西川和久の不定期コラム

Snapdragon 662/4GB/64GB/6.53型フルHD+で税別15,900円のスマホ!「Xiaomi Redmi 9T」

製品写真

 Xiaomiは2月2日、エントリー向けのスマホ、「Redmi Note 9T」と「Redmi 9T」を発表した。編集部から後者が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。なんと税別15,900円という激安スマホ。どれだけ使えるのか興味津々だ。

Snapdragon 662/4GB/64GB/6.53型フルHD+に4カメラ搭載!

 今回発表のあったのは2モデル。上位の「Redmi Note 9T」は5G機でMediaTek Dimensity 800U 5G、6.53型フルHD+、4GB、64GB、背面3カメラ、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.1、FeliCa対応、税別19,637円。なかなか興味深い仕様だが、残念ながらソフトバンク専売モデルだ。

 もう1つはSIMロックフリー機で、今回ご紹介する「Redmi 9T」。こちらは4G対応でSnapdragon 662、6.53型フルHD+、4GB、64GB、背面4カメラ、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0、FeliCa非対応、税別15,900円。ざっくり5G、SoC、Bluetooth、FeliCaなどが劣る部分となる。その代わり4カメラで広角が追加されている。約1.6万円でどれだけ使えるのか気になるところだ。おもな仕様は以下の通り。

Xiaomi「Redmi 9T」の仕様
SoCSnapdragon 662(2.0GHz/4コア+1.8 GHz/4コア)
メモリLPDDR4X 4GB
ストレージ64GB(UFS 2.1)
OSMIUI 12(Android 10準拠)
ディスプレイ6.53型フルHD+ (2,340×1,080ドット)、395ppi
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0
SIMNano SIMカードスロット×2
対応バンド2G: GSM B2/3/5/8
3G: WCDMA: B1/2/4/5/6/8/19
4G: TDD-LTE: B38/40/41(2,545~2,650MHz)
FDD-LTE: B1/2/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28
インターフェイスUSB Type-C、microSDスロット(最大512GB)、デュアルスピーカー、3.5mmイヤフォンジャック
センサー近接センサー 、周囲光センサー、加速度センサー、電子コンパス、振動モーター 、赤外線ブラスター、GPS/A-GPS、GLONASS、Beidou、Galileo、指紋センサー
カメラ前面 800万画素(F2.05)、顔認証対応
背面 標準:4800万画素(1/2インチ、F1.79)、広角:800万画素(F2.2)、マクロ:200万画素(F2.4)、深度センサー:200万画素
サイズ/重量約162.3×77.3×9.6mm(幅×奥行き×高さ)/約198g
バッテリ6,000mAh(18W急速充電対応、22.5W充電器同梱)、有線リバース充電機能対応
カラーバリエーションオーシャングリーン、カーボングレー
店頭予想価格15,900円(税別)

 SoCはSnapdragon 662。11nmプロセスで2020年1月発表の比較的新しいものだ。CPUにCortex-A73/2GHz×4、Cortex-A53/1,8GHz×4のオクタコア、GPUとしてAdreno 610を内包している。メモリはLPDDR4X 4GB、ストレージは64GB(UFS 2.1)。OSは、Android 10ベースのMIUI 12を搭載。

 ネットワークは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0。SIMスロットはNano SIM×2。microSDカードと併用しないため独立して2つともに使用可能だ。対応バンドは表を参考にしていただきたい。4G対応で5Gは未対応となる。

 ディスプレイは6.53型フルHD+(2,340×1,080ドット)。395ppiで最大輝度400cd/平方m。インターフェイスは、USB Type-C、microSDスロット(最大512GB)、デュアルスピーカー、3.5mmイヤフォンジャック。センサーは、近接センサー 、周囲光センサー、加速度センサー、電子コンパス、振動モーター 、赤外線ブラスター、GPS/A-GPS、GLONASS、Beidou、Galileo、指紋センサー。

 カメラは前面が800万画素(F2.05)、顔認証に対応する。背面は、標準:4800万画素(1/2インチ、F1.79)、広角:800万画素(F2.2)、マクロ:200万画素(F2.4)、深度センサー:200万画素と4カメラ構成だ。

