西川和久の不定期コラム

Lenovo「MIIX 510」

~キーボードとActivePenも付属する12.2型WUXGAの2in1

MIIX 510

 レノボ・ジャパン株式会社は1月17日、液晶着脱式2in1 PC「MIIX 510」を発表した。発売は1月20日からで、キックスタンドと着脱式のキーボード、そしてペンを備えていることもあり、Surfaceユーザーには少し気になる存在だ。実機が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

16:10型WXUGAパネルと打鍵感の良いキーボード

 今回発表された「MIIX 510」は、直販モデルと量販店モデルがあり、大きな違いは、前者はメモリ4GBか8GB/ストレージ256GB/Office無し、後者はメモリ4GB/ストレージ128GBか256GB/Officeありとなる。プロセッサはCore i5-6200U(2.3GHz)とCore i3-6100U(2.3GHz)の2種類。

 特徴は、どの角度でもピタッと止められる、独特のウォッチバンドヒンジを採用したキックスタンドと、キーボードとペンも付属すること。よく似た構造のキックスタンドがあるので、どうしてもSurfaceと比較してしまうが、パネルがアスペクト比16:10の12.2型WXUGA(1,920×1,200ドット)なので、この点は異なる(Surface 4 Proは解像度も高いが、アスペクト比が3:2)。どちらのアスペクト比が良いかは、好みや用途にもよるだろう。

 今回手元に届いたのは、量販店モデルの上位モデルだ。主な仕様は以下の通り。

仕様Lenovo「MIIX 510」(量販店モデル)
プロセッサCore i5-6200U(2コア4スレッド、クロック 2.3GHz/2.8GHz、キャッシュ 3MB、TDP 15W)
メモリ4GB/PC4-17000 DDR4 SDRAM
ストレージSSD 256GB(PCIe)
OSWindows 10 Home(64bit)
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 520、USB 3.0 Type-C(兼HDMI出力)
ディスプレイ12.2型IPS式1,920×1,200ドット(光沢あり/ゴリラガラス)、10点タッチ/ペン対応
ネットワークIEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.0
インターフェースUSB 3.0、前面200万/背面500万画素Webカメラ、音声入出力
センサー加速度センサー
サイズ/重量(単体)約301.9×203.1×10.1mm(幅×奥行き×高さ)/約800g
同(キーボード接続時)約303.9×205.1×16.1mm(同)/約1,260g
バッテリ駆動時間約5.1時間(2セル リチウムイオンポリマーバッテリ)
その他ActivePen、キーボード、Office Home & Business Premium プラス Office 365サービス付属

 プロセッサはCore i5-6200U。2コア4スレッドで、クロックは2.3GHzから最大2.8GHz。キャッシュは3MBでTDPは15Wだ。メモリはPC4-17000 DDR4 SDRAMの4GB。量販店モデルなので4GB固定となる。普段の作業であれば4GBあれば問題ないものの、同時にいくつもアプリを起動しつつ、ブラウザでタブを大量に開いたり、画像や動画系を触る時などはもう一声欲しいところ。その場合は、8GBがある直販モデルを選ぶことになる。

 ストレージはPCIe接続のSSD 256GB。作業内容にもよるだろうが、特に困らない容量だろう。OSは64bit版のWindows 10 Home(Anniversary Update)。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 520。外部出力はUSB 3.0 Type-Cと併用となる。一般的なディスプレイへ接続する場合、Type-C/HDMIアダプタなどを別途購入する必要があるため、ユーザーにとっては若干コストアップだ。ただAppleのようにシンプルにする方向と、パナソニックのように全部入りにする方向とで過渡期にある現在、どちらもありなのは仕方のないところかも知れない。

 パネルはゴリラガラスで光沢ありの12.2型IPS。解像度はWXUGA(1,920×1,200ドット)、10点タッチとペンに対応している。

 インターフェースは、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.0、USB 3.0×1、前面200万/背面500万画素Webカメラ、音声入出力。先のUSB Type-Cを加えても非常にシンプル。メディアカードリーダが無くなっているのも最近の傾向と言えば傾向となる。センサーは加速度のみで、加えてActivePenとキーボードも付属する。

