西川和久の不定期コラム

Ryzen 5搭載の“AMD版NUC”? 「MINISFORUM HM50」

 MINISFORUMは現在、Ryzen 5 4500Uを搭載した超小型デスクトップ「HM50」を予約受付中だ。一足早く実機を試用する機会に恵まれたのでレポートをお届けしたい。

Ryzen 5 4500Uを搭載しメモリ/SSDなしも選べる超小型デスクトップPC!

 少し前にMINISFORUMの「DeskMini UM270」(Ryzen 7 PRO 2700U)をご紹介したが、今回は同シリーズのRyzen 5 4500U搭載版「HM50」となる。

 一見、Ryzen 7 PRO 2700UとRyzen 5 4500Uどちらが速いのか!? となるが、前者は2019年第1四半期、14nmプロセス、4C/8T、2.2GHz/3.8GHz、DDR4-2400。後者は、2020年第1四半期、7nmプロセス、6C/6T、2.3GHz/4.0GHz、DDR4-3200。スレッド数だけ劣るものの、後半のベンチマークテストの結果を見てもRyzen 5 4500Uの方が明らかに速い。

 本機はメモリ/SSDなし、16GB/256GB、16GB/512GBの3パターン選べ、手元に届いたのは16GB/256GBモデルだ。おもな仕様は以下のとおり。

MINISFORUM「HM50」の仕様
プロセッサRyzen 5 4500U(6コア6スレッド/2.3~4.0GHz/L3キャッシュ 8MB/TDP 15W)
メモリ16GB(8GB×2/DDR4-3200/SODIMM×2)、最大64GB
ストレージ256GB M.2 PCIe SSD
OSWindows 10 Pro(64bit)
グラフィックスRadeon Graphics(6コア)/HDMI 2.0、DisplayPort、Type-C(DisplayPort Alternate Mode)
ネットワークGigabit Ethernet×2(内1つ2.5G)、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
インターフェイスUSB 3.0 Type-A×4(リア)、USB 3.1 Type-A×2、Type-C(Gen2/フロント)、音声入出力
そのほか拡張ストレージ: 2.5インチ×2 SATA HDD(6.0Gbps)。VESAマウンタ、DisplayPortケーブル付属
サイズ/重量約149.6×149.6×55.5mm(幅×奥行き×高さ)/約700g
価格55,980円(メモリ/SSDなし)、78,980円(16GB/256GB)、83,980円(16GB/512GB)

 プロセッサはモバイル用の7nmプロセスでRyzen 5 4500U。6コア6スレッドでクロックは2.3GHzから最大4.0GHz。キャッシュはL2 3MB/L3 8MB、TDPは15W。メモリはDDR4-3200/SODIMM 8GB×2の計16GB(またはなし)。最大64GBまでに対応する。ストレージは256GB(またはなし/512GB) M.2 PCIe SSD、OSは64bit版のWindows 10 Pro(20H2)を搭載。なお、64bit版のRHEL x86やUbuntu x86にも対応する。

 グラフィックスは6コアのRadeon Graphicsで作動周波数は1,500MHz。外部出力用にHDMI 2.0、DisplayPort、Type-C(DisplayPort Alternate Mode)を装備する。同時出力可能で、すべてのポート最大4K@60Hzとなる。

 ネットワークは2.5Gigabit Ethernet、Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1。LANの1つは2.5G対応だ。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0 Type-A×4(背面)、USB 3.1 Type-A×2、Type-C(Gen2/前面)、音声入出力。

 内部に2.5インチ用拡張ストレージベイ×2があり(コネクタ/ケーブル2本も付属)、M.2も含め、最大3つのSSDを搭載可能だ。

 サイズ約149.6×149.6×55.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約700g。電源アダプタ、VESAマウンタ、DisplayPortケーブルなどが付属し、メモリ/SSDなし55,980円、16GB/256GBで78,980円、16GB/512GBで83,980円(16GB/512GB)。現在予約販売中で、ベアボーンを除くモデルでは、クーポン「AS-7AD82HM50」の適用で1万円オフとなる。性能を考えるとなかなかお買い得となる。

