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日本エイサー「GD245HQ」




GD245HQ
液晶サイズ23.6型
パネル方式TN方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.2715mm×0.2715mm
表面処理ノングレア
バックライト方式冷陰極管
応答速度中間色 2ms
コントラスト比80000:1(ACM利用時)
視野角上下/左右とも160度
輝度300cd/平方m
表示色1,670万色
走査周波数水平:
30kHz~140kHz(DVI)
56kHz~140kHz(HDMI & D-Sub)
垂直:
56~120Hz(DVI)
56~75Hz(HDMI & D-Sub)
チルト角度下5度/上15度
高さ調節なし
スイーベルなし
ピボット機能なし
入力端子DVI-D(HDCP対応)×1
HDMI(Ver 1.1)×1
ミニD-Sub 15ピン×1
出力端子HDMI音声出力用ステレオミニジャック×1
スピーカーなし
VESAマウント対応
電源内蔵
消費電力38.2W
付属品DVI-Dケーブル
HDMIケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル
オーディオケーブル
電源ケーブル
マニュアルディスク
本体サイズ647×195×418mm(幅×奥行き×高さ)
重量約5.8kg(スタンド含む)

 日本エイサーから、NVIDIAの3D表示システム「3D Vision」に対応したフルHD液晶ディスプレイ「GD245HQ」が登場。一般発売されるフルHDの3D Vision対応液晶ディスプレイは、以前取り上げたAlienwareの「OptX AW2310」に続き、これが2製品目となる。価格はオープンプライスで、実売価格は4万円前後となっている。

●本体デザイン

 GD245HQは、日本エイサーが発売する液晶ディスプレイの中で、「Gamers Line」という、PCゲーマーをターゲットとしたシリーズに属するモデルだ。そのため、ゴールド系のカラーが採用されている台座部分がやや目立つが、特別奇抜なデザインというわけではなく、全体的な見た目は、他の同社製液晶ディスプレイと大きく変わることはない。

 本体サイズは、647×195×418mm(幅×奥行き×高さ)。ベゼル部分は極端な狭額というわけではないものの、液晶サイズを考えると十分コンパクトにまとめられている。また、この部分は、液晶パネルに近い中央部分が光沢、外周部分がつや消しとなっている。デザイン的なアクセントを狙ったものかもしれないが、光沢部分に外光が映り込んで若干気になることがあるため、できれば全体をつや消しで統一してもらいたかった。

 液晶面のチルト角度は、下5度から上15度の範囲内で調節可能。ただし、台座には高さ調節やスイベルなどの機構は用意されていない。

 電源ボタンは、ベゼル下部右寄りに用意されている。OSD操作ボタンは、電源ボタンの右手の本体底面に用意されている。ベゼルには、ボタンの位置を示す目印が刻印されているものの、基本的にボタンは手探りでの操作となるため、若干扱いづらく感じる。できれば、ボタン類は下部ベゼルの電源ボタンから右に並べてもらいたかった。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の、23.6型ワイド液晶を搭載。パネルの方式はTN方式を採用。応答速度は中間色で2msと非常に高速で、動画やゲーム映像を表示させても残像は全くといって言いほど気にならない。視野角は上下/左右とも160度と、TN方式の液晶パネルとしてはほぼ標準的だが、上下の角度が変わった場合の色合いの変化は若干大きいように感じる。バックライト輝度は300cd/平方m。パネル表面は非光沢処理が施されている。

●接続端子

 映像入力端子は、DVI-D(HDCP対応)×1系統と、HDMI×1系統、ミニD-Sub15ピン×1系統の計3系統を用意。端子類は、液晶裏面下部に下向きに配置されている。

 スピーカーは搭載していないため、音声入力端子は用意されていない。ただし、HDMI経由で入力された音声を出力するため、ステレオミニジャックの音声出力端子が1系統用意されている。ヘッドフォン出力は用意されていない。

