西川和久の不定期コラム

10.5型で1kg切りのCeleron N5100搭載モバイル2in1!CHUWI「MiniBook X」

MiniBook X

 CHUWIは3月22日、10.5型でCeleron N5100を搭載したモバイル2in1「MiniBook X」を発表、現在販売中だ。新旧モデルともに編集部から送られて来たので、旧MiniBook Xとどこが違うのかも踏まえながら、試用レポートをお届けしたい。

いろいろ変わった新型MiniBook X

 今回ご紹介するMiniBook X、1つ前の同名モデルが存在する(以降旧型)。搭載しているプロセッサやサイズ感などざっくり同じであるが、大きく違うのは液晶パネル。サイズと画面解像度は、旧型の10.8型2,560×1,600ドットから、10.5型で1,920×1,200ドットへ落ちてしまったのだ。

 とは言え、10型クラスなので、画面倍率を高くして使うのが前提だとあまり変わらない感じではないだろうか。またバッテリが同じなので、その分、長持ちもするはずだ。一方で、細かい点ではフチが少し広くなったものの、旧モデルではWebカメラが画面内(パンチホール)にあったのが、フチの中央上になり、邪魔にならなくなった。

 また、旧型ではファンレスだった放熱機構が、新型ではファン付きになった。ヒンジ部の機構も変わっており、旧型はノートPCとして使う時は液晶がキーボード面に“載る”感じだったが、新型は後部に下部が隠れるようになった。

 もう一点はキーボード配列で、US配列がJIS配列になったこと。一部US配列のほうが……と言う声もあるかとは思うが、日本国内のノートPCは一般的にはJIS配列なので、この変更は結構大きい。あとは、Wi-Fi 5から6へ、Bluetoothが5.1から5.2へと今時になっている。主な仕様は以下の通り。

CHUWI「MiniBook X」の仕様
プロセッサCeleron N5100(4コア/4スレッド/1.1~2.8GHz/キャッシュ 4MB/TDP 6W/SDP 4.8W)
メモリ12GB/LPDDR4X
ストレージSSD 512GB
OSWindows 11 Home/22H2
ディスプレイ10.5型IPS式1,920×1,200ドット(16:10)、光沢、10点タッチ対応、sRGB 100%
グラフィックスIntel Core UHD Graphics/Type-C
ネットワークWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2
インターフェイスUSB Type-C×2、Webカメラ、音声入出力
バッテリ26.6Wh(7.6V/3,800mAh)、45W PD急速充電対応
サイズ/重量244×166.4×17.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量約918g
税込価格5万6,900円(Amazon調べ)

 プロセッサはJasper LakeのIntel Celeron N5100。4コア4スレッドでクロックは1.1~2.8GHz、キャッシュ 4MB、TDP/SDPは6W/4.8W。2021年Q1リリースなのでそれほど新しくないが、ローエンドではお馴染みのSKUだ。

 メモリはLPDDR4Xで12GB。ストレージはSSD 512GB。どちらもこのクラスとしては多めか。Core iのパワーは望めないが、プロセッサの相応の使い方ならストレスもないだろう。OSはWindows 11 Home。22H2だったので、その範囲内でWindows Updateを適応し評価した。

 ディスプレイは10.5型IPS式の1,920×1,200ドット(16:10)、光沢あり、sRGB 100%となかなか良さそうだ。なお、ヒンジが360度回転し、テントモード、スタンドモード、タブレットモードへと変形も可能。10点タッチにも対応しているが、ペンには未対応(旧モデルは対応していた)。グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Core UHD Graphics。映像出力用にUSB Type-Cを装備している。

 ネットワークはWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスは、USB Type-C×2、Webカメラ、音声入出力。小型な分、あっさりした構成となっている。

 45W PD急速充電対応の26.6Wh(7.6V/3,800mAh)バッテリを内蔵し、サイズ244×166.4×17.2mm(幅×奥行き×高さ)。重量約918g。1kgを切っているのはポイントが高い。価格は5万6,900円。プロセッサがCeleron以外は結構な構成なので、それがこの価格ならお買い得ではないだろうか。

前面。パネル中央上にWebカメラ。フチはそれなりに狭い
斜め後ろから。ユニボディ/アルミ合金製でスペースグレイ。旧型にあったロゴがなくなったのもポイント
左側面。3.5mmジャック
右側面はUSB Type-C×2、電源ボタン
キーボードはJIS配列。タッチパッドは1枚プレート型
キーピッチは実測で18mm
横から。3.5mmジャックのサイズからも結構薄いのが分かる
裏。四隅にゴム足。手前左右のスリットにスピーカー
テントモード
スタンドモード
タブレットモード
重量は実測で937g。旧モデルが951gなので若干軽くなっている
新旧比較(1/2)/フチ。フチは旧モデル(右)の方が狭いもののWebカメラが画面内にある
新旧比較(2/2)/キーボード。旧モデル(右)はキーボードがUS配列
付属のACアダプタ。サイズは55×55×30mm、重量はコード込みで121g
キーボードバックライト。オフ+2段階のバックライト付き

 筐体はユニボディ/アルミ合金製でスペースグレイ。チープさなど微塵もなくカッコいい。物欲を刺激する逸品に仕上がっている。重量は実測で937g。片手でも楽々持ち上がる。

