西川和久の不定期コラム
ASUS「M70AD-JP003S」
~NFCやQi、UPSを搭載した万能デスクトップ
(2014/2/15 06:00)
2013年8月にUPSとQiを搭載した同社のデスクトップPC「M51AC-JP005S」をご紹介したが、今回は、NFCも加わった「M70AD-JP003S」が編集部から送られて来た。「Nexus 7(2013)」と「Xperia A SO-04E」の連携も交えて試用レポートをお届けする。
UPS/IEEE 802.11ac/Bluetooth/Qi/NFCを搭載したフル装備デスクトップ
プロセッサはCore i5-4440。4コア4スレッドでクロックは3.1GHz。Turbo Boost時3.3GHzまで上昇する。キャッシュは6MB、TDPは84W。チップセットはIntel H81 Express。メモリは2スロットあり、8GB/DDR3-1600×2の計16GBとなる。ストレージは1TBのHDDと、光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブを搭載。OSは64bit版Windows 8.1だ。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600。HDMI×1、DVI-D×1、ミニD-Sub15ピン×1の出力を備えている。
ASUS「M70AD-JP003S」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-4440(4コア4スレッド、クロック3.1GHz/TB:3.3GHz、キャッシュ6MB、TDP 84W) |
チップセット | Intel H81 Express |
メモリ | 16GB(8GB×2)DDR3-1600 (PC3-12800)、スロット2(空き0)、最大16GB |
HDD | 1TB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 8.1(64bit) |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600/HDMI×1、DVI-D×1、ミニD-Sub15ピン×1 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0 |
インターフェイス | USB 3.0×2、USB 2.0×6(前面×2、背面×4)、PS/2×1、カードリーダ、NFC、Qi、音声入出力 |
拡張スロット | PCI Express x16×1、同x1×1、Mini PCI Express x1×1 |
ストレージベイ | 5インチオープン×2(空1)、3.5インチオープン×2(空1) |
電源 | 300W/UPS付き |
サイズ/重量 | 175×412×433mm(幅×奥行き×高さ)/約9.8kg |
価格 | 99,800円 |
ネットワークは、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0。このクラスのデスクトップPCにIEEE 802.11ac対応のWi-Fiと、Bluetoothまで搭載しているのはやや希少だ。
その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×6(前面×2、背面×4)、PS/2×1、カードリーダ音声入出力。
拡張スロットは、PCI Express x16×1、同x1×1、Mini PCI Express x1×1で全て空き。ストレージベイは、5インチオープン×2(空1)、3.5インチオープン×2(空1)。300Wの電源とUPSを搭載している。ただし、UPSは停電時などにOSを休止状態へ移行する機能だけを持つ。
本体サイズは175×412×433mm(幅×奥行き×高さ)、重量約9.8kg。価格は今回の構成で99,800円となる。
ここまでは一般的Haswell搭載デスクトップPCにUPSを加えただけだが、面白いのは、無線充電のQiと、近距離無線通信のNFCまでも搭載していることだ。先のWi-FiやBluetoothも含めて、スマートフォンなどと一緒に使うことを考慮した構成となっている。
なお、プロセッサをCore i7-4770(4コア8スレッド、3.4GHz/3.9GHz)へ変更、GPUとしてGeForce GTX 650を搭載、光学ドライブをBDドライブにした上位モデル「M70AD-JP004S」は139,800円だ。
筐体は写真からも分かるように、少し前面が傾いたデザインになっている。高さが433mmと、机の上に置くには丈があるため、床に設置した場合、この方が各ポートにアクセスしやすい。
右側面には何もなく、左側面は空調用のメッシュがある。前面は普段カバーで覆われ、ポート類は何も見えない状態だ。カバーを下ろすと、USB 3.0×2、USB 2.0×2、音声入出力、カードリーダ、DVDスーパーマルチドライブが現れる。
背面には、USB 2.0×4、PS/2、HDMI、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、Ethernet、音声入出力がある。前面にしかUSB 3.0がないのは、外付けの大容量ストレージを常時接続する場合、少し痛いところか。内部の拡張スロットは全て空きの状態になっている。
そして上部の平らな部分には前述のQiとNFCがある。今回はNexus 7(2013)と、Xperia A SO-04Eを使って試してみた。前者はQiとNFC、後者はNFCに対応している。
まずQiは、Nexus 7(2013)でうまく作動した。充電が開始されると本体上部右側にあるLEDが点灯する。