 18W急速充電/有線リバース充電機能対応の6,000mAhバッテリを内蔵し、サイズ約162.3×77.3×9.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量約198g。カラーバリエーションはオーシャングリーン、カーボングレーの2色。そして価格は税別で15,900円。大丈夫なのかと疑ってしまうほどの低価格となる。

パネル中央上に前面カメラ。ノッチはドロップ型。フチはそこそこ狭い
背面。届いたのはカーボングレー。左上にカメラ群
左/下。左側面にNano SIM/microSDカードリーダ。下側面にType-C
右/上。右側面に音量±ボタンと指紋センサー兼の電源ボタン。上側面に3.5mmジャック
Nano SIMスロット付近。Nano SIM×2とmicroSDが同時に使える
付属品。急速充電対応のACアダプタ(5V/3A、9V/2.23A、10V/2.25A、12V/1.67A)、Type-A/Type-Cケーブル、ケース
重量は実測で200g
Xperia 1 IIとの比較。幅、長さはパネルサイズなりだが厚みが少しある

 手元に届いたのはカーボングレー。細かいヘアライン仕上げ的な手触りで質感も悪くない。重量は実測で200g。6.53型約162.3×77.3mmなので最近のスマホとしては平均的なサイズ(気持ち大きめ)だろうか。

 前面はパネル中央上に前面カメラ。ノッチはドロップ型。フチはそこそこ狭い。ソフトウェア式のナビゲーションバーだが設定で消すことも可能だ。リアは左上にカメラ群。左側面にNano SIM/microSDカードリーダ。下側面にType-C。右側面に音量±ボタンと指紋センサー兼の電源ボタン。上側面に3.5mmジャックを配置。

 付属品は急速充電対応のACアダプタ(5V/3A、9V/2.23A、10V/2.25A、12V/1.67A)、Type-A/Type-Cケーブル、ケース。

 ディスプレイは6.35型のフルHD+(2,340×1,080ドット)。395ppiなので文字のジャギなどは全く気にならない。明るさ、コントラスト、発色、視野角は、価格を考えれば十分以上だ。ただしXperia 1 IIとの比較写真からもわかるように、ハイエンドと比較すると、やはりかなり見劣りするのは仕方ない。写真は明るさ本機100%、Xperia 1 II約30%で、これだけの差になっている。

 サウンドは、スピーカー出力は横位置時にステレオになる。少し雑な(荒れた)音質だが、パワーもそこそこあり、それなりに鳴る。ヘッドフォン出力は全体的にこもり気味だ。パワーも不足している。

 発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると少し暖かくなるだろうか。カメラ関連は別途書いているのでそちらを参考にして頂きたいが、総じて約1.6万円程度のスマホとは思えない仕上がりぶり。少し前なら完全にミドルレンジだ。こうなると上位のRedmi Note 9Tも気になるところではある。

この価格で驚きの背面4カメラ搭載!

 搭載しているカメラは、前面800万画素(F2.05/顔認証対応、3,264×2,448ドット、焦点距離3mm)、背面標準:4,800万画素(1/2インチ、F1.79、4,000×3,000ドット、焦点距離5mm)、広角:800万画素(F2.2、3,264×2,448ドット、焦点距離2mm)、マクロ:200万画素、深度センサー:200万画素。ビデオは前面/背面共に1080pと720p。

 背面の標準カメラは出力画素数からもわかるように、4つのドットを1つとして扱い高画質化しているのが特徴的だ。望遠カメラはないものの、x2であればデジタルズーム(トリミング)しても、元々画素はあるため大きく画質が劣化することもない。

カメラ。左から、深度、メイン、広角。下の小さいのがマクロ

 モードは、プロ、ビデオ、写真、ポートレート。もっと見るに夜景、48M、ショートビデオ、パノラマ、ドキュメント、スローモーション、タイムラプス。編集で並びも変更できる。

 プロは、シャッタースピード30秒~1/4,000秒、ISO100~4,000、露出補正±4、ホワイトバランスは4つのプリセットと2,000K~8,500Kなど。

 ポートレートはいわゆる背景ぼかし(F1~16)+ビューティー/フィルタ。深度センサーがあるため人以外でもぼかすことが可能。画角も標準と同じで扱いやすい。ギャラリーで後からぼかしレベルの調整もできる。前面でも背景ぼかし+美肌/小顔/大きな目、フィルタの調整が可能だ。

