買い物山脈

仕事とPS5に最適な環境を構築しようと4K液晶にディスプレイアーム導入したら想定以上の快適さだった

製品名 27UL500-W

購入金額 2万9,800円

製品名 Amazonベーシック モニターアーム

購入金額 8,093円

購入時期 2020年10月

使用期間 2週間

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです

仕事も遊びも4Kにしたい

4K液晶とディスプレイアームを導入

 いま、4K(3,840×2,160ドット)のディスプレイが欲しい。そう思っている人は結構多いのではないだろうか。筆者は長らくWUXGA(1,920×1,200ドット)のディスプレイを使い続けてきたが、いよいよ4Kディスプレイの必要性が増してきた。

 最大の理由は次世代ゲーム機の登場だ。11月に発売となるPlayStation 5やXbox Series Xは、4Kでのゲームプレイを想定している。厳密には4Kかつ120Hzの高リフレッシュレートなのだが、実現可能なディスプレイはHDMI 2.1対応が必要で、現時点では製品が存在しない。もし近々発売されても、かなり高価になることが予想されるので、ひとまず4K/60Hzで妥協しておくことにした。

 また4K放送やUHD BD、動画配信サービスなど、4Kの映像作品が増えてきたこともポイント。来年(2021年)の東京五輪に備えるという意味もあり、活用できる機会は今後間違いなく増えていく。

 テレワークになり、自宅にディスプレイが欲しいという人も多いと聞く。ならばこの機会に4Kディスプレイを、と思うのも自然な流れだろう。筆者は元々自宅が職場なのだが、パソコンやゲームのレビューの仕事、取材の写真チェックなどで、そろそろ4K環境が欲しいと思っていた。

 加えて、4Kディスプレイ自体がかなり安価になっており、物を選ばなければ2万円台から手に入る。筆者はAmazonのセールで3万円弱になっていた、LGの27型ディスプレイ「27UL500-W」を購入。この機会に4K環境を構築してみることにした。

筆者の仕事部屋。これでも普段よりは綺麗なほう

フルHDから4Kにすると生じる課題

 フルHDクラスのディスプレイを4Kに置き換えると、解像度が上がって幸せ……と言いたいのだが、そう簡単にいかない部分もある。

 4Kディスプレイのユーザーからもっとも多く聞く声は、パソコンを接続したときに文字が小さくて読みにくい、というもの。ディスプレイの物理的サイズがそれほど変わらず、解像度だけが上がってしまえば、文字は相応に小さくなる。当たり前のことだが、使ってみると「こんなに違うの?」と驚く人が多いようだ。

 文字のサイズについては、Windows 10ならスケーリング機能(拡大縮小とレイアウト)である程度対応できる。筆者の環境だと、150%サイズが推奨されている。なお動画や画像などのアプリでは、スケーリング機能を使っても映像は拡大せず、本来の高解像度で表示してくれるものも多い。

ディスプレイの設定にある「拡大縮小とレイアウト」でスケーリング機能を設定できる

 ただ、スケーリング機能を使ってしまうと、「それならもう少し低い解像度でいいのでは?」と4Kディスプレイの必要性を問われる事態になりがち。あるいはディスプレイのサイズを物理的に大きくすれば、その分だけ文字も大きくなるが、製品価格は上がり、より広い設置スペースが必要になる。

 設置スペースという点では、4Kディスプレイのほうが物理的なサイズが大きく、今までと同じ場所に置けなくなる可能性がある。筆者の環境だと、24型のWUXGAディスプレイでギリギリ設置できる状態だったが、4Kディスプレイは27型以上の製品が多く、同じ場所に置けない。最近は狭額縁の製品も多く、画面サイズのわりに筐体は小さくなっているが、それにも限度はある。

ディスプレイアームを使って解決

 筆者の場合、文字のサイズと設置スペースという2つの課題を解決しないことには、4Kディスプレイを導入できないことはわかっていた。その解決策として、ディスプレイアームを導入しようと考えた。

 まず文字が小さい点については、ディスプレイを近づけて、よく見える距離に持ってくればいい。普通のディスプレイは画面の角度や高さの調整はできても、前後左右の移動はできない。ディスプレイアームを使えば前後左右の移動も簡単にできる。

 対してゲームプレイや動画鑑賞では、画面全体が一目で見えるほうがいい。ディスプレイとの距離を、状況に応じて変えられることが重要だ。

 設置スペースについても、ディスプレイアームは土台をテーブルや壁などに固定するので、設置場所の自由度が上がる。ディスプレイのスタンドがなくなり、ディスプレイの真下のスペースも有効活用できる。ディスプレイ自体が動かせるので、ディスプレイの裏にゲーム機を置くなども簡単にできる。