【4月20日訂正】記事初出時、メモリ/SSDなしモデルも1万円引きとしておりましたが、これはクーポン対象外です。お詫びして訂正します。

前面。電源ボタン、音声入力、音声出力、USB Type-A×2、Type-C
背面。USB Type-A×4、有線LAN×2(内1つ2,5G)、DisplayPort/HDMI、ロックポート、電源入力(Type-C)
底面はネジ4本で固定。VESAマウンタ用の凹みがある
内部。上部ヒートシンクの下にM.2 SSD、下にメモリスロット×2、内蔵用2.5インチ用ケーブル2本
裏パネル。2台の2.5インチが収納できる
付属品。ACアダプタ(サイズ約93×43×30mm、重量182g、出力19V/3.42A/64.98W)、VESAマウンタ、電源ケーブル、DisplayPortケーブル
「DeskMini UM270」、iPhone 12 Pro Maxとの比較。本機の方が「DeskMini UM270」より大きい
重量は実測で733g。おそらく仕様の約700gはメモリ/M.2 SSDなしモデル
BIOS / Main
BIOS / Advanced

 筐体は以前ご紹介した「DeskMini UM270」と雰囲気は似ているものの、写真からもわかるように少し大きめだ。また「DeskMini UM270」のように、トップカバーを押せば外れ内部にアクセスできる機構はなく、普通に裏パネルのネジを4つ外すことになる。ただし内側に爪で引っかかってるので、本体とパネルの隙間に何か挟みつつ外す必要がある。

 重量は実測で733gとタイプとしては少し重めだろうか。仕様の約700gはメモリ/M.2 SSDなしモデルだと思われる。

 前面は、電源ボタン、音声入力、音声出力、USB Type-A×2、USB Type-C。背面はUSB Type-A×4、有線LAN×2、DisplayPort/HDMI、ロックポート、電源入力(Type-C)。2つある有線LANポートは左側が2,5G対応だ。裏にVESAマウンタ用の凹みがある。付属品は、ACアダプタ(サイズ約93×43×30mm、重量182g、出力19V/3.42A/64.98W)、VESAマウンタ、電源ケーブル、DisplayPortケーブル。

 ここで気になるのは電源入力がType-C、そしてACアダプタの出力19V/3.42A/64.98Wなので、汎用65WタイプのPD電源アダプタが使えるか? だが、実際手持ちのAUKEY 65Wタイプ(Model PA-B3で試したところダメだった。従って給電は付属のACアダプタ専用となる。

 内部はヒートシンクの下にM.2 SSD、逆側に2つのメモリスロット。プロセッサは基板裏側にあるため、こちらからは見えない。メモリスロットの上にある2つのコネクタっぽいのは、実は内蔵用2.5インチSSD用のコネクタ/ケーブルのコネクタ固定用の凹みになっている。「DeskMini UM270」ではコネクタ/ケーブルを固定せず内部に転がってただけだったので、この処理はなかなかグッドと言えよう。

 そして裏パネルに2.5 インチSSDを2基固定可能。少し大きめな分、M.2 SSD+2.5インチ SSD×2を搭載できるのは本機のメリットだ。その気になれば、1台でかなり大容量のストレージを確保できる。BIOSは起動時に[DEL]キーで表示する。

 特徴として、HDMI 2、DisplayPort、そしてType-Cで、3画面同時出力(最大4K@60Hz)可能なのだが、Type-Cは前面にしかないため、実際ディスプレイを3台接続すると、Type-C側のケーブルが邪魔になりそうな感じがしないでもない。

 ノイズや振動は、耳を筐体に近づけると低い音で「ゴー」と言う感じで聞こえるものの、少し離れれば気にならないレベルとなる。机の上に置いても問題ないだろう。発熱はベンチマークテスト中でも少し暖かい程度でそれほどでもなかった。

 総じて小型筐体に多くのポート、ネットワーク2.5G対応、3画面同時出力、SDDを3台搭載可能、ノイズ/振動は気にならないレベル、メンテナンス容易……と、なかなかよく出来ているPCだ。「DeskMini UM270」より少し高くなってしまうが、後半のベンチマーク結果も含め、それなりの価値がある。

すべてにおいて「DeskMini UM270」(Ryzen 7 PRO 2700U)より高速!

