西川和久の不定期コラム
MWCで発表された話題作が上陸間近!「Unihertz Luna」
2023年4月17日 06:19
Helio G99/8GB/256GB+イルミネーションLEDの4Gスマホ
Unihertzのスマホは、超小型の「Jelly」、キーボード搭載「Titan Pocket」および「Titan Slim」、おサイフケータイ対応「Jelly 2」などを日本国内でも販売しているので、ご存知の方も多いのではないだろうか。
そして2023年のMWCで発表されたのが、今回ご紹介するLunaだ。1stレポートはここに掲載されているが、色々な意味で物議を醸している。ただ本記事では、そういった“話題性”はさておき(笑)、単にスマホの試用記とした。あらかじめご了承いただきたい。主な仕様は以下の通り。
Unihertz「Luna」の仕様 | |
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SoC | MediaTek Helio G99/MT6789 (オクタコアCPU 2x Arm Cortex-A76/2.2Hz+6x Arm Cortex-A55/2.0GHz)、Mali-G57 MC2を内包 |
メモリ | 8GB/LPDDR4X |
ストレージ | 256GB(UFS 2.2) |
OS | Android 12 |
ディスプレイ | 6.81型IPS式1,080×2,340ドット |
ネットワーク | Wi-Fi 5(a/b/g/n/ac)、Bluetooth 5.2、NFC |
SIM | Nano SIM×2 |
対応バンド | 4G FDD-LTE (Band 1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/25/26/28A/28B/66) 4G TDD-LTE (Band 34/38/39/40/41) 3G WCDMA (Band 1/2/4/5/6/8) 3G CDMA2000 (Band BC0/BC1) 2G GSM (Band 2/3/5/8) |
インターフェイス | USB Type-C、3.5mmジャック、モノラルスピーカー、FMラジオ、Colorful(6色) LED Lights、Infrared |
生体認証 | 顔認証、指紋認証 |
センサー | 指紋、Gセンサー、ジャイロスコープ、近接、環境光、地磁気、圧力 |
GPS | GPS+GLONASS+BeiDou+Galileo |
カメラ | 前面 3,200万画素 背面 1億800万画素+2,000万画素ナイトビジョン+200万画素マクロ |
サイズ/重量 | 約76.8×10.4×168mm(幅×奥行き×高さ)/約298g |
バッテリ | 5,000mAh |
カラー | ブラック、ホワイト |
価格 | 299.99ドル(30ドルオフ付き) |
SoCは2022年第3四半期リリースで6nmプロセスのMediaTek Helio G99/MT6789。2x Arm Cortex-A76/2.2Hz+6x Arm Cortex-A55/2.0GHzのオクタコアで、GPUとしてMali-G57 MC2を内包する。後述するベンチマークテストの結果を見ても、今となってはローエンドよりのSKUと言えるだろう。さらに言えば、5Gには未対応だ。
メモリは8GB/LPDDR4X、ストレージは256GB(UFS 2.2)。OSはAndroid 12を搭載している。ディスプレイは6.81型IPS式1,080×2,340ドット。OLEDではないのも残念なところ。
ネットワークはWi-Fi 5(a/b/g/n/ac)、Bluetooth 5.2、NFC。SIMはNano SIM×2。対応バンドは表をご覧いただきたい。
インターフェイスはUSB Type-C、3.5mmジャック、モノラルスピーカー、FMラジオ、Colorful(6色)LEDライト、赤外線。3.5mmジャックがあるのはいいが、スピーカーはモノラル。赤外線で家電などのリモコンにもなる。
Colorful(6色) LED Lightsは、本機独特のもので、背面にある6色のLEDが音楽や通知などに合わせてピカピカ光る。FMラジオは確認したところ、76.9MHzから93MHzまではスキャンした。従って日本の周波数対応だ。
生体認証は顔認証、指紋認証。センサーは指紋、Gセンサー、ジャイロスコープ、近接、環境光、地磁気、圧力。GPSはGPS+GLONASS+BeiDou+Galileoを搭載。
