レビュー

細身のデザインでスタイリッシュなWQHD液晶。マウス「ProLite XUB2796QSU」を試す

27型でWQHD解像度をサポートする「ProLite XUB2796QSU」

 マウスコンピューターが2月1日に発売した「ProLite XUB2796QSU」は、27型パネルを搭載する液晶ディスプレイだ。実売価格は3万9,000円前後で、全体的にスリムですっきりとしたデザインを採用するほか、コンテンツに合わせて最適なカラーモードを選べる機能や残像感を低減するオーバードライブモードを搭載し、美しい映像を表示できる。

狭額縁のパネルや細身のスタンドがスタイリッシュ

 ProLite XUB2796QSUは、マウスコンピューターの液晶ディスプレイ向けブランド「iiyama」シリーズの製品だ。WQHD解像度(2,560×1,440ドット)をサポートする27型のIPSパネルを採用し、画面比は16:9となる。

 液晶パネル部分のフチは、実測値で約6~7mmと細い。また背面方向に出っ張りのないデザインを採用し、厚みも39mmと薄い。スタンドは細身ながら、ある程度の長さの足を確保することで安定性に優れる。

 全体的にすっきりとしたデザインで、比較的大きめのパネルを採用する液晶ディスプレイとしては圧迫感を感じない。

パネル部分は狭額縁のデザインで、表示部分とフレームの隙間は狭い
スタンドには細身のデザインを採用する

 液晶パネル部分は、傾きを変えるチルト機能のほか、右に90度回転させて縦方向で利用するピボット機能に対応。またスタンド部分には液晶パネル部分の高さを最大13cmの範囲で調整する機能がある。利用する机やディスプレイスタンドの高さに合わせ、自分の使いやすい角度や高さに調整することも容易だ。

スタンド部分には13cmの範囲で高さを調整する機能が組み込まれている

 高品質な表示性能も魅力の1つだろう。27~28型クラスだと、TNパネルを搭載する低価格モデルでは上下や左右で微妙な色みの違いを感じることもめずらしくはない。

 しかしProLite XUB2796QSUはIPSパネルを採用しており、仕様上の視野角は上下/左右ともに178度だ。実際に斜めや上から画面を眺めても、色の変化を感じることはない。

 表面処理は非光沢で、明るい場所でも反射光は少ないタイプだ。後述する色調変更機能で特別な調整を行なわない状態にして、デジタルカメラの画像やカラーバー、グラデーションなどの画像を表示させてみたところ、バンディングが生じる状況もなく、しっとりとして自然な色合いの画像を表示できた。

 ディスプレイ入力端子は、HDMIとDisplayPortの2系統というシンプルな構成となる。ノートPCと組み合わせて利用する場合は、主にHDMIを利用することになるだろう。

 今回はレノボの「ThinkPad T14」や「ThinkPad T470s」などに搭載されているHDMI端子を利用してProLite XUB2796QSUを利用したところ、問題なくWQHD解像度の液晶ディスプレイとして認識された。

ディスプレイ入力端子やUSBのアップストリーム端子、ダウンストリーム端子を装備する
ノートPCと接続したところ、何もせずに外付け液晶ディスプレイとして認識された

 HDMIやDisplayPortの近くには、USBのアップストリームポートを1基、ダウンストリームポートを2基装備している。PCと接続することで、2基のUSB Hubとして利用可能だ。ただしどちらもUSB 2.0対応なので、外付けHDD/SSDなどの大容量ストレージの利用には向かない。

4方向レバーによく利用する設定機能を割り当て

 液晶パネルの正面に向かって右側の裏側には、電源ボタンとOSDを操作する4方向レバーボタンを装備している。レバーボタンを押し込むとOSDのメニューを表示でき、様々な設定作業が可能だ。ただ、OSDのメニュー自体が豊富なので、4方向レバーをそのまま倒すことで、簡易的に設定機能を呼び出す機能もある。