●OSD

 OSD操作用のボタンは、本体底面右側に5個用意されている。任意のボタンを押せば、ボタン上部の液晶画面にメニューが現れ、目的の機能を呼び出すことになる。

 用意されている設定項目は、特別豊富というわけではないが、RGBのカラー調整や、バックライト輝度、コントラストなど、必要な項目は一通り網羅。テキストや静止画、動画などに最適なプリセットを呼び出す機能も用意されており、機能的な不満は感じない。

 ただし、本体底面のボタンを利用したOSDの操作は少々戸惑う場面が多かった。ボタンを押すと、液晶画面に操作ガイドが表示されるようになってはいるが、ボタンが目に見えない位置にあるため、どうしても一度ボタンの位置を確認してからの操作となることと、ボタンが横に並んでいることもあって、直感的な操作は少々難しいと感じた。ボタンをベゼル面に並べるだけでも、操作性は大きく変わると思うので、この点は今後の改善を期待したい。

●画質

 映像の表示品質は、一般的なTN方式の液晶パネルを採用する液晶ディスプレイと大きく変わらない。発色は申し分ないし、パネルのサイズは大きいものの、輝度ムラも全く感じない。視野角は、上下/左右とも160度と、TN方式の液晶パネルとしてほぼ標準的。上下の角度が変わった場合の色合いの変化がやや大きく感じられる点は、TN方式の液晶パネルの宿命だが、使用中に視点が大きく変わることはほとんどないため、実際にはほとんど気にならない。そういった意味では、TN方式の液晶パネルを採用する液晶ディスプレイとして、十分満足できる表示品質を備えていると考えていいだろう。

 ゲーマー向け液晶ディスプレイで、画質に次いで重要となるのが、残像や映像入力から表示までの遅延だ。残像に関しては、液晶パネルの応答速度が、中間色で2msと非常に高速であることもあり、動画を再生したり、レースゲームなどの映像が高速に動くゲームなどを表示させて確認してみたが、特に問題になるような残像は感じられなかった。また、入力遅延に関しても、実際にDVI経由で接続したPCや、HDMI経由で接続した家庭用ゲーム機で入力にシビアなゲームをプレイしてみたところ、遅延は感じることなくプレイできた。これなら、シビアな表示環境を要求する上級ゲーマーでも、十分に満足できるはずだ。

 GD245HQには、表示機能に関してもう1つ大きな特徴がある。それは、リフレッシュレート120Hzをサポートし、NVIDIAの3D表示システム「3D Vision」をサポートしているという点だ。実際に、3D Visionのシステムを用意して、3D Vision対応のゲームをいくつかプレイしてみたが、もちろん、どれも全く問題なく3D表示が行なえた。

 ちなみに、ゲームによっては、明暗差の激しい部分や、全体的に明るい場面などで、境界線が2重に見える、ゴーストのようなものを比較的強く感じる場面があった。これは、以前3D Vision対応ディスプレイとして紹介した、AlienwareのOptX AW2310と同じで、液晶ディスプレイ側の問題ではなく、液晶シャッターが閉じた状態でもわずかに光を通してしまう、3Dメガネ側に起因する問題と考えられる。事実、明暗コントラスト差がそれほど激しくない部分や、それほど明るくない場面では、ゴーストを感じることはなかった。

 映画や、民生用の大型テレビなどで3D映像が話題となっているが、当然今後はPCでも3D映像を扱う機会が増えることになるだろう。そういった中で、フルHD解像度で3D Visionをサポートする液晶ディスプレイは、まだ製品数が少なく、GD245HQは非常に貴重な存在と言える。また、3D表示にまだそれほど興味が無くとも、TN方式の液晶パネル採用のディスプレイとして申し分ない表示品質や、高速な応答速度、遅延の少なさなどは、かなり大きな魅力となるはずだ。価格は4万円前後と、TN方式の液晶パネルを採用する同クラスの製品と比較すると若干高価ではあるが、応答速度の速さや遅延の少なさ、3D Visionの対応などを考えると、その価格差も納得できる範囲内であり、3D映像に興味がある人だけでなく、ゲームを快適にプレイできる液晶ディスプレイを探している人にも大いにおすすめしたい。

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(2010年 4月 7日)

[Text by 平澤 寿康]