西川和久の不定期コラム

Helio G99搭載で低価格化した11型タブレット!NEC「LAVIE Tab T11(T1175/FAS)」

LAVIE Tab T11(T1175/FAS)(スタンドは含まず)

 4月11日NECは11.5型液晶を採用したAndroidタブレットを発表、12日から販売を開始した。編集部からアクセサリを含め一式送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

LAVIE Tab T11(T1195/FAS)の下位モデルだがAndroid 12Lを採用

 編集部から次はLAVIE Tab T11を! と連絡をもらった時、「あれ!?前書いたような……」っと思ったが、それは上位モデルのT1195/FAS。今回ご紹介するのは、下位モデルに相当するT1175/FASとなる。

 ほぼ同じの11型だが、ざっくりと大きな違いは、ディスプレイがOLED対液晶、SoCがKompanio 1300T対Helio G99、メモリとストレージが8GB/256GB対6GB/128GB、そしてオプションのペンの充電が無線か有線か……と、結構いろいろ異なっている(細かいところではクワッドスピーカーがJBLかどうかなど)。これからも分かるようにある意味、廉価版となる。主な仕様は以下の通り。

NEC「LAVIE Tab T11(T1175/FAS)」の仕様
SoCSoC MediaTek Helio G99/MT6789 (Cortex-A76/2.2Hz×2+Cortex-A55/2GHz×6)、Mali-G57 MC2を内包
メモリ6GB/LPDDR4X
ストレージ128GB
OSAndroid 12L
ディスプレイ11.5型IPS式(2,000×1,200ドット)/最大120Hz/10点タッチ対応
ネットワークWi-Fi 802.11ax、Bluetooth 5.2
インターフェイスUSB Type-C、microSDカードスロット、Quadスピーカ(Dolby Atmos対応)、ステレオマイク、3.5mmジャック
センサー加速度、照度、近接、ジャイロ、ホール
カメラ前面:800万画素(FF)/背面:1,300万画素(AF)
バッテリ/駆動時間7,700mAh/約12時間(Web閲覧時)
サイズ/重量約269.1×169.4×7.4mm/520g
防塵防滴IP5X/IPX2
付属品USB Type-A/USB Type-Cケーブル、ACアダプタ(20W)
直販価格6万280円

 SoCはMediaTekのHelio G99/MT6789。ちょうど前回レポートした「Unihertz Luna」と偶然同じだ。Cortex-A76/2.2Hz×2+Cortex-A55/2GHz×6のオクタコアで、GPUとしてMali-G57 MC2を内包している。本機の価格帯的にはミドルレンジとなるものの、パフォーマンス的にはミドルレンジちょっと下……といったところだろうか。

 メモリは6GB、ストレージは128GB。ただし直販モデルはさらに安価なメモリ4GBモデルも用意されている。価格差たったの3,300円なので、6GBモデルを選ぶのがベターだ。OSはAndroid 12L。Lが付くのはタブレット特化版となる。

 ディスプレイは、11.5型IPS式(2,000×1,200ドット)。最大120Hz/10点タッチ対応。ここがOLEDでないもの大きな違いだ。またUSB Type-Cからの映像出力にも未対応。

 ネットワークはWi-Fi 802.11ax、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスは、USB Type-C、microSDカードスロット、Quadスピーカー(Dolby Atmos対応)、ステレオマイク、3.5mmジャック。冒頭に書いたようにスピーカーはJBLの冠なし。センサーは、加速度、照度、近接、ジャイロ、ホール。カメラは前面:800万画素(FF)/背面:1,300万画素(AF)。ここは同じだ。

 7,700mAhのバッテリを内蔵し、サイズ約269.1×169.4×7.4mm、重量520g。防塵防滴IP5X/IPX2対応で直販価格は6万280円。上位モデルとの価格差は3.3万円となる。性能的にもう少し安くても良さそうだが、そこは国内大手、また付属の優秀な独自アプリなどの関係もあるのだろう。

前面。パネル中央上に前面カメラ。フチは太過ぎず細過ぎず
背面。上約3分の1の部分はザラザラしており手触りが下3分の2とは異なる。右上に背面カメラ
上側面に音量±ボタン、microSDカードスロット。右側面にUSB Type-C、スピーカーR×2、3.5mmジャック
下側面にキーボード用接点。左側面に電源ボタン
microSDカードスロットはイジェクトピン式
付属品。USB Type-A/USB Type-Cケーブル、ACアダプタ(20W)
重量は実測で512g
ペン(オプション)はUSB Type-Cで充電。上位モデルのT1195/FASは無線式だったが、本機は有線式。この辺りは使い勝手に大きく影響しそうだ
タブレットカバー(オプション)。合体時の重量は実測で908g
スタンドカバー付きキーボード(オプション)。合体時の重量は実測で1,039g