カメラは前面3,200万画素、背面1億800万画素+2,000万画素ナイトビジョン+200万画素マクロ。背面は3センサーの割に望遠や超広角には未対応となる。
カラーバリエーションはブラック、ホワイトの2色。5,000mAhのバッテリを内蔵し、サイズ約76.8×10.4×168mm(幅×奥行き×高さ)、重量約298g。価格は30ドルオフで299.99ドル。日本円だとザックリ4万円だろうか。5G未対応、SoCパフォーマンス低めでLED Lightsのギミックを考慮すると、無難なところか。
筐体はぱっと見も質感もiPhone 14 Pro Maxとそっくり。なかなか高級感がありカッコいい。ただし、実測で299gと重く、裏がスケルトンでかつColorful LED lightsがあるのは違うところ。
この約300gの重量、さすがに重過ぎ(14 Pro Maxでさえ240g)。服などのポケットなどへ入れると重みで型が変わるどころではなく、少しでも傾くと落ちそうになってしまう。鞄などへ入れるのがベターだ。好意的に見れば、これだけ重いと(ないと軽くて気付き)置忘れなどは減りそうな感じだ(笑)。
前面は左上にパンチホール式の前面カメラ。フチは結構薄い。背面は左上にカメラ群。スケルトンでかつColorful LED Lightsが仕込まれている。右側面に音量±ボタン、電源ボタン。下側面にスピーカー、USB Type-C、Nano SIMスロット。左側面にプリセット可能なボタン2つ。上側面に3.5mmジャックを配置。Nano SIMスロットはイジェクトピン式で裏表にSIMが入り、パネル側がSIM2となる。
付属品はクリアケース、USB Type-A→USB Type-Cケーブル、、5V/2A、9V/2A、12V/1.5AのACアダプタとイジェクトピン。
6.81型IPS式1,080×2,340ドットのディスプレイは明るさ、コントラスト、発色、視野角全て良好。と言ってもOLEDには劣り、また炎天下だと輝度最大にしてもよく見えない。この辺りは仕方ないところか。
本機固有のColorful LED lightsは、通知や音楽などに合わせて光る。また設定→LED lightsで輝度や何に反応するかなどをカスタマイズできる。実際音楽に合わせて作動中の動画を掲載したので参考にして欲しい。なお、現在は開発途中とのことで、今後さらにエフェクトや機能が追加されるとのこと。
もう1つユニークなのが、プリセット可能なボタンが左側面に2つあり、設定→ショートカットセッティングでコントロール可能な点。短押し、長押し、ダブルクリックのそれぞれで機能を割り当てられ、指定アプリの起動はもちろん、懐中電灯/録音/スクリーンショットなどの機能も割当可能になっている。
発熱は試用中、異常な熱というのはなかった。負荷をかけると一般的なスマホ同様、暖かくなる程度。
サウンドはモノラルスピーカーなのが惜しいものの、パワフルで鳴りっぷりもいい。3.5mmジャックからの出力をソニーMDR-EX800STで視聴したところ、スピーカーと同じくパワフル。最大だとうるさいほどに鳴る。ただ音の透明感や抜けと言った部分は価格なりという感じだ。
カメラはいろいろ残念
カメラは、前面が3,200万画素/f2.0、背面が1億800万画素/f1.8+2,000万画素ナイトビジョン+200万画素マクロの3レンズ構成となる(F値に関してはExifより)。出力画素数は2,460×3,280ピクセルと3,000×4,000ピクセル。設定には12,032×9,024ピクセルのモードもあるが、3,000×4,000ピクセルがデフォルトとなる。
スマホにおいて最大解像度は多くのケースで無駄なので、複数のピクセルを1ピクセル化する1,200万画素モードがデフォルトなのだろう。
撮影モードは、タイムラプス、動画、標準、プロ、もっと。もっとには、QRコード、赤外、大きい、マクロビデオ、赤外線ビデオがある。
設定は、標準でRAW(DNG)、セルフタイマー、表示サイズ(108M/12M/8M/2M/1M)、ZSD、フリッカー防止、写真を撮る音、Gps Location、自動画面の明るさ、ボタンのモード。動画は、撮影モード(無効/夜景/夕焼け/パーティーなど)、EIS、マイク、Video Format(h264/HEVC)、動画の画質(2K/FHD/HD/VGA)、フリッカー防止、Gps Location、ビデオファイル形式(3GP/MP4)、自動画面の明るさ、ボタンのモード。前面も含めポートレートモード的なものはない。