 サイズは本体のみで約301.9×203.1×10.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量が約800g。キーボード接続時で約303.9×205.1×16.1mm(同)、重量約1,260g。同クラスと比較して、若干重い感じがしないでもない。ただその分、キーボードがしっかりしており、打鍵感も上々で、痛し痒しといったところか。固定式の2セル・リチウムイオンポリマーバッテリを内蔵し、駆動時間は約5.1時間。

 店頭価格は不明だが、直販モデルの価格は、Core i3/4GB/256GBで135,000円、Core i5/8GB/256GBで156,600円(税込・送料無料、1月24日現在はE-クーポン適応で118,800円/137,808円)。同CPUで、8GBメモリだがOffice非搭載の直販モデルが156,600円なので、今回のモデルもそれに近い価格になると思われる。

前面。パネル中央上に200万画素前面カメラ
背面。中央上付近に500万画素背面カメラ
左側面。USB Type-C、USB 3.0、電源入力。下側の3つのスリットはスピーカー
右側面。電源ボタン、音量±ボタン、音声入出力、スピーカー。スタンドはこの角度が最大の150度
キーボード。10キーなしのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは約19mm。キーボードバックライトはない
キーボード(裏)。レザーっぽい質感のブラック(ややグレー)
付属のACアダプタとActivePen、ソフトケース。ACアダプタのサイズは約60×60×30mm(同)、重量170g。プラグ部分は折り畳めない。ペンのバッテリは単6(AAAAサイズ)1本
ペン使用中。EdgeのWebノート機能でページをメモ書き
ペンフォルダ。USBコネクタに差し込んで使う
下側面のドックコネクタとウォッチバンドヒンジ。側面や背面の写真からも分かるように、ヒンジがウォッチバンド的になっている
重量(本体)。実測で874g
重量(キーボードドック接続時)。実測で1,231g
縦表示。Surfaceの3:2ほどではないものの、16:10でも意外と見やすい
500万画素の背面カメラで撮影。AF搭載で、マクロは結構寄れるものの、少し歪む

 筐体は、単体で約301.9×203.1×10.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量約800g。このクラスのタブレットとしては少し重いだろうか。カラーは「プラチナシルバー」。質感は金属製で高級感がある。

 前面は、パネル中央上に200万画素前面カメラ。背面は中央上付近に500万画素背面カメラ。左側面は、USB Type-C、USB 3.0、電源入力。下側の3つのスリットはスピーカーだ。右側面は、電源ボタン、音量±ボタン、音声入出力、スピーカーを配置。上側面はスリットのみ、下側面は中央にドッキングコネクタがある。付属のACアダプタのサイズは約60×60×30mm(同)、重量170g。ただし、プラグ部分は折り畳めない。

 キックスタンドは、ステンレス製の280個の部品で構成されたウォッチバンドヒンジで、どの角度でもガッチリ止まる。右側面の写真が最大の150度。

 12.2型1,920×1,200ドットのIPSパネルは、とにかく明るくそして綺麗だ。初めて起動した時に「お!」と思ったほど。IPSなので視野角も広い。普通の部屋なら、輝度50%程度で十分ではないだろうか。ただしバックライトを最小にするとかなり暗く、実用的ではない。

 付属のキーボードは、10キーなしのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは約19mm。残念ながらキーボードバックライトはない。海外ではオプションでバックライト付きが用意されているようだが、国内では今のところ用意がないようだ。扉の写真から分かるように、Surfaceと同じように、本体下のフチにキーボードの端が磁石で固定され、少し傾く。

 このタイプのキーボードの打鍵感は、軽量化と薄型のため、どちらかといえばパコパコした感じになりがちだが、このキーボードはタッチパッドも含め、割とガッチリしていて好印象だ。その分、少し重くなっているものの、これなら納得できるのではないだろうか。

 付属のActivePenは、単6(AAAAサイズ)の電池を1本使用する。同社のサイトには掲載されていないが、筆圧検知2,048段階で、後半の搭載ソフトウェアから分かるようにワコムタイプだ。筆者の場合、絵心がなく、主にマーカー替わりやメモ書きになるが、反応も良くかなりスムーズに扱える。

 前面の200万画素カメラは固定焦点で、用途はWebカメラ、背面の500万画素カメラはAFにも対応し、作動もそれなりに速い。作例を1点掲載したが、マクロも結構寄れる。ただ積極的には使いたい画質ではない(歪もある)。