 前面はパネル中央上にWebカメラ。フチはそれなりに狭い。左側面に3.5mmジャック。右側面にType-C×2、電源ボタンを配置。右側面のUSB Type-Cは奥側がデータ+充電、手前側がフル機能となる。裏は四隅にゴム足。手前左右のスリットにスピーカーがある。天板はロゴすらなくシンプルだ。

 付属のACアダプタは、サイズ約55×55×30mm、重量121g、出力24W。従って急速充電には未対応となる。とは言え、一般的なPDなので、別途45Wタイプを用意するのは難しくない。

 10.5型のディスプレイは、明るさ、コントラスト、視野角、発色全て良好。アスペクト比が16:10なので縦方向に情報が多く扱いやすい。またヒンジが360度回転し、テント、スタンド、タブレットモードに変形できる。タッチの反応も悪くない。

 i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度259cd/平方m。旧モデルと比較すると明るくなっている。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさ120cd/平方mは、最大から-5が142cd/平方m、-6が113cd/平方m。従って前者で計測。黒色輝度は0.133cd/平方mと気持ち浮いている。リニアリティは、直性的でかなり良いが赤だけ強めに補正されている。従って補正前だ青(緑)っぽい発色となる。補正後だと発色も良いため出荷時の状態は残念と言える。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 キーボードは旧モデルのUS配列からJIS配列へと大きく変わった。キーピッチは実測で約18mm。狭くなっているのは[Enter]キーの周囲のみと、サイズの割にはなかなか優秀だ。打鍵感も深めでクリック感があり個人的には好み。加えてオフ+2段階のキーボードバックライト付きで文句なしの構成となる。ただし[無変換]キーがなくなっているが、[半角/全角]、[変換]キーはあるので、キーボードの日本語設定でアサインを少し触れば何とかなる範囲だろう。

 タッチパッドは1枚プレート型。パームレストも含めこのフットプリントなので狭いものの、可能な範囲でいっぱいいっぱいに確保している。

 Webカメラは、写真が最大190万画素(4:3)、ビデオが1,200p(4:3)/30fps。低照度だとノイジーだが、通常用途だと(少し青っぽいが)そこそこ映る。ビデオ会議であれば十分役に立ちそうだ。

 試用した範囲でノイズは許容範囲内だが(耳を左側面に近づけるとゴーっと言う低い音はする)、発熱はベンチマークテストなど負荷をかけるとヒートシンクの見える左側側面のスリットからそれなりに暖かいエアーが出る。

 サウンドはスピーカーのスリットが左右(斜め)下向きにあるため、机など反射するもので音が変わる。とは言え、このサイズとしては十分なパワーとクオリティだ。音楽も映像も楽しめる。

ネット中心であれば十分なパフォーマンス。ただバッテリ駆動時間が……。

 初期起動時、特にプリインストールなどのアプリもなく、壁紙も含めWindows標準のまま。メモリ12GB、ストレージSSDだが、プロセッサがCeleronなのでCore iほど切れがないのは仕方ないところか。

 ストレージはSSD 512GBの「NS512GSSD530」。ネット上にデータは見当たらないが、この連載でも何度か扱っているSSDだ。C:ドライブのみの1パーティションで約475.85GB割り当てられ空き441GB。Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX101、BluetoothもIntel製だ。

起動時のデスクトップ。壁紙も含めWindows標準のまま
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはSSD 512GBの「NS512GSSD530」。Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX201、BluetoothもIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約475.85GB割り当てられている

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。パフォーマンスはCore iと比較するとかなり劣るものの、この範囲で済む内容であれば行けるといった感じか。

 参考までにGoogle Octane 2.0@Edgeのスコアは31,076。ネット中心なら十分なパフォーマンスとなる。

 PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは2時間33分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。これは昨今類を見ない短さだ。2回測定してたものの結果は同じ。処理内容が重いので、ネットや動画などが中心ならもっと伸びる……っと行った感じかもしれない。

【表】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2600
PCMark 10 Score2,327
Essentials5,594
App Start-up Score5,454
Video Conferencing Score5,865
Web Browsing Score5,474
Productivity2,867
Spreadsheets Score3,022
Writing Score2,720
Digital Content Creation2,134
Photo Editing Score2,608
Rendering and Visualization Score1,529
Video Editting Score2,438
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.02,502
Creative Accelarated 3.0N/A
Work Accelarated 2.02,147
Storage5,006
3DMark v2.26.8092
Time Spy345
Fire Strike Ultra244
Fire Strike Extreme466
Fire Strike952
Sky Diver3,775
Cloud Gate6,246
Ice Storm Extreme36,145
Ice Storm47,193
Cinebench R23
CPU2,155 pts(12位)
CPU(Single Core)603 pts(11位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード2392.336 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1816.300 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード862.103 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト475.199 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード294.313 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト205.512 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード41.714 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト118.666 MB/s

 以上のようにCHUWI「MiniBook X」は、新型になり、画面の解像度こそ落ちたものの、画面内のWebカメラがなくなり、JIS配列、筐体やパネル、サウンドのクオリティもなかなか良い。加えてメモリ12GB、SSD 512GB。内容を考えると5万6,900円はお買い得だろう。

 短いバッテリ駆動時間が気になるものの、Celeronのパワーで問題ない範囲で使うなら、サブ機としておすすめの1台となりそうだ。