西川和久の不定期コラム
レノボ・ジャパン「ThinkPad Twist」
~4形態で使用できるタッチ対応コンバーチブルUltrabook
(2013/3/14 00:00)
レノボ・ジャパンは2月20日、ディスプレイが回転し、「Laptop Mode」、「Tent Mode」、「Stand Mode」、「Tablet Mode」の4形態に変化するコンバーチブルUltrabook「ThinkPad Twist」を直販サイトで発売した。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けする。
4形態でさまざまな用途に適応できるUltrabook
同社は2012年、コンバーチブルタイプのノートPCとして「ThinkPad X230 Tablet」、そしてディスプレイが360度回転する「IdeaPad Yoga 13」の2モデルを市場に投入した。今回ご紹介する「ThinkPad Twist」は、この2つの特徴を合わせ持ったUltrabookであり、ThinkPadブランドでの登場となる。
CTOでプロセッサ、メモリ、OS、ストレージなど主要コンポーネント選択でき、最小構成のCore i3-3217U/メモリ4GB/HDD 320GBで75,810円(OS、液晶ディスプレイ、Wi-Fi、Bluetooth、ウルトラナビ、バッテリなどは同じ)。今回届いたのは、Core i7を搭載する最上位構成だ。主な仕様は以下の通り。
レノボ・ジャパン「ThinkPad Twist」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-3537U(2コア/4スレッド、2.0GHz/TB:3.1GHz、キャッシュ4MB、TDP 17W) |
メモリ | 8GB/PC3-10600 DDR3L(最大8GB) |
チップセット | Intel HM77 Express |
SSD | 128GB |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | IPS式12.5型液晶ディスプレイ(光沢/ゴリラガラス)、1,366×768ドット、5点タッチ対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000、Mini HDMI、Mini DisplayPort |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×2、音声入出力、フロントHDカメラ、4-in-1メディアカードリーダー、デュアルアレイ・マイクロフォン/ステレオ・スピーカー(DolbyHome Theater V4)、ウルトラナビ |
サイズ/重量 | 313×236×20mm(幅×奥行き×高さ)/約1.58kg(本体のみ) |
バッテリ駆動時間 | 最大約6時間(8セル) |
価格 | 75,810円から(今回の構成では111,930円) |
プロセッサはIntel Core i7-3537U。2コア4スレッドでクロック2.0GHz。TurboBoost時3.1GHzまで上昇する。チップセットはIntel HM77 Express。メモリはPC3-10600 DDR3Lが使われ最大の8GB搭載済み。ストレージは128GBのSSDだ。OSは64bit版のWindows 8。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 4000。Mini HDMIに加え、Mini DisplayPortも装備する。
液晶パネルは、ゴリラガラスを採用したIPS式12.5型で5点タッチ対応。解像度は、HD/1,366×768ドット。強靭なゴリラガラスと言うこともあり、安心していろいろな場所で扱える。
ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11a/b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応。その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、音声入出力、フロントHDカメラ、4-in-1メディアカードリーダー、デュアルアレイ・マイクロフォン/ステレオ・スピーカー(DolbyHome Theater V4)、ウルトラナビ。
サイズは313×236×20mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.58kg(本体のみ)。色は「モカ・ブラック」。8セルのバッテリを内蔵し、最大約6時間駆動可能だ。
CTOモデルなので、価格はコンポーネントの組合わせによってさまざま。今回の構成では111,930円となる。
本機最大の特徴は、液晶パネルが回転し、クラムシェル型ノート「Laptop Mode」、ディスプレイを外側にしてテントのように立てる「Tent Mode」、ディスプレイを外側にして角度をつけて操作できる「Stand Mode」、ディスプレイを外側にして完全に閉じた状態で使う「Tablet Mode」と、4形態に変化できること。
Tent ModeやStand Modeは、タブレット+スタンドのような置き方が可能で、タッチパネル操作が主な場合は、なかなか使いやすそうだ。変化する様子を動画で掲載したので参考にして欲しい。
「モカ・ブラック」と呼ばれる色は、従来のThinkPadのように真っ黒ではなく、少し茶色がかった非光沢の黒。手触りもマットな感じだ。液晶パネルのフチとキーボードは光沢のある黒、そしてパネルの外側はほとんどの部分がシルバーで覆われている。ThinkPadとしてみた場合は(特に筆者のように古い機種から知っている人にとっては)少し異質だが、デザイン自体は悪くなく、少し違う部分があっても、やはり雰囲気はThinkPadだ。