カメラ/写真
カメラ/プロ
カメラ/ポートレート
表示/編集はギャラリー。ポートレートモードは後から調整可能

 設定は、透かし、向きについて通知、QRコードをスキャン、超広角撮影でのゆがみを修正、画質(高/標準/低)、音量ボタン機能、フォーカスして撮影、シャッターボタンを長押し、撮影場所を保存、前回のモードを保存などの設定ができる。ビデオのエンコードはH.264/H.265に対応する。

 以下作例を日中、夜景、人物(前面/背面どちらもポートレートモード)の計14枚を掲載する。標準、広角、望遠(x2デジタルズーム)、夜景、ポートレート(肌のスムージングも少し入っている)などを使用。夜景最後のバイクがポートレート、その一つ前が夜景モードだ。

 使用感は、はじめ「価格が価格なので試してダメならダメと書こう……。」っと思っていたが、撮りはじめてビックリ!ご覧のように結構写る。レスポンスもハイエンドまでは行かないものの、ストレスなく普通に撮れる。これにはちょっと驚いた。前面カメラの写りも良い。

 シャッター音は「チッ」と小さく鳴る程度でほとんど気にならない。安いコンデジの代わりにこれでもいいのではと思ってしまった(+通信機能でSNSなどへのアップロードも容易)。

作例
モデル:茜音愛

 余談になるが、本機の機能ではなく、Android版Googleフォトの機能として(Web版、iOS/iPadOS版は未対応)、顔認識による背景ぼかしに加え、最近、HDR(強弱の調整可能)とポートレートライト(ライトの位置を調整可能)が追加された。ただしどちらもGoogle Drive有料アカウントのみ使用可能だ。ソフトウェアだけで処理しているのだがなかなか優秀。これのために100GB(250円/月)払ってもいいのではと思うほど。

 たとえばiPhoneでは似た機能があるものの、HDRは自動で強弱は指定できず、結果妙な絵になったり、ポートレートは光源の種類を変えれるが、向きは調整できないので、結局あまり役にたたない。

 写真自体は本機で撮影したものだが、本機にはテスト用のGoogleアカウントを設定している関係で、メイン端末Xperia 1 IIでの使用前/後の画面キャプチャを掲載する。これらの処理後、シャドウやハイライト、発色なども調整できるため、うまく使うとかなりいい感じに仕上げることができる。Androidユーザーならぜひ活用したい機能と言えよう。

 欲を言えば、ポートレートライトは、光源までの距離(光源が正面に近いとUI上、遠ざけることができない)と、光源の大きさをスライダーで調整できるようになればいいのだが……。

HDR OFF(左)/HDR ON(右)。アイコンの上に(1)があるのが有料アカウントの機能
ポートレートライトOFF(左) / ポートレートライトON(右)。マルの位置でライトの方向/距離を調整できる

Android 10ベースのMIUI 12

 初期セットアップは、Wi-Fiのみ、Googleアカウント、各認証などはスキップして行なった。Miアカウントにサインイン、デフォルトランチャーを選択(クラッシック、アプリドロワー)などが追加され計16画面と多めだ。

Miアカウントにサインイン
デフォルトランチャーを選択(クラッシック、アプリドロワー)
SIMカードとモバイルネットワーク
パスワードとセキュリティ

 SIMは、microSDカードスロットとは独立して2つあり、一般的なDSDV対応となる。指紋認証と顔認証は、パターン/PIN/パスワードを設定した後に登録できる。指紋認証は電源ボタンが指紋センサーを兼ねている。

 OSはAndroid 10ベースのMIUI 12。ストレージは64GB中18.6GBが使用中だ(若干の画面キャプチャを含む)。IMEはGboard。初期起動時、ホーム画面は2画面。1画面目はギャラリー、Playストア、アシスタント、ミュージック、Googleフォルダ、セキュリティー、テーマ、クリーナー。2画面目は設定、ファイルマネージャー、Miビデオ、天気、ツールフォルダ、その他のアプリフォルダ、ゲームフォルダ、Mi Community、メモ、Netflix。Dockには電話、メッセージ、Chrome、カメラを配置。

 上から下へのスワイプで通知パネル、下から上へのスワイプでアプリ一覧、壁紙長押しで壁紙/ウィジェット/設定……と、この辺りは多くのAndroid搭載機と同じだ。配色でパネルの発色や色温度も設定可能と、この価格の割に真面目な作りとなっている。またデフォルトではソフトウェア式のナビゲーションバーだが消すこともできる(ジェスチャー式に変わる)。