 ちなみに今回買った「27UL500-W」に付属するスタンドは、高さ調整や回転ができないタイプで、その分だけ価格が安く設定されている。ディスプレイアームを使えばスタンドは不要になるので、本製品でまったく問題ない。

実際にディスプレイアームを取りつける

 ここからは実際にディスプレイアームを取りつける様子をお伝えしよう。今回はAmazonのオリジナルブランド、Amazonベーシックのディスプレイアームを購入した。

 開封すると、大きめの部品が3つと、細かい部品がいろいろ出てくる。これだけ見るとたいへんそうな気がするのだが、じつは小さい部品は使わないものもあり、作業も全然難しくない。

ディスプレイアームの部品を並べてみた。細かい部品がいくつかあるが、使わない部品も多い
取り付け説明書は多国語対応のため、ひたすら図だけで書かれている

 まずディスプレイアームの先端部分の部品を、ディスプレイの背面に取りつける。この取り付け部分にはVESAマウントという規格があり、ディスプレイとディスプレイアームの双方が対応していれば間違いなく取りつけられる。今回は双方が100×100mmのVESAマウントに対応しており、4つのネジ穴がぴったり合うようになっている。

 なおディスプレイアームの設置には、VESAマウントのほかに重量も要確認。今回は「27UL500-W」のディスプレイ部分が4.6kgで、ディスプレイアームの耐荷重が2.3~11.3kgとなっている。重すぎても軽すぎても正常に使用できないので注意が必要だ。

 取り付けのさいには、ディスプレイの画面を下にして置き、4つのネジを止めていく。ディスプレイを置く場所に物があると画面を傷つけてしまうので、必ず平坦な場所に置く。

ディスプレイの背面にあるVESAマウント部分に、ディスプレイアームの先端部品を取りつける。ネジは2種類入っていて、どちらを使ってもいい
今回は手締めネジで取りつけた。アームがディスプレイ上方に伸びるかたちになるが、これでいい

 次に土台をテーブルに固定する。机の厚さに応じてクランプの幅を調整し、土台を机に挿し込み、ハンドルで締める。これで土台の固定は完了だ。

土台は取りつけるテーブルの厚みに合わせて、付属の六角棒レンチで取り付け位置を3段階に調整できる
土台をテーブルに挿し込む
下からハンドルで締めて固定する。これで土台は完成

 続いてアームを土台にはめ込んでいく。土台から出ているポールに、アームを上からはめ込むだけでいい。最後にディスプレイを取りつけたアームを、先ほどと同じように上からはめ込む。これで取り付けは完了だ。ただしこの状態だとアームの可動部が固くて動かしにくいので、各部を六角棒レンチで適正なテンションに緩めてやる。

土台に1つ目のアームをはめ込む
続いてディスプレイを取りつけたアームもはめ込む
アームの可動部のテンションを緩める
ディスプレイの向きを直して、とりあえず設置完了

 作業中はこれでディスプレイを支えられるのかと不安になるが、実際にディスプレイを上下左右に動かしてみると、関節部分の緩みもなくスムーズに動き、とても安定している。作業前はもっと複雑な組み立てが必要だと思っていたので、あまりに簡単すぎて拍子抜けした。これなら4Kなど関係なく、もっと早く導入しておきたかった。

 さらにアームの下にディスプレイのケーブル類を添わせるように入れ込み、見た目もスマートにできる。ただし、ディスプレイアームの下にケーブルを這わせる分だけ、ケーブルがより長く必要になる。今回のディスプレイ付属のケーブルは1.5mしかないので、ひとまずディスプレイからケーブルが垂れ下がるかたちで使う(使用上の問題はない)。

ケーブル類はアームの下を這わせて美しくまとめられるが、ケーブル長が足りず今回は断念

使用感は想定以上! 快適な4K環境が完成

無事に4Kディスプレイとディスプレイアームを設置できた

 セッティングが終わったので、実際の使用感もお伝えしよう。

 まずはWindows 10のパソコンを4K解像度で使ってみる。スケーリングを使わないと、やはり文字は小さい。しかしディスプレイを好きなだけ近づけられるので、快適に見える位置まで動かせば十分使える。

 「そんなに無理せずスケーリングを使えば?」と言われそうだが、フルHDと比べて面積比4倍の広大なデスクトップ空間は驚くほど快適だ。今までは重なり合っていたウィンドウも、余裕を持って離しておける。机の上がゴチャつかない感じで、使い勝手もよく、スッキリして気持ちがいい。長年PCを使ってきた筆者としても、はじめてマルチウィンドウの恩恵を受けたような気分になる。

