西川和久の不定期コラム

4コアCore i7/顔認証カメラ搭載で10万円の13.3型ノート。ユニットコム「SOLUTION-13FH053-i7-UHS」

SOLUTION-13FH053-i7-UHS

 ユニットコムは11月に、第8世代Core iプロセッサを搭載し、生体認証カメラ付きのノートPC「SOLUTION-13FH053-i7-UHS」の販売を開始した。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

第8世代Intel Core i7を搭載しアルミ合金筐体の13.3型ノートPC

 同社はいろいろなタイプのノートPCを出しているが、本機はアルミ合金を採用した筐体でデザイン性と剛性を高めた上で、Windows Hello対応の前面カメラを搭載。ビジネス向けノートPCの位置づけとなっている。扉の写真からわかるように、扱いやすそうな13.3型で、筐体もクールな雰囲気だ。

 さらに第8世代Core i7を搭載し、USB 3.1 Type-C/Thunderbolt 3にも対応。Gigabit Ethernet、Mini DisplayPort/HDMI両方装備と、見た目によらず、なかなかの重装備となっている。おもな仕様は以下のとおり。

【表】SOLUTION-13FH053-i7-UHSの仕様
SOLUTION-13FH053-i7-UHS
プロセッサCore i7-8550U(4コア/8スレッド、クロック1.8~4GHz、キャッシュ8MB、TDP 15W)
メモリ4GB×1/DDR4-2400 S.O.DIMM(PC4-19200)/2スロット最大32GB
ストレージHDD 500GB
OSWindows 10 Home
ディスプレイ13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)、非光沢液晶、タッチ非対応
グラフィックスIntel UHD Graphics 620
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB 3.1 Type-C/Thunderbolt 3、USB 3.0×2、200万画素カメラ(Windows Hello対応)、SDカードリーダ、Mini DisplayPort、HDMI、音声入出力
バッテリ駆動時間約6.4時間
サイズ/重量約330×226×19mm/約1.5kg
直販価格102,578円

 プロセッサはKaby Lake Refreshの第8世代Core i7-8550U。4コア8スレッドでクロックは1.8GHzから最大4GHz。キャッシュは8MBでTDPは15W。現在最上位に同8650U(1.9~4.2GHz)があるので上から2番目のSKUとなる。メモリは2スロットあり、DDR4-2400 S.O.DIMMの4GBが1つ。最大32GBまで対応する。ストレージはHDD 500GB。OSは64bit版のWindows 10 Home。

 これからもわかるように、今回評価した構成は最小であり、後半のベンチマークテストでもCore i7のわりに性能が出ていない。カスタマイズで、Windows 10 Pro、OSなし、メモリ4GB~32GB、HDD 500GB~2TB、2.5インチSSD 240GB~960GBなどへの変更が可能なので、少なくとも4GB×2の計8GB、ストレージはSSDで使いたいところだ。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 620。外部出力は、Mini DisplayPort、HDMI、Thunderbolt 3と豊富だ。ディスプレイは13.3型で非光沢液晶のフルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには非対応となる。

 ネットワークは、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2とフル装備。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-C/Thunderbolt 3、USB 3.0×2、200万画素カメラ、SDカードリーダ、音声入出力。本機の特徴として前面カメラがWindows Hello対応だ。

 サイズは約330×226×19mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.5kg。バッテリ駆動時間は約6.4時間。今回の構成で税込直販価格102,578円(執筆時点)。

 これに対して、4GB×2、SSD M.2 240GBの構成だと税込120,895円。約2万円の差であれば、メモリがデュアルチャネル動作し、ストレージがSSD。総合的な性能向上を期待できるこちらのほうが満足度は高いだろう。

パネル中央上にWindows Hello対応の200万画素カメラ
左側面。電源入力、SIMスロット(ダミー)、USB 3.0、電源ボタン、音声入出力。パネルはこの角度が最大
右側面。ロックポート、Ethernet、SDカードリーダ、HDMI、Mini DisplayPort、USB 3.0、USB 3.1 Type-C/Thunderbolt 3
天板も含め筐体はサンドブラスト処理を施したアルミ合金。あまり目立たないが、「SOLUTION」のロゴがある
底面。上下に長細いゴム足。手前両側面下にステレオスピーカー
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプ。タッチパッドはボタンが左右一体型
キーピッチは実測で約19mm。スペースキー周辺以外はほぼ均一だが、なぜか「{」、「}」などの一部のキーだけ異様に広い
重量は実測で1,521g
付属のACアダプタはサイズ約85×35×25mm(同)、重量150g、出力19V/2.1A

 筐体は同社の安価モデルにありがちなプラスチック製ではなく、サンドブラスト処理を施したアルミ合金で、見栄えは良い。ただ13.3型で約1.5kgは、いまどき少し重いほうとなるのが欠点だろうか。

 前面はパネル中央上にWindows Hello対応の200万画素カメラ、正面側面左側にステータスLED。左側面は電源入力、ダミーのSIMスロット、USB 3.0、電源ボタン、音声入出力。右側面はロックポート、Gigabit Ethernet、SDカードリーダ、HDMI、Mini DisplayPort、USB 3.0、USB 3.1 Type-C/Thunderbolt 3を配置。SIMスロットが無効なのは残念だ。裏は手前左右側面下にステレオスピーカーがある。バッテリは着脱できない。付属のACアダプタはサイズ約85×35×25mm(同)、重量150g、出力19V/2.1A。

 ディスプレイは今どきとしては少しベゼルが広めだが、非光沢の13.3型で眼に優しい。発色はギラギラせず自然な感じだ。コントラストと明るさも十分。輝度最小でもそれなりに見える。視野角は広いほうではないものの、十分実用レベル。落ち着いて仕事できそうなパネルだ。パネルは写真の角度が最大となる。

 キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプ。キーピッチは、スペースキー周辺だけ若干狭いものの、主要キーは約19mm。打鍵感は重過ぎず軽過ぎず、若干のクリック感もあり、万人受けする作りと言えるだろう。

 ただし写真からもわかるように、「{」、「}」といったEnterキー付近の一部のキーだけ異様に幅が広くなっている。狭いよりはいいのだが、試用中、Enterキーを押したつもりが、上記のどちらかのキーを押してしまうトラブルが発生した。こればかりは慣れるしかないだろう。

 タッチパッドは左右クリックボタンが一体型になっている。13.3型なのでそれなりにフットプリントがあり、パームレストともに面積が確保されているので扱いやすい。

 振動とノイズは気にならないレベルだ。発熱はベンチマークなどで負荷をかけると、おもに右手前とキーボードの後ろ側が暖かくなった。とはいえ、PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedの詳細でもわかるように、プロセッサの温度は高くても70℃ほどと低めのため、十分許容範囲に収まっている。

 サウンドは、左右側面下にスピーカーがあるので、それなりのステレオ感が出る。低音少な目なシャリシャリした鳴りっぷりだが、パワーもそこそこ。クラス相応と言ったところか。

 Windows Helloによる顔認証機能もためしてみた。筆者の場合、通常メガネをかけているので「精度を高める」で登録したが、これで実際に認証を行なったところ一瞬でログインすることができた。

メモリ4GB、HDDの構成でCore i7のパワーが発揮できず

 OSは64bit版のWindows 10 Home。久々にメインストレージがHDDのシステムを使ったが、最新鋭のCore i7を搭載しているわりに、何をしてもモッサリ感が付きまとう。このあたりはやはりSSDがほしいところ。メモリとストレージをCore i7に相応しい構成にすれば一気に印象が変わると思われる。

 初回起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面。とくに追加されたグループやタイルはない。デスクトップは、わりといろいろショートカットが置かれている。

 ストレージは500GB/5,400rpm/128MBのHDD「ST500LM030」。C:ドライブのみの1パーティションで約464.7GBが割り当てられ空き445GB。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。

スタート画面(タブレットモード)はWindows 10標準
起動時のデスクトップ。壁紙の変更と左側にショートカットが9つ
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージは500GB/5400rpm/128MBのHDD「ST500LM030」。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製
ストレージのパーティションは、C:ドライブのみの1パーティションで約464.7GBが割り当てられている

 プリインストールされているソフトウェアは、「ノートンセキュリティ(30日間無料版)」、「LoiLoScope 2」、「Zener Photo Studio 15」。加えて、「Control Center」、「つながれたThunderboltデバイス」などシステム系となる。

 デスクトップにある、「eFax」、「Microsoft Office 365へ登録」、「U-NEXT」、「ユニサーチ」は単にサイトへのショートカットだ。じつはスタートメニューの「ユニットコムのお勧め」フォルダにも結構な数のショートカットが入っていたりする。

ノートンセキュリティ
Zener Photo Studio 15
Control Center
つながれたThunderboltデバイス

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、CrystalDiskMark。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(4コア8スレッドと条件的に問題があるので参考まで)。

 winsat formalの結果は、総合 5.9。プロセッサ 8.2、メモリ 5.9、グラフィックス 6.1、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 5.9。OSが64bitでメモリが4GBなので、スコアにリミッターがかかっている。メモリのバンド幅は14,623.31021MB/s。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは3,236。

 CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 122.7/Write 54.24、4K Q32T1 Read 1.104/Write 0.909、Seq Read 115.4/Write 46.97、4K Read 0.385/Write 0.796(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 67,767、FPU 60,142、MEM 54,636、HDD 8,550、GDI 16,991、D2D 5,753、OGL 13,635。

 ストレージがHDD、そしてメモリがデュアルチャネル動作していないので、この2つに加えメインメモリ共有の内蔵グラフィックスも性能が落ちている。プロセッサが速いだけにやや残念な部分だ。

 BBenchは、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残4%で2,2353秒/約6.2時間。何時もの残5%で22,032秒/6.1時間。仕様上は約6.4時間なのでほぼ同等。SSDであれば+α持つ可能性はある。

 いずれにしてももう少し伸びてほしいところだが、最近評価したほかのCore i7-8550U搭載機も大差なく、13.3型前後で搭載可能なバッテリ容量との兼ね合いを考えると、この程度になると思われる。

「winsat formal」コマンド結果。総合 5.9。プロセッサ 8.2、メモリ 5.9、グラフィックス 6.1、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 5.9
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated「3,236」
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)。クロックは800MHzから最大の4GHzまで。温度は40℃から70℃程度と低め
CrystalDiskMark。Seq Q32T1 Read 122.7/Write 54.24、4K Q32T1 Read 1.104/Write 0.909、Seq Read 115.4/Write 46.97、4K Read 0.385/Write 0.796(MB/s)
BBench。バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で22,032秒/約6.1時間
CrystalMark。ALU 67,767、FPU 60,142、MEM 54,636、HDD 8,550、GDI 16,991、D2D 5,753、OGL 13,635

 以上のようにユニットコム「SOLUTION-13FH053-i7-UHS」は、13.3型フルHDの筐体に第8世代Core iプロセッサを搭載したノートPCだ。ただ標準では高性能プロセッサに、メモリ4GB/HDDというローエンド構成。このままだと速度的に不満が出そうなので、できればメモリを増やしSSDで使いたいところ。それ以外については大きな不満はないので、低価格なハイエンドCPU搭載ノートPCがほしいユーザーに使ってほしい1台だ。