 筐体は上位モデルとほぼ同じ(裏上の3分の1が若干異なる)で質感も良く、なかなか格好いい。この点は安価なタブレットにはない雰囲気だ。重量は実測で512g。上位モデルや筆者が普段使っている11型は500gを少し切っているので、若干重いものの、さほど気になるものでもない。ただキーボード付きケースは仕方ないとして、単なるカバーで計908gはいささか重い。もう少し軽くしてほしいところ。

 前面はパネル中央上に前面カメラ。フチは太過ぎず細過ぎず。上側面に音量±ボタン、microSDカードスロット。右側面にUSB Type-C、スピーカーR×2、3.5mmジャック。下側面にキーボード用接点。左側面に電源ボタンを配置。背面は右上に背面カメラ。そして上3分の1が上位モデルと異なり、ザラザラな質感になっている。付属品はUSB Type-A/USB Type-Cケーブル、ACアダプタ(20W)と、イジェクトピン。

 11.5型IPS式(2,000×1,200ドット)のディスプレイは明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。なかなか良いパネルが使われている。とは言え、OLEDを見た後だと、色が薄めで黒が少し浮いて見えるのは仕方ないところ。リフレッシュレートは、設定→ディスプレイ→画面のリフレッシュレートでアダプティブ(自動)/高(120Hz)/標準(60Hz)の設定が可能だ。その差は明らかだが、高だとバッテリの消耗のこともあるので、デフォルトのアダプティブのままでいいだろう。

 前面カメラは、美肌モードや背景ボケに対応。映りも悪くなく、Web会議などに十分使えそうだ。顔認証にも対応する。背面カメラも同様の機能があり、発色は少し濃い目だろうか。安価なタブレットよりはかなり良いが、とは言え、これだけ(ローエンドでもそこそこ撮れる)スマホが出回っている現在、背面カメラを積極的に使う理由を筆者的には思いつかない。

 発熱は試用した範囲ではベンチマークテストなど負荷をかけた状態でも全くきにならなかった。前回の同じSoCを搭載した「Unihertz Luna」スマホで少し暖かくなった程度なので、このサイズの筐体なら十分冷却できるのだろう。

 サウンドは左右にスピーカー2つのクワッドなので、縦位置でも横位置でもステレオ再生となり、この点はポイントが高い。音質もJBLの冠がないとは言え、なかなか良く、パワーも十分。音楽も映像も楽しめる。

設定→デジタルペン。上モデルにあった“デジタルペンの紛失したペンのリマインダー”の項目がない

 オプションのペンに関しては、充電が有線式に加え、上位にはあった「置忘れ防止」が設定の項目から消えている。また、試してみたところ、書き心地も上位モデルの方が上だ。ペン主体なら個人的には(少し高くなるが)いろいろな意味で上位モデルをお勧めしたい。

 スタンドカバー付きキーボードのキーボードは、主要キーのキーピッチは実測で約18mm。ただし、[半角/全角]/[無変換]/[変換]や、[¥]/[^]/[}]/[{]/[_]など[Enter]キー周辺は狭くなっている。もともとフットプリントが狭いため仕方ない部分だ。ただ打鍵感は悪くない。

OSはAndroid 12L!

 初期起動時、ホーム画面は2画面。Dockにはカメラ、メッセージ、アシスト、Google Play、Googleフォトを配置。ストレージは128GB中15GBが使用中だ(若干の画面キャプチャを含む)。IMEはGboard(デフォルト)とiWnn IMEが入っている。

 このDock、何時も見かけるAndroidと少し違う。どちらかと言うとiPadOSに近くデザイン的にフローティングっぽくなっている。右端のアイコンはアプリ一覧。また、画面キャプチャは何も起動しない状態だったので、Googleフォトとアプリ一覧の間に何もないが、掲載している写真にはGeekbench 6と設定のアイコンが見える。これは直近に起動したアプリだ。

 加えてクイックアクセス/通知エリアも右寄りに表示(通常だと中央から出る)。パット見、生産性モードで起動したのかと思ってしまうほどだ。この辺りが12L、つまりタブレットに特化したAndroid 12の特徴となる。不思議なのは上位モデルは12だったこと。上位と下位で12と12Lにした理由が知りたいところか。

