買い物山脈
大型液晶2台をエルゴトロンのアームにチェンジ。配置自在で作業スペースも広々
2021年5月12日 09:50
- 製品名 Amazonベーシック モニターアーム 2点セット(購入金額1万5,980円)
- 購入時期 2020年11月
- 使用期間 1カ月
今の仕事場では、27型の4K対応モデルを2台組み合わせたマルチディスプレイ環境を作っている。デスクトップのサイズ感的には満足しているのだが、このクラスの液晶ディスプレイを2台机の上に置くと、スタンドのせいでかなりスペースを取る。それなりに広い作業机なのに、スピーカーや電話、充電器など細かいアイテムを置くともう一杯一杯だ。
そのため、前々からスタンドなしで机の上を自由に利用できるディスプレイアームの導入を考えていた。今回は、重い腰を上げてようやく導入したディスプレイアームの検討過程や実際の導入作業、導入後の使い勝手や注意点などを紹介しよう。
くねくね動くディスプレイアームはやっぱり格好良い
と、冒頭では理屈っぽく書いてはいるが、正直なところディスプレイアームの魅力は「カッコ良さ」だと思う。見やすい位置や角度に簡単に調整でき、ディスプレイ部分をさっと払うだけで広い机が出現するってかっこよくないですか? アームがくねくね動く様子もメカメカしくて大変に良い感じ。
そういう部分もあって、ポールにマウンタが付いているだけといったシンプルなモデルにはちょっと食指が動かない。買うなら信頼性のあるメーカー製で、アームを自由に動かせる本格派が良い。そして初めて買うということを考えれば、ディスプレイアームの老舗とも言えるエルゴトロンのモデルから選ぶのが妥当だろう。
あまり詳しいわけではないのでネットで色々調べてみると、同社の「LXデスクマウントアーム」シリーズが筆者の環境にマッチしているように思えた。2本のアームと4カ所の可動部を備え、自由自在に液晶ディスプレイの位置を移動できる。またこうした可動部には「コイルスプリング方式」という独自の方式を備えており、スムーズな移動としっかりとした固定を両立しているという。
自由度の高い可動部をサポートする方式として、本格派のディスプレイアームでよく採用されている「ガススプリング式」がある。コイルスプリング式は、このガススプリング式に近い使い勝手を実現する。低価格なディスプレイアームで採用され、スムーズな移動がしにくい「メカニカルスプリング式」のディスプレイアームよりも使いやすい。
また本格派のディスプレイアームの固定方式では、机のフチをクランプで挟み込むようにして固定する「クランプ式」と、机に穴をあけてそこにネジ止めする「グロメット式」の2つが主流だ。LXデスクマウントアームは両方に対応しており、今後利用環境が変わっても使い続けていけそうなのはうれしい。
組み付けた液晶ディスプレイが倒れたり、重さで支柱が折れないようにしっかり支えられる耐荷重性能も重要だ。今回組み込む液晶ディスプレイの1台目は、レノボの27型4K液晶「ThinkVision P27」。スペックにある総重量の6.86kgからスタンド部分の実測値2kgを引くと、大体5kgといったところだろう。
もう1台も同じく27型4K液晶で、LG Electronicsの「27UD58-B」だ。こちらもスタンドなしだと5kgだった。LXデスクマウントアームの耐荷重性能は3.2~11.3kgとのことで、こちらも問題はなし。同社製の個人ユーザー向けディスプレイアームとしてはかなりのロングセラーであり、ユーザーも多く口コミでもほとんど悪い噂は聞かない。
ということで概ね購入品の検討は終わった。ただこのLXデスクマウントアーム、OEM品が他社から出ており、エルゴトロンの製品を買うよりかなり安い。その代表例がAmazon.co.jpの「Amazonベーシックモニターアーム シングルディスプレイタイプ」だ。軸やクランプの構造を見ても、同じものであることが分かる。
購入を検討していた時にたまたまAmazonでセール中で、2台分がセットになった「2点セット」を1万5,980円で購入した。単品は9,800円だったので、これを2台買うよりははるかに安かった。ちなみに購入したのは昨年の11月だが、忙しくて設置ができず、使用し始めたのは最近である。
この記事の執筆時点での通常価格は単品で1万2,101円、2点セットだと2万182円。このディスプレイアームはセール対象になることが多いので、こうしたセールを待つのも手だ。
なお、Amazonモデルの保障期間は1年であるのに対し、エルゴトロンのLXデスクマウントアームは10年だ。LXデスクマウントアームの実売価格は1台で1万6,000円前後であり、こうした保障期間の長さに魅力を感じるのであれば、エルゴトロンのモデルを購入しても良いだろう。
