西川和久の不定期コラム
デル「U3014」
~IPSパネル30型2,560×1,600ドット、色補正済みで出荷されるハイエンドディスプレイ
(2013/3/18 00:00)
デルは2月28日、デジタルハイエンドシリーズに30型IPS液晶パネルを採用した「U3014」を発表。同日より出荷開始となった。2月8日に記事を掲載した27型U2713Hの30型版だ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。
Premier Colorテクノロジーを採用したハイエンドディスプレイ
U3014は、冒頭に書いたようにU2713Hの30型版となる。仕様上の違いは、パネルサイズと解像度、そしてピボット機能の有無となる。
パネルサイズは30型。IPS式で非光沢タイプだ。視野角は上下/左右ともに178度と広い。非光沢なので映り込みが少なく、長時間作業しても疲れ難い。12bitの内部処理と14bitルックアップテーブル(LUT)に対応するほか、120%の広色域と10億7,000万色の表示色数を実現しており、幅広い用途に対応可能だ。
解像度はU2713Hが2,560×1,440ドットだったのに対し、2,560×1,600ドット。横方向は同じで、縦方向のみ若干多くなっている。ピクセルピッチは0.25mm。
そしてU2713Hにはピボット機能があったが、U3014は非対応だ。27型でも縦置きにして運用すると(U2713Hの時、短時間であるが試した)、視線が上下に動き個人的には結構疲れる。さらに大きい30型ではパネルの重量なども検討されて対応しなかったのだろう。
サイズ・重量以外のほかの機能は同じで、主な仕様は以下の通り。
デル「U3014」の仕様 | |
---|---|
最大解像度 | 2,560×1,600ドット、ピクセルピッチ0.25mm |
スクリーンサイズ | 30型(非光沢、IPS、LEDバックライト) |
視野角 | 水平178度/垂直178度 |
応答速度 | 6ms(中間色) |
輝度 | 最大350cd/平方m |
コントラスト比 | 1,000:1(最大200万:1) |
色域 | Adobe RGBカバー率99%、sRGBカバー率100%および120%(CIE 1976) |
インターフェイス | HDCP対応Dual Link DVI-D、DisplayPort 1.2、Mini DisplayPort 1.2、HDMI入力、USB 3.0アップストリームポート、USB 3.0ダウンストリームポート×4、DisplayPort出力、音声出力、デル製サウンドバー(AX510)用DC電源コネクタ、SDカードリーダ |
最大消費電力 | 標準60W、待機0.5W未満 |
チルト | あり |
スイベル | あり |
ピボット機能 | なし |
サイズ/重量 | 689.7×201.4×482.7~572.7mm/10.84kg(スタンド、ケーブル込み) |
直販価格 | 119,980円 |
応答速度は6ms(中間色)、輝度は最大350cd/平方m、最小50cd/平方m、コントラスト比は1,000:1(最大200万:1)。色域はAdobe RGBカバー率99%、sRGBカバー率100%および120%(CIE 1976)だ。最大消費電力は標準60W/待機0.5W未満。
インターフェイスは、HDCP対応Dual Link DVI-D、DisplayPort 1.2、Mini DisplayPort 1.2、HDMI入力、USB 3.0アップストリームポート、USB 3.0ダウンストリームポート×4、DisplayPort出力、音声出力、デル製サウンドバー(AX510)用DC電源コネクタ、SDカードリーダ。4ポートのUSB 3.0 Hub機能があるのはポイントが高い。またDisplayPort出力があるので、デイジーチェーンで対応機器を接続することも可能だ。
標準ではスピーカーを搭載していないものの、HDMI/DisplayPortオーディオの入力に対応し、音声出力が本体にあるため、純正のサウンドバーやアクティブスピーカーを接続することで、オーディオ用のケーブルを1本減らすことができる。
サイズは689.7×201.4×482.7~572.7mm(幅×奥行き×高さ)。90mmの高さ調整が可能だ。チルトとスイベルに対応する。重量は10.84kgとなる。価格は119,980円。一般的なディスプレイと比較すれば高価だが、スペックを考慮するとコストパフォーマンスは非常に高い。
ルックスはU2713Hをそのまま大きくした感じで非常にシンプル。あっさりしていて個人的にも好きなデザインだ。ただかなり大きいので設置するには十分なスペースが必要となる。
パネルが大きい分、ガタツキやフラツキが気になるかと思ったが、その心配は全く無用。上下の調整、チルト/スイベルもスムーズで安心して運用できる。ケーブルマネージメントも簡単な機構であるが十分に機能し、机の上がスッキリする。