タブレットにもなるため、電源、音量調整、回転ボタンなど、ボタン系は液晶パネル側、USBなどインターフェイス系はボディ側に収められている。
左側面は、4-in-1メディアカードリーダー、Ethernet、Mini HDMI、USB 3.0、音声入出力。右側面は、電源入力、mini DisplayPort、USB 3.0。裏側にメモリやストレージにアクセスできる小さいパネルは無く、1枚で覆われている。またバッテリは内蔵式で交換できない。ACアダプタは実測で約105×42×30mm、重量232g。
液晶パネルはIPS式なので視野角が広く、発色はこれまでのThinkPadと比べると若干色温度は低めか(つまり黄色い)。12.5型と言うこともあり、個人的にはもうワンランク上の解像度が欲しいところ。最小輝度でも室内であれば見られる明るさなので、バッテリ駆動時には有効だろう。5点タッチだが、スムーズにWindows 8を操作することができる。
キーボードはThinkPadのEdgeシリーズに近い感覚で[PrtSc]が手前にあったり、ファンクションキーは[Fn]キーとのコンビネーションになるなど、少し癖のあるタイプだが、キータッチ自体は問題無いレベルだ。ウルトラナビのバッドの部分も十分広く、その他独特の操作系はThinkPadそのもの。
ノイズや振動に関しては皆無だが、熱に関しては一晩中動かした状態だと、右側の机の上が結構暖かくなっていた。丁度放熱用のスリットがあり、右側に熱が集中するものと思われる。
サウンドに関してはDolby Home Theater ONの状態だとそれなりに聞ける音質(ただし妙に作り込まれた感じ)だが、OFFにすると音痩せして細い音となる。
本機独特の「Laptop Mode」、「Tablet Mode」、「Tent Mode」、「Stand Mode」に関しては、前者2つに関しては特に説明の必要はないだろう。後者2つに関しては、設置場所により使い分けると言うところか。またこの機構を実現するため、液晶パネルを中央1点のみで支えているが、ガタツキやフラツキもなく、しっかり固定できるのは好印象だ。
ハイパフォーマンスながら部分的にアンバランスが目立つ
OSは64bit版Windows 8。メモリを8GB搭載しているので余裕がある。初期起動時のスタート画面は、Windows 8標準以外に、Windowsストアアプリが11、デスクトップアプリが3つ追加されている。デスクトップはごみ箱のみと非常にシンプル。タスクバーには同社お馴染みLenovo Solution Centerが見える。
SSDは東芝「THNSNF128GCSS」。C:ドライブのみの1パーティションで約104GBが割当てられ、77.3GBの空きがある。Wi-FiとBluetoothはIntel Centrino。GbEはRealtek製だ。
プリインストール済みのアプリケーションは、Windowsストアアプリが、AccuWeather for Windows 8、Evernote、Kindle、Lenovo Companion、Lenovo QuickSnip、Lenovo Settings、Norton Studio、Skitch、Skype、Support、Zinio Reader。Windowsストアアプリのメジャー処と、同社のユーティリティ系が中心となっている。この手のアプリケーションは、Windowsストアアプリの方がタッチでもポインティングデバイスでも見通しが良く操作しやすい。
デスクトップアプリは、Lenovo ThinkVantage Tools、Lenovo QuickSnip Toasts、LenovoToast、Absolute Data Protect、Dolby Profile、Norton Internet Securityなど。同社お馴染みのツール系、Intel系ユーティリティ、セキュリティとなる。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題は無い)。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.3。プロセッサ 7.1、メモリ 7.1、グラフィックス 4.3、ゲーム用グラフィックス 6.2、プライマリハードディスク 8.1。PCMark 7は4666 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 45923、FPU 43650、MEM 25557、HDD 35974、GDI 14535、D2D 2114、OGL 7019。プロセッサとメモリ、プライマリハードディスクが高速なわりにグラフィックスの値が低い。CPUパワーを必要としない場合、Core i3やi5搭載モデルの方が全体的なバランスは良さそうだ。
BBenchは、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/ONでの結果だ。バッテリの残5%で24,339秒/6.7時間。仕様上最大6時間なので、それを超える結果となった。1日中バッテリ駆動とは行かないものの、これならある程度安心して運用できる。
以上のようにThinkPad Twistは、IPS式12.5型でゴリラガラスを採用した5点タッチ対応の液晶パネルを搭載。そのパネルが回転し、「Laptop Mode」、「Tent Mode」、「Stand Mode」、「Tablet Mode」の4形態に変化できるUltrabookだ。CTOでさまざまなコンポーネントを用途や予算に応じてセレクトできるのも魅力的。
品質面で特に気になる部分も無く、往年のThinkPadファンだけでなく、コンバーチブルな12.5型のUltarbookを探しているユーザー全般にお勧めできる1台と言えよう。