 また4Kがいかに高精細とは言え、27型の4Kディスプレイなら、13型のフルHDのノートとほぼ同等のドットピッチだ。筆者で言えば、未だ現役のVAIO P(8型、1,600×768ドット)よりマシなので、何ら無理ではない。まだ老眼ではなさそうでよかったと思うだけだ(笑)。

 1つ注意が要るなと思ったのは、ディスプレイの視野角。大画面を近くで見ることになるので、画面の端のほうはやや角度をつけて見ることになる。「27UL500-W」はIPSパネルで高視野角なのでさほど気にならないが、こういった使い方を想定するなら、視野角の広いものを選ぶほうがいい。

ディスプレイを動かせば、目の前の位置まで近づけられる

 写真などの編集作業も便利になった。筆者のカメラは4K以上の記録画素数なので、写真を見るという点ではまだ完璧ではないものの、元解像度により近い状態で見られるのは十分重宝する。

 また筆者が写真を納品するさいにはおおむねフルHD程度の解像度に下げているので、写真の加工や調整のさいには等倍サイズで作業できる。今まではいくぶん縮小表示にせねばならなかったので、作業しやすくなった。

 ゲームや動画視聴のさいには、距離を離して画面全体を見渡せる距離にする。ディスプレイを押して離すだけで適正な距離にできるし、何ならゲームの種類によっても距離を変えられる。

 じつは筆者が4Kにこだわる理由にはもう1つある。これまでに登場したゲームはフルHDを前提にしたものが多く、パソコン用のゲームでも4K表示にするとフォントサイズが小さくなりすぎて遊びにくいものが多い。そういうときは解像度をフルHDで遊びたいが、4KならちょうどフルHDの縦横2倍なので、ドットの補間処理が必要なく、正確な映像が見られる(前述のとおり、筆者はこれまで1,920×1,200ドットの16:10環境を使用していた)。

ゲームで遊ぶときにはディスプレイを遠くに離す。4KディスプレイならフルHDのゲームも違和感なく遊べる

 ディスプレイアーム導入の利点はまだある。筆者はサーバー兼サブマシンとして2台目のパソコンがあり、余ったWUXGAのディスプレイをこちらに譲った。そこまで広くないデスクに27型と24型のディスプレイが並ぶことになり、普通に置くと画面が一部かぶってしまう。しかしディスプレイアームがあれば、サブマシンで作業するときには、4Kディスプレイを横にどければいいだけだ。

サブマシンを使うときには、ディスプレイをどけてやればいい

 またディスプレイのスタンドがない分、デスクが広く使えるのも想定どおり。ディスプレイアームを備えつけるのはデスクの端で、ディスプレイの下はフリースペースになる。筆者の場合、その奥にラックがあるので、そこもディスプレイを動かせば手が届くようになり、より活用できるスペースが増えた(元々物が多いのでまだまだ美しくはないが……)。

ディスプレイの下が空くので、スペースを有効活用できる

 想定どおりにいかなかった点もある。ディスプレイを動かすさい、当然、アームも動くわけだが、筆者の環境ではアームがラックの支柱に当たってしまい、動かせない角度が発生する。同様の問題として、デスクを壁につけて置いている環境でディスプレイアームを導入したところ、アームが壁に当たって可動域が大きく狭まるという話もある。

 アームの可動域を購入前に想定するのはなかなか難しく、やってみて気づく人がほとんどだろう。幸い、今回のディスプレイアームは設置も撤去もとても簡単で、土台部分を移動するのも簡単だ。なるべくラックに干渉せずに必要な動きができるよう、土台をデスク奥から横に移動した。これは使用環境によって異なるので、各々の使い勝手のいい場所を探すといい。

土台をテーブルの奥に設置するとアームがラックにぶつかりやすいため、テーブルの左側に土台を移動した

 ほかにディスプレイアームの利点として、地震に強いとも聞く。ディスプレイスタンドだと、形状や設置場所によっては前後の強い揺れで倒れてしまうものもあるが、ディスプレイアームはその心配がない。実際は製品にもよるし、筆者自身はまだこの環境で大地震を体験していないので確かなことは言えないが、土台がしっかり固定されてさえいれば、構造的に安全性は高いと思う。

 ちなみに今回使ったAmazonの製品では、このほかに壁付けタイプやデュアルディスプレイタイプもある。他社製品も含め価格にも機能にも幅があるので、ディスプレイや環境、目的に合ったものを選んでいただきたい。

ディスプレイの回転も可能なので、縦表示にするのも簡単だ

 余談だが、筆者はPS5の抽選にことごとく外れており、今のところ入手の見通しは立っていない。