裏側にあるインターフェイスは、デル製サウンドバー(AX510)用DC電源コネクタ、電源コネクタ、DisplayPort、Mini DisplayPort、DVI-D、HDMI入力、DisplayPort出力、音声出力、USB 3.0アップリンク、USB 3.0×2。一部U2713Hと並びは違うものの、機能的には同じだ。
映りはU2713Hと同じ傾向で、ドットピッチの違いから少し荒いように見えるものの、発色、コントラストも良好。所有するナナオの「EIZO CG245W」と比較しても遜色ない。なかなか優秀なディスプレイと言えよう。
電源スイッチとOSDのスイッチ類は右下側のフチに配置される。OSDのコントロールには、静電容量式のボタンが5つ並び、使える部分だけが光るため操作しやすい。
OSDの機能としては、プリセットモード(標準/マルチメディア/ムービー/ゲーム/用紙/色温度/色空間/ユーザーカラー)。輝度/コントラスト、入力信号。ここまでは簡易モード(カスタマイズで各ボタンの機能を変更出来る)で、メニューを選択するとフルモードのメニューが表示される。
フルモードでは、輝度/コントラスト、入力信号、色設定(入力カラー形式/ガンマ/プリセットモード/色設定のリセット)、画面設定(アスペクト比/シャープネス/ノイズ低減/動画コントラスト/統一性補正/スマートビデオエンハンス/DisplayPort 1.2/ディスプレイ情報/画面設定のリセット)、PIP設定、そのほかの設定(言語/メニュー透明化/メニュータイマー/メニューロック/ボタンサウンド/自動回転/電源管理設定/メニュー位置/オーディオの省電力/DDC.CI/LCDコンディショニング/工場リセット)、カスタマイズとなる。
なお、ガンマはPC(2.2)かMac(1.8)、色空間はAdobeRGB/sRGB/CAL1/CAL2、色温度は5,000/5,700/6,500/7,500/9,300/10,000K、ユーザーカラーは利得/オフセット/色相/彩度の調整を、利得とオフセットはRGB、色相と彩度はRGBCMYで個別に変更可能だ。
以下にOSDの画面を掲載したので参考にして欲しい(今回は言語の設定を日本語にして撮影した)。構成的にはU2713Hと同じとなる。
Dell Display ManagerとDell UltraSharp Color Calibration Solutionが魅力的
ソフトウェアの構成もU2713Hと同じ。セットアップやPCからもディスプレイコントロールを行なえる「Dell Display Manager」、i1Display Proを接続し高度なキャリブレーションに対応する「Dell UltraSharp Color Calibration Solution」となる。
今回試用した環境は、レノボ・ジャパンの「ThinkPad X201i」にドッキングステーションを接続、DisplayPortから付属のDisplayPort/Mini DisplayPortケーブルを使い、本体のMini DisplayPortへ接続。最大解像度の2,560×1,600ドットでテストしている。
これまで2,560×1,440ドットの液晶ディスプレイは何回か試したことがあるものの、2,560×1,600ドットは(おそらく)初めて。ThinkPad X201i+ドッキングステーションのDisplayPortがこの解像度で動くとは少し驚いた。この解像度で作動するWindows 8およびWindowsストアアプリの画面キャプチャを掲載したが、ご覧のように広大過ぎる表示で、横方向のスナップインも欲しくなってしまう。
「Dell Display Manager」はUSBケーブルを必要とせず、ディスプレイケーブルのみで機能する。プリセットモード/明るさ/コントラストはOSDで設定可能な項目だが、自動モードや「Easy Arrange」はPC独自の機能だ。前者は実行するアプリケーションに応じてディスプレイ側の設定を切り替える機能、後者はディスプレイ上に配置するウィンドウのプリセット機能となる。
「Dell UltraSharp Color Calibration Solution」は、i1Display Proと併用し、高度なキャリブレーションを行なえる環境だ。この時、ディスプレイ側もUSBに接続(Hubのアップリンク)する必要がある。
残念ながらi1Display Proを所有していないのでこれ以上のテストは行なえていないが、ターゲットをセットして、色空間のCAL1かCAL2へ結果を保存し、切り替えて運用する手順となる。
以上のようにデル「U3014」は、30型のIPSパネルを採用し、解像度はU2713Hの上を行く2,560×1,600ドット。色補正済みで出荷されるのに加え、i1Display Proを使うことにより、高度なキャリブレーションにも対応可能なハイエンドディスプレイだ。
サイズがサイズなだけにピボット機能はないものの、性能を考えるとコストパフォーマンスは非常に高い。本格的な30型液晶ディスプレイを探しているユーザーにお勧めできる逸品と言えよう。