Home(1/2)
Home(2/2)
Googleフォルダ
ツールフォルダ
その他のアプリフォルダ
ゲームフォルダ
通知パネル(1/2)
通知パネル(2/2)
デバイス情報
配色

 アプリは、「Playストア」、「ShareMe」、「ファイルマネージャ」、「マップ」、「時計」、「設定」、「Google Pay」、「Dust Settle」、「アシスタント」、「カメラ」、「カレンダー」、「ギャラリー」、「コンパス」、「スキャナー」、「スクリーンレコーダー」、「セキュリティ」、「タイルプラスト」、「ダウンロード」、「テーマ」、「ドライブ」、「ニュース」、「フィードバック」、「フォト」、「ポッドキャスト」、「ミュージック」、「メッセージ」、「メモ」、「レコーダー」、「天気」、「電卓」、「電話」、「連絡帳」、「Block Puzzle Guardian」、「Bubble Shooter」、「Bubble Story」、「Chrome」、「Crazy Juicer」、「Dust Settle」、「Facebook」、「FMラジオ」、「Gmail」、「Google」、「Google One」、「King of Avalon」、「Miビデオ」、「Miリモート」、「Mi Community」、「Netflix」、「Playムービー&TV」、「WPS Office」、「YouTube」、「YT Music」。

 標準アプリに加え、多くのゲームと、Miから始まるオリジナルアプリが含まれている。ShareMeはWi-FiとBluetoothによるファイル転送、Miリモートは登録可能な赤外線リモコン。FMラジオは87~108MHzのカバーで、国内全てのレンジ(低い方)には対応していない。

アプリ一覧(1/3)
アプリ一覧(2/3)
アプリ一覧(3/3)
壁紙長押しで壁紙/ウィジェット/設定

パフォーマンスはエントリークラスだがバッテリ駆動が12時間超え!

 ベンチマークテストは簡易式だが「Geekbench 5.1.1」と「Google Octane 2.0」を使用した。GeekbenchはSingle-Core 317、Multi-Core 1,400、OpenCL 372。Google Octane 2.0は9,496とエントリーレベルとなる。

 実際の使用感は、ハイエンドと比較すると、滑らかさに欠けたり、アプリを切り替えるとメモリ不足からリドローし、余計に遅く感じるころもあるが、サイトにアクセスしたり、SNS系を使ったり……はそこそこ普通に使用可能だ。前回NEC PC「T1175/BAS」のレビューを掲載したが、SoCが同じと言うこともあり、ベンチマークのスコアや使用感もひじょうに似ている。

 バッテリ駆動時間は、輝度/音量50%、Wi-Fi経由でフルHD動画を全画面連続再生したところ約13時間で電源が落ちた。SoCの割に6,000mAhとバッテリ容量が多く12時間超えだ。なかなかのスタミナぶりと言える。これなら有線リバース充電機能で他のデバイスへ給電するのもありだろう。

Geekbench 5.1.1(1/2)。Single-Core 317、Multi-Core 1,400
Geekbench 5.1.1(2/2)。OpenCL 372
Google Octane 2.0。9,496
輝度/音量50%、Wi-Fi経由でフルHD動画を全画面連続再生。12時間経過で残8%

せっかく撮ったのでオマケ。本機の標準/ポートレートで撮影し、Googleフォトのポートレートライトなどいろいろ使って補正。それっぽく仕上げた1枚。上の作例も含め今回はレフ板を(持っては行ったが)使っていない

 以上のようにXiaomi「Redmi 9T」は、Snapdragon 662/4GB/64GB/6.53型フルHD+/4カメラ/Android 10を搭載した4G SIMロックフリー機だ。税別で約1万6,000円と、当初、本当に大丈夫かと疑っていたものの、結果はご覧のとおり。逆にこれで儲けがあるのか心配になってしまうほどの仕上がりぶりだ。

 仕様上そして使用感的にも価格を考慮するれば欠点らいし欠点はなく、スマホ初心者の1台目はもちろん、ベテランユーザーの予備/遊び機、iPhoneユーザーでちょっとAndroid搭載スマホが気になる人などにもお勧めしたい1台と言えよう。