelは9月19日(米国時間)、米カリフォルニア州 サンノゼ市にあるサンノゼ・コンベンションセンターで年次イベント「Intel Innovation 2023」を開催した。午前中には、CEO パット・ゲルシンガー氏による基調講演が行なわれ、各種製品やロードマップなどが明らかにされた。

 この中でIntelは同社の「4年間で5ノード」という意欲的な製造技術開発計画に関しても紹介し、今後も同じようなペースで開発を続けていくと説明。そして先日発表した「ガラスサブ基板」の試作品、さらにはチップレットの業界標準UCIe(Universal Chiplet Interconnect Express)の規格に準拠した「マルチ・チップレット・パッケージ」を公開し注目を集めた。

Intel 4、Intel 3で製造されたウェハをステージ上に並べる

4つのウェハを紹介するIntelのパット・ゲルシンガーCEO。左からCore Ultra(Meteor Lake、Intel 4)、Granite Rapids(Intel 3)、Sierra Forest(Intel 3)、Arrow Lake(Intel 20A)

 ゲルシンガー氏は「4年間で5ノードという意欲的なロードマップは予定通り着実に実行されている」と述べ、CEOとしてIntelに戻ってきて以降、新しい企業戦略として導入された「IDM 2.0」(より進化したIDM=統合デバイス製造モデルという意味)の根幹となる製造技術開発の加速戦略が着実に実行されていることをアピールした。

4年間で5ノードの戦略は着実に実行されている

 Intelは8月にマレーシアで行なったイベントで明らかになっているように、その4年間で5ノードのうち、2番目になるIntel 4を利用してCore Ultraの製造を開始しており、12月14日に正式に発表する計画だ。そのため、既にOEMメーカーなどへの出荷を開始しているとみられ(そうでないと、12月14日に発売したりはできないからだ)、5つのうち2番目まで実行済みということになる。Intel 4の改良版となるIntel 3の開発も順調に進んでいる様子で、Intel 3で製造されるSierra Forestは、予定通り来年(2024年)の前半に投入されるとされている。

 ゲルシンガーCEOは、ステージ上に4つのウェハを並べて、ロードマップの着実な実行をアピールした。ステージ上に並べられたのはIntel 4で製造されるCore Ultra(Meteor Lake)、Intel 3で製造されるGranite RapidsとSierra Forest、Intel 20Aで製造されるArrow Lakeの4つで、「4年で5ノード」の着実な実行を視覚的にアピールした。

今後のプロセスノードのロードマップ

 また、ゲルシンガー氏はその先に関しても、さらに投資を行ない製造技術の進化を加速させていくと述べた。しかし、それは「Intel Next」とだけ紹介され、名称や、他のファウンダリなどで言えばどの世代のノードに該当するかなどに関しては明らかにされなかった。

UCIeの仕様に準拠した「マルチ・チップレット・パッケージ」やガラスサブ基板などの実物を公開

ガラスサブ基板

 今回Intelは前工程の製造技術に関してだけでなく、後工程のパッケージング技術などに関しても重要な発表を行なっている。Innovation 2023の開幕前日に発表されたのがガラスサブ基板(Glass Substrates)で、現在の有機素材(簡単に言えばプラスチック)のサブ基板を置きかえるものだ。

 ガラスサブ基板にすることで、信号の特性などが上がり、チップレットなどをより実現しやすくなる。Intelはその試作に成功したと発表し、2020年代の後半に実用化を目指すと説明している。今回ゲルシンガー氏は基調講演の中でこのガラスサブ基板の試作品を公開した。

UCIeには半導体業界の多くの企業が参加している

 そしてもう1つがUCIe(Universal Chiplet Interconnect Express)の規格に準拠した「マルチ・チップレット・パッケージ」の実働デモだ。UCIeは、チップレットの業界標準となる仕様で、Intelのほかにも、AMD、NVIDIA、Qualcomm、Samsung、TSMCといった半導体メーカーやファウンダリなどがボードメンバーとして参加しており、異なるチップメーカー、異なるファウンダリで作られたチップを1つのパッケージ上に混載することを、より容易にするための標準仕様を策定している。

Pike Creak

 今回、Intel 3で製造したチップを、TSMC N3(3nm)で製造されたSynopsysのチップを1つのパッケージ上で統合した開発コードネーム「Pike Creak」と呼ばれるチップを公開して、実際にデモした。

Pike Creakのデモ

 こうしたUCIeの取り組みについて基調講演後の質疑応答で質問に答えたゲルシンガーCEOは「UCIeにはさまざまな可能性がある。たとえばNVIDIAはAIでは競合だが、ゲーミングでは長年のパートナー。将来には、1つのパッケージの中にIntelのCPUやNVIDIAのチップが収まる、そんな未来が考えられる」と可能性の1つを挙げた。

 なお、誤解なきように説明しておくと、これは別にそういう具体的な計画があるということではなく、そうしたこれまでだと「難しい」と考えられていたことが、少なくとも技術的には解決するということをゲルシンガーCEOは言っている。

 これまで、こうした複数のチップを1つのパッケージに統合する場合、チップとチップを接続する方法などが標準化されていなかったため、どちらかないしは両方が特別なチップを設計して提供する必要があったが、今後はUCIeに対応できるように設計しておけば、あとはビジネス上の決断だけで、ゲルシンガーCEOが示したIntel CPUとNVIDIA GPUが1パッケージ上で共存することが実現するということだ。

 その意味で、UCIeが普及していけば、今後はそうした例が加速していくことになり、半導体メーカーの製品も1社だけで提供する時代から、複数のメーカーが持ち寄って提供する、そんなことが当たり前になっていく可能性があると言えるだろう。