西川和久の不定期コラム
デル「U2713H」
~IPSパネル27型2,560×1,440ドットのハイエンドディスプレイ
(2013/2/8 00:00)
デル株式会社は1月22日、独自のPremier Colorテクノロジーを採用したハイエンド向け27型液晶ディスプレイ「U2713H」を発売した。DVI-D/HDMI/DisplayPort対応、広い色域はもちろん、USB3.0 HUB機能などを備えた意欲的なモデルだ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。
27型2,560×1,440ドット、色補正済みで出荷されるハイエンドディスプレイ
同社のサイトで24型以上のディスプレイを検索すると10件ヒットする(他社製を除く)。27型だと最安値は「Dell S2740L」で29,980円。ただしこちらの解像度は1,920×1,080ドット(フルHD)だ。続いて「U2713HM」の49,980円。こちらは2,560x1,440ドット(WQHD)。その次が「U2711」の59,980円。解像度は同じく2,560×1,440ドットとなる。いずれも価格に応じて機能や性能が違い、多種多様なユーザーのニーズを満たしている。
今回ご紹介するU2713Hは、位置付け的にはU2713HMの上位モデルで、U2711の後継機(現段階ではサイトにU2711もあるので併売のようだが)に相当する。27型AH(Advanced High Performance)-IPSパネルを採用した解像度2,560x1,440ドットの液晶ディスプレイだ。主な仕様は以下の通り。
最大解像度 | 2,560×1,440ドット/ドットピッチ0.231mm |
スクリーンサイズ | 27型(非光沢/AH-IPS/LEDバックライト) |
視野角 | 上下/左右とも178度 |
応答速度 | 6ms(中間色) |
輝度 | 350cd/平方m |
コントラスト比 | 1,000:1(最大200万:1) |
色域 | Adobe RGBカバー率99%、sRGBカバー率100%および120%(CIE 1976) |
インターフェイス | デュアルリンクDVI-D、DisplayPort 1.2、Mini DisplayPort 1.2、HDMI、USB 3.0ダウンストリームポート×4、DisplayPort出力、音声出力、デル製サウンドバー用DC電源コネクタ(AX510)、SDカードリーダ |
最大消費電力 | 標準60W/最大130W/待機時0.5W未満 |
チルト | あり |
スイベル | あり |
ピボット機能 | あり |
サイズ/重量 | 639.3×200.5×423.4~538.4mm(幅×奥行き×高さ)/6.3kg |
価格 | 69,980円 |
パネルの仕様は先に書いた通りであるが、加えて非光沢となっている。光沢パネルは映画などコンテンツを観る時には良好であるものの、特に作業時などは映り込みが気になる場合もある。そのため、筆者は作業用ディスプレイは全て非光沢のタイプを購入している。
視野角はIPSらしく上下/左右とも178度。応答速度は6ms(中間色)。輝度は最大350cd/平方m、最小50cd/平方m。コントラスト比は1,000:1(最大200万:1)。色域はAdobe RGBカバー率99%、sRGBカバー率100%および120%(CIE 1976)。色補正済みで出荷されるため、設置して直ぐ使用可能だ。
同社独自のPremier Colorテクノロジーを採用し、一貫性のある正確な色調、業界標準の色彩、カスタムカラー調整、優れた色域と深みのある色彩などの特徴を持つとしている。プレミアムパネル保証にも対応し、1ドットでもドット抜けがあれば無償交換の対象となる。
入力系インターフェイスは、デュアルリンクDVI-D、DisplayPort 1.2、Mini DisplayPort 1.2、HDMI、出力系インターフェイスは、DisplayPort、音声、デル製サウンドバー用DC電源コネクタ(AX510)というように、4系統の映像入力と1系統の出力、および音声出力、外部スピーカー用電源出力を備えている。加えてUSB 3.0ダウンストリームポート×4のHubを搭載。最大消費電力は標準60W、最大130W、待機時0.5W未満となる。
サイズは639.3×200.5×423.4~538.4mmと、高さはスタンド込みの状態で115mmの調整が可能。チルト/スイベル/ピボットにも対応している。重量6.3kg。価格は69,980円と、先に挙げた同社の27型の中では一番高価なモデルとなる。
27型なのでそれなりに大きく重いが、デザインも含め作りは非常にシンプルだ。筆者も1台同社のディスプレイを使っているが、縁も非光沢で指紋などが目立たず、ルックスがあっさりしているので飽きもこない。
スタンドはしっかりした作りでガタツキも無く、上下の調整、チルト/スイベルもスムーズだ。取り付け/取り外しもボタンを押すだけとワンタッチ。ケーブルマネージメント用の穴が開いているのでケーブル類をまとめるとスッキリする。ただピボットは、そのまま回すと高さが足りず、位置を最大にした上で、チルトして回さないと、フチが机に当たってしまう。
左側面にはSDカードリーダ、USB 3.0×2。右サイドには何も無い。なお、このSDカードリーダに関しては同社のサイトにも書かれていないが、機能することを確認した。
背面の下側には各種コネクタが集中しており、電源入力、デル製サウンドバー用DC電源コネクタ(AX510)、音声出力、DisplayPort、Mini DisplayPort、DVI-D、HDMI、DisplayPort出力、USB 3.0アップリンク、USB 3.0×2と並んでいる。DisplayPort出力があるのはポイントが高く、加えてUSB 3.0が左サイドに2ポート、リアに2ポートあるのは何かと使いやすそうだ。
映りに関してはさすがにハイエンドだけあり、所有するEIZO CG245W(キャリブレーションセンサー内蔵で補正済み)と比較すると、若干派手気味だがなかなかのもの。価格だけのことはある。
OSDは、右側下のフチの部分に静電容量式のボタンが4つ並び、使える部分だけが光る操作形なので分かりやすい。