NFCに関しては、Xperia A SO-04Eは問題無く動いたが、Nexus 7は、NFCセンサーの位置の関係だろうか、縦向きに置いても横向きに置いても、平らなプレートからNexus 7がはみ出してしまい(はみ出さない後ろの位置に置くのはもっとNG)、NFCで接続できたりできなかったり微妙な状態だった。
デバイスで操作するには、PlayストアからAndroid版のNFC EXPRESS DESKTOPSアプリをダウンロードする。iPhoneやiPadはNFC非搭載なので、iOS版は無い。
NFCを使って行なえる機能は、Windowsログオン(WINDOWS 8 LOGON)、PC側のNFC Express Desktopsで予め登録したアプリの起動(QUICK LAUNCH)、デバイスからPCへの写真転送(PHOTO EXPRESS)となる。
実際使った感想は、面白いのは面白いが、個人的には実用性をあまり感じられなかった。と言うのもNFCは、その性格上、端末をPCから離して使うことができず、PC上部のプレートにデバイスを置いたままにしなければならない(操作前後はこの限りではない)。この場合、Windowsログオンもアプリの起動も手元のキーボードから操作した方が手っ取り早いと思ってしまう。
写真の転送については確かに便利だが、SkyDriveなどと併用すると、Wi-Fiに接続した時、自動的にクラウドへ転送する機能があるので、気が付けばバックアップ済の状態になっている。そう考えるとわざわざNFCを使う必要は無いのではと思ってしまう。
とは言え、これは筆者が永年PCを使い慣れているからであり、初心者ユーザーには分かりやすく便利に感じられるのではと思う。
構成はCore i5-4440搭載デスクトップPCとして標準的
OSは64bit版のWindows 8.1。メモリを16GB搭載しているので、Intel HD Graphics 4600と併用しても十分余裕がある。
スタート画面は、ASUSアプリ以降の10アプリを追加、デスクトップはタスクバーに3つアプリがピン止めされているだけでシンプルだ。また上部にあるのは「ASUS Launcher」で、クラウド/マルティメディア/システム/お気に入りのアイコンが見える。
HDDは1TB/7,200rpm/32MBの東芝「DT01ACA100」が使われ、C:ドライブとD:ドライブの2パーティションとなっている。容量は順に150GBと約767GB。C:ドライブの空きは120GBだった。
DVDスーパーマルチドライブは松下「DVD-RAM UJ8E1」を搭載。Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/acに対応した「Realtek 8821AE Wireless LAN 802.11ac PCI-E NIC」、BluetoothもRealtek製だ。Gigabit EthernetはIntel製が使われている。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「ASUS WebStorage」、「Fingertapps Instruments」、「Fingertapps Organizer」、「Fresh Paint」、「Jigswar」、「Music Maker Jam」、「マカフィーセントラル」と少なく、多くはオーソドックスなアプリで構成されている。
デスクトップアプリは、「AudioWizard」、「マカフィーインターネットセキュリティ」、「ASUS Vibe Fun Center」、「ASUS Launcher」、「ASUS Manager」、「eManual」、「ASUS DVD」、「CyberLink Photo Director 3」、「CyberLink PowerDirector 10」、「Kingsoft Office」。
印象的なのは、以前はバラバラのUIだった同社の各ツールを1つにまとめた「ASUS Manager」だ。ご覧のように統一されたUIで非常に扱いやすく、そして分かりやすくなっている。できればWindowsストアアプリ版も欲しいところだ。
また、タスクトレイには、UPSの状態を示す「Built-in UPS」が常駐し、バッテリの状態を確認可能だ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 7(PCMark 8 バージョン2はなぜか完走しなかった)の結果を見たい。またCrystalMarkのスコアも掲載した(4コア4スレッドで条件的には問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 5.6。プロセッサ 7.8、メモリ 7.8、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 5.6、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7は3766。CrystalMarkは、ALU 74772、FPU 66169、MEM 66969、HDD 15418、GDI 18820、D2D 7193、OGL 16050。
Core i5-4440を搭載したデスクトップPCとしては標準的なスコアとなっている。加えてメモリを16GB搭載しているので、結構ヘビーな用途でも十分活用可能だろう。
以上のようにM70AD-JP003Sは、このクラスのPCとしては珍しく、Wi-FiとBluetoothに対応。加えてQiとNFCを搭載し、スマートフォンなどと一緒に使うことを考慮したデスクトップPCだ。全てが無線と言うこともあり、非常にスマートに扱うことができる。
外出時はスマートフォンを使い、戻った時にデータなどをサクッと転送しつつ、充電したいユーザーにお勧めの1台と言えよう。