 初期起動時、スタート画面(タブレットモード)はフルHDで1画面。とくに追加されたグループやアプリなどはない。デスクトップもWindows標準のまま。スペック的に遅くなるような要素はなく、快適に操作可能だ。

 ストレージはM.2 SSD 256GBの「KINGSTON OM8PDP3256B-A01」。ここによるとM.2 PCIe Gen.3 NVMe 1.3となるようだ。リード/ライトともになかなか速い。C;ドライブのみの1パーティションで約237GBが割り当てられ空き203GB。

 Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX200、Gigabit EthernetはIntelのI225-VとRealtekの2つ。Intel側は2.5G対応だ。BluetoothはIntel製。Radeon Settingsで6コアなのが分かる。

スタート画面(タブレットモード)。フルHDで1画面。とくに追加されたものはない
起動時のデスクトップはWindows標準
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはM.2 SSD 256GBの「KINGSTON OM8PDP3256B-A01」。Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX200。Gigabit EthernetはIntelのI225-VとRealtek。BluetoothはIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約237GBが割り当てられている
Radeon Settings。6コアなのがわかる

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R23、CrystalDiskMarkを使用した。参考までに「DeskMini UM270」(Ryzen 7 PRO 2700U)のスコアも掲載する。

 比較からもわかるように、全項目Ryzen 7 PRO 2700Uのスコアを上回っている。また「DeskMini UM270」搭載のSSDは非NVMeだったので、CrystalDiskMarkのスコアは桁違いだ。

 以前レビューでは「第10世代Intel NUCといい勝負」(Core i5-10210U/iGPU)と書いたが、比較すると3D性能は言うまでもなく、PCMark 10/Video Editting Score以外すべて上回り、かなりパフォーマンス。これで55,980円(メモリ/SSDなし)+クーポンで45,980円なのだからコストパフォーマンスも抜群だ。

 また、Ryzen 5 4500Uを搭載したノートPC、MSI「Modern-14-B4MW-012JP」のレビューも筆者が担当しているので、興味のある方は合わせてご覧いただきたい。SSD M.2 NVMe、メモリ16GBなので、おそらく同レベルのパフォーマンスだと思われる。

DeskMini UM50DeskMini UM270(参考)
PCMark 10 v2.1.2508
PCMark 10 Score5,0043,648
Essentials8,9286,867
App Start-up Score11,3827,028
Video Conferencing Score7,7066,973
Web Browsing Score8,1146,608
Productivity7,6445,517
Spreadsheets Score9,2937,245
Writing Score6,2894,202
Digital Content Creation4,9853,478
Photo Editing Score7,5835,329
Rendering and Visualization Score4,5032,982
Video Editting Score3,6302,648
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.04,1803,385
Creative Accelarated 3.04,3403,303
Work Accelarated 2.05,1844,274
Storage5,0424,876
3DMark v2.17.7137
Time Spy1,022949
Fire Strike Ultra587509
Fire Strike Extreme1,2101,083
Fire Strike2,6872,351
Sky Diver9,7598,130
Cloud Gate15,95412,784
Ice Storm Extreme83,91852,105
Ice Storm103,56260,879
CINEBENCH R23
CPU5,552(9位)3,522(12位)
CPU(Single Core)1,173(5位)751(9位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード2,547.722 MB/s451.991 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1,264.363 MB/s477.311 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード899.852 MB/s252.633 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト1090.003 MB/s266.240 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード487.360 MB/s216.195 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト346.617 MB/s196.461 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード50.847 MB/s24.853 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト121.753 MB/s69.682 MB/s

 余談になるが、弊誌に少し前に“「Ryzen 7 5800U」はApple M1を上回る性能で、Intel並みの長時間駆動を実現”という記事が載った。多分MINISFORUMもこれを搭載したミニデスクトップをクラウドファンディングするだろうから楽しみにしている。筆者はM1 Mac miniを所有するだけに興味津々だ。

AMD版NUCを求めるユーザーに

 以上のようにMINISFORUM「HM50」は、Ryzen 5 4500Uを約149.6×149.6×55.5mmの筐体へ収納し、メモリ/SSDなし、16GB/256GB、16GB/512GB、3タイプ選べる超小型デスクトップPCだ。

 パフォーマンスはベンチマークテストのとおり抜群、SSDを3台搭載可能、3画面4K/60Hz同時出力、Gigabit Ethernet 2つの内1つは2.5G対応……など、ほかの同クラスにはない特徴を備えている。

 試用した範囲ではとくに欠点らしい欠点もなく、RyzenでNUC的なPCを探しているユーザーに使って欲しい1台と言えよう。