組み込み作業は容易、液晶ディスプレイの設置場所は自由自在
到着して箱を空けてみると、3つの部品に分かれたAmazonベーシックモニターアーム、細かい部品、組み込み用工具がパッケージされたビニールの袋が入っていた。細かい部品の組み立て作業があるとめんどくさそうだなあ、と思ったのだが、クランプ式で組み込む場合はビニールの袋に入った部品はほぼ使わない。
最初に付属のペーパーをよく見て、ジョイント部分とアームを正しく挿し込んでいくだけで良い。1回流れを確認してしまえば、迷うような部分はないはずだ。なおグロメット方式で固定する場合、クランプ部分の部品を交換しなければならないのだが、今回はクランプ式で固定するのでそういった作業は必要なかった。
2台の液晶ディスプレイは、両方とも100mm角のVESAマウント穴を装備していた。ディスプレイアームに付属するネジを使い、分離しているアームのVESAマウンタに固定し、その上で液晶ディスプレイごとそのアームをジョイント部分に挿せば完成だ。
今回ディスプレイアームを取り付ける机の天板は、厚さ2cmの合板タイプ。比較的低価格で一般的なビジネス向けの机なのだが、以下の写真にあるように、天板を支えるフレームがクランプに干渉するため、底面側のクランプが5mmほどはみ出してしまった。固定自体はしっかりしているので問題なかったが、ディスプレイアームを購入する前に確認しておきたいポイントだ。
机のサイズは幅140cm、奥行き70cmで、ディスプレイアームのクランプはその両端近くに取り付けた。その上で、液晶ディスプレイを中央に寄せるようにして配置している。今まで使ってきた液晶ディスプレイの配置と同じなのだが、実際にこのスタイルで液晶ディスプレイの位置を調整すると、ちょっとだけ左の空間がもったいない気もする。
「スタンドがない場所でも液晶ディスプレイを利用できる」という特性を考えれば、2台の液晶ディスプレイをもっと左に寄せて、机の右側のスペースを有効活用できるようにしても良いかもしれない。今後組み替えなどを行なう際に検討したい。こうした配置スペースの自由度も、ディスプレイアームの魅力の1つと言えるだろう。
購入前にパーツショップの店頭で色々触ってはいたのだが、実際に組み込んでみてもやっぱり格好良い。またコイルスプリング式の可動部は安定性が高い上に、非常にスムーズに移動できる。液晶パネル部分をさっと払う操作も気軽に行なえるし、もとに戻すのも簡単で、書類仕事用のスペースもすぐに確保できる。予想以上に便利だ!
チルトやスイベルも自由に行なえるほか、VESAマウンタ部分には回転機能があるため、液晶画面を縦方向に設置することも可能だ。縦表示のシューティングゲームなど縦長のコンテンツを楽しみたい時は、こうした機能を使っても良いだろう。こうした角度や場所の変更も、さほど力を入れずに行なえる。
ネット上にある他のユーザーの使用レポートを読むと、クランプの取り付け位置によってはアームがテーブルの背面にはみ出してしまうことも多いようだ。ただ筆者は目が悪いので、画面を近くに寄せないとテキストやアイコンがよく見えない。今回のような配置で利用するのであれば、アームが背面方向にはみ出すようなことはなさそうだ。
安物の机なので高速タイプ中に机が揺れる……
今もディスプレイアームを導入した作業環境で仕事をしているが、ディスプレイが傾くこともなく、状況に応じてデスク上のスペースを自由に使えるようになったのは本当に便利だ。
ディスプレイアームを利用する場合、背面近くに固定したディスプレイアームだけで5kgの液晶ディスプレイを支えるので、テーブルごと後ろにひっくり返ってしまうこともあるのではないか、という不安もあった。しかしそれは杞憂だった。重心となる液晶ディスプレイがテーブルの中心にきているため、テーブルの背面側に過剰に力がかかるようなことはない。
とは言え、ちょっとした不安要素もないではない。1つは前述した通り、クランプ部分がちょっと余っていること。傾いたりはしていないが、重量のあるものを支えているだけになんとか対策を講じたい部分ではある。
もう1つは、キータイプ中に画面が揺れることだ。これはディスプレイアームのトラブルではなく、そもそも机が振動に弱いタイプだというのが大きい。もともとスタンドで使っていた頃にも気になっていたことだが、やはり長さがあるので揺れが伝わりやすいのだろう。
ともあれこれらの問題点は、ちゃんとした作業机に買い換えないと解決しない。色々物入りだなあと溜息をつきつつ、今度はそれなりに高級な事務机を導入すべく、カタログサイトを眺める毎日である。