液晶パネルの裏側に、電源ボタンと4方向レバーボタンを装備
4方向レバーボタンを押し込むと、このようなOSDのメニュー画面を表示する

 4方向レバーを向かって上に倒すと、カラーモードを切り換える「i-Style Color」のモード設定画面を表示する。レバーを左右に操作すると、モード設定が切り換わる。

 暗めにして目を疲れにくくする「テキスト」モードのほか、明るくして暗い場所の状況も分かりやすくする「FPS」モードや「ストラテジーゲーム」モード、動きが多い場面で見やすくする「スポーツゲーム」モードや「シューティングゲーム」モードなど、プレイするPCゲームに合わせた設定を切り換えて利用できる。

i-Style Colorの設定画面。レバーを左右に倒すとモードが切り換わる

 レバーを向かって左に倒すと、消費電力を低減できるecoモードの設定に入る。やはり左右のレバー操作で設定を変更でき、ecoモードオフに加え3段階の設定を利用でき、最大で9.6%の消費電力を削減できると言う。

 同じようにレバーを下に倒すとディスプレイ入力の手動切り換え機能、右に倒すとボリューム調整機能を呼び出せる。いずれもよく使う機能なので、こうしたレバーボタンで簡単に呼び出せるようにしているのだろう。

 眼精疲労やドライアイの症状の原因になると言われている「ブルーライト」をカットする「Blue Light Reducer」機能もサポートしている。オフにした状態と、3段階の設定モードを用意しており、最大で83%のブルーライトを軽減できるという。これはOSDから設定できる。

Blue Light Reducer機能は、OSDのメニューから呼び出して設定する必要がある

 このようにOSDの機能はかなり充実しているが、やはり物理的なレバーやボタンだけで設定するのは、ちょっと面倒なこともある。せっかくUSB Hub機能を搭載しているのだから、専用のユーティリティを用意し、Windowsから設定できるようになると、もっと便利になると思われる。

小型PCを固定できるオプションのVESAマウンタがおもしろい

 オプションでおもしろいと思ったのが、スタンド部分に固定できるというVESAマウンタユニット「小型デスクトップパソコン取付VESA穴ブラケット」だ。液晶パネル自体にもVESAマウンタは搭載されているのだが、スタンドを固定すると、そのVESAマウンタは見えなくなってしまう。

 しかしこの小型デスクトップパソコン取付VESA穴ブラケットをスタンド部分にはめ込むことで、VESAマウンタを増設できる。ここに同社の「mouse CT6-H」シリーズなど、VESAマウンタを利用して固定できる小型PCを取り付けられるのだ。

 最近増えてきたコンパクトなデスクトップPCと組み合わせ、ディスプレイ一体型のPCとして活用するのもおもしろいだろう。

液晶ディスプレイのスタンドに、VESAマウンタを追加できるオプションだ

 WQHD解像度サポートで27型パネルというと、文字のサイズや解像感はフルHD解像度で24型前後の液晶ディスプレイに近い。今までそうした液晶ディスプレイを使ってきたユーザーなら、サイズ感はそのままでさらに広い領域を利用できるようになる。

 また、今回検証で使った14型フルHDディスプレイを搭載したノートPCとの比較だと、スケーリングが125%設定の14型パネルと、スケーリングが100%設定のProLite XUB2796QSUでアイコンサイズはほぼ同じになった。デスクトップのサイズ感を合わせたい場合は、参考にしてほしい。


 IPSパネルを採用して非常に見やすく、Blue Light Reducer機能や充実した画面設定機能を搭載するProLite XUB2796QSUは、様々な場面で便利に利用できる優れた液晶ディスプレイだ。広いデスクトップで日常的な作業やPCゲームをゆったり楽しみたい一般ユーザーはもちろん、ノートPC 1台では表示領域が足りないテレワークユーザーまで、幅広くオススメできる。