■最新液晶ディスプレイ ピックアップ■
ZR24w | |
液晶サイズ | 24型 |
パネル方式 | S-IPS(H2-IPS)方式 |
表示解像度 | 1,920×1,200ドット |
アスペクト比 | 16:10 |
画素ピッチ | 0.270mm×0.270mm |
表面処理 | ノングレア |
バックライト方式 | 冷陰極管 |
応答速度 | 中間色 5ms、黒白黒 12ms |
コントラスト比 | 標準1000:1、ダイナミックコントラスト3000:1 |
視野角 | 上下/左右とも178度 |
輝度 | 400cd/平方m |
表示色 | 1,670万色 |
走査周波数 | 水平:24kHz~80kHz 垂直:59~61Hz |
チルト角度 | 下5度、上30度 |
高さ調節 | 100mm |
スイーベル | 左45度、右45度 |
ピボット機能 | あり |
入力端子 | DVI-D(HDCP対応)×1 DisplayPort(HDCP対応)×1 ミニD-Sub 15ピン×1 USB 2.0×1 |
出力端子 | USB 2.0×4 |
スピーカー | なし |
VESAマウント | 対応 |
電源 | 内蔵 |
消費電力 | 標準85W、最大95W |
付属品 | DVI-Dケーブル Display Portケーブル USBケーブル 電源ケーブル |
本体サイズ | 556×235×425~525mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約8.5kg(スタンド含む) |
日本HPが発売している、法人向け液晶ディスプレイ「プロフェッショナル液晶モニター」シリーズに、価格を抑えたエントリーモデル「ZR24w」が追加された。エントリークラスながら、液晶パネルには広視野角かつ発色に優れるS-IPS液晶パネルが採用されており、コストパフォーマンスに優れる製品に仕上がっている。直販価格は57,750円。
●本体デザインHP ZR24wは、日本HPが発売するワークステーション向けとして用意されている、プロフェッショナル液晶モニターシリーズに属する製品だ。本体デザインは、ビジネス向けの製品ということもあり、狭額のオーソドックスなデザインが採用されている。
本体サイズは、556×235×425~525mm(幅×奥行き×高さ)。液晶パネルが24型との液晶ディスプレイとしては、特に大きい方ではない。ただし、専用スタンドがやや大きいため、奥行きが235mmと若干幅を取る。ベゼルは狭額で、つや消しのブラック塗装となっていることもあり、液晶パネルに表示される映像に集中しやすい。
スタンドは、液晶面の角度調節、高さ調節、スイーベル、ピボットの各機構を備える。液晶面の角度調節は、下5度から上30度と幅が広い。高さは100mm、スイベルは左右とも45度の範囲内で調節可能だ。高さを最も低い位置にしている状態ではロックがかかるようになっているが、ロック解除ボタンがスタンド後方下部に用意されているため、高さ調節を行なう場合には少々面倒に感じる。
電源ボタンおよびOSD操作用のボタンは、液晶下部ベゼル右隅に集められている。OSD操作用ボタンは4個で、横一直線に並べて配置されているため、OSD操作時には少々戸惑うことがある。ボタン部には機能が印刷されているが、なかなか直感的な操作がしづらい。できればOSD表示時に液晶パネルに操作ガイドを表示してもらいたいところだ。
●液晶パネル1,920×1,200ドット表示対応の、24型ワイド液晶を搭載。パネルの方式はS-IPS方式。映像系のプロ用途向けではないが、sRGB比102%(カバー率97%)と、まずまずの広色域パネルが採用されている。応答速度は黒白黒12ms、中間色5ms。視野角は、上下/左右とも178度と広く、画面を見る角度が多少変化しても色合いの変化は全く感じられない。バックライト輝度は400cd/平方mと、十分な明るさが確保されており、周辺部にわたって輝度ムラは一切感じられない。パネル表面は非光沢処理が施されている。
●接続端子映像入力端子は、DVI-D(HDCP対応)×1系統、DisplayPort(HDCP対応)×1系統、ミニD-Sub15ピン×1系統の全3系統が用意される。スピーカは搭載されておらず、音声入出力端子も用意されていない。
映像入力端子は、液晶背面に下向きに取り付けられているが、ピボット機構を利用することで、設置後でもケーブルの着脱は比較的容易に行なえる。また、ケーブルはスタンド下部の穴に通してすっきりとまとめられる。
映像入力以外に、USB 2.0のアップストリームポートが1ポートと、ダウンストリームポートが4ポート用意されており、USBハブ機能として活用できる。ダウンストリームポートは、映像入力端子の横に2ポートと、本体左側面に2ポート用意されており、使い勝手に優れる。
●OSDOSDメニューは、ワークステーション向けのプロ用途として位置付けられている製品の割には、やや簡素化されたものとなっている。もちろん、RGBのカラー調節や、輝度、コントラスト調節など、基本となる設定メニューは問題なく網羅されている。映像系のプロが利用するには、設定項目が少なく感じるかもしれないが、通常はOSDの機能面に不足を感じることはないだろう。
ところで、OSDの操作ボタンが液晶下部ベゼルに横に並んでいることと、ボタンの数が4個と少ないためか、操作に少々戸惑う場面が少なくなかった。メニューの先に進んだり、前のメニューに戻る場合に、どのボタンを押せばいいのかわからなくなり、直感的に操作できない。慣れてしまえば気にならなくなるもしれないが、ボタン上部の画面に操作ガイドを表示するだけでも操作性が大きく変わると思うので、改善を期待したい。
●画質鮮烈な発色が実現されている、プロのグラフィック用途向け広色域液晶ディスプレイと比べると、やや劣る印象もあるが、パネル自体はNTSC比83%、sRGBカバー率97%と、この価格帯の液晶ディスプレイとしては十分に広色域であり、全体的に高品質な映像が表示される。TNパネルを採用する低価格液晶ディスプレイとの比較では、表示品質はかなり優れていると感じる。
応答速度は、黒白黒が12ms、中間色が5msと飛び抜けて速いわけではないが、高速な描画のゲーム画像を表示させても、残像はほぼ気にならない。ただし、入力映像の表示遅延は少々感じるため、シビアな入力を要求されるゲームをプレイする場合などには遅延が気になるかもしれない。とはいえ、ゲーマー向けの液晶ディスプレイではないため、基本的には気にする必要はない。
ZR24wは、法人向けのエントリーモデルとして位置付けられていることもあり、どちらかというと文字情報の表示や文字入力の快適性を重視した仕様を実現しているように思う。事実、優れたな発色性能を必要とするプロのグラフィックデザイナーなどが利用する液晶ディスプレイとしては、少々物足りない部分が多い。ただ、それはあくまでもプロ用途として考えてのことで、同価格帯の他の液晶ディスプレイと比較した場合には、発色性能はもちろん、液晶サイズと表示解像度、スタンドの機能面など、かなり優れている部分が多い。そう考えると、非常にシビアな発色性能を求めない限り、十分に満足できる製品と言っていい。
直販サイトのHP Directplusでは個人でも購入可能。品質は申し分ないし、デザインも、いかにもビジネス向けといった無骨なものではないので、個人ユーザーにも大いにおすすめしたい製品だ。
(2010年 5月 6日)