 振動やノイズ、発熱は、試用した範囲では特に気にならなかった。サウンドは、左右側面の下側にスピーカーがあるため、幅がある程度確保されステレオ感があり、Dolby Audioのモードを映画や音楽に切り替えると、はっきりと音の広がりが違うことを確認できる。小型スピーカーなので中域中心の音質、パワーは今一歩といったところ。

2in1としては十分な性能

 OSは64bit版のWindows 10 Home(Anniversary Update)。Core i5、メモリ4GB、PCIe接続のSSDなので、作動も速く快適に操作できる。おそらくCore i3モデルも、通常使用であればさほど変わらないだろう。

 初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。Lenovo Appsグループにある3つがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更と、左側にOffice系のショートカットが2つとシンプルだ。

 ストレージはPCIe接続256GBの「Hynix HFS256GD9MND-5510A」。実質Cドライブのみの1パーティションで、約212.23GBが割り当てられ、空きが189GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。

スタート画面(タブレットモード)。Lenovo Appsグループにある3つがプリインストール
起動時のデスクトップ。デスクトップは壁紙の変更と、左側にOffice系のショートカットが2つ
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージはPCIe接続256GBの「Hynix HFS256GD9MND-5510A」。Wi-FiとBluetoothはIntel製
SSDのパーティション。Cドライブのみの1パーティションで約212.23GBが割り当てられている

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「Lenovo Companion」、「Lenovo Settings」、「Lenovoアカウントポータル」。デスクトップアプリは、「Dolby Audio」、「ワコムペン」、「Microsoft Office」と、アプリらしいアプリはOfficeのみと意外と少ない。

Lenovo Companion/ホーム
Lenovo Companion/更新
Lenovo Settings
Lenovoアカウントポータル
ワコムペン
Dolby Audio

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、「PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)」、「BBench」。PCIe SSDなので「CrystalDiskMark」の結果も見たい。参考までに「CrystalMark」(2コア4スレッドで条件的には問題ない)のスコアも掲載した。

 winsat formalの結果は、総合 5.8。プロセッサ 7.4、メモリ 5.9、グラフィックス 5.8、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.75。メモリのスコアが低いのは、64bit版でメモリ4GBなのでリミッターがかかっている。バンド幅が32,708.89580MB/sなので、このリミッターがなければもっと高いスコアだ。

 PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は3,224。CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 1,833/Write 418.7、4K Q32T1 Read 519.9/Write 416.8、Seq Read 1,181/Write 419.4、4K Read 29.10/Write 126.0(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 43,314、FPU 43,331、MEM 51,101、HDD 48,171、GDI 12,222、D2D n/a、OGL 11,214。ストレージが速めで、ほかはCore i5 6200U搭載機としては平均的な結果だ。

 BBenchは、キーボードを接続したままバッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、WiFi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で36,334秒/10.0時間。仕様では約5.1時間なので、約倍作動したことになる。ただし、先に書いたようにバックライト最小はかなり暗いため、実際はもう少し短くなると思われる。

winsat formalコマンドの実行結果。スコアは総合 5.8。プロセッサ 7.4、メモリ 5.9、グラフィックス 5.8、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.75
PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)。スコアは3,224
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)/詳細。クロックは600MHz辺りから最大の2.8GHz。結構振幅の幅が激しい。温度は約40℃から64℃辺りと低め
BBench。キーボードを接続したままバッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、WiFi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で36,334秒/10時間
CrystalDiskMark。スコアはSeq Q32T1 Read 1,833/Write 418.7、4K Q32T1 Read 519.9/Write 416.8、Seq Read 1,181/Write 419.4、4K Read 29.10/Write 126.0(MB/s)
CrystalMark。スコアはALU 43,314、FPU 43,331、MEM 51,101、HDD 48,171、GDI 12,222、D2D n/a、OGL 11,214

 以上のようにレノボ「MIIX 510」は、パネルを含む全体の品質と、キーボードの打鍵感が魅力的な、Core i5を搭載した12.2型WUXGAの2in1だ。標準でキーボードとActivePenを付属しているのもポイントが高い。

 画面出力がUSB Type-Cというのが少し面倒だが、これも時代の流れで仕方ないところ。そのほか、試用した範囲で特に気になる部分もなく、12型クラスの2in1を探しているユーザーにお勧めしたい逸品だ。