表示/編集はGoogleフォトを使用する。Oneファンクションが使えれば(要課金)結構な機能があるものの(最近消しゴムも追加された)、非課金状態では一般的な編集しかできない。
以下作例を日中12点、夜12点、計24点掲載する。反応自体は悪くなく、起動、AF、書き込みなどにストレスは感じなかった。日中明るければそれなり(と言っても良くない)の写りだが、低照度やミックス光でWBが取りづらい時などノイズや発色が残念な状態になる。雰囲気10年前に戻った感覚だ。
まだファームウェアはベータ版でチューン中との話なので、良くなる可能性はあるが、と言っても……的な感じとなる。なお、事前に写りがあまり良くないと聞いており、いつもの肌色作例は省略した。
素のAndroid 12+独自のツールボックス
ホーム画面は1画面。Dockに電話、メッセージ、Chrome、カメラを配置。2画面は無しとあっさりしている。上から下へのスワイプで通知画面、下から上へのスワイプでアプリ一覧、壁紙長押しでホームの設定/ウィジェット/壁紙……など、一般的な操作性はAndroid準拠。特に迷う部分はない。
初期起動時256GBのストレージは16GB使用中(若干の画面キャプチャを含む)。IMEはGboardとなっている。
アプリは、「アシスタント」、「カメラ」、「カレンダー」、「ツールボックス」、「ドライブ」、「フォト」、「マップ」、「メッセージ」、「リモートコントロールフェアリー」、「音声レコーダー」、「学生モード」、「時計」、「設定」、「電卓」、「電話」、「連絡帳」、「Chrome」、「Duo」、「Files」、「FMラジオ」、「Gmail」、「Google」、「Google TV」、「Keepメモ」、「Meet」 、「NFCカードエミュレーション」、「Playストア」、「SIM Toolkit」、「YouTube」、「YT Music」。
本機独自として面白いのがツールボックス。「ノイズテスト」、「コンパス」、「懐中電灯」、「レベル」、「絵を掛ける」、「心拍数」、「高さ測定」、「虫眼鏡」、「アラームレベル」、「歩数計」、「プラムボブ」、「分動機」、「スピードメーター」のアプリが入っている。どれも本体のカメラ、センサーなどを利用したツールとなる。これだけまとまってあるのは珍しいのではないだろうか。
認証は、パターン/PIN/パスワード+顔認識と指紋となる。指紋センサーは電源ボタンと兼ねている。どちらもスムーズに設定でき認証も速い。
SIMの設定は、手持ちの関係で4GのOCNモバイルONEを使用した。一般的なSIMロックフリー機のようにAPN一覧はなく、全項目手入力となるため初心者には少し難しいかも知れない。
パフォーマンスはやはりローエンド
ベンチマークテストは簡易式だが、GeekBench 6とGoogle Octane 2.0、そしてバッテリ駆動時間はWi-Fi経由でフルHDの動画を輝度50%、音量50%で全画面連続再生した結果となる(LED lightsはONのまま)。
まずGeekBench 6は、Single 714 / Multi 1,365。Vulkan 1,294。Google Octane 2.0は21,997。GeekBench 6は5と互換性がないため、参考までに手持ちのGalaxy Z Flip4のスコアは、Single 1,037 / Multi 3,786。Vulkan 6,462。Google Octane 2.0は48,141。Galaxy Z Flip4はバッテリ駆動時間重視でパフォーマンス:ライトにしているが、それでもこれだけの差が出ている。
バッテリ駆動は約10時間。同社の製品ページではLTEストリーミングが10時間とあるので、おおよ合ってる感じだろうか。
以上のようにUnihertz「Luna」は、MediaTek Helio G99/8GB/256GB、6.81型IPS式1,080×2,340ドットのパネル、そして独自のColorful LED Lightsを搭載したちょっと面白いスマホだ。質感も良く、背面のスケルトンな感じもカッコいい。2つあるファンクションボタンやツールボックスもGoodだ。
ただカメラの写りがイマイチ、5G未対応、モノラルスピーカー、非OLED、そして重い……と、マイナス面がかなり目立つのも事実。価格からパフォーマンスも含めある程度許容できるとは思うが、カメラといった要素を重要視せず、「LED Lightsが楽しそう!」と思うユーザーに使ってほしい1台と言えよう。