OSDの機能としては、Preset Modes(Standard/Multimedia/Movie/Game/Paper/Color Temperature/Color Space/Custom Color)、Brightness/Contrast、Input Source。ここまでは簡易モード(パーソナライズで各ボタンの機能を変更できる)で、Menuを選択するとフルモードのメニューが表示される。
フルモードでは、Brightness/Contrast、Input Source、Color Settings(Input Color Format/Gamma/Preset Modes/Reset Color Settings)、Display Settings(Aspect Ratio/Sharpness/Noize Reduction/Dynamic Contrast/Uniformity Compensation/Smart Video Enhance/DisplayPort 1.2/Display Info/Reset Display Settings)、PIP Settings、Other Settings(Language/Menu Transparency/Menu Timer/Menu Lock/Button Sound/Auto Rotate/Energy Smart/Menu Location/Power Save Audio/DDC.CI/LCD Conditioning/Factry Reset)、Personalizeとなる。
なお、GammaはPC(2.2)かMac(1.8)、Color SpaceはAdobeRGB/sRGB/CAL1/CAL2、Color Temperatureは5,000/5,700/6,500/7,500/9,300/10,000K、Custom ColorはGain/Offset/Hue/Saturationの調整を、GainとOffsetはRGB、HueとSaturationはRGBCMYで個別に変更可能だ。
以下OSDの画面を掲載したので参考にして欲しい(もちろん日本語にも対応している。Other Settings/Languageで変更可能)。
Dell Display ManagerでPCからコントロール可能
付属のソフトウェアCDには2種類のソフトウェアが入っている。1つは「Dell Display Manager」、もう1つは「Dell UltraSharp Color Calibration Solution」。面白いのはセットアップの第1階層はHTMLで書かれ、IEなどを使い表示し、簡単な説明、マニュアルのPDFを見たり、先のプログラムをセットアップできるように工夫されている点だ。
今回は、ThinkPad X201iにドッキングステーションを接続、DisplayPortから付属のDisplayPort/Mini DisplayPortケーブルを使い、本体のMini DisplayPortへ接続した。コントロールパネル/ディスプレイ/画面解像度の画面キャプチャからも分かるように、最大解像度の2,560×1,440ドットでの試用だ。
「Dell Display Manager」は、主にOSDで行なう操作をPC上で行なえるソフトウェア。起動すると常駐し、通知領域からアクセスできる。起動するとまず簡易パネルが表示され、明るさ/コントラスト、カラー設定など、簡単な変更が可能になっている。一番下の「Dell Display Managerを開く」をクリックすると、フルバージョンが起動する。
フルバージョンのタブは基本/自動モード/Easy Arrange/オプションの4つに別れ、基本ではプリセットモードの選択と明るさ/コントラスト、自動モードではアプリケーション毎にプリセットモードを変更する指定、Easy Arrangeはウィンドの自動配置設定、オプションはPowerNapとスマート動画エンハンスの設定となる。
先に掲載したように、OSDは基本的に操作しやすい内容になっているものの、PC側で変更する方がより便利だ。なお、この操作に関してはディスプレイ側とUSBを接続する必要は無い。
「Dell UltraSharp Color Calibration Solution」は、高度なキャリブレーションを行なえる環境だ。セットアップ画面にあるように、測色技術のソリューションを提供するX-Riteの技術が使われている。ドライバが組み込まれることもあり、セットアップ後再起動が必要となる。
セットアップが終了すると、ショートカットがディスクトップに追加され、通知領域にディスプレイのアイコンが常駐する。赤くなっているのはキャリブレーションが取れていない状態を示している。
キャリブレーションを行なうには、ディスプレイとPCをUSBケーブルで接続した上に、「i1Display Pro」という測定器もUSB接続しなければならない。残念ながら筆者は所有していないため、テストはここまでとなった。パネルの内容を見る限り、カラースペース/輝度を目標値に指定し、2つあるプリセットへ保存できるようだ。
ディスプレイ側の音声出力は、PC接続時(DVI-Dを除く)「インテルディスプレイオーディオ」から出力され、PC側の出力を切替えることによりサウンドを鳴らすことが可能だ。同社のサウンドバーを付ければ電源も含めスマートに収まるが、音声出力から汎用的なアクティブスピーカーなどを接続すれば、余分なケーブルがPCから出ない分スッキリする。
最後の画面キャプチャは、2,560×1,440ドットでのWindows 8のWindowsストアアプリを表示したところだ。この画面が27型のサイズに大きく映し出され大迫力となる。
以上のようにU2713Hは、IPSパネルの27型2,560×1,440ドットで、DVI-D/HDMI/DisplayPort対応、USB 3.0 Hubを搭載したハイエンドモデルだ。Adobe RGBカバー率99%のもともと広い色域に加え、色補正済みで出荷。さらにi1Display Proと併用すれば高度なキャリブレーションを行なうこともできる。
一般的な液晶ディスプレイと比較すれば高価であるものの、内容を考えればむしろ安い。ワンランク上のディスプレイを望んでいるユーザーにお勧めできる逸品だ。