ホーム画面(1/2)
ホーム画面(2/2)
クイックアクセス/通知エリア(1/2)
クイックアクセス/通知エリア(2/2)
設定 / タブレット情報
設定 / ストレージ

 オプションのペンを接続すると、画面右端中央にペンのアイコンが現れ、それをクリック、もしくはメモアプリ起動で、右側にペン関連のウィジェットが表示される。

メモ

 インストール済みのアプリは、「アシスタント」、「お客様登録」、「カメラ」、「カレンダー」、「キッズスペース」、「サービス一覧」、「さとふる」、「スプレッドシート」、「スライド」、「ドキュメント」、「ドライブ」、「ニュース」、「フォト」、「マップ」、「マニュアル T11」、「メッセージ」、「メモ」、「パスワードマネージャー」、「音声レコーダー」、「時計」、「設定」、「電卓」、「翻訳」、「連絡先」、「Chrome」、「Duo」、「Files」、「G CROWN」、「Gmail」、「Google」、「Google One」、「Google Pay」、「ムービー&TV」、「Google TV」、「Home」、「i-Filter」、「Jazzles」、「Keep」、「MyScript Calculator 2」、「Nebo」、「Netflix」、「Playゲーム」、「Playストア」、「Playブックス」、「Podcasts」、「Travelzoo」、「U-NEXT」、「WPS Office」、「YouTube」、「YT Kids」、「YT Music」。一部ないものもあるが、ほぼ上位モデルと同じ内容になっている。

アプリ一覧(1/2)
アプリ一覧(2/2)

 ペン入力からテキストや図形に変換する機能を備えた手書きメモの「Nebo」、計算式を手書きすると計算する「MyScript Calculator 2」は、本機の特徴的なアプリだ。どちらもSoCパワーの関係か、上位モデルと比較して、少しもたつく感じがしないでもない。

Nebo
MyScript Calculator 2

 生産性モードは、AndroidのUIをWindowsのデスクトップ的にするモードだ。ただ12Lで結構操作性は改善されているので、ウィンドウサイズが変えれる以外、このモードにするメリットはあまりないようにも思う。

生産性モード

 PCのセカンドモニターまたは液晶タブレットとして使う機能「つながる!LAVIE for Android」にも対応する。インストール方法や使い方などは上位モデルと同じなので、興味のある方は冒頭の記事を参考にしていただきたい(あくまでもソフトウェア的な接続で、ハードウェア的にUSB Type-Cで映像入力可能になるわけではない)。

爆速ではないが、普通に使えるパフォーマンスでバッテリ駆動は9時間半

 ベンチマークテストは簡易式でGeekBench 6とGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。GeekBench 6はSingle-coreで719(978)、Multi-core 1,944(3,089)、Vulkanは1,288(4,330)。Google Octane 20,527(28,695)。カッコ内に上位モデル(Kompanio 1300T/8GB/256GB)のスコアも併記している。

 同じSoCを搭載している「Unihertz Luna」と比較してもほぼ同じだ(GeekBench 6 Multi-coreのみ本機の方が明らかに高い)。2023年基準だとミドルレンジ少し下と言った感じだろうか。上位モデルは結構キビキビ動いていたが、こちらは少しもたつく感じがする。とは言え、一般的な用途であれば(比較さえしなければ)、特に不満になる作動速度でもない。

 バッテリ駆動時間は、明るさ、音量ともに50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ約9時間半でバッテリが切れた。仕様上、Web閲覧時約12時間となるので、テスト内容を考慮すると妥当なろころだろうか。

GeekBench 6(Single-core / Multi-core)。スコアはそれぞれ719 / 1,944(上位モデルは978 / 3,089)
Geekbench 6のVulkanは1,288(同4,330)
Google Octane 2.0は20,527(同28,695)
約9時間で残6%

 以上のようにNEC「LAVIE Tab T11(T1175/FAS)」は、11.5型IPS式で120Hz対応、MediaTek Helio G99/6GB/128GBを搭載したAndroidタブレットだ。12Lというタブレット特化版で操作性も良く、サウンドもGood。加えてオプションでペンも利用できる。

 上位モデルと比較してSoCのパワー、非OLED、ペンの充電が有線式など、残念な部分もあるにはあるが、そつなくまとめられ良くできた1台に仕上がっている。10万円は厳しいが、5万円ちょいなら何とか……という予算が限られたユーザーに使って欲しい製品と言えよう。